エアモビリティ の記事一覧:13件
  • 2023.3.15

    パイロット搭乗の空クルが大阪城公園を飛行 丸紅が米LIFT社の1人乗り機HEXAで実証実験

    account_circle村山 繁
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     いわゆる空飛ぶクルマの実現に力を入れる商社大手の丸紅株式会社(東京)は3月15日、米LIFT社(LIFT AIRCRAFT INC.)の1人乗り乗りエアモビリティ、HEXA(ヘクサ)の操縦者が乗って飛行する実証実験を、大阪市の大阪城公園で実施した。都市部での空クルの有人飛行は国内で初めてだ。HEXAは公園内の決められたエリア内で、垂直に離陸し、上空で旋回し、許可されたエリアを周回して、空の移動の手軽さを関係者、報道陣などに印象付けた。同型機の飛行トレーングを受け、操縦資格を取ったGMOインターネットグループ株式会社(東京)の熊谷正寿代表も操縦士の1人として参加した。熊谷氏は飛行中に操縦席から手を振るなど空の移動の楽しさをアピールし、2025年の大阪・関西万博での商用運航を目指すエアモビリティの社会受容性向上に一役買った。

    日本初のパイロット搭乗飛行 GMO熊谷氏が操縦シーンを披露

    大阪城を背景に飛行する1人乗りエアモビリティHEXA。GMOインターネットの熊谷正寿代表が操縦している

     日本初のパイロット搭乗飛行は、GMOインターネットの熊谷正寿代表が飾った。LIFT社の創業者でCEOのMatthew Chasen氏も現地で見届けた。

     この日の実証実験は、大阪城公園内の野球場に飛行エリアを設定して行われた。国土交通省航空局などとあらかじめ念入りに調整し、電子的な網であるジオフェンスをはって、機体の暴走を防止するなどの対策をとった。

     飛行した機体、HEXAは米LIFT社が開発した1人乗りの機体で、米連邦航空局(FAA)が「ウルトラライト級」に位置づけている。飛ばすために国が定める免許証を取得する必要はなく、LIFT社の提供するトレーニングを受ければ乗れる。座学、シミュレーター体験、実技など1時間ほどのトレーニングで、ビギナーとしての操縦士証明を受けられる。FAA Part103に該当する機体で、全長4.5m、高さ2.4m。小型のプロペラ18基を備える。113㎏の積載量で飛行速度は最高で時速101㎞、飛行時間は約15分だ。

     機体には飛行直前にバッテリーが取り付けられた。GMOインターネットの熊谷代表が乗り込むと、まもなくプロペラがまわり始めふわりと浮かび上がった。モーター音はするものの、エンジンの爆音はなく、見守っていた関係者や報道陣から「威圧的には聞こえない音。周囲の人を怖がらせることはないのではないか」、「大型トラックのほうがずっと耳障り」などの感想が聞かれた。機体は上空8メートルほどの高さまで上昇すると、エリア内をすいすいと移動した。

     飛行中の熊谷代表は、自動車の運転席に座っているような姿勢だ。正面はガラスに覆われているものの、両サイドにドアはなく、足も外気に当たりっぱなしになる。足の置き場はあるが、スキー場のリフトに似た印象だ。操縦席には中央にタブレット、右手に操縦桿がわりの3軸ジョイスティックがあり、これらを使い分ける。機体の傾きなどの制御は自動で調整されるため、移動する方向や速度を指示すればよい。熊谷代表は飛行中、操縦席で両手を広げたり、手を振ったりと、簡単で楽しく手軽な乗り物であることをアピールした。3分ほど空中で移動、旋回したあと、無事、着陸した。

     この日は無人での飛行や、LIFT社のテストパイロットによる飛行も行われた。実験としては、騒音のほか、18枚のプロペラが起こす風の影響も確認した。

     この実験には、丸紅、LIFT社のほか、株式会社長大(東京)がイベント管理、学校法人ヒラタ学園(大阪府)が申請支援、損害保険ジャパン株式会社(東京)がリスクアセスメントで関わった。また大阪府、大阪市、大阪商工会議所で構成する「実証事業推進チーム大阪」も協力した。

