ドローンで精密農業を推進するドローン・ジャパン株式会社(東京都千代田区 勝俣喜一朗代表取締役)は4月14日、「ドローンワインプロジェクト」の説明会を開き、プロジェクトの開始を宣言した。説明会では勝俣社長、春原久徳会長が概要や経緯を説明したほか、技術開発で協力している郭威東京大学特任准教授、ワイン輸入を手掛ける株式会社フィラディス(横浜市)や賛同する南仏のワイン生産者が登場し、プロジェクトで開発した新技術や、賛同生産者のブドウを使って生産したワインの発売を発表した。
「ドローンワインプロジェクト」は、ドローン・ジャパンがコメづくりなどで培ってきた、肥料や農薬に依存しない精密農業技術を、ワインブドウの栽培やワインの生産に応用する取り組みだ。うまくいけば施肥の最適化などが実現するが、実際には、雑草とブドウとの区別を画像で見分けにくいなどの課題が横たわる。この日の説明会では、AIとドローンを使った精密農業の技術の一環として、新たに雑草とブドウを見分ける技術を開発したことが発表された。東大の郭特任准教授は「3次元の圃場データで地面とワインブドウとを区別できるようになりました」と技術を解説した。生産者からは、「ブドウ樹と雑草との区別分布」、「ブドウ畑の地力分布」などへの期待が表明され、農薬や肥料に頼らない農業で生産されたブドウを原料にしたワインの生産への道筋を示した。
ドローン・ジャパンの勝俣喜一朗代表は、「この技術を活用してひとりでも多くのワイン用ブドウの有機栽培生産者を増やせればいいと思い、このプロジェクトをたちあげました」と、プロジェクトへの思いと目標を述べた。
プロジェクトに賛同する南仏の生産者の畑から収穫されたブドウの一部を原料にしたワインの発売も発表された。発売されたのは2020年のヴィンテージワイン、「ビコーズ, アイム シャルドネ フロム サザンフランス」(オープン価格。ただし参考実勢価格は1500円)と、「アッサンブラージュ ブラン 2020」(1529円税込、成城石井HP)。年間でビコーズは3万5千、アッサンブラージュは3万本の出荷を予定しているという。
アッサンブラージュの生産農家、フィリップ・フェザス氏は説明会で生産の概要や大学との共同研究などに言及したうえで「これまでの25年間の変革が正しかったのか確認をする時期にきている」と自信の生産活動が節目を迎えていると述べ、「ブドウ畑のうち自分の目で確認できるのは5%ぐらいですが、ドローンを使うと100%確認できます。日本の食卓にあうものを生産することを心掛けていますが、ドローン・ジャパンの技術は、さらに高みをめざせるという点で有意義です」などと述べた。
またビコーズの生産農家、ベルナルド・カマン氏も「生産には与える水の量、時期などの最適化を判断します。さまざまな実験をする中でドローンは最終的な決断をするのに有効でした。また新技術の解析結果は、栽培方法を選択するうえで役立つ大発見でした。ドローンは小型で、安価で、短時間を実現します。半日の飛行で緻密なデータを提供してくれます。今後、最適化ができると期待しています」などと話した。
ビコーズを輸入している株式会社フィラディスの石田大八朗代表取締役も「おいしいワインづくりには(畑の)地の力を最大限に使うことが必要不可欠です。今回の新技術は有機農業の発展と生産の低コスト化に大きく貢献すると思います」と期待した。
ドローン・ジャパンは今後、このプロジェクトを進めるためのパートナーを募集するとしている。
ドローン・ジャパンが説明会の当日に公表したプレスリリースは以下の通り。
(以下、引用)
2022年4月14日
ドローン・ジャパン株式会社
「ドローンワインプロジェクト」開始
〜「ドローン&AI」を活用した“農薬・化学肥料に頼らない栽培支援技術”を開発。
その技術を発展させ、「ひとりでも多くのワイン用ブドウの有機栽培生産者を増やす」ことを目指す活動〜
ドローンに装着する様々なカメラで「農作物」を上空からから撮影、その撮影画像を AI 解析することで「その作物の生育状況」を判断し農業に役立たせる技術が今世界で広がりつつあります。
ドローン・ジャパン株式会社(*1)(所在地:東京都千代田区 代表取締役:勝俣喜一朗)は、2020 年より南仏のワインの生産者の協力を得ながら「ドローン&AI」を活用し、“農薬・化学肥料に頼らない栽培支援技術”として、テロワール(ワインぶどう畑)の見える化を「ブドウ樹と雑草との区別分布」、「ブドウ畑の地力分布」にして表現する技術を開発しました。
そして、その技術を活用・発展させ、「ひとりでも多くのワイン用ブドウの有機栽培生産者を増やす」ことを目指す活動をこの度「ドローンワインプロジェクト」と称し開始します。
