国家資格であるドローン操縦ライセンスの教習所「登録講習機関」になるための申請手続きをめぐる現状について、申請者側の事情にも当局側の事情にも精通している黒沢怜央氏(株式会社ジーテック代表取締役・行政書士)に聞く最新情報第3弾。登録番号が発番されたあとの講師研修や修了審査員研修の方法について掘り下げた。修了審査員の研修はすべてeラーニングで行われる見通しだ。(文中敬称略)
ーー登録番号の発番が始まったようですが、登録講習機関の講習開始に向けての手順を改めてお聞かせください。
黒沢 はい、私どもがサポートさせていただいているスクール各社にも登録免許税納付通知が出てきております。登録免許税の納付後に4桁の登録講習機関コードとTから始まる8桁の事務所コードが発番され、その後、登録証が郵送されることになります。発番後にやらなければならないことが多いので、流れをまとめてみます。次のようになります。(表1参照)
ーー登録講習機関コードが発番されたあと、講師研修を行う前に講習事務規定等の届出をする必要があるのですね?
黒沢 はい、講習事務規定に別添資料として作成して添付しなければならない文書が20種類以上あるのですが、その中に「登録講習機関管理者及び講師(修了審査員を含む。)に対する研修指導要領」がありまして、こちらを作成して届出をしたあとでなければ講師や管理者の研修を行うことができません。
ーー20種類以上ですか。こちらはまた別の機会に取材させてください。各スクールは講師研修を行うためには、研修指導要領を届け出てからでなければならないのですね。研修で行わなければならない内容等は決まっているのでしょうか?
黒沢 はい、告示第2条第2項及び別表第5に研修内容が具体的に記載されていますので、こちらに紹介します。現在のパブリックコメントを募集していますが、こちらが最新のものです。この内容でおそらく確定します。
ーーこの6番目の修了審査要領(実地)の部分が、指定試験機関(一般財団法人日本海事協会)が実施するということですか?
黒沢 はい、そのとおりです。まずは1~5の研修を各登録講習機関で行い、その後、修了審査員になられる方は6の研修を受けていただくことになります。
ーー修了審査員の研修はいつ、どこで実施されるのでしょうか?
黒沢 日本海事協会様にも確認をさせていただきましたが、こちら全てeラーニングでの実施ということです。登録番号が発番されましたら、申し込みをして、専用のeラーニングアカウントをもらい、ログインいただいて研修受講料を納付後、各講師に受講いただくことになります。
ーーすべてeラーニングなのですか? 自宅でも受講できるのでしょうか?
黒沢 はい、やはり全国に登録講習機関が設立される見込みですので、現地での実施は現実的に難しいとの判断かと思います。各講師の方は自宅で受講いただくことも事実上できます。ただ当然しっかりと視聴する必要がありますので、登録講習機関としてどう管理をするかが重要になると思います。
ーー視聴した記録のみで修了審査員になれるということでしょうか?
黒沢 いいえ、視聴後に確認テストがあるようです。こちらの確認テストは2回まで受けることができます。それに合格しない場合、再度、研修の申し込みをして、受講料も支払わなければいけません。また、eラーニングの受講時間ですが、2等は3時間半、1等は4時間半の受講時間であると聞いております。
ーー実際に講習を開始するためには登録講習機関として運営体制を固めて、各講師の方たちの研修をしっかり行っていく必要がありそうですね
黒沢 はい、特に法施行までのこの時期、情報が錯そうして混乱してしまうスクールが多いかと思います。正しい情報を得ながら、登録講習機関として継続できるように一つ一つ丁寧に準備していきましょう。
黒沢 怜央 Kurosawa Reo 株式会社ジーテック 代表取締役 Academic works 行政書士事務所 代表行政書士 ドローンやシェアリングエコノミー、FinTech、スマートシティといった先端領域の法規制を専門とする。2018年1月、行政領域におけるITソリューションを軸とした(株)ジーテックを設立、代表取締役に就任。民泊許可・届出手続のクラウドサービス「MIRANOVA(ミラノバ)」やドローンの飛行許可・承認手続のクラウドサービス「DIPSコネクト」等を展開。現在、行政手続のデジタル化に向けて、デジタル庁、デジタル臨時行政調査会への提言や地方公共団体におけるDX推進アドバイザー等も行う。
