ドローンの大型展示会JapanDroneの地方開催版、「Japan Drone / 次世代エアモビリティEXPO in 九州(福岡)」が12月6日、福岡国際展示場で始まった。講演、展示とも開場直後から多くの来場者でにぎわった。来場者はレベル4に関連した展示や、デモフライトや初出展、初公開のブースに足を止めた。顔なじみの多い出展者のブースでは、再開に笑顔がはじける場面もみられた。講演では前日施行された改正航空法を盛り込んだ発言が相次いだ。JapanDrone福岡は12月7日まで開催される。
JapanDrone福岡は福岡国際会議場4階の「中・小会議室ゾーン」を全面活用し、2~3の会議室をつなげて展示ホールや講演会場に仕立てている。出展各社が最新の技術や、会場の大きさに合わせた機体を盛り込んでいる。出展企業によっては、デモンストレーションも実施している。
初日、最初に人だかりをつくったのはブルーイノベーション株式会社だ。同社は設置した自社ブースにフライトエリアを設け、同社が提携しているスイスFlyability社の球体点検ドローンELIOS3の飛行を実演した。実演時には報道陣のカメラを含め、多くの来場者が押し掛けた。
ほかにも実機を持ち込んだ出展者のブースが、機体を確認したい来場者の足を止めた。ciRobotics株式会社の物資搬送用ドローン「TR-22」は、今回の展示の中では大きな機体で、会場入り口で来場者を迎えるように展示されている。苗木や資材の搬送や、災害時の緊急支援物資の運搬での活用を想定したウィンチ搭載ドローンで来場者が足を止めて撮影していた。
株式会社kiipl & nap(キプランドナップ)はブースに最大積載量49㎏の特殊大型ドローンEAGLE-49や、自立四足歩行する犬型ロボット「SPOT」など特殊機体を並べた。中でも注目されていた出展のひとつが、煙突や立て坑の点検ソリューション「IIC360°」だ。
「IIC360°」は360度撮影カメラのユニットとドローンがセットになっていてる。ドローンは煙突の真上でホバリングし、細いワイヤーで吊り下げられた撮影ユニットだけを煙突内にウインチでスルスルと降ろしていき、その間に動画で撮影する。撮影の方向や角度は自由に変更でき、ライトで照らすこともできる。撮影ユニットはマイクロドローンのようなプロペラが装着されていて、煙突内を撮影中にクルクルと回転しないよう姿勢を制御できる。撮影が終われば撮影ユニットを巻き上げることもできるが、搭載されたカッターでワイヤーを切り、ユニットを床に降ろして回収することもできるため、環境に応じて選択ができる。担当者は「人が高いところにのぼることがなく、ドローンそのものを煙突内に入れる必要もないのでリスクも時間も抑えられることが特徴です」と話す。
株式会社MAX工業のブースには、株式会社ACSLの「PF2-AE Inspection」が置かれた。展示会で見かけることが少ない機体とあって、事情を知る来場者が担当者に話しかけていた。双葉電子工業株式会社は安全性に重点をおいた産業用ドローン「SkyBuddy」を紹介。
空飛ぶクルマの開発を進めているHIEN Aero Technologies株式会社は、長距離大型VTOL「HIEN Dr-One」の1/4モックを、独自の発電制御技術を搭載したガスタービンハイブリッドシステム「DRAGON」の原寸大モックとともに展示している。イームズロボティクス株式会社もブースを構えてソリューションを展示しているほか、機体も展示して来場者が写真に収めている。
レベル4を見越した展示や、地元産業への展開を見据えた展示も来場者の関心を集めていた。
株式会社Braveridge のブースでは、1.6gの小型、軽量のリモートID「リモートID mini」が展示され、来場者が小ささを確認するようにのぞき込んでいる。19×19mmと小さいため、卓上に置いてあっても展示物を気づかれない。このため、ライトが埋め込まれた展示台に、現在品と比較できるように展示するなど小さいものを目立たせる工夫が凝らされている。1.6gは基盤だけの重さで、搭載するときにはアンテナ、電源線が必要になる。このためアンテナ、電源線をつけたものもそのわきに展示してある。2023年3月の発売を予定していて、来場者は発売前に実物が確認できる。