また、協力生産者の畑から収穫されたブドウの一部を原料にした、2020 年のヴィンテージワイン、「ビコーズ, アイム シャルドネ フロム サザンフランス」(株式会社フィラディス輸入(*2)(所在地:神奈川県横浜市 代表取締役:石田大八朗)と、「アッサンブラージュ ブラン 2020」(株式会社成城石井輸入(*3) (所在地:神奈川県横浜市 代表取締役:原昭彦)が、それぞれ本日、販売開始されます。
ドローンワインプロジェクト:Landing Page: https://www.dronewine.net/
紹介 VIDEO: https://youtu.be/SW1jZaXhUzw
1. ドローンワインプロジェクトとは(=SDGs 15 陸の豊かさ)
気候変動に影響を及ぼしているとされる「農薬と化学肥料の過剰な使用」を食い止め減少させてゆくことは、
SDGs の観点から農業分野が取り組むべき緊急かつ大きな課題です。その課題解決策として、農薬と化学肥料を最小限もしくは使用しない農業のための“技術開発”が求められています。
(参照:農林水産省 「みどりの食料システム戦略」 https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/midori/index.html)
そこで、ドローン・ジャパン社はフィラディス社と成城石井社が既に輸入・販売しているフランスのワインの生産者の協力のもと「ドローン&AI」を活用した農薬・化学肥料に頼らない“栽培支援技術”(栽培の有機化を支援する技術)を開発しました。
・なぜフランス?
2,000 万 ha にも及ぶ農地を誇る農業大国フランス。現在、フランスの有機栽培農地の割合は全体の 10%であるのに対し日本国内はまだ 0.5%ほど。フランスでの化学肥料の年間使用量は農地規模比率で日本より 40%少ないとされています。(参照:総務省「世界の統計 2021」https://www.stat.go.jp/data/sekai/pdf/2021al.pdf)
日本の政府目標である“2050 年に有機栽培農地比率 25%(現在から 50 倍)”に向けた取り組みにおいてフランス農業は日本が目指すべきロールモデルとなり得えます。
・なぜワイン用ブドウ?
フランスにおいて全農地のうち最大の面積を占めるのがワイン用ブドウ畑。その有機栽培支援技術を「ドローン&AI」でダイナミックに研究・実証・開発してゆくことが、今後日本の農地、ひいては世界の有機栽培比率を上げる大きなヒントとなると考えます。
・ドローンワインプロジェクトとは、
「ひとりでも多くのワイン用ブドウの有機栽培生産者を増やす」ことで「SDGs 15 陸の豊かさ」を推進するプロジェクトです。
2.現時点において当プロジェクトで開発した「ドローン&AI」技術について
ドローンの「自律航行方法」「カメラの種類と設定」から「解析手法」まで様々なパターンを試行し、その解析結果を生産者に実際のワイン用ブドウの生育状況と比較検証してもらいながら、テロワール(ワインブドウ畑)の見える化を実現しました。特に、下記2点の技術については生産者からも高い評価を得られています。
ドローンで撮影した画像を色とあわせ 3 次元情報を加えることで、「ブドウの葉と雑草の区別分布」を可能にする新たな AI 画像解析技術。この分布図は雑草と“共生”するワイン用ブドウの栽培に活用でき、農薬・化学肥料を少なくすることに役立ちます。
ワイン用ブドウの樹勢の生育期ごと「形・色・大きさ」を学習、AI 画像解析することで地力分布図をつくる技術。この地力分布図から精密な肥料設計・計画が可能となり、化学肥料を少なくすることに役立ちます。
3. 生産者(南仏)のその具体的な活用
―フィリップ フェザス氏:ガスコーニュ地方、成城石井社取り扱い生産者
「ブドウ樹と雑草との区別分布」を農薬・化学肥料を少なくする雑草と共生する栽培に活用
(インタビュー動画 https://youtu.be/RPnIuZpebMA)
―ベルナルド カマン氏:ラングドック地方、フィラディス社取り扱い生産者
「ブドウ畑の地力分布」を参考とした「精密施肥」で化学肥料を少なくする栽培に活用
(インタビュー動画 https://youtu.be/AOolkyb4ybM)
4.ドローンワインプロジェクトの協賛パートナー フィラディス社 社長 石田大八朗のメッセージ
(インタビュー動画 https://youtu.be/BNnfAedBf8w)
5.今後の目標と取り組み
2050 年に日本国内の有機栽培面積を 25%に飛躍拡大させていくことを支援する「ドローンによる AI 画像解析技術」を開発・発展させていきます。また、「ドローンワインプロジェクト」を拡大させるために応援いただく方々を募り、この技術を活用するワイン用ブドウの有機生産者・有機圃場を増やしていくことに取り組んでまいります。
