ドローンを取り巻くテクノロジーは目まぐるしく進化し、多様化している。最近注目されている技術のうち、画像認識、ビッグデータや、そのROI向上効果などについてフリーライター、松浦アサキ氏がまとめた。その記事を以下で紹介する。(村山繁)
ドローンに関連するテクノロジーが飛躍的に進歩し続けている。特に親和性の高いテクノロジーのいくつかを紹介し、解決を待つ課題に対するソリューションとしてドローンが活用される可能性について展望してみたい。(フリーライター 松浦アサキ)
ドローン × 画像認識 ~最新動向にみる進化
テクノロジーの中でも画像認識技術はドローンと親和性が高い。
画像認識技術の最新動向について考えるとき、カメラの進化を無視することはできない。
ドローンメーカーとして日本国内でよく知られる中国のDJIはこれまで自社独自でドローン搭載用のカメラ開発をしてきた。しかし、2017年にDJIははじめての月面着陸の際に使用されたカメラを製造したことで知られるハッセルブラッド社(Hasselblad社)買収したことが注目された。産業用、プロカメラマン向けに広く支持されるカメラメーカーを取り込むことで空撮需要に向き合う同社の強い意向を示した。
空撮ニーズの高まりを受けて、モデル開発の最先端を走る企業もまた中国にある。ドローンの機体開発、カスタマイズ研究で最も勢いのある中国に対して、多くの米国企業が進出し共に開発を進めていることがこの背景にある。
米CNN社とVantage Robotics社が共同開発し、群衆上空の撮影許可を得たモデルとして発売されたSnap Droneは、人を含めた画像撮影を可能にするという観点で、産業用途での活用の広がりが期待されている。
空撮したデータを解析する技術のひとつが、画像認識技術だ。これは画像を取り込み、事前の機械学習に基づいた識別、画像分類や状況判断を自動化するテクノロジーだ。識別・分類が短時間で、正確にできるため、工場の生産ラインでの品質管理や設備の予知保全からセキュリティ、小売、医療分野にまで活用の幅が広がっている。
画像識別と分類では、ネットで「チワワとマフィンが似すぎている」という写真が話題になったことがあるが、画像認識ではこの両者の違いを事前に数十パターン学習しておくことで正確に識別できるという。機械学習には様々な角度から撮影した画像の準備が必要だが、ここでは数十パターンでよい。
具体的な活用例として北海道大学大学院農学研究院と北見工業大学、東洋農機(北海道帯広市)、農業・食品産業技術総合研究機構北海道農業研究センターが、「かぼちゃの自動収穫」をドローンで取得した画像とAI・ロボットを組み合わせることで実現したことで知られている。この取り組みではドローンで生育時の画像データを取得、分析することで収穫時期や収穫量の予測をし、ドローンで取得した位置情報と画像認識データを組み合わせて、ロボットの収穫自動化をプログラミングできる。画像認識技術を収穫に応用した事例で、ほかの作物にも適用できる見込みだそうだ。今後人手不足と高齢化が進む農家の課題に対するソリューションのシステムとして開発を進めるいう。
人の顔を認識・識別するドローンソリューションの実用化がめば、顧客ごとにカスタマイズされたサービス提供や小売の販促をドローンが行うことも可能になる。2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2025年大阪万博のころにはドローンによる入場管理システムや防犯システムなどが開発され空中を飛んでいる、という情景も想像しうる。
ドローンに画像認識のための機械学習を実装するためにはさまざまな手段がある。話題のRaspberry Piとオープンソース画像認識APIを組み合わせることで、ドローンで撮影したデータを分析することも可能だ。最近発表されたRaspberry PiアドオンモジュールであるMAIX M1AI (Speed Studio社)を使うと、機械学習、ニューラルコンピューティング実装も可能となる。※Raspberry Piをはじめ、ドローンDCギヤードモータなどのオンラインはこちらから。