ドローン開発用のコンパクト風洞装置を持ち込み、風を出す様子を見せて関心を集めているのが株式会社日本風洞製作所の「Aero Optim」だ。JapanDrone福岡での展示が初出展となる。ドローンに限らず、自転車など風洞実験が必要な開発事業者が、実験装置まで出向く時間、手間を省くことを可能にしたコンパクト設計で、可搬式であることも特徴だ。扇風機の風のように渦を巻いた乱れの多い風ではなく、整った直進性の高い風を送り出すことができる。最大風速は15m/s(54㎞/s)で、ユニットを連結させたり、吹き出しの角度を変えたりすることも可能だ。
株式会社オーイーシーは、樹木が並ぶ森林をドローンで撮影して資源量を測定するスマート林業サービス「Forestory(フォレストリー)」のソリューションを展示している。担当者が林業従事者の苦労を減らす工夫を、タブレットやパネルなどを使いながらていねいに説明しており、多くの来場者がブースで足をとめ、共感している。オーイーシーのForestoryでは、ぶつからないドローンとして知られるSkydio2+を使う。森林内を飛行させて樹木を撮影し、手持ちカメラで撮影した画像とともに独自開発のソフトウェアで解析すると、検出された樹木の径が高さごとに推計された結果が表示され、生育状況が確認できる。一般には林業従事者が森林内で一本一本測定するが、担い手の減少に伴い、資源管理が難しくなってる。「テクノロジーで負担を軽減させることができれば」と話している。
東京電力ホールディングス株式会社も磁界結合方式と電界結合方式のワイヤレス電力伝送(WPT)システムを展示し、関心ある来場者が見入る姿が見られた。ドローンへの自動充電が可能になる。ブースには開発担当者が来場者からの質問に答える姿が見られた。
この日は開場に先立って行われた開会式や講演で、ドローンやエアモビリティ行政に携わる内閣官房小型無人機等対策推進室の小熊弘明参事官、国土交通省総合政策局技術政策課の伊藤真澄課長、経済産業省製造産業局産業機械課次世代空モビリティ政策室の石尾拓也室長補佐、国土交通省航空局安全部無人航空機安全課の梅澤大輔課長らがあいさつや講演に登壇した。
開会式ではJapanDrone初の地方開催への祝意が示されたほか、内閣官房の小熊参事官は「ドローンの利活用に積極的な九州、福岡での開催は頼もしく嬉しい」と歓迎した。国交省の伊藤課長は「豪雨災害などが起きている九州での開催は、孤立地域への物資輸送などでドローンの活用が期待される中、ますます迅速な対応につながる」と述べた。
JUIDAの鈴木真二理事長は、開会宣言のさいに開催前日の12月5日に改正航空法の施行によってレベル4を可能にする制度が整ったことに触れ、「世界的にも画期的」と改めてコメントした。続く「ドローン、空飛ぶクルマの技術ならびに制度の世界の最新動向」では、ドローン歴史、法制度の世界的な方向性、「リスクベース」「ユースケース」「パフォーマンスベース」の考え方、今後の課題などを整理した。また近く東大出版会から『ドローン活用入門 レベル4時代の社会実装ハンドブック』を出すことを案内した。
ドローンの活用に関するパネルディスカッションも開催されている。「災害時の支援物資輸送におけるドローン活用」には、国交省総合政策局技術政策課の伊藤真澄課長、株式会社プロドローンの戸谷俊介代表取締役社長が登壇し、ブルーイノベーション株式会社の熊田貴之代表取締役社長がファシリテーターを務めた。パネルでは国交省の伊藤課長が、災害分野だけでも、国交省内の水管理・国土保全局、鉄道局、港湾局、気象庁など複数の部局にまたがって活用している事例を紹介し、高ペイロード機の開発や、河川上空を飛行ルートに活用する取り組みを報告した。プロドローンの戸谷社長も高ペイロード対応を「空飛ぶ軽トラ」と称して取り組みを進めていることや、災害時のドローン活用として、水素自動車の活用を提唱した。
開場では多くの笑顔もあふれた。
