一般社団法人日本 UAS 産業振興協議会(JUIDA)の新資格が10月、登場する。新資格は、合成樹脂などを生産する石油化学工場設備をドローンで点検するさいに必要となる高度な技量、専門的な知識を持つことを証明する民間資格で、9月末時点で「プラント点検上級操縦技能証明証」と呼ばれている。新資格取得には講習を受け、所定のテストを受験する必要がある。講習と資格の発行は10月スタートする予定だ。現時点では講習期間は4日間程度、福島県にある大規模実験研究施設、福島ロボットテストフィールド(南相馬市)を会場に行われる。受講費用などの詳細も10月に改めて公表される予定だ。
「プラント点検上級操縦技能証明証」は、石油化学プラントのドローン点検技能を証明する新資格。「新設するよりも難しい」と言われる石油化学生産設備の修理のうち、点検部分を肉眼からドローンによる作業に置き換えることで、作業員の重労働からの解放や人手不足問題の軽減・解消、点検成果の向上などを目指す。資格創設にあたり、ブルーイノベーション株式会社、公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構と連携した。また名称は「プラント点検」だが、工場全般を対象にしたものではなく、石油化学プラントが対象であるため、10月の発行開始に向けて、名称を変更する可能性がある。
新資格は民間資格で、取得者だけができる業務が保証される国家資格の「業務独占資格」とは異なる。しかし、石油化学プラントへのドローン点検を普及させるには、作業に必要なドローンの技量などの明確化と、その技能を持っていることを証明することが不可欠だ。プラント側も点検作業を担わせる操縦士の採否基準を模索せざるをえず、新資格がひとつの目安になる。
作業に必要な技量や知識については今年4月、JUIDAが公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構・福島ロボットテストフィールドから委託を受けて「プラント点検分野におけるドローンの安全な運用方法に関する実務マニュアル」、 「プラント点検分野におけるドローンの安全な運用方法に関するチェックリスト」 、「ドローンを用いたプラント点検事業者教育カリキュラム」としてまとめ、公表している新資格はこれらに準拠し、テキスト化け、講習カリキュラム化した。
講習は当面、株式会社ブルーイノベーションが担当し、講習で使う機体はブルーイノベーションが点検実務で使っている球体ガードに覆われたELIOSシリーズになるとみられる。ただし資格は、ELIOSに限定しているわけではなく、基準を満たせば他の機体を使う他のスクールでも講習が可能だ。JUIDAも今後、新資格の講習を提供するスクールを募る方針だ。また受講には、JUIDA小型無人機操縦技能証明証、安全運航管理者証明証を取得している必要がある。
石油化学業界は鉄鋼業などと並び日本の製造業の根幹である素材産業の柱だが、設備の老朽化が進み、修理、点検、補修、更新などが不可欠だ。主力設備のひとつ、エチレン製造装置は、操業開始から50年を超える装置が、2022年に日本全体で半数を超える。
設備の維持管理は、高圧ガス保安法、消防法、労働安全衛生法、石油コンビナート等災害防止法の「保安4法」で厳格に管理されていて、たとえば定期修理は特別な許可を得ている場合をのぞき、毎年行わなければならない。定期修理には、年産60万トン級の設備の場合で、工事期間は約2カ月を要し、工事費用も80~100 億円程度に達する(2017年度、石油化学工業協会調べ)。設備の老朽化が進めばさらにコスト高、高頻度になる恐れが指摘されており、保安の確保、経済性の確保が「業界全体の喫緊の課題」(石油化学工業協会)になっている。
総務省消防庁、厚生労働省、経済産業省で構成する「石油コンビナート等災害防止3省連絡会議」は3月27日、ガイドラインを改訂し、カメラを搭載したドローンによる点検作業を「目視点検」の一部を代替できると明示した。今後、ドローンの導入を阻害する要素を洗い出し、必要であれば保安4法の改正も視野に、精度の見直しを進めている。
新資格は、石油化学プラントを持つ業界にとって、業務を任せるドローン操縦者の見極めを助けることになる。技量の高いドローン操縦者にとっては、石油化学プラントの点検に活用する機会が拡大するきっかけになる。これらを通じて、新資格がドローン点検の普及を通じて、作業員の安全確保、設備の生産性維持・向上、企業の収益性確保による業界の健全な発展に貢献することを目指している

