ドローンの大型展示会JapanDroneの地方開催版、「Japan Drone / 次世代エアモビリティEXPO in 九州(福岡)」が12月6日、福岡国際展示場で始まった。講演、展示とも開場直後から多くの来場者でにぎわった。来場者はレベル4に関連した展示や、デモフライトや初出展、初公開のブースに足を止めた。顔なじみの多い出展者のブースでは、再開に笑顔がはじける場面もみられた。講演では前日施行された改正航空法を盛り込んだ発言が相次いだ。JapanDrone福岡は12月7日まで開催される。
JapanDrone福岡は福岡国際会議場4階の「中・小会議室ゾーン」を全面活用し、2~3の会議室をつなげて展示ホールや講演会場に仕立てている。出展各社が最新の技術や、会場の大きさに合わせた機体を盛り込んでいる。出展企業によっては、デモンストレーションも実施している。
初日、最初に人だかりをつくったのはブルーイノベーション株式会社だ。同社は設置した自社ブースにフライトエリアを設け、同社が提携しているスイスFlyability社の球体点検ドローンELIOS3の飛行を実演した。実演時には報道陣のカメラを含め、多くの来場者が押し掛けた。
ほかにも実機を持ち込んだ出展者のブースが、機体を確認したい来場者の足を止めた。ciRobotics株式会社の物資搬送用ドローン「TR-22」は、今回の展示の中では大きな機体で、会場入り口で来場者を迎えるように展示されている。苗木や資材の搬送や、災害時の緊急支援物資の運搬での活用を想定したウィンチ搭載ドローンで来場者が足を止めて撮影していた。
株式会社kiipl & nap(キプランドナップ)はブースに最大積載量49㎏の特殊大型ドローンEAGLE-49や、自立四足歩行する犬型ロボット「SPOT」など特殊機体を並べた。中でも注目されていた出展のひとつが、煙突や立て坑の点検ソリューション「IIC360°」だ。
「IIC360°」は360度撮影カメラのユニットとドローンがセットになっていてる。ドローンは煙突の真上でホバリングし、細いワイヤーで吊り下げられた撮影ユニットだけを煙突内にウインチでスルスルと降ろしていき、その間に動画で撮影する。撮影の方向や角度は自由に変更でき、ライトで照らすこともできる。撮影ユニットはマイクロドローンのようなプロペラが装着されていて、煙突内を撮影中にクルクルと回転しないよう姿勢を制御できる。撮影が終われば撮影ユニットを巻き上げることもできるが、搭載されたカッターでワイヤーを切り、ユニットを床に降ろして回収することもできるため、環境に応じて選択ができる。担当者は「人が高いところにのぼることがなく、ドローンそのものを煙突内に入れる必要もないのでリスクも時間も抑えられることが特徴です」と話す。
株式会社MAX工業のブースには、株式会社ACSLの「PF2-AE Inspection」が置かれた。展示会で見かけることが少ない機体とあって、事情を知る来場者が担当者に話しかけていた。双葉電子工業株式会社は安全性に重点をおいた産業用ドローン「SkyBuddy」を紹介。
空飛ぶクルマの開発を進めているHIEN Aero Technologies株式会社は、長距離大型VTOL「HIEN Dr-One」の1/4モックを、独自の発電制御技術を搭載したガスタービンハイブリッドシステム「DRAGON」の原寸大モックとともに展示している。イームズロボティクス株式会社もブースを構えてソリューションを展示しているほか、機体も展示して来場者が写真に収めている。
レベル4を見越した展示や、地元産業への展開を見据えた展示も来場者の関心を集めていた。
株式会社Braveridge のブースでは、1.6gの小型、軽量のリモートID「リモートID mini」が展示され、来場者が小ささを確認するようにのぞき込んでいる。19×19mmと小さいため、卓上に置いてあっても展示物を気づかれない。このため、ライトが埋め込まれた展示台に、現在品と比較できるように展示するなど小さいものを目立たせる工夫が凝らされている。1.6gは基盤だけの重さで、搭載するときにはアンテナ、電源線が必要になる。このためアンテナ、電源線をつけたものもそのわきに展示してある。2023年3月の発売を予定していて、来場者は発売前に実物が確認できる。
