• 2023.9.21

    米Skydioが新製品「Skydio X10」発売 日本では年内予約受付

    account_circle村山 繁

     自律飛行技術を備えたAIドローンを開発の米 Skydio(スカイディオ、米国カリフォルニア州)は9月20日、照明がない環境でも自律飛行する新製品「Skydio X10(エックステン)の発売を発表した。日本法人であるSkydio 合同会社(東京)も9月21日に発表した。日本国内では2023年中に予約の受け付けを始め、2024年前半の出荷する見込みだ。「X10」は産業利用を前提としていて、照明がない環境でも自律飛行が可能になる新機能「Night Sense」(ナイト・センス)や、200mを超える高さからクルマのナンバープレートを読みとれる高解像度の三眼カメラを装備する。コンピュータの処理能力や、ナビゲーションカメラの精度が前モデルより10倍向上させたという。折りたたみができ、可搬性も高めた。

    処理能力10倍 無照明環境の自律飛行を可能にする「Night Sense」新搭載

    Skydio 合同会社の発表文は以下の通り。製品仕様は紹介サイトに掲載してある。

    (以下リリース引用)

    Skydio、エンタープライズ向けの新ドローン「Skydio X10」を発売

    ~センサー機能とインテリジェンスを改良し、用途をさらに拡大~

    自律飛行技術におけるグローバルリーダーである、米国のドローンメーカーの Skydio(スカイディオ、本社:米国カリフォルニア州、日本代表:柿島英和)は、米国時間2023年9月20 日に、エンタープライズ向けの新ドローン製品「Skydio X10」(スカイディオ・エックステン)の販売を開始したことをお知らせいたします。Skydio X10 は、最新のデータキャプチャ用カメラを搭載しているほか、これまでにない高い自律性を兼ね備えています。さらに、汎用性の高い機体となっているため、エネルギー、公共、輸送、建設、通信などさまざまな業界に活用できます。

    Skydio X10 は、従来単独としての製品にはなかった、幅広い機能や特長を備えています。

    Skydio X10 の機体は自律飛行技術の搭載はもちろん、ユーザーが求めるデータを柔軟に取得できるように、センサーを必要な場所やタイミングに応じて自由に機体と組み合わせることが可能です。また、Skydio X10 は、従来の主要なマニュアル操作ドローンに要求されるすべてのことをこなすことができるに加え、搭載されている自律飛行技術により、これまでドローン業界では実現が困難とされてきた規模や範囲での飛行ミッションを遂行し、今までにないインパクトをもたらすことができます。Skydio X10 単独で提供される特長と機能には、以下が含まれます:

    • 高解像度カメラ: SkydioX10には、カスタム設計の高解像度カメラが装備されています。このカメラには、48メガピクセル(4,800万画素)のズームカメラが備わり、800フィート(約244メートル)の高さからナンバープレートを読み取ることができます。また、50メガピクセル(5,000万画素)の広角カメラも搭載されており、コンクリートにある0.1ミリメートルの亀裂など微細な情報を検出できます。さらに、解像度 640 x 512ピクセルを誇る TeledyneFLIR Boson+の放射分析サーマルカメラも内蔵されており、点検作業中の温度差計測や、暗闇での行方不明者の捜索などにも活用できます。
    • 汎用性の高い機体: Skydio X10の機体は、耐久性と適応性を考慮したモジュラー型(組み合わせ型)の機体設計となっており、4つのペイロードベイ(貨物収納スペース)と、交換可能なジンバルセンサーのセットを備えており、IP55 規格に準拠した耐候性をもっています。さらに、さまざまな接続方法に対応できる「Skydio Connect」(スカイディオ・コネクト)が搭載されており、再設計されたポイント・ツー・ポイント接続(2箇所を一対一で結ぶ接続方式)、さまざまな通信が干渉したり滞ったりする環境に対応できるよう設計されたマルチバンド接続(複数の異なる周波数帯域を使用した接続方法)、そしてモバイル通信がある場所であれば無制限の範囲で使用できる 5GおよびLTEの中から、接続方法を選ぶことができます。
    • AIを活用した自律飛行技術:SkydioX10に搭載されたAIは、コンピュータの処理能力を 10倍向上させ、10倍の高精度を実現したカスタム設計のナビゲーションカメラを活用。これにより、より確実に飛行し、厳しい条件下でも障害物により近接して障害物を回避することができます。また、照明がない環境でも自律飛行が可能になる新機能「Night Sense」(ナイト・センス)が加わり、光が一切ない場所でも 24 時間年中無休で業務を遂行できるようになりました。さらに、既存のソフトウェアである Skydio 3D Scan(スカイディオ・スリーディースキャン)やOnboard Modeling(オンボード・モデリング)と組み合わせ、リアルタイムの環境マッピングと完全自動のモデリングを可能する AI エンジン「Skydio X10 Spatial」も新たに追加されました。
    • 前例のない、優れた可搬性:前述にあるさまざまな高度機能を搭載しているのにも関わらず、SkydioX10は非常に持ち運びがしやすいのも特長です。折りたたんでカバンにしまってある状態から飛行するまで、40秒もかかりません。

