山梨県は6月3日、操縦者が搭乗せずに旅客運航するAAMの社会受容性を引き上げる活動を進めるため、日本航空株式会社(東京)を含む産官学で連携協定を締結した。山梨県内で地域住民に受け入れられるために必要な対応を分析する。住民へのヒアリングや、飛行試験なども想定し、2030年代の社会実装実現を目指す。
締結されたのは「山梨県での空飛ぶクルマの社会受容性向上に関する連携協定」で、山梨県、日本航空のほか、MS&ADインターリスク総研株式会社(東京)、山梨大学、九州大学の5者が署名した。
山梨県は2027年(令和9年)以降に開業を見込む山梨県内のリニア中央新幹線駅の効果を最大化する手段としてAAMに機体を寄せていて、とくにパイロット不足の解決、経済性の向上の面からパイロットが搭乗しない「無操縦者航空機」が有効と位置付けている。実現に向けて地域の受け入れ環境が重要になるため、パイロットレスAAMの社会受容性向上の協定を締結した。
社会受容性向上に関する調査、取り組みのほか、パイロットレスAAMの実証飛行、地域に適した活用方法の検討などを進める。
パイロットレスAAMの開発に取り組んでいる企業は限られており、事務局は「現時点で具体的な機体を想定して検討するということではない」と話している。一方、操縦者が搭乗するAAMと搭乗しないAAMでは、飛行エリアの住民の受け入れに差が生じる可能性があると想定し、パイロットレスAAMに関する住民の意識の調査をしたり分析をしたりすることにしている。対象をパイロットレスAAMに絞った社会受容性向上の取り組みは珍しく、「日本における社会受容のモデルを構築し世界をけん引」することを目指す。
ブルーイノベーション株式会社(東京)は2025年7月23日、株式会社NTT e-Drone Technology(朝霞市<埼玉県>)と販売パートナー契約を締結したと発表した。同日にはNTT e-Droneが、ブルーの取り扱うスイスFlyability社製屋内点検用ドローン「ELIOS 3」の販売を始めた。この日東京ビッグサイトで開幕した「国際ドローン展」のブルーのブースでは、両者の幹部が今後の展望を構想した。株式市場ではブルー株が急騰し、7月25日も一時、2000円をつける場面があった。
ブルーイノベーションは7月23~25日に東京ビッグサイトで開催の国債ドローン展にブースを出展し、NTT e-Droneが販売パートナーとして新たに取り扱うことになった「ELIOS 3」を展示し、フライトゲージ内でデモ飛行させた。
ブルーブースを訪れたNTT e-Droneの木村祥之・サービス推進部ソリューション部門長は、「自治体など地域のニーズにこたえる中で、狭く暗い場所を点検するドローンのニーズが一定数あることから、ELIOSシリーズを取り扱っているブルーイノベーションに協業を持ちかけました。NTT e-Droneドローンにとって、運用のラインナップを拡大できることになるうえ、われわれが開発した『eドローンAI』などの技術の展開先としてともにソリューションを開発することも展望できます。一例として、ドローンで画像を取得し、画像を分析して修繕や更新の判断をする二度手間を軽減できると、そこには需要があると感じています」と提携の背景と展望を話した。
ブルーイノベーション取締役の田中健郎取締役は「(NTT e-Droneは)自治体のニーズを熟知しているため、自治体の求める回答にELIOSが含まれていくことを期待しております。『eドローンAI』などとともに新しいソリューションを開発できることへの可能性にも期待しております」と述べた。
ブルーイノベーション株はNTT e-Droneとの販売パートナー契約締結を発表した7月23日午前10時30分に急騰し、7月25日午前現在も2000円を上回る水準で推移した。
発表は以下の通り。
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株式会社ACSL(東京都)は7月22日、機体の受注を開始した。受注は株式会社VFR(名古屋市<愛知県>)、ブルーイノベーション株式会社(東京)など同社の販売代理店経由で受け付ける。10月1日から量産体制で生産を始め納品する。納期は現時点で確定していないが、受注代理店を通じて連絡する。
PF4は5kgのペイロードを搭載した場合で40kmの飛行が可能で耐風性能は25m/sの飛行性能を持ち、測量、点検、夜間目視外飛行など用途に応じた必要なペイロードを利用者側で載せかえることができる。ACSLがレベル4飛行に向けて第一種型式認証の申請を進めている「ACSL式PF4-CAT3型」とは別の機種で、レベル3.5までに対応する。
6月には株式会社エアロネクスト(東京)がPF4をモンゴルで飛行をさせた実績を持っており、同社など限られた事業者が同機を所有している。
ACSLは7月23~25日に東京ビッグサイトで開催される「第11回国際ドローン展」にブースを出展し「PF4」を展示する。
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株式会社SkyDrive(豊田市<愛知県>)は、山口県山口市で重ねてきたリハーサル飛行を収めた動画を公開した。