ドローン開発用のコンパクト風洞装置を持ち込み、風を出す様子を見せて関心を集めているのが株式会社日本風洞製作所の「Aero Optim」だ。JapanDrone福岡での展示が初出展となる。ドローンに限らず、自転車など風洞実験が必要な開発事業者が、実験装置まで出向く時間、手間を省くことを可能にしたコンパクト設計で、可搬式であることも特徴だ。扇風機の風のように渦を巻いた乱れの多い風ではなく、整った直進性の高い風を送り出すことができる。最大風速は15m/s(54㎞/s)で、ユニットを連結させたり、吹き出しの角度を変えたりすることも可能だ。
株式会社オーイーシーは、樹木が並ぶ森林をドローンで撮影して資源量を測定するスマート林業サービス「Forestory(フォレストリー)」のソリューションを展示している。担当者が林業従事者の苦労を減らす工夫を、タブレットやパネルなどを使いながらていねいに説明しており、多くの来場者がブースで足をとめ、共感している。オーイーシーのForestoryでは、ぶつからないドローンとして知られるSkydio2+を使う。森林内を飛行させて樹木を撮影し、手持ちカメラで撮影した画像とともに独自開発のソフトウェアで解析すると、検出された樹木の径が高さごとに推計された結果が表示され、生育状況が確認できる。一般には林業従事者が森林内で一本一本測定するが、担い手の減少に伴い、資源管理が難しくなってる。「テクノロジーで負担を軽減させることができれば」と話している。
東京電力ホールディングス株式会社も磁界結合方式と電界結合方式のワイヤレス電力伝送(WPT)システムを展示し、関心ある来場者が見入る姿が見られた。ドローンへの自動充電が可能になる。ブースには開発担当者が来場者からの質問に答える姿が見られた。
この日は開場に先立って行われた開会式や講演で、ドローンやエアモビリティ行政に携わる内閣官房小型無人機等対策推進室の小熊弘明参事官、国土交通省総合政策局技術政策課の伊藤真澄課長、経済産業省製造産業局産業機械課次世代空モビリティ政策室の石尾拓也室長補佐、国土交通省航空局安全部無人航空機安全課の梅澤大輔課長らがあいさつや講演に登壇した。
開会式ではJapanDrone初の地方開催への祝意が示されたほか、内閣官房の小熊参事官は「ドローンの利活用に積極的な九州、福岡での開催は頼もしく嬉しい」と歓迎した。国交省の伊藤課長は「豪雨災害などが起きている九州での開催は、孤立地域への物資輸送などでドローンの活用が期待される中、ますます迅速な対応につながる」と述べた。
JUIDAの鈴木真二理事長は、開会宣言のさいに開催前日の12月5日に改正航空法の施行によってレベル4を可能にする制度が整ったことに触れ、「世界的にも画期的」と改めてコメントした。続く「ドローン、空飛ぶクルマの技術ならびに制度の世界の最新動向」では、ドローン歴史、法制度の世界的な方向性、「リスクベース」「ユースケース」「パフォーマンスベース」の考え方、今後の課題などを整理した。また近く東大出版会から『ドローン活用入門 レベル4時代の社会実装ハンドブック』を出すことを案内した。
ドローンの活用に関するパネルディスカッションも開催されている。「災害時の支援物資輸送におけるドローン活用」には、国交省総合政策局技術政策課の伊藤真澄課長、株式会社プロドローンの戸谷俊介代表取締役社長が登壇し、ブルーイノベーション株式会社の熊田貴之代表取締役社長がファシリテーターを務めた。パネルでは国交省の伊藤課長が、災害分野だけでも、国交省内の水管理・国土保全局、鉄道局、港湾局、気象庁など複数の部局にまたがって活用している事例を紹介し、高ペイロード機の開発や、河川上空を飛行ルートに活用する取り組みを報告した。プロドローンの戸谷社長も高ペイロード対応を「空飛ぶ軽トラ」と称して取り組みを進めていることや、災害時のドローン活用として、水素自動車の活用を提唱した。
