「空飛ぶクルマ」についての3人談義の後編です。前編では空飛ぶクルマの開発を手掛ける株式会社SkyDriveの福澤知浩代表、小型ジェット旅客機「三菱スペースジェット(旧MRJ)」の開発に携わった航空機開発に詳しいPwCコンサルティング合同会社の宮川淳一顧問(Aerospace&Defense担当)、ドローンや空飛ぶクルマ関連の業務・技術支援に携わるPwCコンサルティング合同会社の岩花修平ディレクターが、空飛ぶクルマ開発のきっかけや想定されるユースケース、普及までの工程について意見を交換しました。後編では、普及に向けた課題、新型コロナウイルス感染症の影響、取り巻く市場のイメージなどについて議論を深めます。
岩花氏:空飛ぶクルマの実用化、普及に向けて乗り越えるべき大きな課題は何でしょうか。安全性が気になるところだと思いますが、それ以外でもヨーロッパなどで注目されているものとして、社会受容性があります。騒音、燃費、二酸化炭素排出などへの意識も必要になるかもしれません。
福澤氏:そうですね。極論を言うと、社会受容性ありきだと思っています。日本ではそれが比較的低いのが現状です。例えば、空飛ぶクルマという単語そのものは知っている人が多いと思います。ただ、それがあと3年ほどで実現する、ということになると、95%ぐらいの方がご存じないでしょう。社会受容性を上げるには、まず事実を知ってもらうこと、次にそれをポジティブに捉えてもらうことが必要です。
岩花氏:社会受容性の重要性を指摘する声も増え始めました。
福澤氏:そうですね。実際、規制にも影響します。例えば国土交通省が規制を所管するのは、住民が困らないようにするための備えです。つまり、もとよりこの技術に対する住民の方々の受容性が高ければ、規制が和らぐ可能性があるのです。開発抑止的であってはいけない、という声も出てくるかもしれません。そうなれば私たちも資金を集めやすくなりますし、大企業からの認知度も高まり、提携の話も進むかもしれない、といった好循環が生まれます。より多くの人々が技術をポジティブに捉えることが最も重要なのではないかと思います。
岩花氏:空飛ぶクルマやエアモビリティと、ドローンとでは、社会受容性に違いがありますか。
福澤氏:エアモビリティのほうが、みなさんが気にする点や知らないことが多いと思います。講演会やセミナーなどでお話しをすると質問が山ほど飛んできます。もちろん全てにお答えするのですが、1時間ほど質疑応答を続けると、ちゃんと考えているんだね、安心したと言われます。情報が入ってくれば、見方や思いも変わってくるはずです。日本は欧米と比べると航空機を気軽に利用する習慣がないので、理解を深めていただくまでには時間がかかるかもしれません。FAQをウェブサイトに公表したり、講演などで懸念要素をできるだけ網羅して話したり、情報公開には注力していきたいと思っています。デモフライト(2020年8月25日に愛知県豊田市で公開有人飛行試験を実施。今後も順次開催予定)をご覧いただくのもその一環です。
宮川氏:飛行機の歴史そのものが、社会的受容性の克服の歴史ですからね。歩いて移動するしか方法がなかった人間が、ある時、馬に乗るようになり、やがて、自動車に乗ることになった。その延長線上に飛行機があります。社会受容性は、メリットが懸念を克服していくプロセスを経て醸成されるものだと思うんです。福澤さんは理解者を増やすとおっしゃいましたが、これもメリットが懸念を克服していくことで増えていくはずです。ある程度の時間はかかるでしょうが、そのメリットを享受した人が増えていけば、社会全体が変わっていきます。一方で、アメリカは飛行機に対する社会受容性は高いですが、飲酒操縦やガス欠に起因する事故があると聞きます。
岩花氏:社会受容性のほかにも、想定されている課題はありますか。
福澤氏:今ご指摘いただいたことは全て課題です。新しい機体、という観点でケアすべき話と、航空機全体に関係する話とがあります。当然セキュリティも重要度が高い課題で、無人操縦を想定している以上、自動運転を進めていくうえで避けて通ることはできません。ただ、私たちが自社で対応するというよりも、業界全体で取り組むべき課題であるとも思います。
