建設機械、測量機器の大規模展示会「第5回建設・測量生産性向上展 (CSPI-EXPO 2023、建設・測量生産性向上展実行委員会主催)が5月24日、千葉市の大型展示会場幕張メッセで開幕し、会場にはDJI JAPAN、アミューズワンセルフ、スペースワン、ジュンテクノサービス、セキド、エアロセンス、みるくる、ルーチェサーチなどのドローン、水中ドローンや関連技術が大量出展されている。DJIはドローンを格納するDJI Dockや、今月18日に発表されたばかりの産業機Matrice 350 RTKを初公開。ほかにも多くがこの日にあわせたコンテンツを披露している。開会前に行われたオープングセレモニーでは、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の鈴木真二理事長がテープカットに加わり、ドローンが建設測量分野で欠かせない技術であることを物語る中、ドローン関係事業者の熱の入った展示は5月26日まで続く。
にぎわいは開場前、会場外ですでに出来上がっていた。
会場である幕張メッセの玄関口前には、株式会社アミューズワンセルフのハイブリッドドローン「GLOW」を描いた巨大案内板が登場し、来場者は会場に入る前にドローンを目にすることになる。また24日午前10時の開場前に、会場ホール入場口前で行われたオープニングセレモニーでも、にぎやかさをアピールするかのように、テープカット用のテープが前後2列にはられ、主催者、業界代表ら33人がズラリとはさみを持って並んだ。JUIDAの鈴木理事長もその一人として加わった。谷鉄也実行委員長は「400社を超える出展企業で開催できた」とにぎわいを総括してあいさつしたほか、来賓として登壇した国土交通省のイノベーション担当の森下博之大臣官房参事官は「注力しているBIM/CIM、ICT施工、遠隔化・自動化などにとって、建設機械、測量機器、ドローン、AI、センサーなどは欠くことのできない主要な技術」と述べた。
展示でもドローンは主役である建設機械とともに彩を添えている。
DJI JAPAN株式会社はドローンの格納、充電、離着陸場となるDJI Dockを初出展した。手元のスマホで開閉する様子を実演し、その様子に多くの来場者の足をとめていた。機体を格納するときには離着陸台の左右から箱型の覆いが機体をつつむようせり出して閉じる。機体のプロペラは自動で向きが整えられDockに収まる態勢になる。またDockの周辺環境を監視するカメラも備わり、機体が離着陸するときの安全を確認する。早ければ6月中にも発売となる見込みだ。このほか1週間前に発表されたばかりのMatrice 350 RTKも展示されている。
同社のブースには、株式会社テクノシステム、株式会社kiipl&napなど関係の深い企業がそれぞれの技術をブース内ブースのような形式で展示している。たとえばテクノシステムはUAV支援システム「ランドステーソンUAV」を紹介。ドローンで取得したデータをもとに、作業規定準則などに定めるフォーマットにそった帳票を作成することができ、入力作業を軽減する。
ドローンの販売や人材育成などを手掛ける株式会社セキドは、中国CZIのドローン用のミッションペイロードを紹介している。音声を届けるためのスピーカーなどデジタルボイスブロードキャスティングシステムやライトなどが来場者の興味を引いていた。
NORTEKジャパン合同会社は、手のひらサイズの高精度水中ナビゲーションセンサパッケージ、Nucleus1000を紹介している。音波を出して距離を測る音波発受信部を持ち、圧力計、水温計、超音波式距離計やAHRSセンサーを備え、深度、水底や壁面などまでの距離、姿勢、方位、対地速度などを割り出す水中ドローン向けのアプリケーションだ。油田開発に用いる探査ロボットなどに使われてきたが、ドローンに使えるように応用、調整した。
株式会社スペースワン、ジュンテクノサービスも水槽を用意し水中ドローンを中心に展示している。スペースワンはCHASNGの「CHASING M2 S」を日本で初めて公開した。またジュンテクノは水中ドローンの活用事例を紹介したり、ポータブル電源を開発する中国、エコフローテクノロジー社のポータブル電源や、12分あれば18個の氷が作れるポータブル冷蔵庫GLACIERなどを紹介したりしていて、いずれも多くの来場者でにぎわっていた。