開場では多くの笑顔もあふれた。
卒業後の深いコミュニケーションを図る取組に積極的なことで知られるドローンスクール、一般社団法人ドローン大学校が設置したブースでは、開場直後から卒業生が続々とブースに集まり、近況報告をしあって笑顔を見せていた。
水中ドローンの利活用にも積極的な株式会社ジュンテクノサービス、CFD販売株式会社ブースには、代表の引野潤氏、ササモモ(佐々木桃子)氏ら、名の知れた担当者がブースにたって説明。YouTubeなどを通じて彼らの活動を知るファンが来場者し声をかける姿もみられた。
このほか、体験会支援などで名の知れたドローンジョプラスや、メーカー、プロバイダー、スクールなど第一線で活躍する出展者が12月7日まで来場者を迎える。
12月6,7日の「JapanDrone福岡」にレベル4関連技術続々 1.6gリモートIDやコンパクト突風発生装置
JapanDrone福岡きょうから 定員超える申し込みの講演も
東日本旅客鉄道株式会社(東京、JR東日本)は、高輪ゲートウェイ駅(東京都港区)一体型の都市開発エリア、TAKANAWA GATEWAY CITYで8月23日、300機のドローンを使った「ドローンショー in Summer」を開催する。人が多く空港に近いうえ電波干渉対策も要するなど、都心開催につきまとういくつもの条件をひとつひとつクリアし、今回の実現にこぎつけた。観覧希望者はJR東日本がTAKANAWA GATEWAY CITYアプリで募り、先着順で予約を受け付けた。受付はすでに修了している。
ドローンショーは、TAKANAWA GATEWAY CITYが目指す姿を周知する目的で開催される。ショーは午後7時、午後8時半の2回、行われる計画で、TAKANAWA GATEWAY CITY内のTHE LINKPILLAR 1 SOUTHに「特別観覧エリア」を設け、予約した200人を招待する。開始前には屋内ドローンショーも予定している。天候要因などにより中止になりうることを説明している。
JR東日本は、グループ経営方針「勇翔 2034」でエアモビリティを活用したビジネスの創造を掲げていて、TAKANAWA GATEWAY CITY ではその方針に基づき新たな移動・物流・エンターテインメントの可能性を探っている。すでに米ASKA社のAAMのモックアップ展示や、点検用ドローンを使ったドローンレースの開催などを進めていて、ドローンショーの実施もその一環としての取り組みだ。
JR東日本は「今後も新たなドローンの活用方法を模索してまいります」とコメントし、「ドローンが当たり前に飛ぶ未来」の創造を目指す。
施設に不正にもぐりこみ置いてある端末からネットワークに侵入するリスクが高まる中、施設への実際の物理的な侵入とサイバー攻撃の両方のリスクを確認する診断サービスを、サイバーセキュリティ事業者と警備大手が手を組んで実施する。実施するのはドローンとつながりの深いGMOサイバーセキュリティbyイエラエ株式会社(東京)とALSOK株式会社(東京)。すでに重要インフラ企業、防衛産業などに提案活動を進めており、9月にサービスを開始する計画だ。
GMOインターネットグループでサイバー攻撃対策事業を展開するGMOサイバーセキュリティbyイエラエとALSOKは7月29日、物理空間からサイバー空間まで一気通貫で不正侵入リスクを可視化するセキュリティ診断サービス「ALSOK & GMO サイバー物理ペネトレーションテスト」を開発したと発表した。発表時には東京・用賀のGMOインターネットTOWERに関係者が集まり報道陣向けに説明会を開いた。
「ALSOK & GMO サイバー物理ペネトレーションテスト」は、巧妙化、複雑化するサイバー攻撃への備えのためのサービス。サイバー攻撃では攻撃者が企業や組織などの外からメールなどを通じてネットワークに侵入して重要データの漏洩などを仕掛けるが、サイバー攻撃への防御が進むにつれ、施設そのものに攻撃者が侵入し、施設内の端末を使ってネットワークに侵入する手口が増え始め、金融庁などが警鐘を鳴らしている。このため、物理的に施設に入り込まれるリスクがどの程度あるか、そのうえでサイバー攻撃がしかけられるリスクがどの程度あるか、を同時に診断するサービスを開発した。