岩花氏:衝突回避や高度な運航管理システムなど安全を確保する機能の実装、実証実験の繰り返しによる信頼性の向上、騒音の低減などを通じた社会受容性の向上が、普及に向けたポイントになりますね。機体だけでなく、ポートなどの地上支援システム、運航管理システム、管制、オペレーター、法規制、セキュリティ、関連サービスなど、さまざまな関係者が一体となって進めることが重要だと感じます。
岩花氏:ところで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響はありますか。
福澤氏:部品の到着が遅れるといった影響はあります。また、取引先がテレワークを苦手としていて会議が滞りがちになっています。大企業でもインフラ系の方々はテレワーク環境がなかったり、セキュリティの制限があったりするんですね。とはいえ、私たちはスタートアップなので、この程度の問題は社内外で常に経験していて、COVID-19もそのうちの一つに過ぎません。ただもう少し広い視点で見ると、移動に関する概念は10年ほど進んだ気がします。移動しなくても済むなら移動するのをやめよう。その時間で別の価値を生み出そう。本当に移動すべき場合にはちゃんと行こう。そんな考え方が増えたと思います。それに伴って、移動するならどんなモビリティに乗るか、という話も出てきます。本当に行くべきところに行く時には、定期輸送よりも、タイムリーに移動することが求められる、つまりMaaSに近づいてくるのではないでしょうか。こうしたことを考えると、空飛ぶクルマは、コンパクトかつパーソナルに移動できるという意味で、比較的COVID-19発生後の要請に答えていると感じます。
岩花氏:私もどちらかといえばチャンスであると捉えています。非接触で物を届ける需要が出てきたことでドローンへの注目度が高まっていますが、空飛ぶクルマも一定のペイロードを運べ、災害時には物資輸送もできる。また、オフィスに出勤しなければいけないという習慣が見直され、生活や働き方のリフォームが進む中で、地方で完結できる仕事も出てきました。そうなると、都市部と違って地方の移動手段には既存の交通体系では足りていない部分がありますから、そこを充足できるツールの一つとして育っていくのではないでしょうか。
福澤氏:これからは地方空港の活用が、コンパクトな航空機の利用も含めて中長期的に増えていくと思っています。空路利用が活性化し、移動に支障がなくなりさえすれば、地方に住んで仕事をするという選択肢がより身近になりますね。
岩花氏:そうですね。空飛ぶクルマをきっかけに、地方の見直しが進むはずです。安全に飛ばすという観点でも、人や建物が密集していない地方の方が相性は良いですし、課題を背景とした社会受容性も高いと想像できます。これまでの電車やバスが数時間に1本という状況を考えれば、オンデマンドで移動したいときに移動できるメリットが受け入れられやすい。
福澤氏:インフラ前提の都市計画が変わりそうですね。IT事業であれば都市部でなくてもできる業務は多いですし、その上で移動にこうした新しいモビリティを活用できるとなれば、仕事ができる場所がさらに広がります。
岩花氏:COVID-19の中で移動の考え方には2通りがあるように思います。1つは移動を極力せずに済むようにする。これは移動マーケットが縮小することを意味します。それだけであれば、空飛ぶクルマにとっては乗り越えるべき課題となるかもしれません。もう1つが、移動は前提でなく付加価値であるという考え方。これをどう発揮するかが、空飛ぶクルマにとって重要になるのではないでしょうか。
福澤氏:移動が少なくなっている点については同意しますが、国によって違いがあるとも思います。発展途上国であれば人口が増加しているので、当面は移動せざるを得ない仕事が多く、移動はどんどん増える。そこでの焦点は、「移動のパイ」のどこを取るかです。私たちは移動市場の全部を独占するつもりはありません。移動手段には新幹線もあればキックボードもある。移動市場は縮小傾向にあるとしても、私たちはその中に空飛ぶクルマを使うことが適切と考える層が一定以上いると想定しているので、その層に最適なサービスを提供することがゴールであると考えています。