卒業後の深いコミュニケーションを図る取組に積極的なことで知られるドローンスクール、一般社団法人ドローン大学校が設置したブースでは、開場直後から卒業生が続々とブースに集まり、近況報告をしあって笑顔を見せていた。
水中ドローンの利活用にも積極的な株式会社ジュンテクノサービス、CFD販売株式会社ブースには、代表の引野潤氏、ササモモ(佐々木桃子)氏ら、名の知れた担当者がブースにたって説明。YouTubeなどを通じて彼らの活動を知るファンが来場者し声をかける姿もみられた。
このほか、体験会支援などで名の知れたドローンジョプラスや、メーカー、プロバイダー、スクールなど第一線で活躍する出展者が12月7日まで来場者を迎える。
12月6,7日の「JapanDrone福岡」にレベル4関連技術続々 1.6gリモートIDやコンパクト突風発生装置
JapanDrone福岡きょうから 定員超える申し込みの講演も
KDDIスマートドローン株式会社(東京)は10月16日、「AIドローン設置に関する説明会」を東京・高輪の本社で開き、KDDI株式会社(東京)とKDDIスマートドローンが10月15日に能登地域4カ所に米国Skydio社のAIドローン「Skydio X10」と基地となる「Skydio Dock for X10」を配備し、遠隔運航実証を実施したことを、同日の映像をまじえて説明した。また、定期運航させるサービスを10月16日から24時間365日対応に拡充させたことや、必要時にだけ運航に応じる「スポット運航サービス」も11月に始めるなど、遠隔運航サービスの拡充と新機能の追加を発表した。
説明会は7月1日に正式にオープンした高輪ゲートウェイ駅に隣接する新本社内で行われた。会場には運航指揮者が準備し、オペレーションが実演できる態勢を整えていた。実際、石川県に配備している4機のドローンを、報道陣の前で運航する計画をたてていたが、石川県内での荒天で断念した。説明会では現地の雨量が7mmを超えたことが報告された。「雨量7mm」は、1時間に1㎡あたり7ℓの雨が降る強さで、本降りに相当する。このため説明会では、前日の15日に行われた実証の動画をまじえて4機の運用例をまじえて説明した。
説明会では冒頭、KDDIスマートドローンの博野雅文代表取締役社長が、石川県内の輪島市に2台、七尾市に2台のドローンを配備したことを説明し、日本国内に1000台のAIドローンを配備する計画が具体的に始まったことを説明した。
配備したドローンは通常時に点検や測量など主に空からの情報収集に使われるほか、災害発生時に現地の状況を確認するために急行するなど、平時、平時と災害発生時と両面で活用することを念頭に配備していると説明した。説明会では前日の10月15日に石川県内で実施したドローンの運用実証の様子を動画などを活用しながら説明した。
具体的には輪島市、七尾市の機体をKDDI高輪本社(東京都港区)、KDDIスマートドローンアカデミー新十津川校(北海道樺戸郡)に待機したオペレーターが遠隔運航を実施した様子が説明された。その中ではトンネルの3Dモデリング空撮と橋梁点検を進めているときに地震が発生した想定で、オペレーションが緊急時に移行するシナリオが披露された。博野社長は「平時利用から有事利用への移行オペレーションを通じて、BCP(事業継続計画)を想定したシナリオで実証した」と説明した。なお1人のオペレーターが2機を運航する1対2運航で行われた。
また説明会では遠隔運航サービスの拡充も発表された。事前に設定したスケジュールにそった定期飛行サービスを24時間365日対応するサービスに拡充したほか、災害発生時などのニーズに対応する「スポット運航サービス」も設定した。23時間365日の定期運航サービスは10月16日に導入をはじめた。スポット運航サービスは11月1日の提供開始を予定している。
KDDIスマートドローンの測量士が、点群データの取得・生成、出来形や体積差分の算出・報告書作成までを一貫して行うワンストップサービス「測量パッケージ」も10月16日に開始した。米シリコンバレー初のAI活用型IoTソリューション開発を手掛けるMODE社,の現場特化型AIアプリケーション「BizStack」と連携させ、ドローンが撮影した画像・映像データを遠隔で取得できる「MODE連携機能」を追加することも発表し、2025年内に提供をはじめる計画だ。
