いわゆる空飛ぶクルマの開発を手掛けるEHang(イーハン、億航智能、広東省広州市)は、同社の開発した「EH216-S」に対し、中国の国家局のひとつで民間航空行政を管轄する中国民用航空局(CAAC)から10月13日に、商用運航の前提となる型式証明(「TC」)を正式に取得したと発表した。国家の航空当局が、いわゆる空飛ぶクルマにTCを発行したのは世界で初めてだ。今後中国国内で商用運航に向けた動きが加速するとみられる。EHangは日本で型式の申請をしていないため、日本での商用運航はこのままではできない。一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の理事長をつとめる鈴木真二東京大学名誉教授・特任教授は「型式証明の手続きへの直接的な影響はないが、いわゆる空飛ぶクルマが夢物語ではないと広く認識させる効果はあると思われる」と話している。
いわゆる空飛ぶクルマが商用運航をするためには、製造国とともに飛行する国からTCを取得することが原則だ。UAM関係者の間では、EHangやドイツのVolovopter(ヴォロコプター、ブルッフザール)など有力メーカーのTC取得が昨年来ささやかれてきた。結局昨年中のTC取得はなく、今回のEHangの「EH216-S」による取得が第1号となった。
EHangの機体は日本国内でも「飛行試験」などの形で飛行している。ただ、EHangは日本で型式証明を申請しておらず、商用運航はいまのままではできない。
日本では現在、株式会社SkyDrive(愛知県豊田市)、Volovopter 、アメリカのJoby Aviation(ジョビーアビエーション、カリフォルニア州サンタクルーズ)、イギリスのVertical Aerospace(バーティカル・エアロスペース)が国交省に型式証明を申請している。
EHangによるCAACからのTC取得が、日本国内や各国の型式取得の手続きに直接的に影響することはない。ただし国同士の関係の中で、中国の決定を尊重する国はあり、今後、アジア諸国を中心に同社の機体が飛行できる国が出てくることは考えられる。
鈴木真二氏は「EHangによる型式証明の取得は想定内です。安全性を判断する型式証明の手続きが、直接的に影響を受けることはありません。一方で、いわゆる空飛ぶクルマの実用に関するニーズの掘り起こしが加速したり、夢物語ではないと広く認識させたりするといった効果はあると思われます」と話している。
EHangは同社の公式サイトで取得について公表している。
サイトはこちら。
概要は以下の通りだ。
アーバンエアモビリティー(「UAM」)技術プラットフォームの世界的リーディング企業であるEHang Holdings Limited(「EHang」または「当社」)(Nasdaq: EH)は、自社開発の旅客輸送無人航空機(「UAM」)システムであるEH216-Sが、中国民用航空局(「CAAC」)から正式に発行された型式証明書(「TC」)を取得したと発表した。これは、EH216-Sのモデル設計がCAACの安全基準および耐空性要件に完全に適合し、EH216-Sが旅客輸送UAMの商業運航を行う資格があることを証明する。電動垂直離着陸機(electric vertical take-off and landing aircraft、eVTOL)向けの世界初のTCとして、EH216-S TCは、中国や海外の革新的なeVTOLの耐空証明の基準となるだけでなく、UAMの商業運航の画期的なマイルストーンとなる。
TC授与式は10月13日、北京のCAMIC国際コンベンションセンターで行われ、CAACがEHangにTCを授与した。
CAACが2021年1月にEHangのEH216-S TC申請を正式に受理して以来、EHangのチームはCAACやその専門家チームと緊密に協力し、航空機の革新的な最先端技術の検証と検証に取り組んできた。粘り強い努力であらゆる困難や課題を克服し、すべての型式認証目標を乗り越え、EHangが成熟したeVTOL製品を独自に設計、開発、製造する能力を十分に備えていることを証明した。
EH216-Sは、技術的アーキテクチャ、構成、性能、機能性、運用モード、飛行環境などの主要分野において、従来の航空機とは大きく異なる先駆的な技術革新、製品革新として位置づけられている。EH216-Sの型式証明のために、CAACとEHangは、従来の100年来の航空原則を遵守しつつ、EH216-Sの特徴的な技術的特徴に合わせた特定の認証基準や適合手段を策定する、革新中心のアプローチを採用し、型式証明業務を実施した。
