ドローンの運航サービス、人材育成などを手掛ける株式会社ダイヤサービス(千葉市)が、応急手当講習の普及を目指し協賛パートナー制度を導入した。現在、協賛パートナーの募集を進めている。同社はドローン運航中にけがをしたりさせたりしたさいに、医療機関にかかるまでの間にすべき応急手当の方法を身に付ける講座を6年前から提供している。協賛制度を通じて講習や応急手当の必要性の普及を加速させ、講習の受講料抑制につなげることを目指す。
ダイヤサービスが協賛制度を通じて普及を目指す「ドローン応急⼿当講習」は、ドローンを使っているときにけがをしたりさせたりした場合の応急手当のノウハウを学ぶ講習で、安全を重視するダイヤサービスが、看護師、救急救命士、民間航空機の客室乗務員経験者らとともに開発に着手、2019年3月にカリキュラム化した。「一次救命措置」と呼ばれる措置の手順やそれぞれの方法から具体的な方法、CPRと呼ばれる措置の方法、AEDの使い方、バイタルサイン、PRICES 処置、止血対応などをテキスト、実技を通して体系的に学ぶ。止血方法が含まれるのは珍しい。
受講者には学んだことを証明する認定証「ドローン応急⼿当資格認定者」を発⾏する。「ドローン応急⼿当資格認定者」が在籍する法人は、「ドローン応急⼿当資格取得者在籍事業者」を名乗ることが認められる。また学んだスキルを維持するための3年毎の更新講習もある。
受講者は、ドローンを使う現場が都心部でないことが多いことから、緊急通報をしてもすぐにかけつけてもらえる場所でないことが多いことに伴う不安の解消を求める人が多く、「体系的に効率的に学べる講座として有益」と評価が高い。
同社がカリキュラム化したあとの2021年に成立し、2022年12⽉に施行された改正航空法では、ドローン運用中に事故でけが人が出た場合、操縦者には負傷者の救護義務が課されることが明記された。具体的には航空法第132条90第1項に「無⼈航空機の⾶⾏により⼈が負傷した場合、操縦者は直ちに負傷者の救護等、危険を防⽌するために必要な措置を講じなければならない」とあり、義務を怠った場合、2年以下の懲役または100万円以下の罰⾦が科される可能性があることが盛り込まれた。
また2022年11月に制定された報告要領(無人航空機の事故及び重大インシデントの報告要領)には、救護義務についてさらに詳しく記されている。まず、「法第132条の90第1項に規定する事故が発生した場合に、『負傷者を救護することその他の危険を防止するために必要な措置』として、操縦者が直ちに無人航空機の飛行を中止し、講じる必要のある措置をいい、具体的には次の事項をいう。なお、事故に該当する場合に限らず、必要と認められる場合には、所要の救護活動を行うべきである」と「次の事項」を必要な措置と定めている。
具体的には「a)負傷者を救護すること 事故が起きたときは、操縦者及びその関係者は次のような措置を講じなければならない。ア)負傷者がいる場合は、医師、救急車等が到着するまでの間のガーゼや清潔なハンカチ等での止血等、可能な応急救護処置を行う。この場合、むやみに負傷者を動かさない(特に頭部に傷を受けているときは動かさない)ようにする。ただし、二次的な事故等のおそれがある場合は、速やかに負傷者を安全な場所に移動させる。(以下略)」などと記され、「止血」が含まれている。ダイヤサービスの「応急⼿当講習」にはこの止血の方法が含まれる。
一方、義務となった救護の方法を身に付ける方法が限られていたり、学習者には身に付ける場を探すことが難しかったりと、応急⼿当の方法を学ぶ場は依然、増えていない。
このためダイヤサービスは協賛パートナーとともに、応急手当の啓蒙、講習の普及拡大、講習内容の随時更新、受講料金の抑制につなげたい考えだ。ダイヤサービスは社団法人を設立したのちに、協賛パートナーを含めた普及・啓蒙活動の主体を社団法人に移管する方針だ。
ダイヤサービスの戸出智祐代表取締役社長は「万が一の事故時に現場で応急対応できる人材は、いまもほとんど育っていません。われわれは6年前から応急手当講習を地道に展開して参りましたが、協賛パートナー制度で万が一の備えを業界の常識にすることに挑戦したいと思っています」と話している。
株式会社ダイヤサービス:https://daiyaservice.com/