リハーサル飛行は、山口県山口市の「山口きらら博記念公園」内に設けた飛行試験場で春から行われていて、動画には大阪・関西万博のデモフライトに使われるSD-05が離陸し、移動し、向きを変えて飛行するなどの様子が納められている。
大阪・関西万博では7月31日から8月24日まで、火、水曜以外の原則週5日の予定で、来場者の前で飛行する様子を公開する。
建設設備大手の三機工業株式会社(東京)は7月11日、グループ会社、有限会社キャド・ケンドロ(仙台市)と共同で狭小空間ドローン開発の株式会社リベラウェア(Liberaware、千葉市)のドローンとレーザースキャナを併用した既存設備の3Dモデル化するデジタル化手法を確立したと発表した。Liberawareも同日、三機工業に「IBIS2」を「導入した」と発表した。
三機工業は設備更新や模様替えなどのさいに、現場を3Dモデリングし、現状を把握してから取り組む。完成後の更新や追加工事で現状が図面通りになっていないことが多く、作業の妨げになるおそれがあるためだ。しかし天井裏などでダクトや配管が込み入っている場合に、すべての設備にはレーザーが届き切らずに十分な3Dモデルができあがらない場合がある。こうした課題を乗り越える手法の開発を進めているところ、今回、ドローンとレーザースキャナを併用してデジタル化する手法を開発した。
同社が実施した実用化検証では、IBIS2とレーザースキャナを併用した場合、従来の3Dスキャン手法と比べ、機械室などの天井の無い空間の場合、認識できた建築部材が約135%、天井の一部が解体された天井裏空間で約400%向上したという。
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丸紅株式会社(東京)は7月8日、大阪・関西万博でデモフライトを披露する計画を公表している英ヴァーティカルエアロスペース社(Vertical Aerospace Group Ltd.)開発の5人乗りAAM「VX4」について実施を「見送る」と発表した。英国で行われているVX4試験機での有人飛行試験で判断したという。
丸紅は発表の中で「現在英国で行われているVertical社製VX4試験機による有人飛行試験の進捗状況から、大阪・関西万博でのデモフライトへの対応を見送ることとなりました」と伝えた。VX4のキャビンを再現したモデル空間は予定通り万博会場に出展し、8月から搭乗体験を実施する予定という。
また丸紅が万博で飛ばすもうひとつの機体、米LIFT AIRCRAFT社(以下、「LIFT社」)製の1人乗り機「HEXA」については、デモフライトを近く再開させる方向で調整中だ。HEXAは4月26日のデモフライト中に部品が落下したためデモフライトを中断して原因究明を続けている。
その結果「モーター搭載箇所の部品について、サプライヤーが仕様と異なる素材の部品を誤って供給していたことが判明」したと説明し、「当該部品の交換およびその他重要部品の再点検を完了した上で、再発防止策として、LIFT社において部品の受領・品質管理について包括的な監査を実施し、必要な工程について改善したことを確認しました。関係機関の許可を以て、今後大阪・関西万博でテストフライトを実施し、十分に最終確認を行った後、安全を最優先として関係機関および関係各社と協議・判断し、デモフライトの再開に関しては改めてお知らせいたします」と伝えている。
丸紅は大阪・関西万博でのAAM運航事業者4グループのひとつだ。
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英ロックバンド、オアシスの再結成後初のコンサート会場となるウェールズの首都カーディフのプリンシパリティ・スタジアムで現地時間7月2日、ドローンで形作られた「OASIS」のロゴが浮かび上がった。ツアーは7月4日に始まり、11月まで世界各国をまわる。ツアー初日を翌々日に控えたドローンの演出はオアシスの公式アカウントで公開されている。
ドローンのロゴは公演開始前に上空に描かれ、オアシスの再結成ツアー開催を祝福し、喜ぶファンの気分の高揚に貢献した。
オアシスは1991年にマンチェスターで結成され、7000万枚以上のアルバムを売ったロックバンドだ。2009年に解散したが昨年2024年に再結成した。再結成後初のコンサートツアーが7月4日にはじまり、北米、南米、オーストラリア、韓国など各地をまわる。2025年は11月23日のサンパウロ公演で幕を閉じる予定だ。日本公演も10月に予定されている。チケットはいったん予定枚数の販売を完了したが、機材席の解放による追加販売が決定し、7月12日正午に抽選の受付を開始する予定だという。
音楽シーンとドローンとは、MV撮影、ライブ映像撮影、演出としての屋内ドローンショーなどの例があるなど縁があり、今後も活用の幅が広がる可能性がある。
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