岩花氏:A地点からB地点に移動する際に、駅を経由し、乗り換えをして、そこから歩く、といった経由前提の移動ではなく、ピンポイントでAからBに行けることの価値は高いですね。
福澤氏:オンラインフードデリバリーサービスも、当初は配送料が高く需要に見合わないと考えられていましたが、今では結構みなさん利用されていますよね。600円のお弁当に200円を上乗せして届けてもらっています。これはこれまでになかった価値を提供することによる新市場の創出ですが、移動においても、このモビリティがなければ生まれなかったという新たな市場が出てくると思っています。
宮川氏:COVID-19の影響で確かに移動が減ってはいますが、リモートが進むからこそ、実際に人と会うことの価値、移動することの価値が高まるのではないでしょうか。インドネシアで空港の仕事をしていた時に、人はどういう理由で移動するのかというアンケートをとったことがあります。移動理由の第1位は、ビジネスでも観光でもなく、家族や親族に会いに行くことでした。移動の欲求は減ることがないと私には思えます。
福澤氏:移動の欲求は確かに増えるかもしれませんね。これは、新しい通信機器が発売されるたびに「もう移動はいらないんじゃないか」という話が出てくるのと似ています。電話やメールやSNSがあるからわざわざ相手のところまで行かなくていい、となるかというと、やはり行きますよね。別に「移動した方がいい」というキャンペーンをするつもりはありませんが、結局はニーズはなくならないのだと思います。
岩花氏:ビジネスの視点から、空飛ぶクルマの市場をどう考えていますか。
福澤氏:市場予測は難しいです。10の機関があれば10通りの全く違う予想をします。私たちが間違いなく言えるのは、ルールが整備され、社会受容性が高まり、本来使うべき人が使う流れができれば利用者数は増えるだろうし、バッテリーの品質が向上すれば航続距離は伸びるということです。計画を立てるときには、これらをもとにしています。
岩花氏:グローバル市場と日本市場では、社会課題や消費者意識、地理的な環境などによって、想定されるユースケースも異なりますね。グローバルでは利益を上げられる領域が、必ずしも日本でもうまくいくとは限りません。日本独自の課題やニーズを見極めて日本の市場として形成できることが重要でしょう。先ほどMaaSの話もありましたが、ビジネスの選択肢としては、機体の販売もあれば、その先の離着陸場所であるポートの運営や、運航管理システムの構築、さらに、スマートシティ、エネルギーマネジメントなど、派生する事業がさまざまあると思います。事業領域としては、SkyDriveはどこまでを視野に入れているのでしょうか。また、ここまでは自社で手がける、ここからは他社と連携して取り組むといった構想があればお聞かせください。
福澤氏:まずはサービスだと思っています。「空を、走ろう。」という当社のキャッチコピーが示すような世界を実現することが第一です。機体開発を中心として、お客さまに快適にお使いいただけるサービスの提供までを担います。また、エネルギーマネジメントも必要になってきます。現在はバッテリーが機体価格の1/3ほどを占めており、重さも1/3程度、あるいはそれを上回る可能性もあり、事実上バッテリーを飛ばす会社、などと言われてしまいそうなので。戦略として取り組むというよりは、必然的に手がけざるを得ない、ということになります。
岩花氏:機体を操縦するパイロット、航空管制を行うオペレーター、運航管理業務に従事する専門家など、モビリティの運航に必要な人材の育成はどうされるのでしょうか。
福澤氏:操縦もオペレーションも運航管理も、機体によってやり方がだいぶ変わってくると思います。官民協議会の議論の中で統一ルールにすべきだという発案はありましたが、実際は機体ごとにだいぶ違います。そのため、どんな機体でどんな運航をするのかというパターンができてから、必要な人材を考えていくのが良いと思っています。
岩花氏:宮川さん、航空機の世界では、人材育成はどうなっているのでしょうか。