ドローンを使った構造物の高密度測量で知られるルーチェサーチ株式会社は、既存構造物の点群から3DCADに変換するソフトウェア「PINO」を展示している。点群をモデル化するさい、最前面でない点群をつかみ、ゆがんだモデルになってしまう事態を避けるため、簡単な作業で奥の点をつかまずに済むよう工夫してある。同社の尾原保弘技術営業部長は「図面のない構造物が多くあり、その現状を再現することに貢献したい」と話す。
また古河産業株式会社は、最大49㎏までの重量物を運べ、飛行中につり荷の横揺れを防ぐ機能を搭載した「EAGLE 49」を展示。株式会社FLIGHTSは高性能でありながらリーズナブルな次世代いLiDAR「FLIGHTS SCAN」を紹介している。株式会社カナモトはレンタルや運用サービスで活用しているFreeflySystems社製マルチコプターALTA X(アルタエックス)を展示し、都心部での送電線作業をこの機体で遂行している様子を動画で紹介している。エアロセンス株式会社は、200haを30分でレーザー計測できる、YellowScanのLiDARを搭載したVTOL機「エアロボウイング」をアピールしている。NTTコミュニケーションズ株式会社もAIドローン開発で知られる米Skydio社の機体やソリューションを紹介している。
ほかにも株式会社みるくる、株式会社テラドローンなど多くのドローン関連企業が、建設機械メーカーなどとともに会場を盛り上げていた。25日にはJUIDAの鈴木理事長が「ドローン、空飛ぶクルマが拓く未来」の演題で「特別セミナー」での登壇を予定してる。26日にはDJI JAPANの呉韜代表取締役が「現場で活躍する最新の産業用ドローンの現状」について、製品・技術PRセミナーとして講演することになっているなど、ドローンの存在感が高い3日間となりそうだ。
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)と株式会社コングレは4月25日、千葉市の大型展示会場、幕張メッセで6月下旬に開幕するドローンの大規模展示会、「JapanDrone2023」の出展者向け説明会を開いた。開催概要や事務手続きの説明とともに、海外から高い関心が寄せられている状況や、ブラジルの航空機メーカー、エンブラエル社のAAM開発子会社、イブ社(Eve Air)の初出展が決まったこと、参加者同士の交流の場、ネットワーキングパーティーを3年ぶりに催すことなどが報告された。
JapanDrone2023はJUIDAが主催し、コングレが共催する。幕張メッセの展示ホール5,展示ホール6の2つのホールを使い、展示スペース、デモスペース、講演用ステージなどが設けられる。会期は6月26(月)~28日(水)で、原則午前10~17時が開会時間となる。経済産業省、国土交通省などの中央省庁や業界団体が数多く後援、協賛に名を連ねている。事前に登録すれば来場は無料だ。展示は250団体、380小間を目指し仮決定先との調整を進める。講演は無料、有料があり現在23が決定。このほかに協賛社のプレゼンテーションもある。講演について、新型コロナウイルス感染症防止対策として昨年まで行っていた講演のオンライン配信は、今回は行わない。
説明会ではJUIDAの鈴木真二理事長が「今後、本格的な社会実現が進むことになる中で、最もホットな議論ができる場となればよいと思っております。ビジネスチャンスの創出の場を目指して参ります」と開催に向けた抱負を述べた。
事務局からは、出展者数や登録者の推移、アンケート結果、展示や講演の構成と方針、表彰企画の説明や、出展情報などが報告された。ブラジルの航空機メーカー、エンブラエル(Embraer)社の子会社でeVTOLやUAMなどのAAMを製造するイブ社(Eve Air Mobility) が出展するうえ同社のビジネス開発責任者、オーガスティン・タイ(Augustine Tai)氏による基調講演「UAMのビジネス展開とEve Air協力プロジェクトの世界展開について」(6月28日、10:10~10:40)=無料)が予定されていることなどが発表されたほか、6月28日にAmazon Web Serviceの登壇を調整中であることも伝えられた。