    報道陣が見守る中、初めてのパイロット搭乗飛行を披露した米LIFT社のHEXA
    質問に回答するLIFTの
    大阪城を背景に飛行する1人乗りエアモビリティHEXA。GMOインターネットの熊谷正寿代表が操縦している
    飛行をおえ報道陣の取材に応じるGMOインターネットの熊谷正寿代表。空クルが手軽で身近で簡単をあると印象づけた

    「手軽な空の移動の実現を日本で」丸紅執行役員・岡﨑氏が意欲

    大阪城公園での実証実験で飛行の前に行われたあいさつ。上段は左から丸紅・吉川氏、岡﨑氏、下段は左から長大・菊池氏、大阪商工会議所・松本氏、LIFT社・Matthew ChasenCEO

     実験の冒頭には関係者があいさつをした。

     大阪商工会議所の松本敬介産業部長は「この実験は万博機運醸成と未来社会のイノベーション創出に向けて実施した。大阪が日本を代表する実験都市であることをPRしつつ、空飛ぶクルマの実現の第一歩を刻みたい」とあいさつした。

     丸紅の執行役員で航空・船舶本部長の岡﨑徹氏は「この実証飛行は大阪府などの公募事業に採択を受けて実現した。パイロットが搭乗して上下、旋回など複数のパターンで実施する。国交省航空局の策定している空飛ぶクルマの試験飛行ガイドラインにのっとって申請し、承認を頂いた。飛行を通じて、空を飛ぶクルマがすでにあること、静粛性があることを発信し社会受容性向上に結び付け、空の移動をより身近にしたい。万博では空飛ぶクルマの運航事業者にも選ばれており、日本の空飛ぶクルマのフロントランナーとして活動したい。航空業界で幅広いネットワークもあり、多角的事業のノウハウももち、空飛ぶクルマのエコシステムを形成していく。『できないことはみんなでやろう』を合言葉に、手軽でグリーンな空の移動を日本で実現する」と抱負を述べた。

     LIFTのMatt ChasenCEOは「われわれの提供する未来の空のフライトのヴィジョンを共有できることを光栄に思っている。われわれは長い歴史の中ではじめて、ほんの短い時間で安全に空を移動する技術を身につけることのできる空飛ぶクルマHEXAを開発した。米国ではウルトラライト級と位置付けられ、既存の操縦資格を持たずにLIFT社独自のトレーニングを受ければ飛ばせることになっている。5年の開発で2023年の後半には有償飛行体験をローンチする計画だ」と話した。

     長大の事業戦略担当施行役員で事業戦略推進統括部の菊地英一氏は「もともとは瀬戸大橋のプロジェクトをたちあげるときにできた会社。インフラ整備に注力してきた歴史がある。今後空の移動のインフラ整備にも取り組みたい。飛ばす基準などで関わりたい。風や騒音の基準づくりも担い、今後の検証にいかしたい。離着陸場も重要になろう。その設計、運航にも取り組む。建設コンサルタントとして地方に貢献したい」と説明した。

     実は進行役を務めた丸紅航空宇宙・防衛事業部の吉川祐一氏も、LIFT社のライセンスを取得した日本人の一人として、2月23日に大阪・梅田で開催された空の移動革命シンポジウムに登壇していた。この日は進行のほか、会場から寄せられた質問にも答えた。会場からは万博での運航としてLIFTは現時点であがっていないことに関する質問があがり、吉川氏は「現時点ではその通り。ただし今後、遊覧や近距離の2地点間移動などの事業者の募集があれば挑戦したい」とLIFT社の機体の活用に意欲を見せた。

     また飛行をおえたあとGMOの熊谷氏は報道陣に囲まれる中、「機体は安定していて自動車を運転しているような感覚だった。会社としてはハッキング対応などの事業を進め、こうした技術で空飛ぶクルマの社会受容性向上に貢献したい」などと述べた。

    なお、この日(3月14日)に丸紅が発表したプレスリリースは以下の通りだ。

    ■パイロットが搭乗・操縦する空飛ぶクルマの実証飛行の実施について~日本初の取り組み~2023/03/14、丸紅株式会社

     (編集部注:原文のサイトはこちら) 