機体に載せたスピーカーで避難を呼びかけるなどドローンの災害活用を進めるブルーイノベーション株式会社(東京)は、総務省消防庁が設置した「災害情報伝達手段」としてドローンの有効性を検討する検討会で事務局を担い、実証実験も行ったと発表した。総務省消防庁は3月24日、これに基づいて「災害情報伝達手段としてのドローンの活用に関する検討報告書」を公表した。報告書はドローンを防災行政無線の補完に有効と結論づけ、運用する場合の留意事項などを整理。市町村向けの「災害情報伝達手段の整備等に関する手引き」に反映される見込みだ。
「災害情報伝達」は、行政が住民に対して、避難情報や気象情報を届けるための仕組みや手段だ。「消防白書」(総務省消防庁)や「情報通信白書」(総務省)で多重化や多様化の重要性を盛り込んでいる。防災行政無線のほか、Jアラート(全国瞬時警報システム)、緊急速報メール(エリアメール)、Lアラート(災害情報共有システム)、SNS・HP・登録制メールなどがある。
検討会はスピーカーを搭載したドローンが「主たる災害情報伝達手段の代替、または補完」として有効かどうかを検討した。特に防災行政無線が抱える、広い沿岸部を持つ自治体にとっての設置台数確保、山間部での設置難易度の高さなどの課題をふまえ、①運用上の留意事項の整理、②「主たる災害情報伝達手段」となるための要件設定の検証、③想定される課題の整理などを検証するための実証実験を行った。実証実験では、音声の届く音達範囲や、音声の内容が聞き取れる了解度などを、沿岸部や山間部など環境の異なる場所で、機体と観測者の位置、距離などで条件分けして実施した。
事務局を担ったブルーイノベーションは広い沿岸部を抱える仙台市や千葉県一宮町でJアラートに対応して自動で避難広報のためにドローンが発信するシステムに納入していて、実証実験でもこれらの自治体での検証を実施した。また山間部での実験は宮城県白石市の「みやぎ蔵王白石スキー場」などで、耐候性検証を大型降雨実験施設で、音声伝達性能検証を板橋ドローンフィールドで実施した。
この結果、遮蔽の有無や観測者との向きなどで聞こえ方に差があることや、運用者が安心して活用できるためのマニュアルの整備などの重要性が確認された。音声の伝達性については、「指向性スピーカーを搭載するドローンでは、全方向に音を届けるために工夫することが望ましい」「飛行実験を行った60mまでの高度では、ドローンの飛行高度による音の減少幅は小さいと考えられる」などと考察した。
そのうえで、自治体で災害時の情報伝達手段としてドローンを活用する際の留意事項には、「ドローンの活用においては住民の行動変容につなげることが重要であり、そのためには飛行ルート、運用体制、放送内容、スピーカーの性能等で留意すべき点がある」と結論づけ、飛行ルート、運用体制などそれぞれについて考察した。
たとえばJアラート情報と連動させることについては、津波に関する情報には有効であっても、緊急地震速報では数秒の猶予しかないため「✕」と判定し、「ドローンの飛行までに1~2分ほどを要することを踏まえると、到達までに一定の時間がかかる津波に関する情報等の伝達では有効であるが、特に緊急性の高い緊急地震速報等を放送する場合は、屋外スピーカーその他の手段と連携して災害情報を伝達することが必要だと考えられる」などと整理した。
検討全体として『「主たる災害情報伝達手段として必要な要件のうち、「発災前後を通じて、継続して使用できる耐災害性を有していること」及び「市町村が伝えるべき防災情報を制約なく伝達できること」を満たしているとは言えず、現時点では、防災行政無線等の代替とまではいえないと考えられる。ついては、現時点では、スピーカードローンは、屋外スピーカーや戸別受信機の補助として運用することが望ましいと考えられる』とまとめた。
近くこの内容を「災害情報伝達手段の整備等に関する手引き」に反映させる。




機体技術開発の株式会社エアロネクストは3月26日、回転翼機に補助用の固定翼を搭載する新技術「ActiveWing®」と、この技術を搭載した試作機を発表した。安定航続距離の拡大を目指す。新技術はイームズロボティクス株式会社と共同開発しており、今秋以降投入する予定だ。同社はDroneTribuneの取材に、試作機の機体名や搭載されているフライトコントローラーなどは現時点では非公表としている。
エアロネクストの発表によると、「ActiveWing®」はマルチコプターに取り付けられる可変補助翼技術で、空力特性を最適化することで航続距離を拡大する。また飛行姿勢を安定させるため、マルチコプターが姿勢制御行う回転数の変更を回避し効率性を向上させる。