<*(1)~(3) の説明>
*(1)ドローン・ジャパン株式会社 http://www.drone-j.com/
ドローンワインプロジェクト Page にて詳細 https://www.dronewine.net/
*(2)株式会社フィラディス
プレスリリース https://firadis.co.jp/news-release_dronewine/
*(3)株式会社 成城石井
アッサンブラージュ ブラン 2020 https://www.seijoishii.com/d/83492
国土交通省航空局はドローンの国家資格教育機関である登録講習機関などの監査を担う監査実施団体について、ドローン検定協会株式会社合同会社(佐賀県鳥栖市)、ドローン操縦士監査管理協会(DPAA,東京)、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA、東京)の3団体をホームページに掲載した。 国交省は 今年3月、監査実施大団体の要件を公表し希望団体の申請を受けていた。国交省は 提出された書類等で要件を満たしていると確認した団体についてホームページに掲載する ことにしており、 認定した3団体が掲載された。
監査実施団体はドローンの登録講習機関と登録更新講習機関への監査を実施する団体で、「無人航空機の登録講習機関及び登録更新講習機関に関する省令」の規定の「外部の者」に該当する。省令では「登録講習機関等監査実施団体」と呼ばれる。 登録講習機関に義務づけられている監査を外部の立場で実施し、航空局に報告を行う。
監査実施団体は5月末時点で3団体だが今後、増える見通しだ。
昨年(2022年)12月、改正航空法施行に伴い、ドローンスクールとして国家資格の教育を担う「登録講習機関」が新たに誕生し、民間団体と併存することになった。国家資格の教育機関である登録講習機関は監査を受け、報告する義務がある。監査は外部の団体が担うことになっており、申請(手続きのうえでは「願出」)を受けた中で要件を満たした団体が、今回認定を受けた。
認定された監査実施団体のうちJUIDAは、 国交省の発表後、監査実施団体としての活動方針を公表した。現在300 超を数える登録講習機関のうちJUIDA認定スクールは140強と半数 に迫る。JUIDAは 認定スクールに対しこれまでにも監査サービスを提供してきた経緯があり、今後も 独立した立場から認定スクールのうち登録講習機関となったスクールを中心に、 経験を踏まえた監査サービスを提供する見通しだ。
JUIDAが公表した内容は以下の通りだ。
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(所在地:東京都文京区、理事長:鈴木真二 以下
JUIDA)は、2022年12月5日に施行された改正航空法に基づき、2023年5月19日、「登録講習機関等監査実施団体」となりましたことをお知らせいたします。
1.背景
①登録講習機関等監査実施団体制度創設の背景
国土交通省は 2023 年5月19日付で、登録講習機関等監査実施団体(以下「監査実施団体」)の一覧を発表いたしました。
2022年12月5日に施行された改正航空法では、無人航空機の登録講習機関及び登録更新講習機関に関する省令第六条第七項において、第三者による監査が義務付けられており、今般義務付けられた監査を担う監査実施団体の一覧が発表されたものです。
②監査実施団体の役割と概要
登録講習機関は下図に定めるフローに従い、監査を受ける必要があり、監査実施団体がその監査を担います。監査実施団体は航空局への監査結果の報告が義務付けられています。また登録講習機関は、監査実施団体の作成した監査報告をもとに、監査から一か月以内に航空局に監査報告および是正措置の報告を行うことが義務付けられています。国の定める法定監査となり、かなり厳格な監査となる見込みです。
2.JUIDA の取組
①JUIDA のこれまでの取組
JUIDAは、2015年にJUIDA認定スクール制度を制定し、全国278校※3のJUIDA認定スクールに様々なサービスを提供しております。その一環として、JUIDA独自の監査の枠組みを構築し、他団体に先駆けて監査を実施してまいりました。今後は、監査実施団体としても、長年培ってきたノウハウを活かして JUIDA 認定スクールのうち登録講習機関となったスクールに対して監査を実施してまいります。また、監査を通じて、業界の健全な発展と高度な技能・知識を有する人材を引き続き輩出してまいります。