     丸紅は、米国LIFT AIRCRAFT社(以下、「LIFT社」)が開発・製造する一人乗り電動垂直離着陸機(以下、「eVTOL」)“HEXA”を用いて、上下飛行や旋回飛行等の複数の飛行パターンを有人にて行う実証飛行(以下、「本実証飛行」)を大阪城公園内野球場にて実施しました。屋外スペース(*1)において、パイロット(*2)が搭乗し操縦する空飛ぶクルマを飛行させるのは、日本で初めての取り組みとなります。

     本実証飛行は、大阪府が公募した「令和4年度 空飛ぶクルマ都市型ビジネス創造都市推進事業補助金」(*3)、および公益社団法人2025年日本国際博覧会協会と大阪商工会議所が公募した「2025年日本国際博覧会に向けた実証実験の実施候補者」に採択されたものです。空飛ぶクルマの有用性や利便性、新たなビジネスの創出・拡大への期待を多くの人々へ発信することで、社会受容性の向上に貢献することを目的として実施し、大阪府、大阪市、および大阪商工会議所で構成する「実証事業推進チーム大阪」の支援を受け、計画された飛行パターンを全て成功させました。

     丸紅は、eVTOLの日本市場への展開を目指し、日本国内における社会受容性の醸成やエコシステムの形成を図るべく、2021年度よりLIFT社と連携を深めてきました。LIFT社は、2017年に米・テキサス州で創業された1名乗りのeVTOLメーカーで、米空軍と提携し特別プログラムを実施しているほか、2023年より全米25都市で一般向け有償体験飛行の実施を予定しています。

     今後、丸紅とLIFT社は、電動で気候変動対策に大きく寄与する空飛ぶクルマの実装に向けた取組を加速させ、空の移動がより安全で身近な社会を創造すると同時に、低炭素化・脱炭素化を含む気候変動対策に貢献します。

    (*1)大阪城公園内野球場にて、航空局の許可を得て実施。

    (*2)本実証飛行における操縦については、航空機一般の特性を理解し、航空法規や気象・運航に関する一定の知識を有していることに加え、独自の訓練・試験に合格したLIFT社発行の操縦資格を有している操縦者を採用。

    (*3) 共同事業者の株式会社長大(人・夢・技術グループ)と共に採択。

     

    GMOインターネットグループも以下の発表をしている。

    ■2023年3月14日、日本初公開・グループ代表 熊谷正寿がパイロットとして「空飛ぶクルマ」を実証飛行~安心・安全な「空の移動革命」実現への取り組み~GMOインターネットグループ株式会社

     (編集部注:元サイトはこちら
     GMOインターネットグループ(グループ代表:熊谷 正寿)は、2023年3月14日(火)に、大阪市の大阪城公園内野球場にて、大阪府、大阪市、大阪商工会議所で構成する「実証事業推進チーム大阪(以下、「チーム大阪」)」が支援し、丸紅株式会社(以下、丸紅)が実施する、国の許可が必要な屋外スペースにおいては日本で初めてとなる「空飛ぶクルマ」の有人実証飛行に参加しました。

     実証飛行では、グループ代表の熊谷正寿が「空飛ぶクルマ」のパイロットを務め、およそ10分間、上下飛行、直進及び緩旋回飛行などを行いました。

     今回の実証飛行は、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会と大阪商工会議所が、万博開催の機運醸成と未来社会を見据えたイノベーション創出に向けて実施した、2025年大阪・関西万博の会場である夢洲における実証実験の公募で採択されたもので、チーム大阪が実施を支援しています。

    【「空飛ぶクルマ」実証飛行 参画の背景】

     グループ代表の熊谷は、かねてより空に大きな夢を抱き、ヘリコプターと飛行機の操縦免許を有する(※1)など、「日本で最も空に精通する経営者」を目指してまいりました。2023年1月には、アメリカ・テキサス州で、米国LIFT AIRCRAFT社製の電動垂直離着陸機(eVTOL)「HEXA」の操縦訓練プログラムを受講し、基準をクリアしたことで、日本人初となる初級・操縦士証の交付を受け、今回の搭乗に至りました。(※2)