国家資格であるドローン操縦ライセンスの教習所「登録講習機関」になるための申請手続きをめぐる現状について、申請者側の事情にも当局側の事情にも精通している黒沢怜央氏(株式会社ジーテック代表取締役・行政書士)に再び話を聞く。黒沢氏は前回、登録制度や手続きについて関係者間の情報錯綜があることが、申請しているドローンスクールの戸惑いにつながっている可能性を指摘した。しかし戸惑いの要因はそれに限らないらしい。スクールが受講者に実施する修了審査に使う機体の仕様や要件も、てこずる原因のひとつになっているという。(文中敬称略)
ーー登録講習機関が受講生を“卒業”させるために実施する「修了審査」では、使う機体の要件が決められていて、それも戸惑いの原因になっているようですね
黒沢 はい。要件を満たしている市販の機体を市場で見つけることは、現状では難しくなっていて、それが戸惑いを招いています。登録講習機関が使う機体のうち、「実地講習」に使う機体の要件については、「必要履修科目の講習を適切かつ安全に行うことができるもの」であればよいと比較的ざっくりしています。しかし「修了審査」で使用できる機体については細かく告示(※)で示されておりまして、これに適合する機体が現時点で販売されている製品が、ほとんどないといえる状況なのです。
(※)登録講習機関の教育の内容の基準等を定める告示
https://www.mlit.go.jp/common/001510312.pdf
ーー修了審査用の機体の要件とは
黒沢 多くの要件があります。主な要件の一つが、ATTIモードに手動で切り替えのできるものでなければならないことです。告示においては、「位置安定機能による水平方向の位置の安定を、送信機で解除可能であり、位置安定機能なしに飛行可能であること。」という記載があります。
ーーATTIモードに手動に切り替えができるものであれば、それなりにありそうです
黒沢 はい、DJIやその他のメーカーの機体でもそれなりにあります。ドローンスクールにおいても、ATTIモードに手動で切り替えて講習を行っているところも多くありますので、この要件がただちに戸惑いの要因になるとは言えないかと考えます。
ーーではスクールにとって障壁となっている部分はどこでしょうか
黒沢 告示の記載をまず見ていただきたいのですが、
「無人航空機と組み合わせる送信機の機能により、修了審査を受ける受講者が操縦する間においても、当該修了審査を行う審査員及び修了審査員を補助する者が、受講者の保持する送信機とは異なる送信機を用いて、受講者に代わり操縦を行うこと(以下「オーバーライド」という。)ができること。ただし、当該受講者、修了審査員及び修了審査員を補助する者並びに修了審査を行う空域周辺の安全を確保できる場合は、この限りでない。」
となっています。この記載のとおり、プロポの機能によって、審査員のプロポで受講生の代わりに操縦が行えるようにオーバーライドできる仕様になっている必要があります。これは無線でも有線(トレーニングケーブル)でもどちらでも構いません。ただ機体メーカー側はオーバーライド機能が重視されることを見込んでいなかったためか、対応している機体が多く出回っていない実情があります。しかも先ほどお伝えしたATTIモードに手動で切り替えができることが前提です。
ーーATTIモードに手動で切り替えられる機体でオーバーライドできる送信機に対応している必要があるということですね。
黒沢 そうです。デフォルトの仕様で要件を満たす機体は、実際に現在発売されているものとしてはかなり限られそうです。ドローンスクールで利用されているものですと、Phantom 4 Pro V2.0があります。ただし、すでに生産が終了しています。また蒼天など国内メーカーの製品もありますが、産業用として開発された機体で、スペックや価格面でスクールによっては難しさを感じるかもしれません。この修了審査機の要件が公表されてから、Phantom 4 Pro V2.0は中古市場でも手に入りづらくなっています。
ーーちなみに25kg以上の機体でも同じ条件でしょうか?
黒沢 はい、マルチローターにおいては同様の機体要件になっています。25kg以上の機体においては、オーバーライド機能が標準で装備されているものがほとんどありませんから、余計に修了審査で使用できる機体は限られると思います。プロペラガードもつけなければなりませんが、これも大型機になりますと純正のものが販売されていないケースが多いように思います。
ーー告示を見ますと、「ただし、当該受講者、修了審査員及び修了審査員を補助する者並びに修了審査を行う空域周辺の安全を確保できる場合は、この限りでない。」と記載があり、安全が確保できればオーバーライド機能は不要なのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか?