②JUIDA の実施する監査の概要
JUIDAは下図に定めるフローに従い監査を行います。登録講習機関は自らの責任において監査への対応を行いますが、JUIDAは監査を通じた上での運営上の各種情報提供を継続的に行っていくとともに、図内赤枠で囲った部分については、経験が浅い登録講習機関でも対応ができるよう、外部の機関と連携してコンサルティングサービスを提供します。JUIDAは監査人としての独立性を担保しながら、国の求める書類作成などに慣れていないスクールでも監査に対応できるよう、ワンストップでサービスが受けられる体制を構築しています。
DJI JAPAN株式会社(東京)の呉韜代表取締役は5月26日、千葉・幕張メッセで開催された「第5回建設・測量生産性向上展」(CSPI-EXPO 2023)の「出展者による製品・技術PRセミナー」に登壇し、発表したばかりの空撮用ドローンのInspire3、産業機のMatrice350RTKなどを紹介した。呉代表がドローン経験者に挙手を求めたところほぼ全員の手が挙がって驚く場面もあった。セミナーは盛況で、会場に用意された座席数をはるかに上回る参加者が聴講し、座席の後ろなどのスペースには立ち見の聴講者があふれた。
DJI JAPANの呉代表が登壇したのは、「現場で活躍する最新の産業用ドローンの現状」の演題で開かれたセミナーの最初の10分間。後半では、同社のソリューションエンジニア、木田雄貴氏が登壇し、DJI機の具体的な活用例を紹介した。
呉代表は冒頭に来場者に向けて「ドローンを活用している、という方、ぜひ挙手してい頂きたいと思います」と呼びかけた。会場では一斉に手が挙がると呉代表は「うわ。え。ほぼ100%じゃないですか」と目を丸くし、「数年前に同じ質問をしたところ1割もいない状況でした。短期間でここまで利用して頂けて嬉しいです」と感謝を述べた。
呉代表はDJIが2006年、日本支社が2013年に設立されたなどの歴史や、日本のスタッフは200人であり、研究買発、販売、生産まで担う、深圳の本社以外で世界最大のオフィスであることなどを説明した。また生産買発について、①個人向けのコンシューマ②Inspire3ほか映画、放送などプロフェッシショナル③農薬散布や直播、リモートセンシングなどの農業分野④産業ドローンの4つのラインナップで行われていることを紹介。産業分野で使われてる用途は53%と半分以上が土木・建設、測量であることを伝えた。
また産業機として5月18日にリリ-スされたMatrice350RTKを紹介。継続飛行は55分で、DJI JAPAN設立当初に主力機体だったPhantomが10分未満であったことと比べて、バッテリーなどの技術が進化したことなどをアピールした。このほか通信、衝突防止システムなどの機体の特徴や、サードパーティーを含めたペイロードの選択肢の豊富さを紹介したうえで、PR動画を投影した。
その後は、木田氏が活用事例として中電技術コンサルタント株式会社(広島市)と共同で実施した活火山である桜島(鹿児島県)の火山活動に伴う状況把握、地形変動量調査、土砂移動機構のメカニズム解明などの調査や、豊橋市(愛知県)の防災対策などが紹介され、来場者は しきりにメモを取っていた。
建設機械、測量機器の大規模展示会「第5回建設・測量生産性向上展 (CSPI-EXPO 2023、建設・測量生産性向上展実行委員会主催)が5月24日、千葉市の大型展示会場幕張メッセで開幕し、会場にはDJI JAPAN、アミューズワンセルフ、スペースワン、ジュンテクノサービス、セキド、エアロセンス、みるくる、ルーチェサーチなどのドローン、水中ドローンや関連技術が大量出展されている。DJIはドローンを格納するDJI Dockや、今月18日に発表されたばかりの産業機Matrice 350 RTKを初公開。ほかにも多くがこの日にあわせたコンテンツを披露している。開会前に行われたオープングセレモニーでは、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の鈴木真二理事長がテープカットに加わり、ドローンが建設測量分野で欠かせない技術であることを物語る中、ドローン関係事業者の熱の入った展示は5月26日まで続く。
にぎわいは開場前、会場外ですでに出来上がっていた。