     新たなテクノロジーの開発には高度な技術力と専門知識が必要です。熊谷は、自らがパイロットとして「空飛ぶクルマ」を操縦することで知見を蓄積し、安全性を実証いたしました。

     

    (※1)【ヘリコプター】自家用操縦士・回転翼航空機・陸上多発タービン免許

        【飛行機】自家用操縦士・飛行機・陸上多発タービン免許

    (※2)「HEXA」は米国航空法(FAA)におけるPART103(軽量飛行機)基準で飛行するため、米国内で飛行する場合は航空法上の免許は不要ですが、操縦にはLIFT AIRCRAFT社が提供する特定の飛行訓練プログラムを受講し、基準をクリアする必要があります。

    【「空のセキュリティ」確立へ 技術で貢献】

     GMOインターネットグループは、人々の生活をより良くする「空飛ぶクルマ」の普及に向けて、情報セキュリティとサイバーセキュリティ技術による「空のセキュリティ」確立に向けた取り組みを進めています。

     「空飛ぶクルマ」の普及において、最大のリスクはサイバー攻撃による墜落事故です。機体を制御する通信が攻撃された場合、乗客や地域住民の命に関わる墜落事故が起きることが懸念されます。また、通信を乗っ取られた「空飛ぶクルマ」が重要な施設への攻撃に使われる可能性も指摘されています。

     

     こうした中、GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社(代表取締役社長:青山 満 以下、GMOグローバルサイン・HD)および同社の連結企業群であるGMOグローバルサイン株式会社(代表取締役社長:中條 一郎 以下、GMOグローバルサイン)を中心として、ドローンや「空飛ぶクルマ」の通信の暗号化をはじめとする通信セキュリティ技術や電子認証技術を提供しています。

     また、国内最大規模のホワイトハッカーを組織するGMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社(代表取締役CEO:牧田 誠)では、「GMOサイバーセキュリティ for Drone/eVTOL」を提供し、セキュリティの専門家がデバイス、通信、クラウドの脆弱性診断を行うなど、サイバー攻撃から「空飛ぶクルマ」とその管制施設を守る取り組みを進めています。

     

     こうした技術は「HEXA」の飛行にも活用され、GMOインターネットグループが提供する高度なセキュリティ技術が安全性の確保に役立っています。

    (参考:GMOインターネットグループ セキュリティ対策サイト https://www.gmo.jp/security/)

     

    【GMOインターネットグループ・各代表者のコメント】

    ■GMOインターネットグループ 代表取締役グループ代表 熊谷 正寿

    私はヘリコプターや飛行機を操縦しますが、この「空飛ぶクルマ」は非常に簡単に飛ばすことができました。「空飛ぶクルマ」の一番のリスクはハッキングです。GMOインターネットグループは「空飛ぶクルマ」のセキュリティを担い、情報セキュリティとサイバーセキュリティの観点から「空飛ぶクルマ」の安全を守り、産業の発展を応援します。2025 年の大阪万博で実用化され、その後多くの方々の移動手段として、また、時間節約の手段として活用されることを願っています。

     

    ■GMOグローバルサイン 代表取締役社長 中條 一郎

    GMOインターネットグループが空の安全の一端を担えるよう、電子証明書の側面から支援してまいります。

     

    ■GMOサイバーセキュリティ byイエラエ 代表取締役CEO 牧田 誠

    空飛ぶクルマのセキュリティリスクは通常の自動車やIoT機器よりも大きく、人命にまで及びます。誰もが安心して利用できるセキュアな空飛ぶクルマを作るために技術力で貢献していきます。

    【安心・安全な「空の移動革命」への取り組み】

     GMOインターネットグループでは、空を産業の「最後のフロンティア」と捉え、経済産業省・国土交通省が運営する「空の移動革命に向けた官民協議会」に参画するなど「空の移動革命」の実現に向けて各種セキュリティ技術の開発・提供を行ってまいりました。