公表された試作機は、エアロネクストの重心制御技術である4D GRAVITY®も搭載していて、搭載した荷物への移動負荷を縮小できる構造で、物流用途を中心に、監視、点検、空撮など広い用途での活用を目指して開発が進んでいるという。
現場への投入時期は2026年秋以降の予定。エアロネクストと子会社の株式会社NEXT DELIVERYが展開する新スマート物流 SkyHubを実施している現場などに段階的に投入する。また秋以降の活用機体については、新型機と現行のAirTruck、PF-4(いずれも株式会社ACSL製)を平行して活用する方針だという。
同社の発表は以下の通り
エアロネクスト、新技術「ActiveWing®」を搭載した物流ドローン試作機を発表
~可動する補助翼付きマルチコプターにより高効率な長距離飛行を実現~
~可動する補助翼付きマルチコプターにより高効率な長距離飛行を実現~
株式会社エアロネクスト(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長 グループCEO:田路圭輔、以下 エアロネクスト)は、安定した長距離飛行を実現する新技術「ActiveWing®*1」を搭載した新型物流ドローンの試作機を開発し、発表いたしました。
新技術ActiveWing®搭載の新型物流ドローンの試作機(ホバリング時)
新技術ActiveWing®搭載の新型物流ドローンの試作機(着陸時)
本試作機は、エアロネクストの新技術「ActiveWing®」を搭載し、補助翼を備えたマルチコプター構造により飛行時に揚力を補助することで、従来のマルチコプター型ドローンに比べ長距離飛行と高効率な輸送性能を実現します。物流用途を中心に、監視、点検、空撮など幅広い用途で活用可能なマルチユース機体として開発を進めています。
また本試作機には、エアロネクスト独自の機体構造設計技術 4D GRAVITY®*2を採用し、空力特性を最適化。安定性・効率性・機動性といった産業用ドローンの基本性能を向上させるとともに、物流用途における運搬性能を高めています。
本試作機は、イームズロボティクス株式会社と共同で研究開発を進め、2026年秋頃より、エアロネクストと子会社である株式会社NEXT DELIVERYが国内複数地域で推進する新スマート物流 SkyHub®*3の実装地域や各地の実証実験、SPL(SkyHub® Provider License)*4事業者のドローンデポ®など、ドローン物流の現場に順次投入していく予定です。
【開発背景】
近年、物流分野におけるドローン活用への期待が高まる一方で、一般的なマルチコプター型ドローンでは航続距離や運搬重量、輸送効率の向上が課題とされています。
エアロネクストは、ドローンの研究開発において空力特性の最適化に注力し、その技術力を活かして、特に物流ドローンに求められる効率性と安定性を兼ね備えた飛行性能の実現に取り組んできました。
本試作機は、こうした研究開発の成果として空力特性を徹底的に追求し、エアロネクスト独自の新技術を搭載した最新モデルです。
【新型物流ドローンの特長】
■ 新技術「ActiveWing®」による長距離飛行性能
ActiveWing®は、マルチコプターに補助翼を組み合わせることで飛行時の揚力を補助するエアロネクストの新技術です。機体が傾いた場合でも補助翼の仰角が一定に保たれる設計により、安定した飛行を維持しながら長距離飛行を可能にします。
■ 4D GRAVITY®による高い安定性と輸送性能
エアロネクスト独自の機体構造設計技術 4D GRAVITY®により、飛行姿勢や状態に依存しないモーター回転の均一化や重心制御を実現。安定性・効率性・機動性を高め、物流用途に求められる高い運搬性能を実現します。
■物流用途に最適化された機体設計
本試作機は荷物の上入れ下置き機構を採用しており、置き配など柔軟な配送オペレーションに対応可能です。また、防水仕様の機体設計により、さまざまな環境下での運用が可能です。さらに、多数機自動遠隔運航にも対応し、将来的には物流だけでなく、広域監視、設備・インフラ点検、空撮など多様な用途での活用を想定しています。
エアロネクストは今後も、技術と知財をベースにドローン物流の社会実装を推進し、低空域を活用した空のインフラの構築を通じて、次世代の移動産業の発展と社会課題の解決に貢献してまいります。