宮川氏:パイロットでいえば、航空機では操縦士免許に加えて機種ごとの免許があります。機種ごとでもさらに型式に対応するための試験を受けないといけない場合もあります。操縦は機体ごとにまったく別物ですし、繊細な課題だと思います。
岩花氏:慎重な対応が必要になりそうですね。
宮川氏:SkyDriveが世界で勝負をしてどこで勝つかと考えると、勝てる面はいろいろとありますが、私はその一つが操縦だと思っています。航空機ではコントロールホイールやサイドスティックが使われますが、空飛ぶクルマの世界では人間の感性にぴったり合った操縦が可能になるでしょう。機体ごとに特性が違うのですが、今のフライトコントロールのソフトウェアの技術をもってすれば、そうした違いは克服できます。操縦が簡単になれば、パイロット免許も取得のハードルが低くなって、操縦できる人が増える。事故も少なくなるはずです。そうした優れた操縦方法を開発することが強みになると思いますし、それをSkyDriveが自社で担うのか、タイアップをして協業するのかについてもいくつかの選択肢がありそうです。
福澤氏:なるほど、ありがとうございます。
岩花氏:本日は、さまざまな角度からSkyDriveの事業についてお伺いし、今後が楽しみになってきました。PwCコンサルティングでは空飛ぶクルマの普及に向けて、物理的な安全の確保や社会受容性の向上に向けた取り組みを進めていますが、それだけでなく、大きなリスクとして懸念されるハッキングなどサイバーセキュリティへの対策や、空飛ぶクルマの運用・サービスで発生する多種多様なデータの分析など、従来の航空機やドローンの事業推進よりも高度なアプローチでチャレンジを行っているところです。最後に福澤さんからメッセージをお願いします。
福澤氏:これからデモフライトの実施や情報発信に注力していきますので、ぜひ注目していただければと思います。見て、知って、関心を寄せてもらえば、それが社会受容性を高めることにつながります。できるだけ多くの方に空飛ぶクルマのメリットや楽しさを享受してもらえるよう取り組んでいきます。
岩花氏:本日はありがとうございました。
<3人談義の参加者> ■福澤 知浩氏 株式会社SkyDrive 代表取締役 東京大学工学部卒業。トヨタ自動車株式会社にて自動車部品のグローバル調達に従事。同時に多くの現場でトヨタ生産方式を用いたカイゼンをし、原価改善賞受賞。2014年に有志団体CARTIVTORに参画し、共同代表に。2017年に独立し、製造業の経営コンサルティング会社を設立。20社以上の経営改善実施。2018年に株式会社SkyDriveを創業、代表に就任し現職。 ■宮川 淳一氏 PwCコンサルティング合同会社 顧問 40年以上にわたり、主に航空機開発に従事。B7J7(後のB777)主翼空力設計、JRリニア先頭車両形状設計、防衛省先進技術実証機基礎設計等の先端技術開発・製品開発や、民間航空機開発では50年ぶりとなるMRJ(SpaceJet)の事業化、基本設計、海外セールス取りまとめなどで責任者を歴任。三菱重工業執行役員フェローを経て現職。 ■岩花 修平氏 PwCコンサルティング合同会社 ディレクター 大手監査法人系コンサルティング会社、外資系統計解析ソフトウェアベンダーを経て現職。前職では、主に電力を中心としたエネルギー、自動車を中心とした製造業の企業に対する統計解析技術、アナリティクスを活用したソリューションの提供やIoTアナリティクスチームの立ち上げなどに携わる。現在は、デジタルテクノロジーを活用した新規事業の推進や企業の業務改善を支援しており、主にドローンや「空飛ぶクルマ」など無人航空機に関連するビジネスやMaaS(Mobility as a Service)などモビリティ関連ビジネス、IoTや人工知能(AI)、データサイエンスなどの領域を中心に従事。 (※法人名、役職、インタビューの内容などは掲載当時のものです。9