博野社長は「ドローン運用の手間をゼロに、の実現のため、今後も邁進したい」と決意を表明した。
能登地域4箇所にAIドローンを常設:https://kddi.smartdrone.co.jp/release/9459/
SkydioとKDDIが資本業務提携:https://newsroom.kddi.com/news/detail/kddi_nr_s-4_3362.html
石川県とKDDI、創造的復興へ連携協定:https://newsroom.kddi.com/news/detail/kddi_nr-302_3559.html
24時間365日定期運航などサービス強化:https://kddi.smartdrone.co.jp/release/9429/
新機能の追加詳細:https://kddi.smartdrone.co.jp/solution/monitor/
遠隔運航サービス紹介動画:https://youtu.be/CHLQnKkefOU
MODE連携紹介動画:https://youtu.be/mesewNbiPwQ
大林の事例リリース:https://kddi.smartdrone.co.jp/release/9144/
清水建設の例動画:https://www.youtube.com/watch?v=PP5UPmAmSSc
石川県県警の例リリース:https://newsroom.kddi.com/news/detail/kddi_nr-552_3833.html
石川県と県警の事例動画:https://www.youtube.com/watch?v=0MqLTdkpIus&feature=youtu.be
ドローン物流と既存物流を融合させた「新スマート物流」を提唱、展開している株式会社NEXT DELIVERY(小菅村<山梨県>、田路圭輔代表取締役)は10月8日、足利市<栃木県>、足利市内で燃料小売などのカーライフサポートを手がける両毛丸善株式会社 (河内覚代表取締役)と3者で、足利市内での新スマート物流の実施を見据えて「新スマート物流社会実験に関する覚書」を交わした。ドローン事業専門の部署を持つ両毛丸善がドローンの運航を担う。災害時にも通常時にも物流機能を担う運用を目指し、飛行ルートの検証などの可能性を探る。早ければ来年(2026年)1月にも運航に着手する。
3者による覚書の締結は足利市役所内で行われた。新スマート物流の可能性について研究するため相互に協力する。具体的には足利市内で新スマート物流の拠点整備や災害発生時にも緊急物資輸送に使えるルートを検証したり、中山間地などの物流困難地域への物資輸送をしたりすることなどを盛り込んでいる。
地元の企業、両毛丸善が新スマート物流の社会実験を推進し、足利市が地域コミュニケーションやフィールド調整など行政としてサポートする。これまで新スマート物流はNEXT DELIVERYが中心に運用してきたが、今回は地元企業が中心となる点が特徴で、地元企中心のフェーズフリー型新スマート物流のモデルケースを目指す。
NEXT DELIVERYの田路圭輔代表取締役は「両毛丸善さまという地元企業とパートナーを組むことができました。このように地元主導でしっかり新スマート物流を実装に向けて進めるのは、今回がはじめてのケースになると思います。ドローンの運航というのは機体の操縦だけではなくて、運航、システム、着陸地点の調整などすべきことがいろいろとあります。それをわれわれと同じクオリティで担える地元の事業者を探しておりましたが、両毛丸善さまはすごいチームもありビジョンも持っていて、展開できると確信しています。必ずや成功させたいと思っていますし、そのためにわれわれが持つ技術やノウハウを注ぎ込み、われわれのオペレーションを完全に移植して参ります」とあいさつした。
両毛丸善の河内覚代表取締役は「ドローンの利便性、将来性に着目し4年前にドローン事業の準備に入り、3年前に事業に着手しました。空撮、農薬散布に取り組みながら、究極の目的であった物流への参入が難しかったところで、今回、覚書を締結できることになり嬉しく思っております。ハードルは高いですが、災害時も平時も使えるようドローンを使った物流で地域貢献、地域課題解決にさらに力をいれて参ります」と応じた。