黒沢 はい。私もこの点は航空局の担当官とも話をしましたが、まず屋外においては例え係留装置を用いたとしても認められないということです。航空局が公表しているFAQにも
「係留措置は安全確保の一部となる可能性はありますが、オーバーライドを不要とするためには不足していると考えております。告示で述べている安全を確保できている場合とは、修了審査員、受験者及び修了審査員補助者の安全が確保出来る他、機体の試験場外の空域への飛行を防ぐことを想定しております。一方、係留による措置では、機体の試験場外の空域への飛行を防ぐことは可能かと思いますが、修了審査員、受講者及び修了審査員補助者の安全は必ずしも確保できないと考えます。」
と記載があります。ですから、係留装置を用いてもダメということですね。この安全確保ができる場合というのは、屋内で完全にネットで囲われている状態で、受講者、修了審査員及び修了審査員の補助者がネットの外にいる状況が想定されているとのことです。そのような場合には例外的に機体がオーバーライド機能を有していないとしても認められるということです。
ーーでは、この基準は二等登録講習機関にのみ利用できるということですか
黒沢 そうです。一等の場合は必ず屋外で修了審査を行わなければなりませんから、二等で修了審査を屋内で行う場合に限られています。
ーー登録申請にあたり、必要な機体を揃えることも要件を満たすうえで難題になっていることが分かりました。今後の展望などもお聞かせください。
黒沢 はい、今回、国内初の無人航空機の操縦ライセンスを構築するにあたり、規制官庁も現状に合わせるということではなく、レベル4飛行が実運用されることを見据えて、安全性をどのように担保するかという視点で設計しているものと思います。示された要件に適合する機体を各メーカーが開発して流通するようになるまでは、そう長くはかからないのではないかと思いますので、少しだけ先を見据えつつ、登録講習機関の登録申請も進めていただけたらと思います。
黒沢 怜央 Kurosawa Reo 株式会社ジーテック 代表取締役 Academic works 行政書士事務所 代表行政書士 ドローンやシェアリングエコノミー、FinTech、スマートシティといった先端領域の法規制を専門とする。2018年1月、行政領域におけるITソリューションを軸とした(株)ジーテックを設立、代表取締役に就任。民泊許可・届出手続のクラウドサービス「MIRANOVA(ミラノバ)」やドローンの飛行許可・承認手続のクラウドサービス「DIPSコネクト」等を展開。現在、行政手続のデジタル化に向けて、デジタル庁、デジタル臨時行政調査会への提言や地方公共団体におけるDX推進アドバイザー等も行う。
12月に制度の運用が始まる国家資格としてのドローンの操縦ライセンスをめぐり、知識・技能を身に着ける講習を担う登録講習機関になるための申請手続きで、申請するスクールを中心に、一部で戸惑いの声が上がっている。背景には、適切な手続きに関する情報が関係者の間で不十分であったり、関係者間で錯綜していたり、誤認していたりする事情があるとみられる。現場で何が起きているのか。適切な対応とは何か。行政手続きの専門家であり、申請者側の事情にも当局側の事情にも精通している黒沢怜央氏(株式会社ジーテック代表取締役・行政書士)に聞いた。(文中敬称略)
ーー登録の申請をめぐり、戸惑いの声を聞いています
黒沢 はい。登録の申請手続き9月5日に始まりましたが、円滑に進んでいるスクールはごく一部です。9月だけで航空局の方に400件 ほど申請があったと聞いておりますが、その8割以上は差し戻しをされたとみられていますので、困られているスクールの方は多いと思います。
ーー登録申請の難易度が高いということでしょうか?
黒沢 はい、そのとおりです。まず、こちらの資料を見ていただきたいのですが、今回、改正航空法やそれに基づく施行規則以外にも、これだけの基準が発表されております。申請にはこれら全てをつないで読み込まないといけません。そして登録申請にあたり、示されている要件に適合するように一つずつ証明をしていかなければなりません。私どもも雛形作成にかなり時間がかかりました。当然のことながらスクールごとに状況が違いますから、お手本を丸写しすれば出来上がるものではなく、一つずつ諸事情に合わせてカスタマイズすることになります。
ーーこれは膨大な作業になりそうです。手引きのようなものはないのでしょうか?
黒沢 そのまま書き写せるような手引きはありません。登録講習機関は、飛行許可申請のように一般個人が申請をするものではなくて、法人限定のいわゆる事業者向けの申請手続きです。そこまで手取り足取り教えなくても自分たちで要件に適合するように書類を用意しなさいというメッセージかと思います。また、雛形を用意しすぎてしまいますと中身を精査せずに穴埋めだけして書類を作成してしまう事業者の方が出てくることが想定されるため、警戒する必要性も生じます。少し前に問題になった補助金申請のように単にコピペして申請書類を作成するようなことが無いように考えた側面もあるかもしれません。
ーー他の行政手続きもこういうものなのですか?
黒沢 私たちが普段関わる手続きはこういった手引きやマニュアルがないものが珍しくありません。雛形を一つずつ作成して、行政の方にも説明してその雛形を採用いただくケースも多いです。
ーードキュメントを作成するうえで作業としての難易度が高いことはわかりました。一方、登録要件を満たすこと自体は厳しくはないのでしょうか?
黒沢 これが・・・・ひとことでは表現できないのですが、登録要件についてもよく調べてみますとハードルが高い部分があります。たとえば、修了審査用の機体についてですが、告示要件を満たすためにはATTIモード対応機体で、かつ、オーバーライドできる送信機が対応しているものでなくてはなりません。
ーー現在販売されている機体で考えると選択肢はそれほど多くなさそうです。
黒沢 そうなんですよね。Phantom 4 Pro V2.0は生産が終了していますし、国内メーカーの製品もありますが、価格面でだいぶ違いがありますから、難しさを感じる方もいらっしゃるかもしれません。
ーー修了審査用の機体についても話が出ているので、次の機会に、細かく教えて頂きたいと思います
黒沢 はい、解釈の部分もまだ航空局の方でこれから固める部分があるかと思いますので、論点も含めて細かく次回ご説明いたします。
ーーあらためてお聞きしますが、戸惑いの声が多い理由はどこにあるのでしょうか?