また新型コロナ感染症の蔓延防止対策として開催を控えていた交流会、ネットワーキングパーティーを3年ぶりに再会する。開催するのは開催初日6月26日、会場に近いホテルの会場で開催する。
あわせて出展者向けの告知プランや装飾、電気設備、搬入・搬出の時間などの注意事項などが伝えられた。主催者、共催者も今後、周知に向けて都心部の駅での告知、プレスリリースなどを活用する方針だ。来場者登録は5月上旬に受け付けを始める.会期中の来場登録者は過去最大の1万8000人を見込む。
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は1月30日、東京・丸の内の総合宴会場、東京會館で「JUIDA新春パーティー2023」を開催した。会場での開催は2020年以来3年ぶりの会場開催で、会員、産業関係者、中央府省庁、国会議員らが賀詞を交換した。JUIDAの鈴木真二理事長は2023年のスローガンとして「レベル4実現元年」を掲げ、「レベル4実現させるべくJUIDAとしても貢献したい」と抱負を述べた。またレベル4で義務付けられる飛行日誌に関する情報管理サービスを準備しており、JUIDA会員に無料で提供すると発表した。
新春パーティーでは、鈴木理事長のほか、国会議員関係で無人航空機普及・利用促進議員連盟の田中和德元復興大臣、同議連顧問の山東昭子元参院議長、同議連副会長の櫻田義孝元東京オリンピック・パラリンピック担当相、同議連事務局長の山際大志郎前経済再生担当相、同議連幹事長の鶴保庸介元内閣府特命担当大臣が出席してあいさつをしたほか、同議連幹事の牧島かれん元デジタル相、同議連幹事の大野泰正国土交通大臣政務官がメッセージを寄せ会場で代読された。中央省庁関係では経済産業省製造産業局次世次世代空モビリティ政策室の宇田香織室長、国土交通省航空局の新垣慶太次長があいさつした。
鈴木理事長はあいさつの中でJUIDA会員が法人、個人あわせて24,845、操縦技能証明取得者が26,192人、安全運航管理者証明の取得者が22,828人となり「最近の伸びが大きい。ことがわかります」と説明した。
また鈴木理事長は昨年(2022年)12月5日の改正航空法施行に伴い整備された国家資格としての操縦ライセンスに関連し、「JUIDA認定スクールの中で、国家資格取得のための登録講習機関に登録を希望するスクールに対して、JUIDAも支援しています」と支援体制を構築している乗用を報告した。そのうえで「国家資格はクルマでいえば普通免許。業務に適用するには専門分野ごとの教育が必要になりその部分を充実させていきます」と、専門教育に力をいれる方針を述べた。
JUIDA会員向けのサービスとして、飛行日誌サービスを会員に対して無料で提供する準備をしていることも報告した。2023年のスローガンには「レベル4実現元年」を掲げ、「JUIDAとしても貢献したいと考えております」とレベル4実現を展望した。
会場では出席者が旧交を温め、情報交換をしたり談笑したりし、3年ぶりの開催を祝った。
通信インフラ大手株式会社ミライト・ワン(東京)のドローン事業を担う子会社、株式会社ミラテクドローン(東京)は1月24日、一般社団法人日本建築ドローン協会(JADA)と一般社団法人日本 UAS 産業振興協議会(JUIDA)が開発した高層ビルなどの外壁点検専門カリキュラム「ドローン建築物調査安全飛行技能者コース」の講習を開始した。このコースの開講の第1号となる。あわせてJUIDAの鈴木真二理事長がミラテクドローンの佐々木康之社長に開講証書を手渡した。コースではドローンを細いケーブルに係留させて飛行する方法などを学ぶ。都市部にある高層ビルなどの外壁点検で頭痛の種となっている時間、コストなどの課題の解決、負担軽減が期待される。修了者は「ドローン建築物調査安全飛行技能者」となる。
「ドローン建築物調査安全飛行技能者コース」が開講したのは、ミライト・ワンの人材育成拠点、みらいカレッジ市川キャンパス(千葉県市川市)。受講生3人が3日間のカリキュラムの初日の講座に臨んだ。2日目、3日目には実技講習が行われ、最後に確認テストが行われる。修了を認められた受講生には、手続きのうえJADA、JUIDAが「ドローン建築物調査安全飛行技能者証明証」を交付する。