<PWCコンサルティングのサイト> 空飛ぶクルマの未来展望(後編) https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/column/disruptive-technology-insights/flying-car02.html エマージングテクノロジー コラム・対談 https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/column/disruptive-technology-insights.html エマージングテクノロジー https://www.pwc.com/jp/ja/services/consulting/disruptive-technology.html ドローンテクノロジー/ソリューション https://www.pwc.com/jp/ja/services/consulting/disruptive-technology/drone-powered-solutions.html モビリティ(MaaS・自動運転) https://www.pwc.com/jp/ja/industries/mobility.html トピック解説/コラム/対談 https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/column.html ナレッジ https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge.html PwC Japanトップ https://www.pwc.com/jp/ja.html
株式会社ACSL(東京)の株価が800円台に戻して推移している。東京証券市場グロース市場の同社株は3月14日の午前の取引は、前日3月13日の取引でストップ高のまま終えた857円から7円下げた850円で初値をつけた。その後も800円近辺での取引が続いている。背景には前々日の3月12日の取引終了後に発表した、防衛装備庁からの3億7000万円の受注発表がある。発表翌日の3月13日には買いが集中し、値幅制限いっぱいの150円高でも取引が成立しなかった。14日午前もその勢いを維持した展開だ。受注は2月に発表した2024年12月通期業績予想に織り込み済みだが、市場関係者からは今回の大型受注に対し政府調達の呼び水期待が寄せられている。
同社が受注したのは高セキュリティ型の空撮用ドローン「SOTEN」(蒼天)」で、今年(2024年)12月の納入予定2月を予定している。ドローンで収集した情報の漏洩を防ぐ工夫が凝らされた機体で、秘匿性の高いインフラの点検などへの活用が期待されている。
2月14日の決算発表では、前期業績の悪化要因にSOTENの販売減を挙げていたが、今回の大型受注で不振からの脱出に期待が集まる。同社は今回の受注はすでに通期業績に織り込み済みとしている。同社が発表している2024年12月の通期業績予想は、売上高が33億4千万円、営業損益、経常損益はそれぞれ赤字を見込んでいる。
大型受注の発表は3月12日の取引終了後に行われた。これを受けて翌3月13日の東京株式市場では、午前9時の取引開始直後から買いが殺到して。値幅制限いっぱいの857円のストップ高となって推移し、結局同日は取引が成立しないままとなった。3月14日も800円台を維持した取引で始まっており、2月16日つけた上場来安値の585円からの底割れを回避した水準の取引が続いている。。
ACSLが2月14日に発表した23年12月期連結決算では、売上高が前期比45.2%減の8億円9600万円と大幅に減少した。業績のけん引役と期待された高セキュリティ型の小型空撮ドローン「SOTEN」の販売台数が伸び悩んだことが響いたと分析するととともに、20.7億円の受注残があることも明らかにしていた。
ブルーイノベーション株式会社(東京都)は3月11日、能登半島地震で被災した輪島市(石川県)で、決壊の危険性が指摘される土砂ダムを定期的に自動で点検する河川監視活動を実施したと報告した。土砂崩れにより道路がふさがり作業員が現地に近づけない中、ブルーイノベーションが開発したドローンの自動離発着システム「BEPポート」を適切な場所に設置し、ドローンが自動離陸することで点検を遂行した。点検は1月31日から2月6日にかけて行われ、五光物流株式会社(筑西市<茨城県>)、VFR株式会社(名古屋市<愛知県>)が協力した。