足利市の早川尚秀市長は、「NEXT DELIVERYさまとは2年前に実証実験を共同で行いました。今回は両毛丸善さまに入って頂いたことが大きいです。両毛丸善さまの大きな決断で覚書が買わせました。われわれも全力で支えます。まずは実験を積み重ね、近い将来ドローンも使った物流に向けた大きな一歩になると思っています。足利のような歴史ある町で、ドローンの先端の取り組みが行われ、地域課題の解決につなげることが大切だと思っています。まち全体が実験場というつもりで、市としても実装までしっかり役割を果たし、協力しながら成功に導いていきたいと考えています」と抱負を述べた。
締結式の会場には、足利市の実験に投入される機体「PF4」も持ちこまれた。PF4はNEXT DELIVERYがモンゴルで活用していて、日本国内の連携協定などの提携の会場で公開されたのはこの日が初めてだ。5㎏の荷物を往復40㎞の範囲を自動航行で飛行させることができる。NEXT DELIVERYの田路代表は「それまでのAirTruckという機体より詰める箱が大きくなり飛行速度も速くなりました」と説明した。さらに、「ドローン配送は、定期配送の可否が社会実装のカギだと思っています。たとえば毎日午後4時に必ず1便飛ぶ、と決めてそこに地域の荷物を持ちこんでもらって飛ばす。災害があったときに避難生活を送っている方に届けるようなものを普段からそのルートで運び続けるわけです。一日1便から2便、3便、4便と増え、その地域では両毛丸善さんのドローンが毎日飛ぶようになると、それまでとはまったく違う世界になると思っています」と展望した。
足利市は2021年の山林火災対応をきっかけに、災害時の空のトラブルを防ぐための
「緊急用務空域」の仕組みが創設されるきっかけとなった地域で、ドローンの運用にとって新たな枠組みが生まれた地域として知られている。
ドローン機体構造技術の株式会社エアロネクスト(東京都渋谷区、田路圭輔代表取締役社長・グループCEO)は、独自の特許取得済み重心制御技術「4D GRAVITY®」を搭載した物流専用ドローン「PD4B-M-AN」を、株式会社プロドローン(愛知県名古屋市、戸谷俊介代表取締役社長)と共同開発し、名古屋市で開催された第4回ドローンサミットで発表した。
物流専用ドローンPD4B-M-ANは4つのローターを持つマルチコプターで、バッテリーを含む機体重量は20㎏。最大3㎏までの荷物を運べる。4D GRAVITYの技術を取り入れた荷室を、機体の本体と分けたうえで結合していて、飛行中にドローンが進行方向に前傾しても荷室は前傾せず、荷物が傾かない構造になっていることが特徴だ。これにより飛行性能、機動性の向上も図れる。
エアロネクストとプロドローンは2024年2月に4D GRAVITYテクノロジーライセンス契約を締結していて、プロドローンの汎用機体「PD4B-M」に4DGRAVITYを取り入れた。
エアロネクストの子会社、株式会社NEXT DELIVERY(小菅村<山梨県>)が受託した「あいちモビリティイノベーションプロジェクト空と道がつながる愛知モデル2030」の物流ドローン社会実装モデル推進事業として近く、現場で飛行する予定だ。
千葉・幕張メッセで開催中の農業技術関連展示会「農業WEEK」で、株式会社NTT e-Drone Technology(NTTイードローン、朝霞市<埼玉県>)が発表した鳥獣害対策専用ドローン「BB102」の展示に来場者が集まっている。ブースでは担当者からこれまでの実験の様子や今後の展開などに聞くこともでき、来場者から「発表されていない現場での実験の様子なども聞くことができ、期待が高まった」などの声が聞かれた。農業WEEKでは株式会社石川エナジーリサーチ(太田市<群馬県>)や中国・上海のポジショニング技術のCHC Navigation(CHCNAV)などそのほかのドローン関連技術や自動操舵技術も展示されている。開催は10月3日まで。