ミラテクドローンは開講にあわせて報告とカリキュラムの説明会を実施した。佐々木社長は「人材育成に力を入れている中で、近年は応用コースの要望が増えており、特に建築関連の問い合わせが多い。開講したコースで貢献したい」とあいさつした。JADAの本橋健司会長は「昨年4月に施行された建築基準法12条の定期報告制度のガイドラインで、ドローンの活用が盛り込まれたが、従来の打診と同等の精度が求められる。このコースで、都市部でも外壁にドローンを接近させて、安全を確保しながら飛ばす方法を身に着けて頂くことで、外壁点検のコスト削減、合理化が図られたらいいと思っている」と述べた。
JUIDAの鈴木理事長は「2022年12月の改正航空法の施行でレベル4飛行を可能とする制度がスタートしたが、実際には都市部での飛行はハードルが高い。このコースは係留飛行させる技能を身につけることで都市部での点検にドローンを使うことに道を開く」と、都市部でのタワーマンションなどの外壁点検が抱える課題の解決を期待した。
コースの中心となる技術は、機体と地上の固定点とを細いケーブルでつなぐ「1点係留」と、ビル屋上からはりだしたつり竿と、地上の固定点との間にはったケーブルを、ドローンに取り付けたストロー状の中空のアタッチメントを通すことで、機体の暴走リスクを管理する「2点係留」を用いる方法。
JADAの宮内博之副会長は、「これにより安全技術を構築し、発注者の心配を抑える第三者視点の安全を両立できる」と説明した。コースでは機体操縦、安全管理責任者、係留操作者、補助者の4つの役割と、それぞれが協力しあうチームビルディングについても伝える。ドローンやカメラについて、要求される要件について伝えるものの、機体の具体的な制約はないという。
ミラテクドローンの谷村貴司取締役教育事業部長は、「座学で安全管理、撮影の知識、係留の知識、飛行計画書などを学び、実技で安全管理、筆耕技術、撮影技術、係留技術などを学ぶ。参加者は役割を交代しながらぞれぞれの責任を身に着けることになる」と説明した。
JUIDAの操縦技能証明証と安全運航管理者証明証を取得していて、JADAの建築ドローン安全教育講習を修了していることが受講条件。2022年12月に運用が始まった操縦ライセンスを取得している場合、JUIDAの操縦技能証明証にかえることが可能という。受講料はミラテクの場合、1人あたり39万6000円だ。
ドローンで外壁点検をする場合、建築基準法の要件を満たし「12条点検」であることが必要だ。要件を自力で満たす選択もあるが、ドローン建築物調査安全飛行技能者コースは12条の要件を身に着けられるようカリキュラムが組まれており、証明証の取得は、12条点検と認められる近道となる可能性がある。
改正航空法の施行を受けて「レベル4」飛行を可能にする制度が解禁された12月5日、多くのドローン関係者、関係機関が多岐にわたる反応を見せた。一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の鈴木真二理事長は「世界でも画期的な出来事」と談話を発表した。KDDIスマートドローン株式会社(東京)は、レベル4解禁にあわせて創設された国家資格にも対応するドローンスクール「KDDIスマートドローンアカデミー」をスタートさせると発表した。株式会社ACSLはこの日始まった型式認証制度に、同社のレベル4対応ドローンを第一種認証として申請した。同社の鷲谷聡之代表取締役は「まさに『ドローン元年』と言える大きな変革」と歓迎した。株式会社FLIGHTSは、改正航空法で義務化が盛り込まれた飛行日誌の自動出力に対応した飛行管理システム「Flight Report Cloud(フライトレポートクラウド)」の提供を発表した。天候情報の株式会社ウェザーニュースもドローンパイロット向けサービスの無料トライアルを開始しており、レベル4解禁をふまえた動きは加速しそうだ。
