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 DJIは9月17日(日本時間)、小型ドローン「DJI Mini 5 Pro」を発表した。これに伴い日本国内でもセキド、システムファイブなどの代理店が発売を発表した。Miniシリーズで初めて1インチセンサーを搭載したほか、LiDARを活用した夜間・低照度環境での全方向障害物検知、225度のジンバル回転機構などの性能を備え愛好家の間でプロフェッショナル向けの映像制作機としても通用すると話題になっている。

Miniでプロフェッショナル向け映像制作機に

 DJI Mini 5 Pro最大の特徴は、1インチCMOSセンサーを採用した点だ。前モデルのMini 4 Proが1/1.3インチセンサーを搭載しており、新モデルで大幅にセンサーサイズを拡大したことになる。これにより暗所撮影や夜景撮影でのノイズ耐性が向上し、低照度環境下でもよりクリアな映像が撮影できる。有効画素数は50MPで、静止画撮影でより高精細な記録が可能となり、絞り値はf/1.8と明るくなった。

 動画性能も強化された。4K/60fps HDRのほか、スローモーション撮影では4K/120fps、色表現では10ビット記録(H.265)、D-Log MやHLG撮影に対応する。しダイナミックレンジは最大14ストップで、映画のような映像表現の可能性が高まった。

LiDAR搭載の全方向障害物検知

 またLiDARセンサーも備えた。小型機としては異例な装備だ。周囲を検知するために備えてあるビジョンセンサーの強力な援軍となり、暗所での障害物回避性能も大幅に高まった。特に夜景撮影時や屋内飛行などの低照度環境下での安全性が大幅に向上したといえる。

 「Non-GNSS RTH(リターントゥホーム)」機能が備わり、GPS信号が不安定な環境でもカメラとセンサー情報を活用して離陸地点へ帰還できる。

ジンバルと撮影自由度の進化

 ジンバルは従来の3軸に加えて最大225度のロール回転が可能となり、縦構図撮影を含む多彩なカメラワークが可能となった。SNSやショート動画で重視される縦動画を、クロップなしのフル解像度で撮影できる点はクリエイターにとって大きなメリットである。

 さらに、ジンバルの回転機構を活かした新しいダイナミックショットモードも搭載されており、従来のMiniシリーズでは得られなかったユニークな映像表現を可能にしている。

飛行性能とバッテリーライフ

 Mini 5 Proの飛行時間は標準バッテリーで最大36分、オプションの「インテリジェント フライトバッテリー Plus」を使用すると最大52分に伸びる。長時間の空撮が可能となり、フィールドでのバッテリー交換回数を減らせることにつながる。

 耐風性能も強化され、最大風速約12m/sに対応する。海岸線や高原などの風の強い環境下での飛行の可能性を広げそうだ。

内蔵ストレージと伝送システム

 本体には42GBの内蔵ストレージを備えている。このためmicroSDカードを挿入し忘れても一定量のデータを確実に記録できる。さらに新しいO4+伝送システムにより、最大20kmの映像伝送に対応する。電波干渉の多い都市部でもライブ映像が安定して届くことにつながり、操縦者の安心感を高めそうだ。

Mini 4 ProやAir 3Sとの比較

 Mini 4 Proとの比較では、センサーサイズの拡大が最大の進化点である。Mini 4 Proも48MPの高画質を誇っていたが、Mini 5 Proは1インチセンサーにより低照度性能で明確な優位性を持つ。また、LiDARによる夜間障害物検知はMini 4 Proにはない新機能であり、安全性の面でも大きな差をつけた。

 Air 3Sとの比較では、Air 3Sが二眼カメラ(広角・中望遠)を搭載するのに対し、Mini 5 Proは単眼ながらセンサーサイズで優位に立つ。重量規制の異なる国や地域での運用において、249g未満クラスを維持しながらハイエンド性能を実現している点はMini 5 Proの独自性だ。プロフェッショナル用途でも「軽量かつ高性能」という唯一無二のポジションを確立したといえる。

国内販売と価格

 国内でもセキド、システムファイブが販売を発表した。希望小売価格は106,700円(税込)からで、付属コントローラーやバッテリー構成によって128,700円、150,480円、158,180円などのバリエーションが展開されている。すでに公式オンラインショップや代理店サイトで予約受付が始まっており、プロからホビーユーザーまで幅広い層の関心を集めている。

参考:DJIのサイトはこちら

参考:SEKIDOのサイトはこちら

参考:システムファイブのサイトはこちら

AUTHER

村山 繁
DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
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