ロボット体感型展示会「ロボテスフェスタ2023」が9月1日、福島県南相馬市の研究開発拠点、福島ロボットテストフィールドで開幕した。前年までの実演展示会「ロボテスEXPO」を衣替えし、展示、実演、講演に加え体験が増え演奏などのパフォーマンス、キッチンカーや屋台などにぎやかさの演出を強化した。初日の開会式には相馬野馬追太鼓の演奏が披露され、中庭にはカレー、焼きそば、たこやきなどの屋台が並んだ。展示では草刈りロボット6台が実演展示された。ミートアップイベントでは堀江貴文氏がオンライン登壇した。前回から取り入れた敷地内の主だった会場をめぐるバスツアーは今回も行われた。期間は9月2日までで、2日にはVRアーティスト、せきぐちあいみさんのパフォーマンスやロボット操縦体験会が会場を盛り上げる。
ロボテスフェスタ2023は、公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構、南相馬市の共催イベントで、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)、日本人無人機運行管理コンソーシアム(JUTM)、一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構、準天頂衛星システムサービス株式会社、高精度衛星測位サービス利用促進協議会が後援している。公式サイトはこちら。
9月1日に行われた開会式では会場である福島ロボットテストフィールドの鈴木真二所長(JUIDA理事長)がオンラインであいさつに登壇し「試乗体験などロボットに触れ合えるコンテンツを用意しているので日本の未来を感じて頂けたらと思っています」と期待を寄せた。開会式には相馬野馬追太鼓の演奏が披露されたほか、2025年開催予定の日本国際博覧会(大阪・関西万博)の公式キャラクターミャクミャクも応援にかけつけた。
敷地内のデモ会場をピックアップしてめぐるバスツアーは、2日間に12コース設定。初日の午前10時にスタートするツアーでは、3m×3mの吹き出し口を持つ風洞棟で、ドローンの性能を飛行させずに計測、解析することがきるciRobotics株式会社 (大分県)が開発した分析マシン「ドローンアナライザー」の実演を、担当者の解説をまじえて見学した。バスツアーの参加者からは、計測可能なドローンの機体の種類などについて質問が出た。
ドローンが飛ばせる高さ15メートルにネットをはった「緩衝ネット付飛行場」では株式会社ロボデックス(横浜市)が、水素燃料電池専用ドローン「Aigis One(アイギス・ワン)」を飛ばす前に行う飛行準備の様子を貝應大介代表取締役社長が機体を見せながら解説した。参加者は燃料タンクのバルブの開閉など水素燃料電池特有の作業に関心を寄せた。
「滑走路附属格納庫」では東北大学タフ・サイバーフィジカルAI研究センターが、マルチコプターに垂直着陸させずに、格納できるEAGLE Portの仕組みを解説した。垂直着陸は着陸直前に機体が不安定になるデメリットがあるため、水平飛行の姿勢を保ったままの姿勢で格納あせることを提案したポート。機体を受け止めるポートの開口部にドローンがたどりつけば、ドローンをつりさげて回収できる。また、連続して格納できるため、複数機を着陸させる空中で順番待ちの待機時間が生じにくいという。
バスツアーでは次のデモへの移動のさいに、テストフィールドの設備が窓越しに見られるコースをたどり、参加者からは「住宅地で災害の実証ができそう」などと構想を語り合う様子が見られた。
展示会場では、株式会社人機一体(滋賀県草津市)が、腕や指を持つ作業ロボットが操縦者の動きの通りに動いて遠隔作業をこなす「零式人機(れいしきじんき)」シリーズ(今回は「零式人機ver.1.2」)の実演が見学者の山をつくったほか、8月9日に連続50㎞の航続飛行を果たした株式会社石川エナジーリサーチ(群馬県太田市)のハイブリッド式ヘキサコプター型ドローン「ハイブリッドフライヤー」の試作機を展示し、来場者がの足を止めていた。
Zip Infrastructure株式会社(神奈川県秦野市)は、次世代交通システム、電動自走型ロープウェイ「Zippar」を映像で紹介(映像はこちら)していて、斬新なビジュアルで多くの来場者が映像に見入って担当者に話を聞いていた。釣り下がったゴンドラ式の乗り物で、ロープとレールをタイヤで自走する。既存技術を組み合わせたプロジェクトで、現在、福島ロボットテストフィールドでも実験運航させるための準備を進めている。