協賛パートナー説明と問い合わせ:https://daiyaservice.com/sponsorship/
株式会社ACSL(東京都)は7月22日、機体の受注を開始した。受注は株式会社VFR(名古屋市<愛知県>)、ブルーイノベーション株式会社(東京)など同社の販売代理店経由で受け付ける。10月1日から量産体制で生産を始め納品する。納期は現時点で確定していないが、受注代理店を通じて連絡する。
PF4は5kgのペイロードを搭載した場合で40kmの飛行が可能で耐風性能は25m/sの飛行性能を持ち、測量、点検、夜間目視外飛行など用途に応じた必要なペイロードを利用者側で載せかえることができる。ACSLがレベル4飛行に向けて第一種型式認証の申請を進めている「ACSL式PF4-CAT3型」とは別の機種で、レベル3.5までに対応する。
6月には株式会社エアロネクスト(東京)がPF4をモンゴルで飛行をさせた実績を持っており、同社など限られた事業者が同機を所有している。
ACSLは7月23~25日に東京ビッグサイトで開催される「第11回国際ドローン展」にブースを出展し「PF4」を展示する。
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株式会社SkyDrive(豊田市<愛知県>)は、山口県山口市で重ねてきたリハーサル飛行を収めた動画を公開した。
リハーサル飛行は、山口県山口市の「山口きらら博記念公園」内に設けた飛行試験場で春から行われていて、動画には大阪・関西万博のデモフライトに使われるSD-05が離陸し、移動し、向きを変えて飛行するなどの様子が納められている。
大阪・関西万博では7月31日から8月24日まで、火、水曜以外の原則週5日の予定で、来場者の前で飛行する様子を公開する。
建設設備大手の三機工業株式会社(東京)は7月11日、グループ会社、有限会社キャド・ケンドロ(仙台市)と共同で狭小空間ドローン開発の株式会社リベラウェア(Liberaware、千葉市)のドローンとレーザースキャナを併用した既存設備の3Dモデル化するデジタル化手法を確立したと発表した。Liberawareも同日、三機工業に「IBIS2」を「導入した」と発表した。
三機工業は設備更新や模様替えなどのさいに、現場を3Dモデリングし、現状を把握してから取り組む。完成後の更新や追加工事で現状が図面通りになっていないことが多く、作業の妨げになるおそれがあるためだ。しかし天井裏などでダクトや配管が込み入っている場合に、すべての設備にはレーザーが届き切らずに十分な3Dモデルができあがらない場合がある。こうした課題を乗り越える手法の開発を進めているところ、今回、ドローンとレーザースキャナを併用してデジタル化する手法を開発した。
同社が実施した実用化検証では、IBIS2とレーザースキャナを併用した場合、従来の3Dスキャン手法と比べ、機械室などの天井の無い空間の場合、認識できた建築部材が約135%、天井の一部が解体された天井裏空間で約400%向上したという。
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丸紅株式会社(東京)は7月8日、大阪・関西万博でデモフライトを披露する計画を公表している英ヴァーティカルエアロスペース社(Vertical Aerospace Group Ltd.)開発の5人乗りAAM「VX4」について実施を「見送る」と発表した。英国で行われているVX4試験機での有人飛行試験で判断したという。
丸紅は発表の中で「現在英国で行われているVertical社製VX4試験機による有人飛行試験の進捗状況から、大阪・関西万博でのデモフライトへの対応を見送ることとなりました」と伝えた。VX4のキャビンを再現したモデル空間は予定通り万博会場に出展し、8月から搭乗体験を実施する予定という。
また丸紅が万博で飛ばすもうひとつの機体、米LIFT AIRCRAFT社(以下、「LIFT社」)製の1人乗り機「HEXA」については、デモフライトを近く再開させる方向で調整中だ。HEXAは4月26日のデモフライト中に部品が落下したためデモフライトを中断して原因究明を続けている。