JUIDAの鈴木理事長はこの日、改正航空法施行にあわせて談話を発表。その中で、「日本でのレベル4飛行を可能とする制度の本格的な施行は、世界でも画期的な出来事であると認識」と表現。「空の利活用において日本が世界を牽引することを改めて自覚する機会であると考えております」と決意を新たにした。
KDDIスマートドローンはこの日、「ドローン事業に関する説明会」を開催し二つの新しい取り組みを発表した。ひとつは、親会社であるKDDI株式会社が業務提携したSpaceX社の衛星ブロードバンド「Starlink」を活用だ。モバイル通信の提供が困難な山間部、離島などで、ドローンの飛行に道を開き、配送サービスなどでのレベル4飛行を支える。
もうひとつは、ドローンスクール「KDDIスマートドローン」の創設だ。国家資格の操縦ランセンス1等、2等の取得者を育成する国家資格取得コース、鉄塔点検や 外壁点検、太陽光パネルなど領域専門コースを備える。パートナーとなるスクールと連携するほか、直営スクールも開設する。1月には栃木県小山市、千葉県君津市で開講する計画だ。現在申請している登録講習機関への登録が済んだら申し込みを受け付ける方針だ。
ACSLはレベル4に対応したドローンの第一種型式認証申請を実施したと発表した。同社の鷲谷聡之代表取締役は、レベル4制度の整備について、「本当の意味で生活者がドローンを身近に利活用できる規制が整備されました。これは、まさに『ドローン元年』と言える大きな変革であり、この規制整備により、ドローンは物流、インフラ点検、災害対応など、あらゆる分野でさらに普及していくものと考えております」と期待を表明した。
FLIGHTSは、東洋テック株式会社(三重県)が開発した飛行管理システム「Flight Report Cloud(フライトレポートクラウド)」の提供を発表した。飛行日誌の管理のほか、予め定めた飛行時間を超えたらアラートを発する飛行時間管理、飛行した場所を広域図、詳細図で管理する飛行場所管理のほか、レポート作成、飛行ログなどからの集計機能、許可承認期限の連絡、機体整備時期連絡などの機能も備える。
ウェザーニュースはドローンパイロットを対象に「ウェザーニュース for Business」の2か月間無償トライアルを開始した。スマホで「ウェザーニュース」アプリを開くと、ドローンポートの天気予報、上空150mまでの風向・風速・気温がチェックでき、ドローンポートの風速が設定値を超えるとプッシュ通知を受け取ることもできる。高性能気象 IoT センサー「ソラテナ」を設置すれば、現地の観測データをスマホからリアルタイムで確認できる。年明け1月末までに申し込めば2か月間使える。
今後もレベル4をふまえたサービスや取り組みが活発化する見込みだ。
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は11月1日、認定スクール相互の交流を深め、活動を称える「JUIDA認定スクールフェスタ2022」を東京・元赤坂の明治記念館で開催した。内閣官房、経産省、国交省の担当者が近況を報告したほか。表彰では人材育成実績の高かったスクールをゴールド、シルバー、ブロンズの各賞で表彰したほか、総合的に優れた活動したスクールに理事長賞を授けた。ゴールドは秋葉原ドローンスクールが、理事長賞はNEXAIRS DRONE ACADEMYがそれぞれ受賞した。
鈴木真二理事長は冒頭、JUIDAの認定スクールが307、会員が2万3643人になったことにふれ、「レベル4が12月に解禁されることになり、高い操縦技術を備える人材を輩出してきた認定スクールが、さらにその知見を広めていただけることを期待しています」と述べた。内閣官房小型無人機等対策推進室(ドローン室)参事官の小熊弘明氏、経済産業省製造産業局次世代空モビリティ政策室室長の宇田香織氏、国土交通省航空局安全部無人航空機安全課課長の梅澤大輔氏は、JUIDAの認定スクール制度の運用7周年に祝辞を述べ、それぞれの取り組みを報告した。
内閣官房の小熊氏は、環境整備、技術開発、社会実装の3つの側面から取り組みを言及。この中で「環境整備では操縦ライセンスに続き運航管理に、技術開発では機体開発と運航管理技術とに力を入れます」などと紹介したうえで、社会実装では物流を取り上げガイドライン改訂や防災計画に位置付けることなどに言及した。9月に神戸で開催したドローンサミットは「これからも年に1回、開催して参ります」と話した。
