北海道電力株式会社と株式会社自律制御システム研究所(ACSL)は、水力発電所の調圧水槽と呼ばれる設備内を自律飛行して点検するドローンを開発したと発表した。開発した技術は特許を申請中だ。
点検の対象となった水力発電所の調圧水槽は、内径が十数メートル、深さが数十メートルほどの円筒形の構造物。水力発電ではダムからの水の勢いを調整する設備として設置されている。構造には複数のタイプがあるが、いずれもひび割れなど経年劣化の有無の確認は欠かせない。このため作業員がのぼり、のぞきこむように目視で定期点検を行うほか、命綱をつけて内壁を点検する。点検作業が大掛かりで危険を伴うため、安全確保策や効率化の方法を模索する動きが活発化している。
ACSLはこうした点検負担を軽減するため、北海道電力とドローンの活用法を検討。自律飛行が可能なPF2にLIDERを搭載するなどして、暗く円筒形の内側でも、内側にある管などを目印に自機との位置を計算しながら飛行できる技術を開発した。開発技術は「特願2021-000814」として特許を申請中だ。機体も技術も国内で開発されている。
ACSLは用途特化型の機体開発を重点目標に掲げており、
北海道電力は開発にあたり、研究開発で連携関係にある北陸電力株式会社、中国電力株式会社、株式会社四国総合研究所、沖縄電力株式会社に協力を求めた。 水力発電所の調圧水槽点検用ドローン参考資料はこちら。
帆船ドローン開発のエバーブルーテクノロジーズ株式会社(東京都調布市)が、水空両用の自律移動機「Type-P」を開発し、実験映像を公開した。最高時速100キロを記録し、着水後は自然風のみで帆走しバッテリー消費を動力機と比べ60分の1に抑えた。
Type-Pは固定翼機とヨットの特徴を組み合わせて開発された。飛行中はプロペラと固定翼で移動し、着水後は帆を開き、風力で移動する。制御はオープンソースの「Ardupilot」をベースに、飛行制御を「Auduplane」、帆走は「ArduRover」の「Sailオプション」を活用した。自動帆走機構、センサーなどの搭載機構を備えた。
ダム、河川、湖の堆積物、水質、水深などの調査で、岸から距離のある目的地付近までは飛行移動し、調査地付近で着水する利用を想定している。護岸されていない河川、開発はシンガポール国立大学スマートシステム研究所シニアリサーチフェロー末田航氏と共同で、成果は現在、特許出願中という。
動画公開された実証テストはシンガポールで実施。今後、船型の海峡耐用性向上や、大型化、飛行形態との最適化などを追及し、使い勝手のよさを設計に反映させるなどの開発を続けるという。
株式会社エアロネクスト(東京都渋谷区)と株式会社自律制御システム研究所(東京都江戸川区、ACSL)は、8月31日、エアロネクストの機体構造設計技術であるエアロネクストの特許群のライセンス契約を締結したと発表した。ACSLは4D GRAVITYにとって初のライセンシーとなった。両者はすでに共同開発を進めており、今回のACSLによる特許実施、利用権取得で開発の加速が期待される。
今回の契約によりACSLは、4D GRAVITY搭載ドローンを開発、製造、販売する権利を獲得することになった。当面はACSLが力をいれる「用途特化型機体」のうち、物流特化機体の開発を進める。その後点検、防災など用途特化型機体に4D GRAVITYの搭載を広げる。
ライセンス契約を結んだのはACSLが4D GRAVITYの活用で、飛行安全性や耐風性能を改善できると判断したため。エアロネクストとACSLは2019 年10 月に4D GRAVITYを搭載した産業用ドローンの新機体の開発に着手したことを発表し、研究開発を進めている。ライセンス契約により共同開発にはずみがつくことが期待される。
両者は「エアロネクストとACSLは、今後もドローン市場の拡大とドローン産業の発展に寄与していく」と談話を発表した。
エアロネクストは、同社のコアテクノロジーである4D GRAVITYについて、ライセンスビジネスを事業の柱と位置付けており、ACSLとの契約はエアロネクストにとって最初の事例となった。
またACSLは8月14日に発表した中期経営方針「ACSL Accelerate 2020」で、今後3年間の事業の柱に「用途特化型機体販売」「用途特化型機体のつくりこみ」を位置付けている。特に、小型空撮機体、中型物流機体、煙突点検機体、閉鎖環境点検機体の4つを念頭に置いており、今回のライセンス契約で開発の促進に期待がかかる。
ドローン、エアモビリティ、ブロックチェーン技術開発を手掛ける株式会社A.L.I. Technologies(エーエルアイテクノロジーズ、東京)は、このほど屋内などの狭小空間で点検を行うための球体ドローンを開発したと発表した。管路やトンネルなどの点検を想定し、作業員の安全を確保し作業効率を高めることが可能という。
A.L.I.が開発した球体ドローンはバッテリーを搭載しない本体の重量が450g、サイズは半径が200mm、飛行時間は約15分間。機体のパーツは国内外で調達し、組み立ては国内で実施しており、今後、純国産化することを見込んでいるという。
すでにインフラ関連企業から問い合わせがあり、自治体などの利用も見込んでいるという。 同社は球体形状のガードの装着について2018年に特許を取得済み(特許番号:6566585)で、関連する知財も保有しているという。