会場である幕張メッセの玄関口前には、株式会社アミューズワンセルフのハイブリッドドローン「GLOW」を描いた巨大案内板が登場し、来場者は会場に入る前にドローンを目にすることになる。また24日午前10時の開場前に、会場ホール入場口前で行われたオープニングセレモニーでも、にぎやかさをアピールするかのように、テープカット用のテープが前後2列にはられ、主催者、業界代表ら33人がズラリとはさみを持って並んだ。JUIDAの鈴木理事長もその一人として加わった。谷鉄也実行委員長は「400社を超える出展企業で開催できた」とにぎわいを総括してあいさつしたほか、来賓として登壇した国土交通省のイノベーション担当の森下博之大臣官房参事官は「注力しているBIM/CIM、ICT施工、遠隔化・自動化などにとって、建設機械、測量機器、ドローン、AI、センサーなどは欠くことのできない主要な技術」と述べた。
展示でもドローンは主役である建設機械とともに彩を添えている。
DJI JAPAN株式会社はドローンの格納、充電、離着陸場となるDJI Dockを初出展した。手元のスマホで開閉する様子を実演し、その様子に多くの来場者の足をとめていた。機体を格納するときには離着陸台の左右から箱型の覆いが機体をつつむようせり出して閉じる。機体のプロペラは自動で向きが整えられDockに収まる態勢になる。またDockの周辺環境を監視するカメラも備わり、機体が離着陸するときの安全を確認する。早ければ6月中にも発売となる見込みだ。このほか1週間前に発表されたばかりのMatrice 350 RTKも展示されている。
同社のブースには、株式会社テクノシステム、株式会社kiipl&napなど関係の深い企業がそれぞれの技術をブース内ブースのような形式で展示している。たとえばテクノシステムはUAV支援システム「ランドステーソンUAV」を紹介。ドローンで取得したデータをもとに、作業規定準則などに定めるフォーマットにそった帳票を作成することができ、入力作業を軽減する。
ドローンの販売や人材育成などを手掛ける株式会社セキドは、中国CZIのドローン用のミッションペイロードを紹介している。音声を届けるためのスピーカーなどデジタルボイスブロードキャスティングシステムやライトなどが来場者の興味を引いていた。
NORTEKジャパン合同会社は、手のひらサイズの高精度水中ナビゲーションセンサパッケージ、Nucleus1000を紹介している。音波を出して距離を測る音波発受信部を持ち、圧力計、水温計、超音波式距離計やAHRSセンサーを備え、深度、水底や壁面などまでの距離、姿勢、方位、対地速度などを割り出す水中ドローン向けのアプリケーションだ。油田開発に用いる探査ロボットなどに使われてきたが、ドローンに使えるように応用、調整した。
株式会社スペースワン、ジュンテクノサービスも水槽を用意し水中ドローンを中心に展示している。スペースワンはCHASNGの「CHASING M2 S」を日本で初めて公開した。またジュンテクノは水中ドローンの活用事例を紹介したり、ポータブル電源を開発する中国、エコフローテクノロジー社のポータブル電源や、12分あれば18個の氷が作れるポータブル冷蔵庫GLACIERなどを紹介したりしていて、いずれも多くの来場者でにぎわっていた。
ドローンを使った構造物の高密度測量で知られるルーチェサーチ株式会社は、既存構造物の点群から3DCADに変換するソフトウェア「PINO」を展示している。点群をモデル化するさい、最前面でない点群をつかみ、ゆがんだモデルになってしまう事態を避けるため、簡単な作業で奥の点をつかまずに済むよう工夫してある。同社の尾原保弘技術営業部長は「図面のない構造物が多くあり、その現状を再現することに貢献したい」と話す。
また古河産業株式会社は、最大49㎏までの重量物を運べ、飛行中につり荷の横揺れを防ぐ機能を搭載した「EAGLE 49」を展示。株式会社FLIGHTSは高性能でありながらリーズナブルな次世代いLiDAR「FLIGHTS SCAN」を紹介している。株式会社カナモトはレンタルや運用サービスで活用しているFreeflySystems社製マルチコプターALTA X(アルタエックス)を展示し、都心部での送電線作業をこの機体で遂行している様子を動画で紹介している。エアロセンス株式会社は、200haを30分でレーザー計測できる、YellowScanのLiDARを搭載したVTOL機「エアロボウイング」をアピールしている。NTTコミュニケーションズ株式会社もAIドローン開発で知られる米Skydio社の機体やソリューションを紹介している。
ほかにも株式会社みるくる、株式会社テラドローンなど多くのドローン関連企業が、建設機械メーカーなどとともに会場を盛り上げていた。25日にはJUIDAの鈴木理事長が「ドローン、空飛ぶクルマが拓く未来」の演題で「特別セミナー」での登壇を予定してる。26日にはDJI JAPANの呉韜代表取締役が「現場で活躍する最新の産業用ドローンの現状」について、製品・技術PRセミナーとして講演することになっているなど、ドローンの存在感が高い3日間となりそうだ。