経産省の宇田氏は、いわゆる空飛ぶクルマを含めて社会実装を進める「ReAMoプロジェクト」(次世代空モビリティの社会実装に向けた実現プロジェクト)の概要を紹介し、「黎明期から支えて頂いているJUIDAさま、認定スクールのみなさまに敬意を表し、今後も大きな一翼を担って頂くことを期待しております」と話した。
国交省の梅澤氏は、国庫省として災害復旧、平時の施設点検に導入する取り組みを紹介したうえで、6月に開始した機体登録が現時点で32万機になっていることや、12月5日のレベル4解禁にあわせて始まる操縦ライセンス制度について「現在、細かい通達を準備しています」と準備状況を報告した。操縦ライセンス制度についても、講習を担う登録講習機関の申請が現時点で「三百数十の申請を頂いている」状況であると伝え、申請の結果については「もう少しお待ちください」と述べた。
またフェスタでは、レベル4時代のJUIDAと認定スクールの方向性についても話題になった。JUIDAの熊田知之事務局長は現行の「無人航空機操縦技能証明証」「無人航空機安全運航管理者証明証」の民間資格制度は今後も維持すると明言し、民間資格所有者は、国家資格取得時に優遇措置が適用されると言及した。
登録講習機関となった認定スクールへの対応として、国家資格に対応するテキスト、国家資格対応の登録機関としての管理システム、登録機関の監査支援サービス、講師養成、ひながた提供、管理者養成などのサービスを準備し、希望する講習機関に提供する選択肢を導入すると説明した。このうち「ひながた提供」については、今後増えることが見込まれる届け出業務に不安を抱えるスクール対し、必要な要件を満たすことを確認した書式を準備し、提供するものだと解説を加えた。
さらに現場業務向けの技能養成を目指してシリーズ化している専門教育について、既存のプラント点検などに加え、建築外壁点検、ノンテクニカルスキルであるCRMなどを導入する方針を明らかにした。あわせて今後、作成が必須となる「飛行日誌」のシステムも提供に向けて準備中であることを表明、近く、その内容を公表すると報告した。
表彰式では、最高賞であるゴールドが「秋葉原ドローンスクール」(東京都千代田区)に、シルバーが「拝島ドローンスクール」(東京都福生市)に、ブロンズが「ドローンスクール&コミュニティ空ごこち大阪校」(大阪市)に贈られた。2年連続で1位だった「ドローンキャンプ北陸の空」には「殿堂入り」の称号が送られた。また、スクール独自の活動を含めた活動全体を表彰する理事長賞には、NEXAIRS DRONE ACADEMY(東京)が選ばれた。このほか、OceanOneDroneSchool(徳島県小松島市)、星翔高校ドローンスクール(大阪府摂津市)に特別賞が贈られた。
理事長賞に選ばれたNEXAIRS DRONE ACADEMYは、現役国際線のパイロットでもある大原大氏が代表を務める航空スクールで、インターナショナルスクールを含めて7歳以上の子供に、国籍を問わずに参加できる体験会を各地で提供してきた。大原氏は「教えてほどなくGPSなしで自由に飛ばせるようになる子供たちがいて驚きます」とその可能性を絶賛。一方で、保護者からはドローンに対する不安の声も届き、安全確保の考え方や方法、ドローンの可能性などの基礎知識を伝えることにも尽力した。教習のためにオーバーライド可能な独自機体を開発したほか、操縦技能のほかノンテクニカルスキルである「CRM(クルー・リソース・マネジメント)」にも力を入れている。
特別賞のOceanOneDroneSchoolは、地域での防災活動への貢献が特筆に値すると認められた。星翔高校ドローンスクールは、JUIDA初の高校として認められたスクールで、現在、500時間以上のカリキュラムでドローン専科の専門学校設立を目指す取り組みが評価された。
理事長賞には全国から27件の申請があり、JUIDAは「すべての取組に目を見張る価値がありました」と話しており、受賞に漏れた申請校にも感謝状を送ることを決めた。このほか設立から1年を迎えたスクールも表彰した。表彰式のあと、参加者は会館内の別室に移動し立食で懇親を深めた。