その結果「モーター搭載箇所の部品について、サプライヤーが仕様と異なる素材の部品を誤って供給していたことが判明」したと説明し、「当該部品の交換およびその他重要部品の再点検を完了した上で、再発防止策として、LIFT社において部品の受領・品質管理について包括的な監査を実施し、必要な工程について改善したことを確認しました。関係機関の許可を以て、今後大阪・関西万博でテストフライトを実施し、十分に最終確認を行った後、安全を最優先として関係機関および関係各社と協議・判断し、デモフライトの再開に関しては改めてお知らせいたします」と伝えている。
丸紅は大阪・関西万博でのAAM運航事業者4グループのひとつだ。
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英ロックバンド、オアシスの再結成後初のコンサート会場となるウェールズの首都カーディフのプリンシパリティ・スタジアムで現地時間7月2日、ドローンで形作られた「OASIS」のロゴが浮かび上がった。ツアーは7月4日に始まり、11月まで世界各国をまわる。ツアー初日を翌々日に控えたドローンの演出はオアシスの公式アカウントで公開されている。
ドローンのロゴは公演開始前に上空に描かれ、オアシスの再結成ツアー開催を祝福し、喜ぶファンの気分の高揚に貢献した。
オアシスは1991年にマンチェスターで結成され、7000万枚以上のアルバムを売ったロックバンドだ。2009年に解散したが昨年2024年に再結成した。再結成後初のコンサートツアーが7月4日にはじまり、北米、南米、オーストラリア、韓国など各地をまわる。2025年は11月23日のサンパウロ公演で幕を閉じる予定だ。日本公演も10月に予定されている。チケットはいったん予定枚数の販売を完了したが、機材席の解放による追加販売が決定し、7月12日正午に抽選の受付を開始する予定だという。
音楽シーンとドローンとは、MV撮影、ライブ映像撮影、演出としての屋内ドローンショーなどの例があるなど縁があり、今後も活用の幅が広がる可能性がある。
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AAM開発の米ジョビー・アビエーションは6月30日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイでパイロットが搭乗し、垂直離着陸の固定翼飛行を実施した。ジョビーは「2026年に最初の乗客を運ぶ」と2026年のサービス開始を目指している。ジョビーは開催中の大阪関西万博で「運航事業者」にもなっている。
ジョビーによるドバイでの飛行は、「piloted, vertical-takeoff-and-landing wingborne flights」で、パイロットが乗り、垂直離着陸をしたうえで、機体の固定翼で移動した飛行で、「eVTOL分野では初めての取り組み」としている。ジョビーはこの飛行を通じて、ドバイ地域での商用市場準備の取り組みを開始したことも明らかにした。ジョビーは直接運航、航空機販売、地域パートナーシップを商業化戦略の3本柱と位置付けていて、今回の試験飛行が「重要な一歩」と話している。
試験飛行はドバイ道路交通局、ドバイ民間航空局、UAE民間航空総局と連携して実施された。またドバイ道路交通局長官兼理事会会長のマタール・アル・タイヤー会長が立ち会った。
ジョビーは、ドバイ国際空港(DXB)、ペルシア湾の人工島であるパーム・ジュメイラ、現在建設が進められている世界第2の面積の人工のマリーナであるドバイ・マリーナ、超高層ビルブルジュハリファで知られるドバイ・ダウンタウンでの商業サービス導入を目指している。バーティポートはすでに建設が進められている。
ジョビーはDXBからパーム・ジュメイラまでをエアタクシーサービスで移動した場合、移動時間は12分で、45分かかる車での移動時間が大幅に短縮されると見込んでいる。
ジョビーがエアタクシーサービスで使う機体は電動で、パイロット1人と最大4人の乗客を乗せ、最高時速200マイル(約320km)で輸送できる設計と説明していて、ジョビーは「短時間の通勤、小旅行、地域間のシームレスな移動のために、より速く、より静かで、より便利な空の旅を提供します」と話している。
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