「ビッグデータ」は、身の回りのあらゆる環境についてセンサーで取得したデータの集合で、分析されて活用されることで生活の利便性の向上に貢献するなど、価値が高まる。ウェアラブル端末からとれる生体情報やIoTに代表される環境情報の取得・分析テクノロジーの進化により新たな研究が進み、日々革新的な製品とソリューションが生み出される。
ドローンでは、機体にセンサーを搭載することで温度・湿度情報の取得ができる。位置情報や画像データを重ね合わせることもできるため、ドローンはビッグデータ取得ツールとしての期待を寄せられている。
Parrot社のParrot Bebop-Pro Thermal は、機体にFLIR One Proサーマルカメラと14MPカメラを搭載したドローンである。熱センサーによる感知が可能で、野外施設の異常監視に活用できる。
ドローンがビッグデータ取得で注目される理由として、その移動性・正確性が挙げられる。
2019年5月23日に経済産業省から発表されたニュースリリースによると、準天頂衛星システム「みちびき」を活用したドローン実証実験が成功したという。衛星の高精度測位情報をドローンの自立飛行制御に活用することで、1m四方以下へのターゲットへの着陸が可能となった。ドローンは無人でありながら的確な場所へ飛行し、情報を取得するための進化を日々続けている。
また、ドローンはオープンソースプラットフォームの親和性が高いことも挙げられる。不特定多数の多くの情報を集めるには、多くの人と知恵が集まるプラットフォームは欠かせない。故に誰でも手軽に操縦できるドローンと、自由に利用できるオープンソースプラットフォームは相性も良い。
ドローンとオープンソースプラットフォーム利用の一例として青山学院大学教授兼NPO法人クライシスマッパーズ・理事長を務める古橋大地氏が関わるプロジェクト、「ドローンバード」の活動が挙げられる。
災害時の人道支援で利用されるクライシスマップを作成する活動で、迅速な画像入手としてドローンを活用している。生身の人間がすぐには向かえない危険地にも素早く入り情報を持って帰れるため、ボランティア活動と親和性があり、誰でも操縦できるというメリットがオープンプラットフォーム参加者拡大の背中押しとなっている。
ドローンによるビッグデータ活用について、インテルは調査レポートの中で、あるプラントの事例を紹介している。ここでドローンを導入して点検、保全を行ったところ投資回収率が7,308%になったという。従来は点検、保全のためにプラントの操業停止と再開、足場の建設と撤去が必要なうえ、調査員の人件費もかかっていたが、ドローンでは省くことができる部分が大きく、追加経費を少なく抑えられることから、このようなROIが算出された。
医療分野での活用として、2019年4月、米国メリーランド大学の研究チームが作ったドローンが、臓器移植のために腎臓の空輸に成功したニュースが記憶に新しい。この時の飛行は距離は2.8マイル、飛行時間は10分と活躍場面は長くないが、臓器提供を迅速、正確に実現する第一歩として称賛されている。
2019年5月カナダの研究員らがマダガスカルで、結核治療のためにドローンを活用する実施調査に成功した。遠隔地の患者のもとにドローンを向かわせ、病原菌のサンプルを取得し持ち帰り、研究員らが分析したうえで患者に最適な薬をドローンに運搬させて処方した。
タンザニアの「竹で作ったドローン」の事業も示唆に富む。3Dプリンターで作られた部品も使い。開発者は2時間ほどで作りあげたという。かかった費用はモーター、レシーバー、電源類などで150米ドルほど。機体の竹はコストゼロという。先進国のドローンは高額で、壊れたら修理費もかかる。竹なら壊れてもすぐに、安く、パーツが手に入る。
タンザニアでは、将来的なテクノロジー発展のためNGOによるIT教育が進んでいる。タンザニアのNGO団体Uhurulabsを運営するMbuya氏によると特に注目しているテクノロジーが「ブロックチェーン、3Dプリンター、そしてドローン」だという。
日本にも解決すべき社会課題は山積している。今後、こうした課題の解決がドローンを活用することで導きだされる可能性が高まっている。