ドローンの国家資格を満たす知識や技能を受講生に提供する「登録講習機関」が5月20日現在、300機関を超えた。ひとつの機関が複数のスクールを設置しているケースも含めると、スクール数は460校となった。昨年(2022年)12月5日の航空改正法施行によりスタートした国家資格制度は、講習機関の設立が相次いでいる。国家資格制度以前に、国交省のホームページに掲載を認めていた民間スクールである「講習団体」は1000件を超えていたため、今後も従来スクールから講習機関への転換や新規開設が続くとみられる。
国交省が公開している一覧表によると、登録講習機関は5月19日現在で309件。機関によって地域別スクールなどを複数設置しており(一覧表では「事務所」)、スクールは全国で461校を数える。一覧表には各スクールが対応できる8つの項目ごとに「〇」が表示してあり、全項目対応校は96校だ。
今年(2023年)2月までは一定の条件を満たすと認められた民間スクールが「講習団体」として国交省のホームページに掲載されており、それぞれの講習団体が上位組織の策定したカリキュラムに準拠するなど管理を受けている場合もあり、講習団体を管理する「管理団体」も掲載されていた。
国家資格制度に移行後は、講習団体、管理団体の区別はなく、国家資格の知識、技能を提供する機関は「登録講習機関」に統一されている。準拠する講習内容は国が定めている。
一方、ひとつの機関が複数のスクール(一覧表のうえでは「事務所」)を運営するケースはあり、一般社団法人農林水産航空協会は32校、一般社団法人DPCAが31校、日本無人航空機免許センター株式会社(JULC)は28校、日本ドローン機構株式会社は8校、株式会社先端技術無人航空機トレーングセンターは8校、一般社団法人ドローン大学校は6校、株式会社モビリティテクノは6校を展開している。なお旧管理団体が引き続き指導、管理、手ほどきしているケースも多いが、旧管理団体自身が講習を行わない場合には登録講習機関に名を連ねておらず、一覧表には表示されていない。
旧管理団体の中には、傘下のスクールの登録講習機関への登録手続きを支援し、管理団体自身は講習機関には登録ない団体もある。国家資格創設の環境整備を支援するなどいわば裏方業務をこなしてきた団体も多く、中央省庁や民間スクール、産業界の中には、今後も旧管理団体の活動に期待を寄せる声も多い。
大阪・関西万博での実現が期待される、いわゆる「空飛ぶクルマ」などのエアモビリティへの関心が高まる中、DroneTribuneは、3月に米LIFT社が開発した1人乗りエアモビリティ、HEXA(ヘクサ)を操縦する様子を公開したGMOインターネットグループの熊谷正寿グループ代表にインタビューした。飛行機やヘリコプターの操縦の資格を持ち、空を飛ぶことに詳しい熊谷氏は、HEXAの操縦体験について不安を感じることは一切なかったと明言し、そのうえで「われわれは空飛ぶクルマをお守りする」と、サイバーセキュリティ、情報セキュリティを手がける企業グループとしての使命感を鮮明にした。また3月に行った飛行の公開も、可視化しにくいセキュリティを、身をもって示す意味があったと明かした。
空飛ぶクルマなどエアモビリティの実現が期待される大阪・関西万博は4月13日に開幕まで2年となる節目を迎え、プレ万博など地元を中心に機運を高める催事が企画されている。GMOの熊谷氏はこれに先立つ3月15日、大阪城公園で丸紅株式会社が主催したHEXAの飛行デモンストレーションに、日本人で初めてライセンスを取得した操縦者として参加し、自身が飛行する様子を公開した。万博開幕まで2年を切り、エアモビリティへの関心がますます高まっていることから、熊谷氏に尋ねる機会を得た。インタビューは、都内のGMO本社で行われた。
――空飛ぶクルマやエアモビリティの現時点での話題には、安全、安心がついてまわります。操縦者の立場としてどう感じますか
熊谷氏 「私は飛行機で双発エンジン航空機の免許を持っており、ヘリコプターでも同じように双発エンジンの免許を持っております。その意味で空飛ぶ乗り物のライセンスは、今回のHEXAで3種類目となり、空の安全は常に意識しています。どの観点から論じるか、による面がありますが、まず申し上げたいのが動力の数の観点です。HEXAはこの点で飛行機やヘリコプターと比べると最も安心できる乗り物と言ってよいと思います。なぜなら、飛行機の動力の数は2つ、ヘリコプターも双発の場合で2つなのに対し、HEXAは小型のプロペラが18基あり、ローターのひとつひとつに動力であるモーターがついています。ひとつの動力が失われた場合も安全性に問題はありません。ここは安全を語るうえでお伝えしたい点です。このほか空域の観点もあります。
――それはどんな?