テストでは、企業や団体などの依頼に応じて、指定された拠点に侵入するための方法を攻撃者の視点で検討する。拠点には許可された人が開錠したさいに続けて入り込む共連れやICカードの偽装して侵入を試み、侵入に成功したら、不正端末の接続などサイバー攻撃の足掛かりを探索し、ネットワークに入り込んで情報搾取を試みる。攻撃者の視点でテストすることで、防御の脆弱な個所を浮き彫りにする。侵入後には脆弱性や改善策をまとめたレポートを依頼主に提出することで、攻撃への備えに役立てる。
このテストでは、拠点への物理的な侵入の部分をALSOKが担い、サイバー攻撃部分をGMOイエラエが担った。ALSOKは新サービス開発にあたり、物理侵入を足掛かりとしたサイバー攻撃に焦点を当てた、新たなセキュリティ診断サービス「ALSOK物理ペネトレーションテスト」を開発し、GMOの診断と連結させサイバー空間まで一気通貫で不正侵入リスクを可視化する「ALSOK & GMO サイバー物理ペネトレーションテスト」を仕上げた。なお物理ペネトレーションテストの専門ベンダーBarrierCrack合同会社(東京)も開発に参画し技術提供を受けた。
GMOインターネットグループ株式会社の西山裕之取締役グループ副社長執行役員は「GMOグループは創業以来『すべての人にインターネット』のキャッチフレーズをかかげインターネット社会の発展に邁進し、現在1700万件以上のご活用を頂いています。しかしながら昨今、インターネットを悪用した犯罪が蔓延しており、その手法がますます高度化、頻発化しています。このため今年度より『ネットのセキュリティもGMO』をかかげ、さまざまな施策を進めすことにしました。インターネット社会の発展のために、サイバーセキュリティの課題に真摯に取り組んでいきたい。いまやリアルとネットは切り離せません。交通、物流、金融、医療、行政、あらゆるインフラはネットワークが前提です。ALSOKさまとの取り組みを通じて、リアルとネットの両面で安全、安心の社会の実現に貢献したいと願っています」と述べた。
ALSOKの佐藤将史執行役員は、2025年7月16日に創立60周年を迎えた機会に社名を綜合警備保障株式会社からALSOK株式会社に変更し、ブランドスローガンとして「ALwayS OK」を掲げたことを紹介し「警報を受信したら現場に駆け付けるインフラを使いひと、もの、かねを軸にセキュリティを提供し、2000年初頭の法改正以降、情報も含め物理的側面から守ることを続けてきました。今後は確かな現場対応力を武器にサイバー領域の業容を拡大したい。そこでGMOさんとタッグを組んで開発した商材が『ALSOK & GMOサイバー物理ペネトレーションテスト』です。われわれの60年の守りのノウハウを攻撃者の視点に活用することで物理侵入を足掛かりにしたサイバーセキュリティにフォーカスした新しいチャレンジです」と述べた。
GMOサイバーセキュリティbyイエラエの牧田誠代表取締役CEOは、「われわれはサイバーセキュリティの会社で、ホワイトハッカーが日本で一番多く所属していることが特徴です。ハッキングコンテストでも優勝、世界一などを受賞しています。そんなわれわれがしていることは脆弱性診断、侵入テスト、ペネトレーションテストです。1万2600件ほど実施しています。ゼロデイも研究していて、年間100件ぐらい見つけ報告しています。これは研究なので商売ではなく見つけたらボランティアで報告しています。ペネトレーションテストをするときには、攻撃者の視点を模します。WEBサイトがあれば、脆弱性を試します。スマホアプリならそこからの侵入ができないか探します。攻撃者は弱いところを狙います。資産を持つ側はインターネットでアクセスできないところに大事な資産をおこうということが進み、どんどん堅牢になっています。そうすると、攻撃者は次に弱いところを狙います。