NTTイードローンの鳥獣害対策専用ドローン「BB102」は農業WEEKの「NTTグループ」ブースで出展されている。取り回しのよさなどで農業関係者から評価の高い散布ドローン「AC102」を見にきた来場者が、その隣に展示してある「BB102」を見つけ、足をとめて説明に聞き入り、ひとだかりができていた。
展示ブースではBB102が黒い布に赤色と緑色をランダムに照射する様子が実演されていて、担当者から緑の色が鳥獣の痛点を刺激することや、赤い色がエサのようにみえることなどが説明された。
イードローンが9月30日に発表したプレスリリースには、効果が確認された鳥獣として、カラス、ハト、イノシシ、シカ、カワウ、サギ、ハクビシンなどが示されていたが、ほかにも効果的な鳥獣があるなどの話を聞くこともできる。担当者に聞くと、全国で被害が広がっているクマも、このレーザー照射にいやがる様子を見せたと話していて、今後の検証次第ではさらなる効果が期待できそうだ。その場合、クマの出没現場にどのようにドローンを飛ばすか、など具体的な対応法も論点になる可能性がある。
このほか、ある湖で実験したらはっきりと鳥獣がいやがる様子を見せたことなどの実験現場の話も聞くことができる。
農業WEEKではイードローンのほかにも、石川エナジーリサーチの農業用ドローン、CHCNAVのリモートセンシング技術、自動操舵技術などが展示されている。
農業WEEKはRX Japan株式会社が主催し、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、日本農業法人協会農業が後援する、「国際スマート農業EXPO」「次世代農業経営EXPO」など5つの農業関連展示会をまとめたイベントの総称で東京会場(幕張メッセでの開催)は今回が15回目。主催者は「J-AGRI(ジェイアグリ)」の呼び方の定着を目指している。九州でも同じ趣旨の展示会を開催していて、第4回九州農業WEEKが2026年5月27日から29日まで益城町<熊本県>の展示会場、グランメッセ熊本で開催される予定だ。
参考:イードローンが鳥獣害対策機BB102発表
AI、ロボティクスの社会実装推進事業を手掛けるGMO AI&ロボティクス商事株式会社(GMO AIR、内田朋宏代表取締役社長)は9月30日、「ロボット人材派遣型サービス」に中国・深圳のロボットスタートアップEngine AI社製のヒューマノイドロボット「PM01」をラインナップに加え、2026年1月から派遣を始めると発表した。
「PM01」は世界で初めて前方宙返りを達成した高い身体機能で話題になったヒューマノイド。イベント、研究など幅広い分野での活用が期待できる。GMO AIRは「ロボット人材派遣型サービス」として技術指導、ソフトウェア開発サポートも支援する。「PM01」を開発したEngine AIは、自動車と空クルを融合させた「Land Aircraft Carrier」を開発したシャオペンエアロ(XPENG AEROHT)のシャオペン系のテクノロジー企業グループの一員で、高い技術力で知られる。
GMO AIRは「PM01」について、ダイナミックな身体能力、柔軟なカスタマイズ性、アイアンマンに着想を得た洗練されたデザインの3点を主な特徴にあげ、「イベントや展示会で圧倒的な演出力を実現する」と説明している。
GMO AIRは、2025年4月から「ロボット人材派遣型サービス」を展開。4足歩行ロボット、ヒューマノイドロボットの中国・Unitree社(宇樹科技)のヒューマノイド「G1」を中心にエンターテインメント、研究機関、実証実験などの現場に派遣している。2026年2月にはAIとヒューマノイドロボットを手がける中国・UBTECH Robotics社(優必選科技)の「Walker E」の派遣も予定している。「PM01」が追加することでラインナップが充実する。
■サービスURL:https://ai-robotics.gmo/lp/robot-haken/
■GMO AIRについて:https://ai-robotics.gmo/
■GMOインターネットグループ株式会社について:https://group.gmo/