河川監視活動の対象となったのは輪島市内を流れる牛尾川につみあがった土砂が河川の水をせきとめている土砂ダムで、1月31日から2月6日にかけて、輪島市の要請を受け、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が統括して行われた。監視活動ではBEPポートに待機したドローンが、定期的に自動で離陸し、往復約3㎞を飛行して状況把握に必要な情報を収集した。ブルーイノベーションのドローンポートシステムは東日本大震災で被災した仙台市<宮城県>が設置している。災害支援活動として活用されるのは今回が初めてとなる。
発表内容は以下の通り
ブルーイノベーション株式会社
五光物流株式会社
VFR 株式会社
令和 6 年能登半島地震 二次災害に備え、ドローンポートシステムを活用
した自動監視システムを国内ではじめて実災害現場に導入・社会実装
ドローンポートから自動離発着するドローンにより、
河川上流の土砂ダム決壊の危険性を定期監視
この度の能登半島地震の影響により、被災された方々やご家族の皆様に、心よりお見舞い申し
上げると共に、皆様の安全と一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
ブルーイノベーション株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:熊田 貴之、以下 ブルーイノベーション)は、五光物流株式会社(本社:茨城県筑西市 代表取締役社長:小林 章三郎、以下五光物流)、VFR 株式会社(本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長 蓬田 和平、以下 VFR)と、石川県輪島市からの要請を受け、ドローンの業界団体である一般社団法人日本 UAS 産業振興協議会(JUIDA)の指揮の元、ドローンポートシステムを活用した河川監視活動を実施しました。
本取り組みは、輪島市内を流れる牛尾川(鈴屋川の支流)に出来た土砂ダムの状況を、ブルーイノベーションが開発したドローンポートシステム「BEP ポート」を活用し、自動かつ定期的に離発着するドローンにより土砂ダムを撮影・監視し、決壊の危険性有無を常時把握することで、二次災害による被害を未然に防ぐことを目的としています。
なお、実災害現場でのドローンポートシステムの社会実装は国内初となります。
■BEP ポートを活用した災害支援活動内容
・巡回点検実施日:2024年 1 月 31 日(水)~ 2 月 6 日(火)
・場所:石川県輪島市町野町
・活動内容:
輪島市を流れる牛尾川(鈴屋川の支流)では、土砂災害による河口閉塞が数か所発生したため、道路も寸断され、人が近づくことが困難な状況でした。輪島市から JUIDA に、ドローンによる二次災害予防のための巡回点検要請があり、JUIDA指揮の元、ブルーイノベーションが開発したBEP ポートからドローンが自動で離発着し、牛尾川の上流往復約 3km を飛行。土砂ダムの状況を上空から定期的に監視を実施しました。
<鈴屋川の経時変化(同一地点)>
定点観測による撮影画像の比較から、河口閉塞による溜まり場の大きさに大きな変化がないことを確認することができました。
・使用機材
■協力
第二回京阪奈ドローンフォーラムには、課題解決に向けたカスタマイズを手がけるドローンを手がける菱田技研工業株式会社(堺市)が、吸盤で壁にくっつく仕掛けの“ひっつきドローン”と家庭用コンセントから電源を得る“コンセントドローン”を披露する。“堺のエジソン”の呼び声高いエンジニアのプロダクトが、来場者の創造意欲を掻き立てそうだ。
菱田技研は壁面吸着親子ドローンと家庭用コンセントにつないで飛ぶ有線給電のドローンを持ち寄る。
壁面吸着親子ドローンは、ビルの高層階の外壁など高所での反力(支持箇所に生じる力)の発生する作業を実現可能にするドローンシステム。子機には、ハンドドリルを搭載する。実際に吸着によるコンクリートボードへの穴あけに成功している。親機の動力源に採用している燃料電池も展示する。フォーラムではモニタの映像で動きが核にできるほか、吸着グリッパを手持ちのアクリル板に吸着させる実演も行う。来場者は吸着中の吸着グリッパ、アクリル板に触れて吸着の安定性を体験できる。