証券会社が侵入されて株価操縦されたという話は、銀行がセキュアになったことで次の標的になったとみられています。そちらがセキュアになると次にどうなるか。次の課題が物理の侵入です。日本は遅れている状況がありますので、そこが狙われるのではないかという懸念があります。ここをALSOKさまといっしょにテストをしてまいりたい。GMOでも物理セキュリティが大事ということで試してみたところ、3年前の実験では熊谷正寿グループ代表の部屋にカードキーを複製して侵入できてしまったことがあります。物理もサイバーも一気通貫で試すことが大事だと考えており、今回のサービスはそこに意義があると考えています」と述べた。
ALSOK商品サービス戦略部情報セキュリティサービス推進室長の小野浩司氏は、「国内における営業秘密の情報漏洩におけるダントツの1位は中途退職者によるものだそうです。金銭目的でUSBなどにより情報を持ち出して転職先や競合会社に提供するといったことです。サイバーセキュリティについては金融庁のガイドラインや、それを反映した金融情報システムセンターのリスクのコンピューターシステムの安全対策基準に物理セキュリティの言及がなされたこともあり、われわれも人材、管理意識、鍵を渡す人への信頼などを含めた「ALSOK物理ペネトレーションテスト」を開発しました。ビジネス拠点の物理 進入のリスク、侵入後に拠点内部からを行われるサイバー攻撃のリスクを探索し、その結果と解決策を提出するサービスです。ダークウェブでお客様のアカウント情報が漏れていないか、現地で外から入れそうなところはないかも調査します。拠点への進入経路や手段を調査し、建物に入ったら共連れで中に入れないか、清掃業者になりすまして内部に入れないか、ICカード偽装、社員証偽造、スキミングにより入れないかなどを調査します。さらにサイバー攻撃の足掛かりとして侵入後のサイバー攻撃の経路と手段の調査としてWi-Fiを通じた社内無線LAN無線へのアクセス、LANケーブルへの不正な端末の接続も試みたりします。調査内容は事前に主催者と調整しますが、攻撃活動を交えることでリスク対応を強化してまいります。物理の方はネットワークに侵入するまで、サイバーの方は侵入した後のリスクを評価します。実施後は施報告書を提出し 多面的な評価と効果的な改善提案をします。報告書の内容はエグゼクティブサマリー、実施概要、テスト実施結果 リスクと対策。これらを示し実効性の高い資料として対策の検討にご活用いただきたい。セキュリティレベルをさらに強化のため高度なセキュリティテストを継続的にご活用頂きたいと考えております」
さらに、先行的に6月に診断サービスをうけた株式会社あおぞら銀行の萩尾崇執行役員は「たくさんの気づきがありました。親切のつもりで行っていることが侵入者にとって重要な情報になることにも気づきました。不審物を仕掛けられて気づかないこともありました。整理整頓ができていない場所ではそういうことがある、ということも気づきでした。われわれは、社内に知らない人がいたときの声掛けを徹底していますが、さらに浸透させる必要性を感じました。また、(得意先に)ストラップ、名札、シャツなどの『あおぞらグッズ』を配っていましたが、こうしたものを身に付けている人を社員と誤認するリスクもあるので、配布の制限も検討することになり意識がかわりました」と経験談を話した。
GMOサイバーセキュリティbyイエラエの村田学ディフェンシブセキュリティ部副部長は、「一般的なサイバー攻撃でサイバーだけで完結するものはオフィスの外側に攻撃者がいます。データは中にあります。データが欲しい場合は、たとえば攻撃者はインターネット経由でユーザーの方にメールを送り、言葉巧みにマルウェアを開かせます。この場合はPCを中継地点として攻撃を仕掛けデータを取るという流れになると思います。標的型攻撃というところです。それ以外にもVPNの脆弱性、Wi-Fiの脆弱性を狙うこともあります。 wi-fi のアカウントを取って攻撃する形です。ポイントはどうやって中に入るかです。攻撃者が中にいたらどうなるか。