このほかJUIDA、JUTM、インターステラテクノロジズ株式会社(北海道広尾郡大樹町)、会津大学、株式会社スペースエンターテインメントラボラトリー(川崎市)、JapanDrone運営事務局、日鉄テックスエンジ株式会社(東京)、テトラ・アビエーション株式会社(東京)など多くの企業、研究機関、団体がブースで参加者の問い合わせなどに応じた。
屋外ではスウェーデンの造園機器メーカー、Husqvarna(ハスクバーナ)社のロボット芝刈り機Automowe(オートモア)シリーズをはじめ、株式会社アテックス(愛媛県松山市)のハイブリッドラジコン草刈り機、株式会社オーレック(福岡県八女郡広川町)のラジコン型斜面狩り用自走式草刈り機など、6社の芝刈り・草刈りロボットが実演された。ハクスバーナ機はいわゆる清掃ロボットのように、芝が張られた庭などを、あらかじめ決められた範囲で芝の伸びた部分を切り落とす芝刈り機で、「本体価格14万8500円の割安モデルであるAspireR4が発売されてから引き合いが増えています。これから庭の手入れの自動化が進むのではないかと思っています」と話した。
この日は、マッチングイベントとして「南相馬市ベンチャー×地域産業ミートアップ2023」が開催され、堀江貴文氏がインターステラテクノロジズ株式会社のファウンダーとしてオンライン登壇。ロケット開発について「ありとあらゆる高度な技術が必要となる総合格闘技と形容。日本国内での開発について「主要部品の調達が日本国内で完結するんです。これは安全保障上の観点から海外製部品を使わずに完結できるというのは大きなアドバンテージ」と述べた。
9月2日のロボテスフェスタ20232日目は、サイバー空間にアートを生み出すパフォーマンスで知られるVRアーティスト、せきぐちあいみさんのパフォーマンスが彩を添え、ヘラクレスカブトムシ型のロボット「ヘラクレスA-1」の試乗体験や、ロボットの操縦会が来場者お好奇心を刺激することになっている。
6月26日に開幕したJapanDrone2023 が盛況だ。開会式には関係各省の担当者らが顔をそろえ、会場には視察陣が続々と訪れ、試乗できる機体を展示しているブースには行列ができた、遠隔地とのリアルタイムの中継をみせたり、操縦体験ができたり来場者の好奇心を満たす工夫も随所にみられる。JapanDroneは6月28日まで、千葉・幕張メッセで開催される。
展示ブースを構えたのは国内200団体、海外39団体の239団体。幕張メッセ第5、第6の2ホールに色とりどりの個性豊かなブースが並び、目的を持つ来場者も初心者もそれぞれの関心に合わせて会場内をまわり、足を止め、展示に見入り、担当者と交流をしている。
初日の開会式には関係各省らが顔をそろえた。主催者である一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の鈴木真二理事長は出展数を紹介したうえで「過去最大規模の出展となっており、新たなビジネスチャンスを築く場になればうれしい」とあいさつした。来賓として登壇した田中和徳元復興相(ドローン議連会長代理)は「課題解決と付加価値創造のできる夢のある技術。毎回、利活用の進歩に驚嘆していて、これからより多くの人々が利便性を享受できるよう期待したい。その環境整備については政治の面からしっかりサポートする」とあいさつした。
このほか、経産省製造産業局審議官・恒藤晃氏、国交省航空局安全部長・平井一彦氏、国交省総合政策局技術政策課長・川村竜児氏、復興庁原子力災害復興班企画官・黒田俊久氏、農林水産省農林水産技術会議事務局研究総務官・山田広明氏らがあいさつし、テープカットに臨んだ。
多くの時間帯で行列を作っているのはインターネット関連会社GMOインターネットグループ(東京)だ。同社のブースには3月に同社の熊谷正寿代表が大阪城公園(大阪市)で搭乗して飛行した米LIFT社(LIFT Aircraft INC.)製の1人乗り機体「HEXA」の実機が展示され、来場者は乗り込んで写真を撮ることができる。ブースには「HEXA」の操縦トレーニングに使われるVRマシンも置いてありこちらも体験可能だ。初日の26日にはLIFT社のマット・チェイスン(Matt Chasen)CEOがブース内のステージに登壇した。
見所豊富なこのブースには視察も多い。初日の26日には鈴木英敬内閣府大臣政務官(前三重県知事)、27日には猪口邦子元少子化・男女共同参画担当大臣が訪れ、機体をのぞきこんだり、LIFT社のチェイスンCEO、機体のセキュリティーを担うGMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社(東京)の浅野昌和CTO室室長、GMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社(東京)代表取締役の牧田誠CEOらと話し込んだりしていた。