     さらに、2021年には大阪・関西万博でのeVTOLの実用化に向けて協議会内で発足した、「大阪・関西万博×空飛ぶクルマ実装タスクフォース」にも参画し、産官学構成員とともにeVTOL活用のコンセプトや運用計画策定等の具現化を図るべく検討を進めてまいりました。

     これらの取り組みを通じて、安心・安全な「空の移動革命」を実現するためのさらなるセキュリティ対策技術の開発に取り組み、次世代モビリティ産業の成長に貢献していきます。

    (参考)

    ■GMOインターネットグループ グループ代表・熊谷正寿が「空飛ぶクルマ」のパイロットに~日本人で初めて初級・操縦士証を取得~(https://www.gmo.jp/news/article/8204/)

    ■GMOインターネットグループ、「大阪・関西万博×空飛ぶクルマ実装タスクフォース」へ参画~2025年開催の「大阪・関西万博」における空飛ぶクルマの運用開始に向けセキュリティ技術で貢献~(https://www.gmo.jp/news/article/7285/)

    ■GMOインターネットグループ、「空の移動革命に向けた官民協議会」へ参画が決定~セキュリティ技術で空の安全を守り、次世代モビリティ産業の成長に貢献します~(https://www.gmo.jp/news/article/7228/)

     大阪市も実験前に以下を発表している。

    ■報道発表資料 日本初公開 操縦者(パイロット)が乗り組む「空飛ぶクルマ」の実証実験を支援します

     

     

    (編集部注:原文のサイトはこちら
    大阪市、大阪府、大阪商工会議所で構成する「実証事業推進チーム大阪(以下、「チーム大阪」という。)」は、丸紅株式会社が大阪城公園で実施する「空飛ぶクルマ」の実証実験を支援します。

     今回の実証実験は、米国のLIFT AIRCRAFT社製の一人乗り電動垂直離着陸機(eVTOL)“HEXA”を使用し、上下飛行、旋回飛行等、幾つかの飛行パターンによる、日本で初めての操縦者(パイロット)が乗り組む「空飛ぶクルマ」の飛行を、国の許可が必要な屋外で実施するもので、本実証実験を通じて、「空飛ぶクルマ」を活用したサービスの認知度を高め、社会受容性の向上に貢献するとともに、得られた調査結果を今後の事業性評価に活用します。

     大阪市では、これまで国や大阪府等とも連携し、「空飛ぶクルマ」の2025年大阪・関西万博(以下、「万博」という。)での実現をめざし取組を進めてきました。万博の開幕まで2年余りという時点での、日本で初めてとなる本実証実験は、「空飛ぶクルマ」の万博での実現に向けた社会受容性の向上や万博後の大阪での社会実装に向け、非常に重要なものであり、「空飛ぶクルマ」の実現によるイノベーションの創出や大阪経済の活性化にも大きく貢献することが期待されます。

     チーム大阪では、今後も先端技術を活用した実証実験の実施を支援することにより、「未来社会の実験場」をコンセプトとする万博に向けて、大阪で新たなビジネスを創出する機運を更に高め、「実証事業都市・大阪」の実現をめざします。

     

    実証実験概要

    実施日

    令和5年3月14日(火曜日)、15日(水曜日)

     

    実施場所

    大阪城公園内野球場(大阪市中央区大阪城3番 大阪城公園内)

     

    実施主体

    丸紅株式会社、LIFT AIRCRAFT INC.(共同事業者:株式会社長大)

     

    実施内容

    上下飛行(有人/無人)

    直進及び緩旋回飛行(有人/無人)

    四角い経路飛行(有人/無人)

    <大阪商工会議所画像:LIFT AIRCRAFT社製“HEXA”(写真提供:丸紅株式会社)

    参考

     本実証実験は、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会及び大阪商工会議所による「万博開催の機運醸成と未来社会を見据えたイノベーション創出に向けた『夢洲における実証実験の公募』」に採択されたもので、チーム大阪として大阪市が中心となり、実証実験場所の選定に係る調整や施設管理者との調整等の支援を実施しています。

     なお、本実証実験場所は、夢洲での実施に向け協議・調整していましたが、当初想定していたスケジュールに変更が生じたことなどから、大阪城公園内野球場での実施となりました。