熊谷氏 「飛ぶ空域が異なるということです。飛行機の場合は3万から4万、5万フィート。プライベート機がより高く、民間機だと3万3000フィートあたり、ヘリなら都内だと2000フィートとか3000フィートといった具合です。それに対し空飛ぶクルマはそれよりずっと低い。陸上交通の場合は電車も自動車もほぼ地上を動きますので、その観点からも議論できるかもしれません。航空管制の整備はこれからですが、日本の場合は特にしっかりしています。議論の最中の型式などルールづくりの中で出てくる論点もあると思います」
――快適性などは
熊谷氏 「HEXAはFAA(米連邦航空局)が『Part103』と呼ぶウルトラライト級に位置付けられています。ものすごく軽くてとにかく飛ぶことを最優先した機体です。小回りがきく分、扉がなくて、夏はいいんでしょうけど、冬は寒いとか。快適性はこれから解決していくことになるかもしれません」
――総合的にはいかがでしょうか
熊谷氏 「飛行そのものでは技術的にはもう全然、問題ないレベルです。あとは規制と市民感情の問題があると思っています」
――熊谷代表はHEXAを操縦したとき上空から手を振っていましたが率直に、こわくないものですか
熊谷氏 「パイロットなのでシートがあってハーネスがあって操縦桿を握っていればこわくないのです。ただ、ギャグみたいな話なんですが、基本的に高所恐怖症でして。いや、ホントです。飛行機の免許をとる前に、ここ(東京・渋谷のセルリアンタワーにあるGMOのオフィス)から外を眺めて、ふと『ここを飛ぶのか』と思ってビビったことがあるんです。子供のころから空を飛びたいと思っていたのですが、ホントに取ろうと思ったときに、やっぱりちょっと高いところはこわいよな、と思ったんです。そのうえで、空飛ぶクルマですが、まったく、こわくない。これは私がパイロットだから、とか、高所恐怖症を克服したから、ということよりも、一番大きいのは機体が安定したから、ということだと思っています。HEXAはパイロットが機体を安定させるためにすることはほとんどなくて、コンピューターがプロペラを制御してくれています。これだけ安定していればなにもこわくない」
――操縦士ががんばらなくても機体が安定しているのですね
熊谷氏 「ふつうならパイロットはいつも風を計算して飛びます。私もスマホにパイロットのアプリをいくつも入れていますが、たえず風向きを気にしています。羽田空港も風向きによって着陸の滑走路が違います。ヘリも飛行機も、正面から風を受けていないといけないのですが空飛ぶクルマは、機体によって多少差はあるかと思いますが、少なくともHEXAは風向きを気にすることはありませんでした。飛行条件が整っていれば、どっちから風が吹いてくるからどっちに向いて飛ぶ、ということはなかったです」
――HEXAや空飛ぶクルマの普及イメージは
熊谷氏 「普及の障害は、住民感情と規制だと思っています。テクノロジーの障害はほぼない、とIT業界に身を置くものとして、思っています。規制は日本では大阪・関西万博をきっかけにずいぶん整備が進んでいますし、これからも進むと思います。経済産業省、国土国交省主導で空飛ぶクルマを普及させようとしていますし、万博終了後も定期航路を残そうとしていますね。非常によい動きです。残る最大級の問題が、離発着場です。空からみるとHマークやRマークがありますが、実際には使われていません。まずはそこをなんとかしないと離発着できません。あとは飛行許可。ヘリですら飛行のたびに国土交通大臣の許可が必要です。それが空飛ぶクルマの離発着についてどうなるのか。いまの日本の状況では都度、国土交通大臣の許可が必要、という話になりやすいので、規制緩和ができるかどうかが普及には重要だと思います。あとは住民感情です」
――乗り越えるための対応が必要だと言われています