ネットワーク内のどこかからコンピューティングリソースにたどり着ければ侵入目標は達成できてしまいます。ネットワークさえつながっていれば本社とは別の事業所でも全く同じ効果が得られます。つまり内部にいれば攻撃者にとっては、一気にショートカットできるのです。LANを構成するプロトコルは古く暗号化や相互認証が基本機能として備わっていません。また内部からの通信は信用しても大丈夫だろうという認証の省略も危険です。インターネットのセキュリティをしっかりやっていても 物理的な接触にはかなり弱い面が存在ありますので、今回の取り組みが活動の一助になればと思っております」などと述べた。
<リリース>
https://group.gmo/news/article/9608/
<参考>
■ALSOK & GMO サイバー物理ペネトレーションテスト
https://www.digitalsales.alsok.co.jp/service/cyber-physical-penetration-testing/
■ALSOK 物理ペネトレーションテスト
https://www.digitalsales.alsok.co.jp/service/physical-penetration-testing/
■GMOサイバーセキュリティ byイエラエ
GMOインターネットグループのGMO AI&ロボティクス商事(GMO AIR、東京)と日本未来科学館(東京・青海)は、8月25日からAI対話型ロボットの実証実験を日本科学未来館5階の常設展示ゾーンで実施する。4か国語を操るロボットが自律移動し、来館者に展示を紹介するなどコミュニケーションを取る。実験は8月31日まで。
GMO AIR などが行う実験は「『対話型AIロボット』」実証実験~ロボットによる未来のコミュニケーションを体験しよう!」がテーマで、8月25日(月)~8月31日(日)の期間中、11:00~13:00、15:00~17:00に日本科学未来館5階常設展示ゾーン「プラネタリー・クライシス」内で行う。
AI対話型ロボットは日本語、英語、中国語、韓国語の4か国語で来館者とコミュニケーションをとる。来館者に展示物についてきかれると、ロボットが位置情報から展示物を判断し、名称や解説を自然な対話で案内する。
ロボットはアプリケーション実装業務の約80%をAIが自動生成していることも特徴。GMO AIR によると、AIが自動生成したプログラムによるAI対話型ロボットの実証は、国内初の取り組みという。
コメ卸売大手の株式会社ヤマタネ(東京)は、写真コンテスト「棚田フォトコンテスト」の作品の募集を始めた。棚田の魅力と現状を広く伝え、保全への関心を高めることが目的で、美しい風景に限らず、荒廃してしまった現状を直視したものなども募っている。応募は画像データ、単写真で、DroneTribuneが確認したところドローンで撮影した作品も含まれる。応募は1人10点以内で10月31日正午まで応募サイトで受け付ける。
募集テーマは「日本の棚田、およびそこに関わる人々や、生態系などの棚田を取り巻く環境」で美しい風景だけでなく、荒廃してしまった場所の現状など、写真を見た人の棚田保全の関心に訴える作品を募集している。審査員は写真家の今森光彦氏ら。最優秀賞には10万円分の商品券と棚田米が贈られる。
ヤマタネは棚田について「棚田は、日本の原風景として多くの人々に親しまれてきました。昼夜の気温差が大きい中山間地にあることから、棚田で育つお米は甘みと粘りがあり格別の美味しさを誇ります。また、棚田は単なる農地にとどまらず、雨水を一時的に貯留して下流域の洪水を防ぐ“天然のダム”としての機能や、多様な生き物が生息する生態系の保全にも重要な役割を果たしています。しかし近年では、深刻な担い手不足や高齢化により、多くの棚田が耕作放棄地となり、荒廃の危機に直面しています」と伝えている。
またヤマタネと棚田とのかかわりとして「2024年から新潟県十日町市『星峠の棚田』(2.5ha分)の企業オーナーとなり、株主様をご招待した田植え体験を開催するなど、棚田保全に」取り組んできたことを紹介。コンテスト開催の目的を「棚田の魅力と現状を写真の力で広く伝え、保全への関心を高める一助となること」と位置付けている。