GMOブースはこのほかドローンのハッキングを実演し、セキュリティの重要性を伝えるデモンストレーションも行っており人の波が絶えない。
各ブースもデモンストレーション、研究成果報告、新製品の発表など来場者の好奇心を満たす工夫を凝らし個性を競演している。
KDDIスマートドローン株式会社(東京)は、JapanDroneの会場である千葉市・幕張メッセのブースと、千葉県君津市にある同社が運営するドローンスクールが入居する廃校を利用した地域再生拠店「コードベースキミツ」をつなぎ、コードベースキミツに設置しているドローンを、幕張メッセから操縦し、その様子を幕張に設置したディスプレイで確認するデモンストレーションを実施している。
東洋製罐株式会社(東京)はスプレー缶をドローンに搭載して、塗装、防錆、鳥よけなどのソリューションを提案している。同社のブースではドローンメーカーDJIの最新産業用機、Matrice350RTKにスプレー缶を搭載したデモ機を用意し、来場者がまとに水を噴射する体験ができる。株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマークは次世代アバターロボット開発のugo(ユーゴー)株式会社(東京)の開発した身長180㎝のアバターロボットugoとドローンを連携させたインフラ点検ソリューション「ugo +drone」を実演している。
株式会社Liberaware(千葉市)は軒下、天井裏、水道管など狭小空間の点検に活用できるドローンIBISの機能を刷新した「IBIS2(アイビスツー)」を発表、26日にリリースした。20cm、243gの軽量小型機体で直径50cm の配管内の飛行ができる。JapanDroneのブースで実機の飛行をデモンストレーションしている。
このほかJUIDAが発行している技術論文集などの研究成果をポスターにまとめて公開するポスターセッションも、会場の中央に配置。日替わりで筆者が論文の内容を発表し、来場者が聞き入っている。
公開されている技術の活用でドローンを活用したソリューションの高度化を目指すコミュニティー、DOP Project(ドッププロジェクト)もブースを構え、連日多くの来場者が足を止めている、
JapanDrone2023は28日まで開かれている。
建設機械、測量機器の大規模展示会「第5回建設・測量生産性向上展 (CSPI-EXPO 2023、建設・測量生産性向上展実行委員会主催)が5月24日、千葉市の大型展示会場幕張メッセで開幕し、会場にはDJI JAPAN、アミューズワンセルフ、スペースワン、ジュンテクノサービス、セキド、エアロセンス、みるくる、ルーチェサーチなどのドローン、水中ドローンや関連技術が大量出展されている。DJIはドローンを格納するDJI Dockや、今月18日に発表されたばかりの産業機Matrice 350 RTKを初公開。ほかにも多くがこの日にあわせたコンテンツを披露している。開会前に行われたオープングセレモニーでは、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の鈴木真二理事長がテープカットに加わり、ドローンが建設測量分野で欠かせない技術であることを物語る中、ドローン関係事業者の熱の入った展示は5月26日まで続く。
にぎわいは開場前、会場外ですでに出来上がっていた。
会場である幕張メッセの玄関口前には、株式会社アミューズワンセルフのハイブリッドドローン「GLOW」を描いた巨大案内板が登場し、来場者は会場に入る前にドローンを目にすることになる。また24日午前10時の開場前に、会場ホール入場口前で行われたオープニングセレモニーでも、にぎやかさをアピールするかのように、テープカット用のテープが前後2列にはられ、主催者、業界代表ら33人がズラリとはさみを持って並んだ。JUIDAの鈴木理事長もその一人として加わった。谷鉄也実行委員長は「400社を超える出展企業で開催できた」とにぎわいを総括してあいさつしたほか、来賓として登壇した国土交通省のイノベーション担当の森下博之大臣官房参事官は「注力しているBIM/CIM、ICT施工、遠隔化・自動化などにとって、建設機械、測量機器、ドローン、AI、センサーなどは欠くことのできない主要な技術」と述べた。
展示でもドローンは主役である建設機械とともに彩を添えている。