熊谷氏 「われわれGMOは空飛ぶクルマをお守りしています。GMOはテクノロジーとしてセキュリティの領域に強みを持っています。情報セキュリティとサイバーセキュリティ、つまり、暗号化で読み取られないようにする部分と、ハッキングされないようにする部分です。空を守ることに貢献するため経済産業省の担当部署にもパートナー(従業員)を派遣しておりますし、空飛ぶクルマの開発企業に技術協力をしております。セキュリティは可視化が難しいので、そのために何ができるかをわれわれはいつも考えております。3月に大阪城公園をHEXAで飛びましたが、あれも私が身をもって安全ですよ、と示すため、という文脈です。ただ空が好きだから飛んだ、というわけではなかったんです。6月に開催されるドローンの展示会『JapanDrone2023』にも出展してご理解いただけるようにアナウンスもするつもりでおります」(注:GMOインターネットグループはJapanDrone2023のメインスポンサーでブースも出展する)
ーー空の産業利用に大きな可能性を感じていることが伝わります
熊谷氏 「空は現時点では最後の産業的なフロンティアです。 だって、地上はいっぱいじゃないですか。それに対して空は、ヘリが飛ぶ高さより下の低空域はガラガラです。そこを安全に産業的に利用すべきだと考えています」
ーーGMOインターネットグループとしての空飛ぶクルマへの取り組みとは
熊谷氏 「強みがないことをやっても仕方がないと思っています 空飛ぶクルマの産業を強みである情報セキュリティ、サイバーセキュリティなどセキュリティの面から応援し、お守りし、普及を支えようと思っています 安心安全の空の利活用を応援して普及をするようにグループを挙げて努めてまいります」
――ありがとうございました
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ドローン販売や産業ソリューションの提供を手掛ける株式会社WorldLink & Company(京都市)は、産業用UAVデモフライト会「SkyLink Drone Days」を5月23日に千葉・君津で開催すると発表した。ギリシャVelos rotors社のヘリコプター型ドローン「VELOS V3」やRTKキット搭載のソニーの「Airpeak S1」、バックパック運用が可能なUAV向け小型高性能レーザースキャナ「3DT scanfly」の実演などを予定している。関連デバイスも展示を予定している。事前申し込みが必要で入場は無料だ。
「SkyLink Drone Days」は、同社が2022年に始めたデモンストレーションと展示会で、これまでに実施した2回はいずれも来場者に好評だった。3回目となる今回は千葉・君津で開催。5月24~26日に千葉・幕張メッセで「第5回建設・測量生産性向上展 (CSPI-EXPO 2023)」が開催され、多くの関係者、感心層が千葉に出向くことを念頭に、CSPI初日の前の日に、建設や測量用途への関心にこたえる模擬飛行や展示を計画している。
ギリシャVelos rotors社「VELOS V3」は最大積載重量10kgの多用途なヘリコプター型ドローンで、予定通りフライトが実施されれば日本では初の一般公開となる。ソニー「Airpeak S1」はRTKキットなど産業用途向け新ユニットを搭載した飛行を披露するよてだ。イタリア3DT社のバックパック搭載可能なUAV向け小型高性能レーザースキャナ(LiDAR)「3DT scanfly」も実演する。
このほか、米Aurelia Technologies社の70分飛行可能なマルチコプター「Aurelia X6 Pro」、ラトビアFixar社の360度カメラと組合せて広域点検業務を支援するVTOL「FIXAR 007」、スマートフォンに装着するスイスPix4D社の小型3D計測スキャナ「viDoc RTK rover」などが展示される予定だ。
入場は無料で事前登録が必要。荒天などの場合に備え、翌日の5月24日を予備日として設定している。
開催概要は以下の通りだ
■名称:『SkyLink Drone Days 〜産業用UAVデモフライト会〜』
■日時:2023年5月23日(火)12:00〜15:00 (荒天時の予備日5月24日)
■場所:千葉県君津市 (詳細は申込者に連絡)
■入場無料(事前申込制)
■申し込みはこちら
(※締切 2023年5月16日(火) 16:00)