家庭用コンセントからの有線給電で飛行する機体は、会場となる咲洲モリーナのフライトエリアで飛行の実演を実施する予定で、来場者は飛ぶ姿を間近で見られる。
菱田技研工業株式会社はカスタマイズドローンによる課題解決を手がけていて、その工夫には高い評価が寄せられている。2023年6月に千葉・幕張メッセで開催されたJapanaDrone2023では、技術論文「ポスターセッション」の出品者の優秀作品を顕彰するポスターアウォードで最高賞を受賞している。
第二回京阪奈ドローンフォーラムで、長時間、長距離飛行チャレンジに取り組んでいる株式会社エアロジーラボ(AGL、箕面市〈大阪府〉)が、ハイブリッド機の最新機、AeroRange G4S(エアロレンジジーフォーエス)を持ち寄る。ハイブリッド機ならではの機構と、軽量化のために随所に凝らされた工夫が来場者のクリエイティビティを刺激しそうだ。
AGLはハイブリッドドローンを中心に開発している。ハイブリッドドローンはバッテリーとガソリンなどの燃料を併用して推進力を得るドローンて、バッテリーに頼る機体に比べ、長距離、長時間の飛行が期待できる。主力機AeroRangeQuadはペイロードなしで140分以上、ペイロード 2kgで90分の性能を持ち、国産ハイブリッド機の代表モデルの一つとして多くの現場で飛行実績を積み上げている。
今回、第二回京阪奈ドローンフォーラムに出展する機体「G4S」は、機体の構造をゼロベースで構造、素材、機構を見直した新型機、ハイブリッド機では、燃料、電力の併用で強い推進力が得られる一方、発電機とモーターを積むため自重が大きくなるため、推進力を生かすには、軽量化の工夫が欠かせない。軽くしたために剛性がおろそかになるわけにもいかず、技術者の知恵と工夫が試される。
AGLは国交省が2月29日に福島県で行った実証実験にも参加し、長時間、長距離飛行性能を測定した。福島ロボットテストフィールド浪江滑走路を離発着場に行われ、敷地と沿岸を飛行した。現在、詳細な計測結果が集計されているが、不具合発生で中断するまでだけでも60㎞を超える距離を実際に飛行したとみられる。確報値では実飛行距離と、残りの燃料から推計した性能がはじき出される予定だ。
第二回京阪奈ドローンフォーラムは、確報値が公表される前のG4Sを間近で確認する機会となる。驚く準備はここでできる。
<イベント概要>
催事名:「SUPER D★EXPERIENCE~第2回京阪奈ドローンフォーラム」
日時:2024年3月12日(火)、10:00~16:00(予定)
会場:咲洲モリーナ(西尾レントオール株式会社R&D国際交流センター内)
住所:大阪府大阪市住之江区南港北1-12-75
アクセス:「コスモスクエア」下車徒歩5分、「トレードセンター」下車徒歩6分
会場MAP: https://www.nishio-rent.co.jp/sakishima/access/
主催:京阪案ドローンプロジェクト実行委員会(代表企業:マスオグループ本社=奈良県奈良市三条大路1丁目1番93、株式会社奈良自動車学校)
参加費:無料
※詳細は参考資料及び公式サイトをご確認ください。
参考資料 https://prtimes.jp/a/?f=d101951-10-f1c576f0f6d030002fa6df5bd75f525b.pdf
第二回京阪奈ドローンフォーラム(主催:京阪奈ドローンプロジェクト実行委員会)として3月12日に開催する超体感イベント「SUPER D★EXPERIENCE」では、株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク(JIW、東京)が、会場の咲洲モリーナから、東京オフィスに待機させている米Skydio(スカイディオ社)の 機体を動かす様子を披露する計画だ。約500㎞の遠隔操作は、防災、警備、点検、エンターテインメント、観光など幅広い事業にヒントを与えそうだ。