DJI JAPAN株式会社はドローンの格納、充電、離着陸場となるDJI Dockを初出展した。手元のスマホで開閉する様子を実演し、その様子に多くの来場者の足をとめていた。機体を格納するときには離着陸台の左右から箱型の覆いが機体をつつむようせり出して閉じる。機体のプロペラは自動で向きが整えられDockに収まる態勢になる。またDockの周辺環境を監視するカメラも備わり、機体が離着陸するときの安全を確認する。早ければ6月中にも発売となる見込みだ。このほか1週間前に発表されたばかりのMatrice 350 RTKも展示されている。
同社のブースには、株式会社テクノシステム、株式会社kiipl&napなど関係の深い企業がそれぞれの技術をブース内ブースのような形式で展示している。たとえばテクノシステムはUAV支援システム「ランドステーソンUAV」を紹介。ドローンで取得したデータをもとに、作業規定準則などに定めるフォーマットにそった帳票を作成することができ、入力作業を軽減する。
ドローンの販売や人材育成などを手掛ける株式会社セキドは、中国CZIのドローン用のミッションペイロードを紹介している。音声を届けるためのスピーカーなどデジタルボイスブロードキャスティングシステムやライトなどが来場者の興味を引いていた。
NORTEKジャパン合同会社は、手のひらサイズの高精度水中ナビゲーションセンサパッケージ、Nucleus1000を紹介している。音波を出して距離を測る音波発受信部を持ち、圧力計、水温計、超音波式距離計やAHRSセンサーを備え、深度、水底や壁面などまでの距離、姿勢、方位、対地速度などを割り出す水中ドローン向けのアプリケーションだ。油田開発に用いる探査ロボットなどに使われてきたが、ドローンに使えるように応用、調整した。
株式会社スペースワン、ジュンテクノサービスも水槽を用意し水中ドローンを中心に展示している。スペースワンはCHASNGの「CHASING M2 S」を日本で初めて公開した。またジュンテクノは水中ドローンの活用事例を紹介したり、ポータブル電源を開発する中国、エコフローテクノロジー社のポータブル電源や、12分あれば18個の氷が作れるポータブル冷蔵庫GLACIERなどを紹介したりしていて、いずれも多くの来場者でにぎわっていた。
ドローンを使った構造物の高密度測量で知られるルーチェサーチ株式会社は、既存構造物の点群から3DCADに変換するソフトウェア「PINO」を展示している。点群をモデル化するさい、最前面でない点群をつかみ、ゆがんだモデルになってしまう事態を避けるため、簡単な作業で奥の点をつかまずに済むよう工夫してある。同社の尾原保弘技術営業部長は「図面のない構造物が多くあり、その現状を再現することに貢献したい」と話す。
また古河産業株式会社は、最大49㎏までの重量物を運べ、飛行中につり荷の横揺れを防ぐ機能を搭載した「EAGLE 49」を展示。株式会社FLIGHTSは高性能でありながらリーズナブルな次世代いLiDAR「FLIGHTS SCAN」を紹介している。株式会社カナモトはレンタルや運用サービスで活用しているFreeflySystems社製マルチコプターALTA X(アルタエックス)を展示し、都心部での送電線作業をこの機体で遂行している様子を動画で紹介している。エアロセンス株式会社は、200haを30分でレーザー計測できる、YellowScanのLiDARを搭載したVTOL機「エアロボウイング」をアピールしている。NTTコミュニケーションズ株式会社もAIドローン開発で知られる米Skydio社の機体やソリューションを紹介している。
ほかにも株式会社みるくる、株式会社テラドローンなど多くのドローン関連企業が、建設機械メーカーなどとともに会場を盛り上げていた。25日にはJUIDAの鈴木理事長が「ドローン、空飛ぶクルマが拓く未来」の演題で「特別セミナー」での登壇を予定してる。26日にはDJI JAPANの呉韜代表取締役が「現場で活躍する最新の産業用ドローンの現状」について、製品・技術PRセミナーとして講演することになっているなど、ドローンの存在感が高い3日間となりそうだ。
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)と株式会社コングレは4月25日、千葉市の大型展示会場、幕張メッセで6月下旬に開幕するドローンの大規模展示会、「JapanDrone2023」の出展者向け説明会を開いた。開催概要や事務手続きの説明とともに、海外から高い関心が寄せられている状況や、ブラジルの航空機メーカー、エンブラエル社のAAM開発子会社、イブ社(Eve Air)の初出展が決まったこと、参加者同士の交流の場、ネットワーキングパーティーを3年ぶりに催すことなどが報告された。