参考:IEEE SPECTRUM “Tanzania Builds a Drone Industry From Local Know-How and Bamboo”
フリーライター:松浦アサキ
経営戦略・経営組織論を専門とする。卒業後、大手外資IT企業にてアナリティクス、データベース、機械学習ソリューション提案を担当。2017年4月日本初の商用データサイエンティストコラボレーションプラットフォーム導入を実現、同社よりグローバル表彰。他にも、AI活用をテーマにした外部トークイベントの企画、実行を手掛ける。現在はフリーライターとして、月30本以上の記事執筆、月間78万/PVのメディア記事、連載の執筆および編集を行う。前職の経験を生かしたIT関連記事だけでなく、東南アジア・欧州在留経験にもとづく情報発信に携わるなど、経験も豊富。
株式会社エアロネクスト(東京)は8月15日、ドローンでフードデリバリーの試験飛行を 実施したと発表した。6品、約2.5㎏を有人地帯での補助者なし目視外飛行(日本ではレベル4に該当)で、地元モンゴルの有力企業と連携して実施した。
エアロネクストのモンゴル国でのフードデリバリは7月25日に行われた。同社の「モンゴル展開パートナー」である モンゴルを代表する投資会社Newcom Group(ウランバートル市)、同社の子会社、Mongolian Smart Drone Delivery LLC(ウランバートル市)、モンゴル国フードデリバリー最大手、Tok Tok LLC(ウランバートル市)と組んで実施した。エアロネクストの調べでは、7月時点でモンゴル国内では初めての取り組みという。
試験飛行では、アプリ「TOK TOK」を通じて注文を受けたレストラン KIBO の料理6品、2,420gを、ウランバートル市内からウランバートル郊外の研修・保養施設まで片道約 16.5km、株式会社ACSL(東京)製の「PF4」で運んだ。動画にはTOK TOKのロゴの入ったデリバリボックスをPF-4が運ぶ様子や、都心部を飛行する様子、受け渡しの様子がおさめられている。
エアロネクストはすでにウランバートル市内で定常運航として血液製剤の配送を実施しており、6月には郵便輸送も実施している。フードデリバリは第3のユースケースとなる。
(モンゴル郵便とのドローン配送試験運航の実績についてはこちら
株式会社ドローンショー・ジャパン(金沢市<石川県>)は、8月16日、奥能登のやなぎだ植物公園(能登町柳田植物公園、能登町上町)で、能登半島地震からの復興を応援するドローンショー「Charge & Go!能登復興応援スペシャルバージョン」を開催する。2011年に男女混合のパフォーマンスグループAAA (トリプル・エー) の楽曲としてリリースされた『Charge & Go!』の特別バージョンをモチーフにした光のショーで、この曲の作詞を担当したKenn Kato氏とのコラボレーションで実現することになった。作品は三部作で8月16日はその第1回となる。
8月16日のドローンショーは、やなぎだ植物公園で開かれる「2025年 ござれ祭り」の目玉行事のひとつとして午後8時から行われる。ドローンショー・ジャパンが主催し、同社が開発したドローンショー専用機体「DSJ MODEL-X」500機を使う。作詞家Kenn Kato氏が代表を務めるドローンショービジネスのアゲハライド株式会社(東京)が企画協力し、ドローンショー企画などを手掛けるルーカスドローン株式会社(うるま市<沖縄県>)が制作協力する。
今回は「Charge & Go!能登復興応援スペシャルバージョン」全3部作の第1回で、第2回で、その後第2回を9月7日(日)、 宇出津港いやさか広場(能登町)、第3回を10月25日にやなぎだ植物公園で開催する予定だ。各回で演出と表現が異なり、復興への願いを段階的に描くという。