黒沢 はい、これはいくつか考えられるのですが、これまで「HP掲載講習団体」という法令で規定されていない仮の仕組みがありまして、これが一つの戸惑いの原因になっていると考えられます。HP掲載講習団体とはあくまで、一定の書類を提出すると国土交通省のHPに掲載しますよ、というもので、法令に規定されている制度ではありません。今回の「登録」のようには、法的な権限は与えられていないのです。
ーーHPに掲載されたことから「国土交通省認定」と表示しているスクールも見かけるように思います。
黒沢 これはドローンスクール特有のことだと思っております。通常であれば、「許可」とか「認可」とか「登録」、「認定」というのは国から法的な地位を認められて付与されたものということになります。もしもそういった許可や認定を受けていないのにそのように名乗ってしまったとしたら大変なことです。私どもが顧問で入らせていただいているスクールにはそのような表示をしないように指導してまいりました。
ーーHP掲載講習団体になっていれば、登録講習機関にも当然のようになれる、と考えているスクールが多かったかもしれません。
黒沢 はい、そう思います。登録講習機関はHP掲載講習団体と違って、国家ライセンスの講習と修了審査とを行えるようになるのですから、国は、登録にあたり、申請内容が要件を満たしているかしっかりと審査しなければなりません。HP掲載講習団体とは全く別の制度です。HP掲載講習団体は、既存のスクールや、管理団体に配慮した仕組みでもあり、国にとって提出された書類は、実態に沿っているかどうかを法令に則って厳密に審査する対象とはいえません。
ーー戸惑いの理由は、他にもありますか?
黒沢 はい、これは良くも悪くも管理団体の存在だと思います。誤解してほしくないのは管理団体があったからこそ、これだけ国内のドローン市場が伸びてきたと思いますし、登録講習機関のサポートについても現在の管理団体が担う役割は大きいと思います。一方、今回の登録制度は、スクールを運営している一つ一つの法人がそれぞれ国土交通大臣の登録を受けるものになっています。登録手続きの部分は管理団体とは切り離して考えた方がいいと思います。
ーーたとえば管理団体が傘下のスクールに代わって登録申請の手続きをすることはダメだということですね
黒沢 そうです。講習を行う機関がそれぞれ登録をする制度ですから、管理団体がまとめて申請を行うことは出来ません。また、講習に関して業務委託をすることも出来ません。登録をしている法人が講習をすることになります。他の許認可で考えても、名義貸しと見られるような業務委託は普通、 出来ません。当然といえば当然の話なのですが。
ーーやはり制度について情報が錯綜していたり、誤解が生じてしまっていたりすることがありそうですね
黒沢 そうですね。新しい制度が始まるときはある程度は仕方ない部分もあります。制度がスタートしてしばらくすると徐々に慣れてきて、理解も進んでいくと思いますが、正しい理解を広める意味でも今が一番重要ですね。今回のインタビュー記事で少しでもお役に立てば幸いです。
ーーありがとうございました。
黒沢 怜央 Kurosawa Reo 株式会社ジーテック 代表取締役 Academic works 行政書士事務所 代表行政書士 ドローンやシェアリングエコノミー、FinTech、スマートシティといった先端領域の法規制を専門とする。2018年1月、行政領域におけるITソリューションを軸とした(株)ジーテックを設立、代表取締役に就任。民泊許可・届出手続のクラウドサービス「MIRANOVA(ミラノバ)」やドローンの飛行許可・承認手続のクラウドサービス「DIPSコネクト」等を展開。現在、行政手続のデジタル化に向けて、デジタル庁、デジタル臨時行政調査会への提言や地方公共団体におけるDX推進アドバイザー等も行う。
地元主導でドローンの利活用を進めている多業種活動体、ドローンコンソーシアムたむら(福島県田村市)は9月14日、田村市役所で講演会と総会を開いた。慶應義塾大学ドローン社会共創コンソーシアムの古谷知之代表と、橋本綾子研究所員が講演した。下田亮研究所員も、質疑応答のさいに回答に応じた。古谷代表は講演の中で、「ヒトができないことをロボットで代替する発想だけでは限界がある」と、バックキャスト思考への発想の転換を促した。総会では役員案や事業案、予算案などを全員一致で承認した。
慶應の古谷氏は、「自律移動ロボットの社会実装に向けて」をテーマに講演した。飛行するUAVのほか、水上、水中、陸上など活動場所を問わず自律的に移動する機体をドローンと表現する考え方が広がる中、古谷代表はそれらをまとめて「自律移動ロボット」と表現し、自律移動ロボットの社会実装に向けた取り組みの重要性を説いた。
講演ではUAVや水中ドローンの活用が産業、防災など多方面に広がっていることを、海外の取組やコンソーシアムの実例などをあげて説明。水中ドローンについては環境対策への活用も進んでいることを紹介し「空に限らず、陸、海とも活用はさらに広がっていきます」と展望した。
また、社会実装を進めるうえでは「人にできないことをロボットやドローンに代替させる、という範囲での発想、考え方だけでは可能性が限定的になるおそれがある」と指摘。「ドローンやロボットをどのように使うのか、妄想を働かせて、未来起点で逆算するバックキャスト思考で活用を進めることが重要だと提案しています」と発想の転換を提唱した。