JapanDrone2023はJUIDAが主催し、コングレが共催する。幕張メッセの展示ホール5,展示ホール6の2つのホールを使い、展示スペース、デモスペース、講演用ステージなどが設けられる。会期は6月26(月)~28日(水)で、原則午前10~17時が開会時間となる。経済産業省、国土交通省などの中央省庁や業界団体が数多く後援、協賛に名を連ねている。事前に登録すれば来場は無料だ。展示は250団体、380小間を目指し仮決定先との調整を進める。講演は無料、有料があり現在23が決定。このほかに協賛社のプレゼンテーションもある。講演について、新型コロナウイルス感染症防止対策として昨年まで行っていた講演のオンライン配信は、今回は行わない。
説明会ではJUIDAの鈴木真二理事長が「今後、本格的な社会実現が進むことになる中で、最もホットな議論ができる場となればよいと思っております。ビジネスチャンスの創出の場を目指して参ります」と開催に向けた抱負を述べた。
事務局からは、出展者数や登録者の推移、アンケート結果、展示や講演の構成と方針、表彰企画の説明や、出展情報などが報告された。ブラジルの航空機メーカー、エンブラエル(Embraer)社の子会社でeVTOLやUAMなどのAAMを製造するイブ社(Eve Air Mobility) が出展するうえ同社のビジネス開発責任者、オーガスティン・タイ(Augustine Tai)氏による基調講演「UAMのビジネス展開とEve Air協力プロジェクトの世界展開について」(6月28日、10:10~10:40)=無料)が予定されていることなどが発表されたほか、6月28日にAmazon Web Serviceの登壇を調整中であることも伝えられた。
また新型コロナ感染症の蔓延防止対策として開催を控えていた交流会、ネットワーキングパーティーを3年ぶりに再会する。開催するのは開催初日6月26日、会場に近いホテルの会場で開催する。
あわせて出展者向けの告知プランや装飾、電気設備、搬入・搬出の時間などの注意事項などが伝えられた。主催者、共催者も今後、周知に向けて都心部の駅での告知、プレスリリースなどを活用する方針だ。来場者登録は5月上旬に受け付けを始める.会期中の来場登録者は過去最大の1万8000人を見込む。
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は1月30日、東京・丸の内の総合宴会場、東京會館で「JUIDA新春パーティー2023」を開催した。会場での開催は2020年以来3年ぶりの会場開催で、会員、産業関係者、中央府省庁、国会議員らが賀詞を交換した。JUIDAの鈴木真二理事長は2023年のスローガンとして「レベル4実現元年」を掲げ、「レベル4実現させるべくJUIDAとしても貢献したい」と抱負を述べた。またレベル4で義務付けられる飛行日誌に関する情報管理サービスを準備しており、JUIDA会員に無料で提供すると発表した。
新春パーティーでは、鈴木理事長のほか、国会議員関係で無人航空機普及・利用促進議員連盟の田中和德元復興大臣、同議連顧問の山東昭子元参院議長、同議連副会長の櫻田義孝元東京オリンピック・パラリンピック担当相、同議連事務局長の山際大志郎前経済再生担当相、同議連幹事長の鶴保庸介元内閣府特命担当大臣が出席してあいさつをしたほか、同議連幹事の牧島かれん元デジタル相、同議連幹事の大野泰正国土交通大臣政務官がメッセージを寄せ会場で代読された。中央省庁関係では経済産業省製造産業局次世次世代空モビリティ政策室の宇田香織室長、国土交通省航空局の新垣慶太次長があいさつした。
鈴木理事長はあいさつの中でJUIDA会員が法人、個人あわせて24,845、操縦技能証明取得者が26,192人、安全運航管理者証明の取得者が22,828人となり「最近の伸びが大きい。ことがわかります」と説明した。
また鈴木理事長は昨年(2022年)12月5日の改正航空法施行に伴い整備された国家資格としての操縦ライセンスに関連し、「JUIDA認定スクールの中で、国家資格取得のための登録講習機関に登録を希望するスクールに対して、JUIDAも支援しています」と支援体制を構築している乗用を報告した。そのうえで「国家資格はクルマでいえば普通免許。業務に適用するには専門分野ごとの教育が必要になりその部分を充実させていきます」と、専門教育に力をいれる方針を述べた。
JUIDA会員向けのサービスとして、飛行日誌サービスを会員に対して無料で提供する準備をしていることも報告した。2023年のスローガンには「レベル4実現元年」を掲げ、「JUIDAとしても貢献したいと考えております」とレベル4実現を展望した。
会場では出席者が旧交を温め、情報交換をしたり談笑したりし、3年ぶりの開催を祝った。