コラボレーションの相手となったKenn Kato氏は、AAAのほか青山テルマ、EXILE、三代目J Soul Brothers、東方神起ら多くの著名アーティストに楽曲を提供しているクリエイターとして知られる。また8月16日のショーが開催されるやなぎだ植物公園の「ござれ祭り」には、キャンドルアーティストCANDLE JUNE氏がキャンドルアートで、歌手の渡辺真知子さんがステージで参加し会場を盛り上げる。入場は無料。
ドローンショー・ジャパンは「ドローンが夜空に描く幻想的な光景が、見上げる人々の心に少しでも勇気と感動をもたらすことができれば幸いです。このドローンショーが単なるエンターテイメントの枠に留まらず、能登の復興を全国に発信するきっかけとなり、被災地の皆様の心の支えとなることを心より願っております」「本ドローンショーを通じて、被災された皆様に少しでも癒しと勇気を感じていただけることを願っています。14年の時を経て楽曲『Charge&Go!』が光のダンスとして蘇り、復興への新たな歩みを力強く踏み出すきっかけとなれば幸いです」とコメントしている。
会場への公共交通機関としては北陸鉄道バス「立ケ谷内」が最寄り。北陸鉄道バス路線図はこちら
東日本旅客鉄道株式会社(東京、JR東日本)は、高輪ゲートウェイ駅(東京都港区)一体型の都市開発エリア、TAKANAWA GATEWAY CITYで8月23日、300機のドローンを使った「ドローンショー in Summer」を開催する。人が多く空港に近いうえ電波干渉対策も要するなど、都心開催につきまとう条件をひとつひとつクリアし、今回の実現にこぎつけた。観覧できるのは先着200人で、JR東日本が観覧希望者をTAKANAWA GATEWAY CITYアプリで受け付けすぐに満席となった。現在は予約の受付は修了している。
ドローンショーは、TAKANAWA GATEWAY CITYが目指す姿を周知する目的で開催される。ショーは午後7時、午後8時半の2回、行われる計画で、TAKANAWA GATEWAY CITY内のTHE LINKPILLAR 1 SOUTHに「特別観覧エリア」を設け、予約した200人を招待する。開始前には屋内ドローンショーも予定している。天候要因などにより中止になりうることを説明している。
JR東日本は、グループ経営方針「勇翔 2034」でエアモビリティを活用したビジネスの創造を掲げていて、TAKANAWA GATEWAY CITY ではその方針に基づき新たな移動・物流・エンターテインメントの可能性を探っている。すでに米ASKA社のAAMのモックアップ展示や、点検用ドローンを使ったドローンレースの開催などを進めていて、ドローンショーの実施もその一環としての取り組みだ。
JR東日本は「今後も新たなドローンの活用方法を模索してまいります」とコメントし、「ドローンが当たり前に飛ぶ未来」の創造を目指す。
施設に不正にもぐりこみ置いてある端末からネットワークに侵入するリスクが高まる中、施設への実際の物理的な侵入とサイバー攻撃の両方のリスクを確認する診断サービスを、サイバーセキュリティ事業者と警備大手が手を組んで実施する。実施するのはドローンとつながりの深いGMOサイバーセキュリティbyイエラエ株式会社(東京)とALSOK株式会社(東京)。すでに重要インフラ企業、防衛産業などに提案活動を進めており、9月にサービスを開始する計画だ。
GMOインターネットグループでサイバー攻撃対策事業を展開するGMOサイバーセキュリティbyイエラエとALSOKは7月29日、物理空間からサイバー空間まで一気通貫で不正侵入リスクを可視化するセキュリティ診断サービス「ALSOK & GMO サイバー物理ペネトレーションテスト」を開発したと発表した。発表時には東京・用賀のGMOインターネットTOWERに関係者が集まり報道陣向けに説明会を開いた。
「ALSOK & GMO サイバー物理ペネトレーションテスト」は、巧妙化、複雑化するサイバー攻撃への備えのためのサービス。サイバー攻撃では攻撃者が企業や組織などの外からメールなどを通じてネットワークに侵入して重要データの漏洩などを仕掛けるが、サイバー攻撃への防御が進むにつれ、施設そのものに攻撃者が侵入し、施設内の端末を使ってネットワークに侵入する手口が増え始め、金融庁などが警鐘を鳴らしている。このため、物理的に施設に入り込まれるリスクがどの程度あるか、そのうえでサイバー攻撃がしかけられるリスクがどの程度あるか、を同時に診断するサービスを開発した。