さらに、ロボットやドローンを意識的に活用を拡大することについても重要性を指摘。「海外がロボット前提社会になる中、日本がそうなっていなければ、産業競争力で日本は海外に負けてしまいかねません」と述べた。
そのうえで「それを打開するためにも、みなさん自身がぜひ、プラットフォーマーになっていただければ」と積極的な活動を呼び掛けた。
リモートで講演した橋本綾子研究所員は、田村市内にある福島県立船引高校で取り組んでいる活動を「ドローンを活用した高度人材育成について~船引高校の事例紹介」という演題で講演した。
この中で橋本研究所員は、「人材育成というと、操縦技能に特化したカリキュラムになりがちですが、自分たちで課題を特定してその解決を模索したり、市販のドローンでは不可能なときにそのドローンにひと手間加えて、不可能だと思っていたことを可能にするドローンを自分で制作してみたりと、自分たちで考えることを重視しています」と紹介した。
活動では1年次、2年次、3年次と体系化したカリキュラムを作り、それに沿って取り組んでいることや、地域課題の解決にも取り組んでいることを紹介。鳥獣害対策をテーマに活動で、地元の猟友会の経験談を間近で聞く機会を作ったことも報告すると、参加者が大きく場面もあった。
ほかにも、田村市役所の屋上にRTK基地局を設置したり、それを活用して固定翼を飛行させたり、あるいは、物件投下に挑戦したりと、幅広く活動してきたことも伝えた。
今後は、12月に運用がはじまる国家資格としての操縦ライセンスを想定したより高度な知識の修得を目指すほか、最近急増している行方不明者問題の対応としてドローンを活用した捜索活動にも取り組む。橋本研究所員は「高校生には楽しんで答えを見つける過程を大切にしてほしいと思っています。ドローンを活用した業務につきたい人材の母数を増やしたいと考えていますが、そのためには、ドローン関連の会社に就職するだけでなく、そうではない業種の企業に就職したうえで、そこで新たな手法としてドローンを取り入れるような挑戦ができる高度人材を育成したい」と抱負を述べた。
講演後の質疑応答では、イノシシなどの鳥獣害対策へのドローン活用の展望について質問があがった。オンラインで参加した下田亮研究所員が、「イノシシについてドローンの取組は各地で行われてる一方で、イノシシが苦手とする周波数などはつきとめられておらず、まだ決め手がない。現在、取り組みが増えているので、やがて弱点がつきとめられれば、ロボットやドローンを使った有効な手立てが作れると考えています」などと回答した。
社会課題の解決や空の産業革命の期待を担うドローン、エアモビリティなどの活躍が展望される2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)は、ドローンや空飛ぶクルマにどんな舞台となり、どんな刺激をもたらすのか。DroneTribuneは若宮健嗣万博相(国際博覧会担当大臣)にインタビューした。若宮万博相は「未来社会の実験場にしたい」と語った。その背景には、1970年の大阪万博で積み残した課題に対する思いがあった。
――第二次岸田政権で万博相をつとめています
「大阪・関西万博」は2025年4月13日から2025年10月13日までの間、大阪の夢洲地区をメイン会場にして開催されます。海外からも多くの国に参加頂き日本の底力を世界に発信して成長を加速させる機会にできればと思っております。そのためには大阪だけでなく周辺の関西地域や全国の積極的な参加も必要です。私は万博大臣、正式には国際博覧会担当大臣ですが、そのほかに共生社会担当大臣、デジタル田園都市国家構想担当大臣、クールジャパンや知財戦略を担当する内閣府特命担当大臣でもあります。融合させるべきところは融合させ、取り組みを進めております。
――大阪・関西万博はドローンや空飛ぶクルマにとってどのようなステージになりますか
ドローンにも空飛ぶクルマにも大きな意味を持つ機会になると確信しています。具体的なことはこれから知恵を絞り創意工夫を重ねて参りますが、日本の持つ技術や創造力をお示しし、来場されるみなさま、海外からお越しのみなさまに驚いて頂き、再び日本に注目して頂ける機会にしたい。ドローンや空飛ぶクルマ、空飛ぶバイクは、周辺技術も含め、世界各国、各地域で開発が進んでいます。その中で日本は何を提案するのか、万博で何を発信するのか、ここは大きな注目点になると思っています。私としましては、こうした機体が飛ぶことで、生活がどう豊かになるのか、人々がどう幸せになるのか、といったものを示していければよいのではと思っております。
――大きな意味を持つ機会としての万博ですね
はい。「飛ぶ」を超えた価値を示したいと考えています。日本は、前回の大阪万博で世界を驚かせた実績を持っています。私自身は、小学校3年生の時に、前回の大阪万博に出かけました。そこでは特に4つ、強く印象に残ったものがあります。携帯電話、リニアモーターカー、電気自動車、ロボットです。1970年当時には、どれも身の回りにはありませんでした。私自身も初めて見るものばかりでとても驚きました。海外から来られた方もみなさん驚かれたと思います。その驚かせた4つがいまや現実になってきています。ロボットは二足歩行でないにしろ産業や介護などさまざまな現場で役立っています。携帯電話はすでに普及し、電気自動車も広がりつつあります。リニアモーターカーも計画が進んでいます。
――その時の驚きを再現したい?