    Skydio Inc.の CEO 兼共同創業者の Adam Bry(アダム・ブライ)は、次のように述べています。

    「SkydioX10は、過去3年間でお客様から学んだことや10年に亘る研究開発の技術基盤、さらにはSkydioで驚くべき才能と献身的姿勢をもったチームの努力を反映しています。Skydioとして抱く最終的な目標は、ドローンを作ることではなく、優れたドローンのプログラムを作ることです。その目標への道は、まだ始まったばかりです」

     

    市場背景にある、重要なトレンド

     

    SkydioX10の発表は、ドローン業界にとって非常に重要な時期と重なっています。今日においてドローンは、文明社会を支える中核産業において重要なツールとなりつつあり、現在では、偵察から包括的なインフラ点検まで多岐に渡って活用されています。さらに、人工知能が変革の時代を迎え、さまざまな作業をシームレスに行うことができるようにドローンを高知能化させています。また、特に米国においては、安全保障上の懸念から、中国製ドローンからの転換が高まっており、あらゆる業界でドローン技術のセキュリティと主権を確保できる代替案を積極的に模索しています。このような背景から、SkydioはAIと米国製造にこだわるというビジョンとコミットメントを抱き続け、SkydioX10という画期的な製品開発につながりました。SkydioX10はこのような業界の状況に対応し、高度かつ安全で、自律的なツールである未来のドローンの道を切り開き、進化し続ける現代産業の要求に応え続けていきます。

     

    多様な活用事例

     

    SkydioX10は、さまざまな業界であらゆる活用方法が期待されてます:

    • 初期対応としてのドローン活用:SkydioX10は、Drone as First Responder(初期対応としてのドローン)のシナリオに理想的な製品です。非常にコンパクトで使いやすいため、すべての巡回警官に分配して使ってもらうことが可能です。また、5GおよびLTE機能を搭載しているため、遠隔の地点からドローンを起動させたり、その他の操作をしたりすることが可能です。そのため、優れた状況認識を行うほか、あらゆる任務の支援に役立ちます。
    • 重要インフラの点検:電力をはじめとする他の重要インフラの事業者にとって、SkydioX10は点検ツールとして優れた性能を発揮します。高度なセンサーと障害物回避機能により、電磁干渉のある厳しい環境下でも安心で安全な飛行が可能です。X10 は比類のない精度で故障や欠陥を検出でき、そのAI機能は自動検査への道を開きます。

    SkydioX10は、これまで比類のない精度で故障や欠陥を検出できるため、同製品に搭載されているAI機能は今後、自動点検への道をさらに切り開いていくことが期待されています。

    Skydioは引き続き、自律飛行型のドローン技術の限界を押し広げ、業界全体において空中知能のインパクトをもたらすことを目指してまいります。また、あらゆる業界における現場において、ドローンを貴重なアセットとして確立できるように取り組んでいきます。 Skydio の自律飛行技術は依然として唯一無二のものとなっています。SkydioX10を採用することにより、自律飛行型の製品と重要なハードウェアとして求められる機能が始めて両立できるようになり、よりスマートで安全かつ高い能力を備えた製品を提供することができるようになりました。Skydioは今後も、あらゆるインフラの運用組織が従業員や一般人の安全を確保し、インフラを中断せずに業務のインパクトや規模を最大化できるようなソリューションを提供できるよう目指してまいります。

    紹介サイト:https://www.skydio.com/blog/introducing-X10

    AUTHER

    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
RECENT POST
RANKING