テストでは、企業や団体などの依頼に応じて、指定された拠点に侵入するための方法を攻撃者の視点で検討する。拠点には許可された人が開錠したさいに続けて入り込む共連れやICカードの偽装して侵入を試み、侵入に成功したら、不正端末の接続などサイバー攻撃の足掛かりを探索し、ネットワークに入り込んで情報搾取を試みる。攻撃者の視点でテストすることで、防御の脆弱な個所を浮き彫りにする。侵入後には脆弱性や改善策をまとめたレポートを依頼主に提出することで、攻撃への備えに役立てる。
このテストでは、拠点への物理的な侵入の部分をALSOKが担い、サイバー攻撃部分をGMOイエラエが担った。ALSOKは新サービス開発にあたり、物理侵入を足掛かりとしたサイバー攻撃に焦点を当てた、新たなセキュリティ診断サービス「ALSOK物理ペネトレーションテスト」を開発し、GMOの診断と連結させサイバー空間まで一気通貫で不正侵入リスクを可視化する「ALSOK & GMO サイバー物理ペネトレーションテスト」を仕上げた。なお物理ペネトレーションテストの専門ベンダーBarrierCrack合同会社(東京)も開発に参画し技術提供を受けた。
GMOインターネットグループ株式会社の西山裕之取締役グループ副社長執行役員は「GMOグループは創業以来『すべての人にインターネット』のキャッチフレーズをかかげインターネット社会の発展に邁進し、現在1700万件以上のご活用を頂いています。しかしながら昨今、インターネットを悪用した犯罪が蔓延しており、その手法がますます高度化、頻発化しています。このため今年度より『ネットのセキュリティもGMO』をかかげ、さまざまな施策を進めすことにしました。インターネット社会の発展のために、サイバーセキュリティの課題に真摯に取り組んでいきたい。いまやリアルとネットは切り離せません。交通、物流、金融、医療、行政、あらゆるインフラはネットワークが前提です。ALSOKさまとの取り組みを通じて、リアルとネットの両面で安全、安心の社会の実現に貢献したいと願っています」と述べた。
ALSOKの佐藤将史執行役員は、2025年7月16日に創立60周年を迎えた機会に社名を綜合警備保障株式会社からALSOK株式会社に変更し、ブランドスローガンとして「ALwayS OK」を掲げたことを紹介し「警報を受信したら現場に駆け付けるインフラを使いひと、もの、かねを軸にセキュリティを提供し、2000年初頭の法改正以降、情報も含め物理的側面から守ることを続けてきました。今後は確かな現場対応力を武器にサイバー領域の業容を拡大したい。そこでGMOさんとタッグを組んで開発した商材が『ALSOK & GMOサイバー物理ペネトレーションテスト』です。われわれの60年の守りのノウハウを攻撃者の視点に活用することで物理侵入を足掛かりにしたサイバーセキュリティにフォーカスした新しいチャレンジです」と述べた。
GMOサイバーセキュリティbyイエラエの牧田誠代表取締役CEOは、「われわれはサイバーセキュリティの会社で、ホワイトハッカーが日本で一番多く所属していることが特徴です。ハッキングコンテストでも優勝、世界一などを受賞しています。そんなわれわれがしていることは脆弱性診断、侵入テスト、ペネトレーションテストです。1万2600件ほど実施しています。ゼロデイも研究していて、年間100件ぐらい見つけ報告しています。これは研究なので商売ではなく見つけたらボランティアで報告しています。ペネトレーションテストをするときには、攻撃者の視点を模します。WEBサイトがあれば、脆弱性を試します。スマホアプリならそこからの侵入ができないか探します。攻撃者は弱いところを狙います。資産を持つ側はインターネットでアクセスできないところに大事な資産をおこうということが進み、どんどん堅牢になっています。そうすると、攻撃者は次に弱いところを狙います。証券会社が侵入されて株価操縦されたという話は、銀行がセキュアになったことで次の標的になったとみられています。