それを超えたい、というのが本音です。たとえば携帯電話。1970年の万博で日本が世界に先駆けて発信して世界を驚かせましたが、現在、どこの国のメーカーが世界のマーケットでシェアを押さえているかというと、アメリカであり、韓国であり、スウェーデンであり、といった状況です。日本製は、素晴らしいのに、世界のマーケットをとっているかといえば、そうはなっていません。そこにやや“残念感”があるのです。その状況を次の万博で打ち破りたいのです。ドローンもそれになれると考えています。ドローンの開発はしばしば海外が先行している、と言われます。そのドローンで、日本のすごさを示したい。飛ばすために必要な環境や条件ですとか、ビジネスでうまくいくためのモデルであるとか、利用した企業や人々や社会が歓迎するためのスタンダードであるとか、そういったものが示せないか、と思うわけです。アフリカのルワンダで血液製剤などをドローンで運んでいるアメリカのジップライン(Zipline)という会社がありますよね。道路網の整備状況などから考えると、あの取り組みは「飛ぶ」を超えた価値があると思うのですが、そんな価値あるビジネスデルを、日本なら構築して提案できると思うのです。
――示したいのは、飛ぶことのその先、ということですか
はい。飛行そのものの質も当然ながら大事ですし、日本の強みになると思いますが、その先のことを示したいのです。ドローンや空飛ぶクルマによる生活スタイルや、ビジネススタイルの変革です。安全性と利便性のバランスをとりながら、ドローンでどのような価値を生み、どのように次の新しい生活スタイルになじませるのか。前回の大阪万博で日本が発信した技術は、マーケットを海外に占められました。しかし今の日本は当時と違います。もはや固定観念にとらわれる日本ではありません。振り返りますと、当時の日本には三公社五現業がありました。電話の事業も国の経営体制の中で運営されていました。その枠の中でもあれだけのことを発信しました。残念ながら普及に至らず、固定観念のない海外勢が普及させたわけですが、今の日本には当時の枠はありません。固定観念にとらわれない新しい発想も出てきています。ドローンが飛んで当たり前の社会を、グローバルスタンダードとして提示していければ、と思います。
――ドローンが当たり前の社会を実装するステップに?