株式会社NTT e-Drone Technology(NTTイードローン、埼玉県朝霞市)は9月30日、鳥獣害対策専用ドローン「BB102」を発表した。搭載したレーザーで赤色と緑色をランダムに照射して鳥獣に強い違和感を与え退避行動を促す。カラス、ハト、イノシシ、ハクビシンなど幅広い鳥獣への効果が確認されたという。イードローンは「BB102」を2025年10月1日に提供を始める。10月1日に千葉・幕張メッセで開幕する展示会「農業WEEK」では、NTTグループブースで公開する。価格は「オープン価格」としている。
鳥獣害対策専用ドローン「BB102」はレーザーを搭載していることが特徴で、一般社団法人地域総研(東京)が2018年1月に実用新案登録証と商標登録証を取得した「クルナレーザー」をドローンに活用した。ドローンは自動航行機能も備える。レーザーを搭載した鳥獣害対策専用ドローンは例がないとみられる。
仕組みは赤色と緑色のレーザーをランダムに照射するもので、これが鳥獣に強い違和感を与え退避を促すという。鳥獣が慣れてしまうことへの対策としてスペックルノイズ(ちらつき)を生じさせ、忌避効果を持続させる工夫もこらした。
農林水産省によるとイノシシ、シカ、カラスなどによる農作物被害は年間約200億円規模にのぼるうえ、鳥インフルエンザ、豚熱など畜産業での防疫対策も深刻で、「BB102」で農作物被害抑制と鳥獣害対策業務の負担軽減との両立を目指す。カラス、ハト、イノシシ、シカ、カワウ、サギ、ハクビシンなど多くの鳥獣への効果が確認されていて、実験では水田、果樹園、山林、湖などさまざまな環境での有効性を示した。
イードローンによる発表は以下の通り。
株式会社NTT e-Drone Technologyは、全国的に深刻化する鳥獣害問題に対応するため開発・製造した、鳥獣害対策専用ドローン「BB102」の提供を2025年10月1日(水)より開始いたします。レーザー搭載の鳥獣害対策ドローン(国内初)による高い忌避効果と自動航行機能により、農作物被害の抑制と鳥獣害対策業務の負担軽減を両立します。
1.背景と目的
イノシシやシカ、カラスなどによる農作物被害は年間約200億円規模(※1)にのぼり、深刻な社会課題となっています。さらに、鳥インフルエンザや豚熱など畜産業における防疫対策も喫緊の課題です。
当社はこれまで農業用ドローン等の提供を通じて農業分野における省力化・効率化を支援してきましたが、今回新たに提供する「BB102」はこれまでの技術を応用し、鳥獣害対策に特化して開発した国産ドローンです。農作物の被害減少に加え、鳥獣害対策に要する人的・時間的負担の軽減を図ることで、第一次産業全体の持続可能性向上に寄与します。
※1:数値データは、農林水産省HPより出典
2.製品概要と特長
「BB102」は、上空から広範囲にレーザー照射を行えるため、地上設置型では難しかった屋上や高所を含む鳥害対策を実現します。
<特長1>「クルナレーザー(※2)」による忌避効果
赤色と緑色のレーザーをランダムに照射し、鳥獣へ強い違和感を与え退避を促進させます。また、慣れへの対策としてスペックルノイズ(ちらつき)を生じさせ、忌避効果の持続性を高めています。
※2:一般社団法人地域総研の登録商標
<特長2>自動航行機能
送信機の画面で飛行範囲を設定するだけで自動航行が可能です。養鶏場や牛舎など、広範囲のエリアを効率的に対策できます。
<特長3>FPVカメラ搭載
送信機の画面上で屋根や高所の確認が可能です。鳥獣害対策に加え、点検用途にも活用できます(目視外飛行不可)
<特長4>幅広い鳥獣への効果
カラス、ハトなどの鳥類、イノシシやシカ、さらにカワウ・サギ・ハクビシンなど、多様な鳥獣に対する忌避効果が確認されています。水田、果樹園、山林、湖など様々な環境での実証実験でも高い有効性を示しました。
4.受付開始日
2025年10月1日より開始
※デモ会、説明会、意見交換会等のご要望にも対応します。
5.価格
オープン価格
<参考>展示情報
第15回農業WEEK(会期:10月1~3日、会場:幕張メッセ)NTTグループブースにて「BB102」を展示します。