ドローンショー運営や機体開発を手掛ける株式会社ドローンショー・ジャパン(金沢市<石川県>)は、2025年7月26、27日に横浜市の山下ふ頭特設会場で開催されたMrs. GREEN APPLEの野外ライブで、1200機のドローンでバンドのロゴやメッセージを浮かび上がらせた。光を放つドローンで空間を彩るドローンショーの活用法としては、イギリスのロックバンド、オアシスが7月2日、再結成後ツアーの初日の会場上空でロゴを浮かび上がらせて話題になっており、ライブ会場などでの演出の活用が進みそうだ。
ドローンショー・ジャパンがドローンショーによる演出を制作、運営したのはMrs. GREEN APPLEのデビュー10周年を記念した『MGA MAGICAL 10 YEARS ANNIVERSARY LIVE ~FJORD~』。ライブのクライマックスでメジャーデビューミニアルバム『Variety』の1曲目として収録された「StaRt」の演奏中に、ドローンが上空でバンドのロゴや「THANK YOU ALL JAM’S」のメッセージを描いた。
実施にあたっては、安全を最優先にした飛行計画を綿密に練り、気象を監視したほか、ライブパフォーマンスとぴったりあわせるために音響チームと打ち合わせを重ね、楽曲の展開に合わせたドローンの動きを設計したという。
ドローンショー・ジャパンは全国の花火大会、イベントなどの演出やPR・マーケティングなどのドローンショーの制作、運営で多くの実績を持つ。屋内のドローンショーにも実施があり、ももいろクローバーZ結成15周年記念ソング「いちごいちえ」のMVでも最も盛り上がる箇所でドローンの演出を担っている。ドローンショー専用機体の開発にも力を入れていて、白を含む1600万以上の色で演出できる機体「DSJ MODEL-X」の活用も広がっている。
7月30日の津波注意報、津波警報を受けて、仙台市<宮城県>、一宮町<千葉県>が導入したドローン津波広報システムが作動した。注意報、警報を受けて自動でドローンが離陸し、沿岸地域にアラート音を流し高台への避難を呼びかけた。また仙台市、一宮町の担当部署は本部でドローンから届く映像で沿岸エリアの様子を確認した。ドローン津波広報システムの緊急時の作動は、今回が初めてとみられる。
ドローン津波広報システムはこの日、午前8時24分のカムチャッカ半島付近で発生した地震に伴う気象庁の津波注意報で作動した。仙台市、一宮町に配備されていたドローンはそれぞれ注意報を受けて離陸し沿岸に飛行、警報音を響かせたうえで高台への避難を呼びかけた。一宮町はドローントリビューンの取材に「午前9時40分に注意報が警報に切り替わったさいにも配備したドローンが2か所から出動した」と話した。
またドローンが避難を呼びかけながら搭載したカメラで撮影した映像を、両自治体とも本部で職員が確認した。
ドローン津波広報システムはブルーイノベーション株式会社(東京)が開発した遠隔制御システム、Blue Earth Plarform(ブルーアースプラットフォーム、BEP)を活用したシステムで、BEPをドローンポートに連携させた「BEPポート|防災システム」を構築して、現地向けに調整した。
仙台市はこのシステムを東日本大震災で津波避難広報中の職員と消防団員が犠牲なったことを受けて2022年10月に導入、サーファーが全国から集まる一宮町は2025年5月に運用を始めた。それぞれ試験運用、点検などでドローンを飛行させることはあるが、注意報などを受けた出動は今回が初めてとみられる。
一宮町が津波避難広報システムの運用を始めた5月20日には、馬淵昌也町長が「サーフタウンとしてみなさまに安心して頂けるレベルがはるかに上昇すると大変うれしく思っています」などと話していた。
この日の津波注意報、警報を受けて多くの沿岸自治体では消防車などが避難を呼び掛けて巡回するなどの対応をとった。避難誘導のために職員が現地に出向かうリスクの軽減にドローンの導入が進む可能性がある。