はい。どれだけ示せるかはこれからですが。その前に、もしかしたらドローンを軍事用と感じておられる方がいらっしゃるかもしれませんので、生活の利便性を高めるものと認識して頂けるようにしたいです。良い面、悪い面がそれぞれあると思いますので、そのいい面を育てる。悪い面を減らす。AIを組み合わせることでそれができるかもしれません。普及のためには製品やサービスが普及しやすい価格になることも大事だと思います。万博会場やその周辺エリアでのサービスの中に取り込むことも考えられます。オリンピック・パラリンピックで、日本のおもてなしの心を示すことに取り組みましたが、万博でも日本の思いやりを届けられれば。行き届いていないところに手を差し伸べるようなことができれば。
――地方活性化であるデジタル田園都市国家構想にもつながりそうです
はい。デジタル田園都市国家構想は、地方も含めて全国で光ファイバーをめぐらせ、Wi-Fiが使えるように整備して利便性を高める政策です。地方の生活の中で、行き届いていない部分を満たしていく対策です。現状の生活で買い物が不便なのであれば、ドローンで宅配してもらえれば早くて便利かもしれません。その通信インフラを整えることが必要となりますので、デジタル田園都市国家とドローンは非常に相性が高いと私は思っています。私はよく街頭演説で「不便」や「不満」など「不の要素」を取り除く取り組みに価値があるのではないか、とお話します。日常生活もそうです。産業もそうです。不便なところがあればそれを取り除く。農業ではたとえば農業従事者の負担となる散布や生育状況の監視、養殖ではいけすの監視に使うことで、負担を取り除く。それを可能にすることに取り組むつもりです。
――それがグローバルスタンダードになればよいと
はい。「不の要素」を減らせば、そこで生まれたゆとりで新しい価値を生み出せます。ドローンも大きく寄与します。人々の時間の使い方や働き方も変わってくるでしょう。万博で新たな生活スタイルとかモデルを見せることで、デジタル田園都市国家構想の実現につながってくると思います。ノウハウを凝縮したものが国際ルールになれば知的財産になりますし、各国を魅了するモデルにできればクールジャパンになります。私は万博、デジタル田園都市国家とともに、クールジャパン、知的財産を担う特命大臣でもあります。それぞれがすべてつながるのです。万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」(Designing Future Society for Our Lives)をテーマに掲げております。それをふまえて、私は万博を未来社会の実験場にしたいと思っています。
――「大阪・関西万博」の「関西」への広がりをどうお考えですか
大事なことです。大阪の盛り上がりを関西全域に広げたい。ちょうど関西広域連合の8府県が大阪を囲むようにあり、それぞれ個性豊かな風土と文化を持っています。ドローンという切り口に限りませんが、関西広域連合やそこに参加する府、県、市の持つ役割にも照らして、より盛り上げられる施策につなげられればよいと考えております。万博には約2,800万人の来場を見込んでおります。特に海外からご来場の方には会場を囲む関西エリアに足を運んで頂き、たとえば京都や奈良などの古都の風情や個性や魅力を味わって頂きたいです。大阪で議論が盛り上がっておりますが、これからそれ以外の地域での議論も活発化していくと期待しています。
――経済効果も見込まれますね
インバウンドの効果も高いと思います。海外からお見えの方は年々増えておりまして、新型コロナウイルスの影響を受ける前の2018年、2019年は年間で3000万人を超えました。約5兆4000億円の経済効果がありました。これは消費税の税収の2%にあたります。しかも海外の型がご自身の国にお帰りになったあとにもお買い上げいただいたり、PRして頂いたりと波及効果もあります。関西に限らず全国で、万博を地域の魅力をアピールする場にして頂いてはいかがかなと思っております。とくに関西エリアでの盛り上がりと積極的な参加を期待しています。
――デジタル田園都市国家構想に沿ったインフラ整備が進むと地域の利便性はますます高まりそうです
そうです。日本の「田舎」と呼ばれる地方都市の温泉や風景や土地の言葉や食べ物に触れて頂くことがより便利になると思います。日本にお越しのみなさまにはぜひ「田舎」にも赴いて頂き、楽しんで頂き、それを発信して頂ければと思います。発信するために必要なインフラは整えて参ります。北海道のニセコのように、海外で先に人気に火が付く、ということが各地で起こる可能性があります。地方でこそ作れるビジネスモデルに期待しているのはそこのところです。一極集中の打開につながる期待もあります。
――デジタル田園都市国家が進んで地域の利便性が高まった場合、その利便性を生かす人材の育成は
大変、重要です。地方には、自分の生活スタイルを変えたくない、住んでいる場所も変えたくない、友達が少なく交流も限定的ながらそのままでいい、買い物もここ、と決まった生活スタイルで過ごしておられて、別に新しいことを必要としていない、とおっしゃる方、刺激的なことなどいらない、とおっしゃる方がいらっしゃると思います。そこで私が思っていますことが、それぞれの自治体や地区に、よりどころになる寄り合いの進化版のようなものを作ることです。昔からあったところなら、それを少しおしゃれにして、必要で欲しい情報がそこに行き届くようにして、その土地を訪れた方も気兼ねなくは入れて交流ができるようにして。海外の方も入れるようにして。そこでは地域同士の交流の場でもあり、別の地域の人からの交流も気兼ねなくできる。訪れると地元の人から地域の名産の農作物の話や見どころの話が聞ける。豚汁をふるまってもらうこともあるかもしれません。そこが楽しいと、それまで新しい刺激はいらない、と思っていた人の中にも、楽しんでくださる方が出てくるのではないかと思うのです。そこで重要になるのが、そういうことを仕掛けるコーディネートする方です。それまで東京に造っていたアンテナショップを地元につくることで地元に訪れる方を増やしたり、定住者を増やすための医療、教育、仕事の確保をしたり。それができる機能的な設備もあればよいと思います。そうなると、買い物サービスや肉体労働の手段としてドローンは不可欠になりそうです。
――ところで若宮大臣は未来のドローンとか空飛ぶクルマといったら、どんなものを想像しますか?