ドローンの大型展示会「Japan Drone」を主催する一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)と共催する株式会社コングレは3月24日、6月に開催する「Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2026」(Japan Drone 2026)の出展者に開催概要などを説明する説明会を開いた。6月3~5日の期間中に2万4000人の来場を見込む。フライトコントローラーなど構成技術を展示するゾーンや人材獲得を目指す事業者と就職希望者とのマッチングを目指すゾーンを設けるほか、屋外展示や会場壁面を使った実演、災害対応の実演も計画している。また、ドローンの有事利用が取りざたされる中、出展者に対しJapan Droneが民生目的の展示会であることを念押しし、「攻撃能力に特化した機体」などの展示や講演を対象外すると明確化した。
Japan Drone 2026は今回が11回目を数える。会場は千葉市の大規模展示場、幕張メッセを会場で、6月3~5日の期間中に前回(2025年6月)の2万3049人を上回る2万4000人の来場を見込む。会場には前回の285組(社・団体)を超える300組のブースが設置される予定だ。テーマは「ドローンによるインフラ革命 ~地域創生と街づくり~」と設定。入場料は3000円(税込)だが、事前登録者や招待券持参者は無料になる。トップスポンサーである「Platinum Sponsor」は、前年に続きGMOインターネットグループが務める。
説明会では、展示や企画、講演などの開催概要のほか、出展者の製品、サービスの発信を支えるための主催者の取組、サポート体制についても案内された。
展示では「機体構成部品・素材特別企画ゾーン」として、飛行制御、機体強度、軽量化などのために不可欠な技術を展示するためのゾーンを設置するほか、就職・転職を支援するためのエリアを「就職・転職フェア」と題して設置し、16の事業者がブースを出展できるようにした。
災害対応のデモンストレーションができるエリアを会場内に設置するほか、屋外でのデモンストレーションや会場壁面を活用したデモンストレーションも予定している。
講演では海外のキーパーソンを招いたステージや林野火災、ドローンポート活用など最近の関心に沿ったテーマのステージが設けられる。
出展者の製品やサービスの発信に向けたプロモーションとしてメディアを通じた発信や広告を案内したほか、5月以降、動画投稿サイトYouTubeを使った発信の計画も説明された。
説明会の冒頭には、JUIDAの鈴木真二代表理事(説明会では「理事長」)が、「ドローンをとりまく環境は大きな転換期を迎えているかと思います。2022年の改正航空法施行以降、物流、点検、防災、測量、農業などあらゆる分野でのドローンの活用が本格化し、制度整備、技術革新、事業化が同時並行で進んでいます。また政府の成長戦略でも無人航空機が取り上げられる議論がなされています。加えて移動革命を見据えた次世代エアモビリティ、いわゆる空飛ぶクルマも、開発も加速し空路の利活用に新たな産業基盤として注目されています。こうした中で開催されるJapan Drone 2026は技術、制度、ビジネスを結び付け、国内外のプレイヤーのみなさまが未来の空の社会を共創するプラットフォームとしてこれまで以上に重要な役割を担うと考えております。Japan Drone 2026が新たなビジネス機会の創出、技術交流、産業発展に寄与する場となりますようJUIDAとして全力で取り組んで参ります。6月にみなさまとともに未来の空の社会を描けることを心より楽しみにしております」などとあいさつした。
なお、説明会の中では出展者に対して、民生利用のための展示会であることを再確認するため「安全保証・防衛技術についての取り扱いに関する指針」を説明する場面があった。この中で「技術のデュアルユースの進展について正しく認識しつつ、本展示会(Japan Droneのこと)では一貫して国民の安全、安心および人道的な活用を最優先の価値とします。直接的な殺傷、破壊を目的とした装備、およびそれに関連する活動は本展示会の趣旨に鑑み対象外にすることを明確にします」と念押しし「重要インフラ防護、救護、人道支援、防災、経済安全保障、公共の安全確保」などに関わる技術の出展を歓迎しつつ、「殺傷・攻撃能力に特化した機体攻撃型アルゴリスム、能動的電子攻撃、兵器取引の媒介」は対象外とすると位置付けた。