JIWは鉄塔、橋梁などの点検業務をロボットやドローンなどのテクノロジーで支援する企業で、数多くの実績を重ねている。米AIドローンメーカー、Skydio(スカイディオ)社の機体をいち早く日本に導入したことでも知られる。今回の第二回京阪奈ドローンフォーラムでは、Skydioの機体と、機体の離発着場にもなる多機能格納庫、SkydioDockを東京オフィスに待機させ、会場の咲洲モリーナから操作をする。約500㎞離れた遠隔操作が見ものとなる。
点検や被災地支援、警備などドローンの活躍が期待される現場では、作業員を現場に待機させる必要性の有無が重要な検討項目のひとつになっている。Skydioのトム・モス氏は2020年のDroneTribuneのインタビューに「いつでも点検に、パトロールに、災害調査に出動できるようになったらいいと思っています」と話している。JIWによるパフォ-マンスは、Skydio機の特徴である高度な障害物検知能力とそれをフル活用した被写体への接近などを堪能しつつ、長距離遠隔操作の可能性を実感し、事業や取り組みの可能性を広げる機会となりそうだ。
第二回京阪奈ドローンフォーラム(主催:京阪奈ドローンプロジェクト実行委員会)は超体感イベント「SUPER D★EXPERIENCE」として、東日本大震災が発生した3月11日の翌日、3月12日に大阪・咲洲モリーナ(大阪市住之江区)で行われる。防災意識が高まるこの時期に、イベントには能登半島地震、東日本大震災のいずれの対応にもあたっている株式会社Liberaware(リベラウェア、千葉市)のIBIS2(アイビス・ツー)が、飛行シーンを御披露目する。活躍する現場は倒壊の危険のある建屋の中や、原子炉格納容器の中だが、今回は、咲洲モリーナの中で、来場者の目の前で飛行シーンを御披露目する。
リベラウェアは狭い、暗い、汚いなど作業員が入れない狭小空間に入り込んで内部を確認するドローンの開発を重ねてきた。第二回京阪奈ドローンフォーラムに登場するドローン、IBIS2は、20㎝×20㎝で243gの世界最小クラスの産業用ドローンで、ひっくりかえっても跳ね上がって体制を立て直すタートルモードを搭載するなど、狭小空間点検機に求められる性能を極めた機体だ。2023年6月に開催されたJapanDroneでの表彰企画「Japan Drone & AAM Awards 2023」では、ハードウェア部門の最優秀賞を獲得した。
作業員が立ち入れない場所の点検を得意とする特徴は、震災の被災地で活躍している。1月に起きた能登半島地震の被災地では、倒壊の危険がある建物の中に入り込み、取り残されている要救助者の有無を確認し、内部の状況の共有に大きな役割を果たした。
また2011年の東日本大震災で爆発した東京電力福島第一原子力発電所の原子炉格納容器の内部調査にも、IBISが4機使われ、デブリのたまり具合や落下物の有無、2015年に投入しながら途中で動けなくなって残置された機器の確認など、大きな役割を果たした。
第二回京阪奈ドローンフォーラムでは、会場である咲洲モリーナの特徴的な木材を組み合わせた天井部分をどうとらえるかがみもの。来場者はふたつの震災の被災現場で活躍するドローンが真価を発揮する瞬間の目撃者になることができそそうだ。
<イベント概要>
催事名:「SUPER D★EXPERIENCE~第2回京阪奈ドローンフォーラム」
日時:2024年3月12日(火)、10:00~16:00(予定)
会場:咲洲モリーナ(西尾レントオール株式会社R&D国際交流センター内)
住所:大阪府大阪市住之江区南港北1-12-75
アクセス:「コスモスクエア」下車徒歩5分、「トレードセンター」下車徒歩6分
会場MAP: https://www.nishio-rent.co.jp/sakishima/access/
主催:京阪案ドローンプロジェクト実行委員会(代表企業:マスオグループ本社=奈良県奈良市三条大路1丁目1番93、株式会社奈良自動車学校)
参加費:無料
※詳細は参考資料及び公式サイトをご確認ください。
参考資料 https://prtimes.jp/a/?f=d101951-10-f1c576f0f6d030002fa6df5bd75f525b.pdf