『007/私を愛したスパイ』という映画で水中にもぐるクルマを思い出します。普段は道路を走り、必要なときに海や川を潜る潜水艦仕様になって、いざとなれば空も飛ぶ、みたいなものにあこがれますね。あれば映画の中ですが、普段の生活にも使えて、災害のときには別の姿で活躍できる機体があればいいなと思いますね。
――ありがとうございました。
■わかみや・けんじ
国際博覧会担当大臣、共生社会担当大臣、デジタル田園都市国家構想担当大臣、内閣府特命担当大臣。
1961年9月2日、東京都千代田区生まれ。永田町小学校(現麹町小学校)、慶應義塾中等部、慶應義塾高等学校、慶應義塾大学商学部卒業。大学卒業後セゾングループに入社。グループ代表の堤清二氏の秘書等を務めたのち、2005年9月の衆院選に自由民主党公認で出馬し初当選。これまでに外務副大臣、防衛副大臣兼内閣府副大臣、防衛大臣政務官、衆議院外務委員長、衆議院安全保障委員長などを歴任。60歳。
万博相就任時以来、消費者を取り巻く環境の変化に対応できる制度の構築、食品安全の確保、日本の産業競争力の強化や新型コロナにより打撃を受けたクールジャパン関連産業の存続と発展に努めること、万博相として日本の魅力を世界に発信し、日本の子供に夢、希望、驚きを与える取り組みを掲げている。担務が多いが「所管する担務が多岐に及んでおりますが、すべての課題にスピード感を持って対応してまいります」と話す。
安全保障政策に強く、「日本の、経済だけ仲良くしてほしい、というスタイルは、安全保障の連携の面では限界があった」と断言する。関係各国との多面的な信頼関係の構築が、新型コロナウイルス感染症対策ワクチン確保にもつながった。
政策では、「安心した暮らし、安全な生活を守る」「次世代教育と豊かな働き方による、経済発展」「現場を重視した効率的な予算を」「自然災害への備えと環境保全」「自由で開かれたインド太平洋地域の安定と発展へ」などを掲げる。
昨夏のプロ野球「マイナビオールスターゲーム2021」で球場全体を見渡す俯瞰映像がテレビを通じて放映され注目度が高まっている。撮影したのはエアロセンス株式会社(東京都文京区)で、同社の有線ドローンシステム、エアロボオンエア(Aerobo on Air)を使い、試合開始の前から終了まで4時間30分にわたり連続空撮した。最大90mの高さからの映像や30倍ズームを使った選手のアップ映像、観客の様子、球場周辺の夜景などの映像を提供し、放映した株式会社テレビ朝日の番組でも随所で使われた。ゲームが行われた球場には、放送中に「あの映像はどうやって撮っているのか」などの問い合わせがと寄せられ、球団職員が撮影現場に出向いた確認した。視聴者に印象を残す映像となり、今後、用途が広がりそうだ。
ゲームは2021年7月17日に楽天生命パーク宮城(仙台市宮城野区、プロ野球楽天ゴールデンイーグルスの本拠地)で開催された。BS朝日、CSテレ朝チャンネル2が16時55分のホームランダービーシーンから、テレビ朝日系列が18時から試合終了まで生中継した。
エアロボオンエアは、中継機材のひとつとして採用され、試合開始前から試合終了まで4時間30分にわたり映像を撮影し、テレビ番組制作側に提供し続けた。制作側もこの映像を効果的に活用し、攻守の切り替わりやCM前後などで多く放映したほか、球場内の盛り上がりや、宮城県仙台市の夜景を届けた。映像の権利などの課題をクリアにしたのち、エアロセンスが昨年末の12月になって公表した。
エアロボオンエアのドローンは回転翼機で、エアロセンスが開発した光電複合ケーブルにつながれている。ケーブルを通じた給電、制御で長時間の飛行や高画質映像のリアルタイム伝送ができることなどが大きな特徴だ。
エアロセンスは、「撮り逃しのできない用途や、後で編集のできない連続空撮用途の場合はバッテリー交換のための離着陸の必要な通常の無線ドローンではなく、有線ドローンが有利です。たとえばスポーツ生中継シーンや連続空撮が必要なシーンで効果を発揮します。高画質映像を低遅延で伝送もできるため、リアルタイム中継用途にも向きます。また飛行準備、撤収に要する時間が10分程度と固定カメラに比べて撮影前後の必要時間が短くてすみます」と話している。
■エアロボオンエア(Aerobo on Air)の特長
・有線ケーブルによる給電・制御で、長時間連続飛行、映像のリアルタイム伝送が可能
・映像は4K30倍ズーム、フルHD対応も可能
・飛行準備や撤収が各10分程度で済むため、固定カメラに比べ撮影前後の必要時間が短い