下水道管路の劣化を見つけ、必要な補修を施すまでの作業を途切れなくつなぐための共同研究が埼玉県で進む。埼玉県と関係事業者の官民8社が3月10日、協定書に調印した。埼玉県朝霞市に本社を構える株式会社NTT e-Drone Technologyも名を連ねた。8者は今後、埼玉県内の主に大規模管を対象に、2028年3月末までの2年間で、点検、解析、補修、情報管理を一体化させて統合する管理システムの設計に挑む。下水道管渠をめぐっては2025年1月に八潮i市(埼玉県)で発生した道路陥没の原因と推定されたことから、従来の水質改善に加え、管理の維持・管理が研究対象として比重が高まっていて、全国展開も見据える。
協定書に調印したのは、埼玉県、公益財団法人埼玉県下水道公社と、NTT東日本株式会社埼玉事業部、株式会社NTT e-Drone Technology、NTTインフラネット株式会社、国際航業株式会社、株式会社染めQ(そめきゅう)テクノロジィ、日特建設株式会社の8者。NTT東日本埼玉事業部を統括役に、民間6社が分断された情報と工程の全体をつなぐ「工程一体化DXモデル」を設計し、運用し、定着させる。
下水道管路の点検は、点検、解析、補修などの個別の専門作業に分かれて行われていることが一般的だ。それぞれの専門事業者が独自の仕様で個別最適を図っていて、別の専門事業者との連携に課題が残ることが長らく指摘されてきた。八潮の陥没事故で原因究明委員会が今年2月に提出した最終報告では「施設管理における情報共有・体制のあり方の改善」「施設管理における情報共有・体制のあり方の改善」「新技術の開発」などが提言されており、それを受けた形で今回、埼玉県が「埼玉県下水道管路マネジメントシステムの共同研究」の公募につながった。
なお、最終報告に盛り込まれた「新技術の開発」に「期待される技術開発」のひとつとして、「飛行式ドローンの性能が向上しており、活用の標準化を検討すること」と盛り込まれており、イードローンはその役割を果たすことになるとみられる。
協定書の調印式で埼玉県の大野元裕知事は、「下水道管路において、特に地中の深いところにある大規模管路において、流れが速い、水が止められない、硫化水素等のため長時間の活動ができない、などの制約に伴うさまざまな課題が明らかとなりました。課題解決にはAI、センサー技術、ドローンなど新たな技術の確立が必要ですが、現時点ではわが国にはしっかりとした管路点検、管路周辺の空間測定方法、抜本的な補修技術は存在せず、埼玉県のみならず日本全体で何が起こっても不思議ではない状況です。そういった中、埼玉県として新たな技術の確立に向けて限りなく努力を払う決意をしたといころです。事故が起きた県としての責任として、ここをフィールドに一刻も早く、可能な限り安全なシステムを作っていく必要があると思っています」と危機感と使命感をにじませながらあいさつした。
NTT東日本執行役員で埼玉事業部長の小池哲哉氏は、現状の下水道管路の維持管理について、「点検調査、解析、補修、情報管理など工程ごとの専門性を持つ実施主体が別々の仕組みで動いている現状があり、プロセスが分断されている」と分析し、「ここを見直さない限りDX、予防保全策などを講じても部分最適におわる」と指摘。「人手に頼る維持管理から工程と情報を一気通貫でつなぐ仕組みへと転換するタイミング」と考察したうえで「工程一体化DXモデル」の構築を提唱した。
小池氏は2年間の研究期間の成果を、実装、県全域への浸透、全国化と段階的に拡大することで、日本全体の下水道管理マネジメントの効率化を意識した取り組みであると説明した。
また調印式にイードローンの滝澤正宏代表取締役社長は会場に持ち寄った屋内点検向けの球体ドローンELIOS 3を持ち、「小指で持ち上げられるほど軽く、ガードに覆われていて周囲を傷つけるリスクがない。今回のプロジェクトでは人が立ち入ると危険になる場所でもドローンを使うことで安心を提供できることをめざしていきたいと思っています」などとあいさつした。ELIOS 3はGPSの届かない屋内でも飛行しながら3Dマップをリアルタイム表示する。イードローンが開発した「eドローンAI」を活用することでひびの自動検出が可能になる。
下水道管には家庭の汚水を流す内径1センチのものから内径が10メートルを超えるものまでさまざまなある。総延長でもっとも主流なのは内径2センチの管だ。この場合、下水管の点検にドローンは使えないが、埋設場所が浅く、更新や新たな管との置き替えが比較的容易だ。一方、いったんトラブルが発生すると深刻な事態を招くのが、流量が多く、水の流れを止めることが難しく、地中深くに埋設され、硫化水素の発生リスクなどからなどから点検が困難な大口径の下水管だ。八潮の道路陥没現場にあった下水管も内径4.75メートルの大規模管だった。今回の研究も古く大規模な管が主な研究対象だ。