そちらがセキュアになると次にどうなるか。次の課題が物理の侵入です。日本は遅れている状況がありますので、そこが狙われるのではないかという懸念があります。ここをALSOKさまといっしょにテストをしてまいりたい。GMOでも物理セキュリティが大事ということで試してみたところ、3年前の実験では熊谷正寿グループ代表の部屋にカードキーを複製して侵入できてしまったことがあります。物理もサイバーも一気通貫で試すことが大事だと考えており、今回のサービスはそこに意義があると考えています」と述べた。
ALSOK商品サービス戦略部情報セキュリティサービス推進室長の小野浩司氏は、「国内における営業秘密の情報漏洩におけるダントツの1位は中途退職者によるものだそうです。金銭目的でUSBなどにより情報を持ち出して転職先や競合会社に提供するといったことです。サイバーセキュリティについては金融庁のガイドラインや、それを反映した金融情報システムセンターのリスクのコンピューターシステムの安全対策基準に物理セキュリティの言及がなされたこともあり、われわれも人材、管理意識、鍵を渡す人への信頼などを含めた「ALSOK物理ペネトレーションテスト」を開発しました。ビジネス拠点の物理 進入のリスク、侵入後に拠点内部からを行われるサイバー攻撃のリスクを探索し、その結果と解決策を提出するサービスです。ダークウェブでお客様のアカウント情報が漏れていないか、現地で外から入れそうなところはないかも調査します。拠点への進入経路や手段を調査し、建物に入ったら共連れで中に入れないか、清掃業者になりすまして内部に入れないか、ICカード偽装、社員証偽造、スキミングにより入れないかなどを調査します。さらにサイバー攻撃の足掛かりとして侵入後のサイバー攻撃の経路と手段の調査としてWi-Fiを通じた社内無線LAN無線へのアクセス、LANケーブルへの不正な端末の接続も試みたりします。調査内容は事前に主催者と調整しますが、攻撃活動を交えることでリスク対応を強化してまいります。物理の方はネットワークに侵入するまで、サイバーの方は侵入した後のリスクを評価します。実施後は施報告書を提出し 多面的な評価と効果的な改善提案をします。報告書の内容はエグゼクティブサマリー、実施概要、テスト実施結果 リスクと対策。これらを示し実効性の高い資料として対策の検討にご活用いただきたい。セキュリティレベルをさらに強化のため高度なセキュリティテストを継続的にご活用頂きたいと考えております」
さらに、先行的に6月に診断サービスをうけた株式会社あおぞら銀行の萩尾崇執行役員は「たくさんの気づきがありました。親切のつもりで行っていることが侵入者にとって重要な情報になることにも気づきました。不審物を仕掛けられて気づかないこともありました。整理整頓ができていない場所ではそういうことがある、ということも気づきでした。われわれは、社内に知らない人がいたときの声掛けを徹底していますが、さらに浸透させる必要性を感じました。また、(得意先に)ストラップ、名札、シャツなどの『あおぞらグッズ』を配っていましたが、こうしたものを身に付けている人を社員と誤認するリスクもあるので、配布の制限も検討することになり意識がかわりました」と経験談を話した。
GMOサイバーセキュリティbyイエラエの村田学ディフェンシブセキュリティ部副部長は、「一般的なサイバー攻撃でサイバーだけで完結するものはオフィスの外側に攻撃者がいます。データは中にあります。データが欲しい場合は、たとえば攻撃者はインターネット経由でユーザーの方にメールを送り、言葉巧みにマルウェアを開かせます。この場合はPCを中継地点として攻撃を仕掛けデータを取るという流れになると思います。標的型攻撃というところです。それ以外にもVPNの脆弱性、Wi-Fiの脆弱性を狙うこともあります。 wi-fi のアカウントを取って攻撃する形です。ポイントはどうやって中に入るかです。攻撃者が中にいたらどうなるか。ネットワーク内のどこかからコンピューティングリソースにたどり着ければ侵入目標は達成できてしまいます。ネットワークさえつながっていれば本社とは別の事業所でも全く同じ効果が得られます。つまり内部にいれば攻撃者にとっては、一気にショートカットできるのです。LANを構成するプロトコルは古く暗号化や相互認証が基本機能として備わっていません。また内部からの通信は信用しても大丈夫だろうという認証の省略も危険です。インターネットのセキュリティをしっかりやっていても 物理的な接触にはかなり弱い面が存在ありますので、今回の取り組みが活動の一助になればと思っております」などと述べた。
<リリース>
https://group.gmo/news/article/9608/
<参考>
■ALSOK & GMO サイバー物理ペネトレーションテスト
https://www.digitalsales.alsok.co.jp/service/cyber-physical-penetration-testing/
■ALSOK 物理ペネトレーションテスト
https://www.digitalsales.alsok.co.jp/service/physical-penetration-testing/
■GMOサイバーセキュリティ byイエラエ
GMOインターネットグループのGMO AI&ロボティクス商事(GMO AIR、東京)と日本未来科学館(東京・青海)は、8月25日からAI対話型ロボットの実証実験を日本科学未来館5階の常設展示ゾーンで実施する。4か国語を操るロボットが自律移動し、来館者に展示を紹介するなどコミュニケーションを取る。実験は8月31日まで。
GMO AIR などが行う実験は「『対話型AIロボット』」実証実験~ロボットによる未来のコミュニケーションを体験しよう!」がテーマで、8月25日(月)~8月31日(日)の期間中、11:00~13:00、15:00~17:00に日本科学未来館5階常設展示ゾーン「プラネタリー・クライシス」内で行う。
AI対話型ロボットは日本語、英語、中国語、韓国語の4か国語で来館者とコミュニケーションをとる。来館者に展示物についてきかれると、ロボットが位置情報から展示物を判断し、名称や解説を自然な対話で案内する。
ロボットはアプリケーション実装業務の約80%をAIが自動生成していることも特徴。GMO AIR によると、AIが自動生成したプログラムによるAI対話型ロボットの実証は、国内初の取り組みという。
コメ卸売大手の株式会社ヤマタネ(東京)は、写真コンテスト「棚田フォトコンテスト」の作品の募集を始めた。棚田の魅力と現状を広く伝え、保全への関心を高めることが目的で、美しい風景に限らず、荒廃してしまった現状を直視したものなども募っている。応募は画像データ、単写真で、DroneTribuneが確認したところドローンで撮影した作品も含まれる。応募は1人10点以内で10月31日正午まで応募サイトで受け付ける。
募集テーマは「日本の棚田、およびそこに関わる人々や、生態系などの棚田を取り巻く環境」で美しい風景だけでなく、荒廃してしまった場所の現状など、写真を見た人の棚田保全の関心に訴える作品を募集している。審査員は写真家の今森光彦氏ら。最優秀賞には10万円分の商品券と棚田米が贈られる。
ヤマタネは棚田について「棚田は、日本の原風景として多くの人々に親しまれてきました。昼夜の気温差が大きい中山間地にあることから、棚田で育つお米は甘みと粘りがあり格別の美味しさを誇ります。また、棚田は単なる農地にとどまらず、雨水を一時的に貯留して下流域の洪水を防ぐ“天然のダム”としての機能や、多様な生き物が生息する生態系の保全にも重要な役割を果たしています。しかし近年では、深刻な担い手不足や高齢化により、多くの棚田が耕作放棄地となり、荒廃の危機に直面しています」と伝えている。
またヤマタネと棚田とのかかわりとして「2024年から新潟県十日町市『星峠の棚田』(2.5ha分)の企業オーナーとなり、株主様をご招待した田植え体験を開催するなど、棚田保全に」取り組んできたことを紹介。コンテスト開催の目的を「棚田の魅力と現状を写真の力で広く伝え、保全への関心を高める一助となること」と位置付けている。