埼玉県内の下水道管路の総延長は約467.7キロメートル(2023年答弁)で、埼玉県は研究事業の対象は、敷設から30年以上が経過した内径2メートル以上の大規模管約155キロメートルだという。
このほかナノ統合技術で補修や補強実績を持つ染めQ、吹き付け技術で定評のある日特建設、3D化、地理情報システム(GIS)技術で知られる国際航業が連携することで、埼玉モデルの構築に力を入れることになる。




一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA、東京)は3月18日、山梨県山林火災でドローンを使った災害対策にあたった3社に感謝状を贈呈した。3社はブルーイノベーション株式会社(東京)、富士山ドローンベース(山梨県)、株式会社Prodrone(プロドローン)(愛知県)で、火元などの情報を収集、共有し消火活動に協力した。現場では消火活動にあたる自衛隊のヘリコプターなどとの空域調整も行っており、画期的な事例となった。
感謝状を受けた3社はいずれもJUIDAの災害対応チームJUIDA D³(Dキューブ)のメンバーに名を連ねている。感謝状には各社のそれぞれの活動を反映させた個別の感謝文が、JUIDAの鈴木真二代表理事の名前で記された。贈呈式ではJUIDA D³本部長であるJUIDAの嶋本学参与が手渡した。
ブルーイノベーションに対しては、いち早く現場に到着したこと、富士山ドローンベースは22日間の長期にわたり現場で対応したこと、プロドローンには国内で組み立てた機体を動員したうえ有人機との空域調整を円滑に実施したことなどが感謝文に反映された。
ブルーイノベーションへの感謝状には「貴社は令和8年1月8日に山梨県上野原市で発生した林野火災に対し速やかな救助体制を構築するとともに現場上空での夜間の情報収集を安全かつ的確に行うなど延焼防止に多大な貢献をされました。ここに貴社の献身的な活動に深く感謝の意を表します。令和8年3月18日、日本UAS産業振興協議会代表理事、鈴木真二」と記された。
富士山ドローンベースに対しては、「林野火災に対し」のあとが、「現場上空での夜間の情報収集を安全かつ長期間行うとともに、収集した情報を速やかに共有する体制を構築するなど」と記され、Prodroneには、「現場上空での夜間の情報収集を安全かつ長期間行うとともに、収集した情報を速やかに共有する体制を構築するなど」とそれぞれの活動が反映された。
JUIDAの嶋本参与は次のようにあいさつした。
「1月8日に林野火災が発生し、陸上自衛隊から出動要請を頂いた1月9日以降、みなさまにはJUIDA D³の一員として現地での活動にご尽力いただきました。JUIDA D³として林野火災への対応は初めてでしたが、みなさまの目覚ましいご活躍により上野原市、大月市両消防や陸上自衛隊のみなさまから称賛の声を頂いているところです。林野という高低差がある地形の特性上、地上からの観測のみでは火災の状況把握は難しいという中で、ドローンによる上空からの精密な情報収集により消防や自衛隊等の消火活動を支えるうえで重要な役割を果たしていただきました」
「本活動においてはドローンによる情報収集もさることながら、ヘリとドローンの航空運用調整という意味でもこれまでとは一線を画する進展がございました。今回の対応をきっかけに、有人航空機と無人航空機が一体となって活躍する世界がさらに進むきっかけになると確信していますが、これもひとえに、みなさまの卓越したドローン運航技術のたまものと認識しているところです。このようなご活躍に対し活動要請を声掛けさせて頂いたJUIDAとして経緯と感謝の意を表し感謝状を贈呈させて頂いた次第です。みなさまと活動をともにしたJUIDA D³本部長としてもこの場をおかりしてみなさまに深く御礼申し上げます」
「なおこの1か月間の支援活動を通じJUIDA D³は林野火災対応に関するさまざまな知見を得たところでございます。ドローン技術が社会の安全、安心にいっそう貢献していくためにも、JUIDAは今後、あらゆる機会をとらえ、ここで培った知見を社会に広めて参りたいと考えております」
また嶋本参与は3社の活躍を「迅速性、持続性、特殊性で力を発揮して頂いた」と整理した。
感謝状を受けたブルーイノベーションの熊田貴之代表は「今回、ドローンを活用し人が立ち入れない場所の状況を把握できたことは画期的なユースケースになったと考えています。これまでも災害分野でドローンを防災無線として活用する方法を検討しており、今後はさらに幅広い災害分野での活用を検討しております。ドローンは命を守るインフラとして貢献すると確信しています」とあいさつした。
富士山ドローンベースの渡辺秋男代表は「JUIDA D³のメンバーとして発災3日目から22日間現場に入りました。山火事現場に入ったのは初めてで、想像や訓練とはまったく違った厳しい場所でした。ドローンの利活用で赤外線、レーザーなどを使って火点情報をいち早く地図に落とし込み、それを消防や自衛隊に共有する任務を行い、ふだん使っているドローンで社会貢献ができてうれしいと感じています」とあいさつした。
Prodroneの森内倫子氏は「私たちにとって当たり前だった災害対応で感謝状を頂け大変ありがたく感じます。ドローンの製造をする会社で、その中で『プロドローンレスキュー』という消防、救急向けの機体も作っていて今回はそれを持ち寄りました。本社のある愛知では南海トラフの災害対応がテーマで、とりわけ航空運用調整は大きな課題です。これまでの災害対応になかったドローンというツールを活動に組み込むことの難しさを実感しています。今回の経験は非常に大きく、今後お手伝いできることが増えればよいと思っています。基礎自治体が連携しているドローンとの運用調整、派遣のための車内体制構築、自身が被災者になる可能性とのバランスなども考え、いまできていないこともこれから作り上げていきたいと思っています」とあいさつした。








GMOインターネットグループは3月5日、サイバーセキュリティの分野で活躍する第一人者が登壇するカンファレンス「第3回GMO大会議・春・サイバーセキュリティ2026」を東京・渋谷で開催し、この中でAI半導体開発、生成AI開発の株式会社Preferred Networks(PFN、東京)とGMOインターネットグループ株式会社、GMOサイバーセキュリティbyイエラエ株式会社(東京)と合弁会社「GMO Preferred Security株式会社」を設立することに合意したと発表した。設立は3月27日。セキュリティが担保された国産AI開発環境を構築する。近くプレスリリースを公開する。
セキュリティの確保はドローンでも必要性が高まっている。ドローンは災害対応、点検など日本でも重要なインフラになりつつある一方、重要な技術や素材を海外からの供給に頼ることが多く、海外からの供給途絶や情報漏洩などさまざまなリスクに対応する必要が生じている。このため、国内での生産基盤構築が急務で、2025年12月には政府が経済安全保障推進法に基づき「ドローン(無人航空機)」を特定重要物資に追加指定した。ドローンの国産化、安定供給を強化するため、研究開発や設備投資費用を最大50%助成し、2030年に8万台の生産体制整備を目指す方針だ。
ドローン開発の国内化強化には、国産半導体、国産AIなどの開発が不可欠といわれ、このためサイバーセキュリティが担保された開発環境の必要性が高まっている。
合弁会社GMO Preferred Securityは、PFNのAI半導体開発力、生成AI開発力とGMOイエラエの脆弱性診断、セキュリティ評価技術に加え、GMOグローバルサインなどGMOグループ各社が持つインフラ基盤や電子認証技術を集め、ハードウェアからソフトウェアまで一貫したセキュリティが担保された国産AI環境を構築し、提供することを目指す。これにより海外技術に依存しない国産AI環境の信頼性向上を図る。
新しい合弁会社GMO Preferred Security設立の合意は3月2日で、3月27日に発足する。代表取締役には、GMOインターネットグループの専務執行役員で、GMO AI & ロボティクス商事株式会社の代表取締役社長である内田朋宏氏が就任する。3月5日の「第3回GMO大会議」では、代表に就任する内田氏が登壇し合弁会社の設立を発表したうえ、PFNの岡野原大輔代表取締役も登壇し、抱負を述べた。
合弁会社設立にあたっては、PFNが49%出資し、GMOイエラエとGMOインターネットが25.5%ずつ出資する。
GMOインターネットグループの熊谷正寿グループ代表は「日本が世界と戦っていくためには海外技術に依存しない信頼できる『日の丸AI』環境の確立が不可欠です。今回、反半導体からソフトまで一貫した安全が担保された国産AI環境を提供できることを大変うれしく思うとともに強い使命感を感じています。本定型は日本の経済安全保障を支えお客様に『笑顔』と『感動』を届ける最強の武器となります」とコメントしている。