     また、本実証実験は、大阪府の「令和4年度 空飛ぶクルマ都市型ビジネス創造都市推進事業補助金」事業としても採択されています。

    LIFT AIRCRAFT社製“HEXA”(写真提供:丸紅株式会社)

    ■GMO熊谷代表が米LIFT社の操縦資格を日本人初取得の記事はこちら

    ■大阪・関西万博での空クル運航事業者決定の記事はこちら

    ■VolocopterのVoloCity大阪で初お披露目、の記事はこちら

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    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
  • 2023.2.22

    住商、VolocopterのシリーズEラウンドに出資 3月8~12日に大阪でVoloCityの実物大モデルを初展示

    account_circle村山 繁
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     住友商事株式会社は2月21日、AAM(アドバンストエアモビリティ、いわゆる“空飛ぶクルマ”)開発の独Volocopter GmbHに出資したと発表した。Volocopterも住商からシリーズE資金調達ラウンドでの資金を調達したことを公表した。またVolocopterは国土交通省航空局が、同社が開発する「VoloCity」の型式証明(TC)の申請を受理したことも公表。国土交通省もVolocopterからの申請を受理したと発表した。Volocopterは3月8日~12日に、大阪でVoloCityの実物大モデルを初展示する方針だ。Volocopterは、提携する日本航空株式会社が大阪・関西万博での空飛ぶクルマ運航事業者のひとつに決定したことから、同社のVoloCityが万博で利用者を乗せて運航する現実味が高まっている。

    「AAMは騒音も小さい、環境にやさしい次世代航空機」

     Volocopterは、AAM開発を早くから手掛け、日本のエアモビリティ関連の事業者の間で知られてきた。日本企業では2020年にMS&ADインシュアランスグループホールディングス傘下の三井住友海上火災保険株式会社が業務提携に合意して以降、連携も加速している。住友商事も2018年からAAM分野への取り組みを加速させている。

     住友商事の発表は以下の通り

    電動垂直離着陸機を開発・製造する独・Volocopter社への出資について~Advanced Air Mobility市場の創生を目指す~住友商事株式会社

     住友商事株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員 CEO:兵頭 誠之、以下「住友商事」)は、Advanced Air Mobility(以下「AAM」)の分野で電動垂直離着陸機(electric Vertical Take-Off and Landing、以下「eVTOL」)を開発・製造するドイツのVolocopter GmbH(以下「Volocopter(ボロコプター)」)に出資しました。

     AAMはeVTOLおよび無人航空システム(ドローン)を用いた航空交通・物流システムの総称です。eVTOLは、既存の民間航空機と比較し、電動のため駆動時の温暖効果ガス排出量が格段に少なく、滑走路が不要で離着陸時の騒音も小さい、環境にやさしい次世代航空機です。また、維持管理が必要な部品点数が少なく、将来的には自律飛行が可能で、運航費用を大幅に節減できると期待されています。eVTOLを活用することで、環境負荷が小さく、安心・安全・安価で手軽な空の交通・物流サービスを実現できます。日本国内おいては「未来社会の実験場」をコンセプトとする2025年大阪・関西万博を皮切りに、eVTOLの社会実装と商業運航開始が計画されています。

     Volocopterは2011年にドイツ・Bruchsal(ブルッフザール)市で設立されたeVTOL開発・製造会社であり、開発中のVoloCityについて既存航空機と同基準の安全要求値を実現すべく、500名以上の体制で開発に取り組んでいます。世界の競合企業に先駆けて2024年に欧州航空当局(EASA)からのVoloCityの型式承認取得と運航開始を計画しています。翌2025年には本邦国土交通省航空局(JCAB)からの型式承認取得と大阪・関西万博での運航開始を目指しています。また、機材開発と並行して、航空業界・自動車業界・物流業界のグローバルパートナーとの連携も進めており、eVTOLによる交通・物流サービスの提供、離発着場の開発・運営・整備を含めた全体エコシステムの構築を通じてAAM業界をリードしています。さらに、搭乗可能人数が多く航続距離の長い次世代機材の開発にも着手しており、将来の市場拡大を見据えた取り組みを行っています。

     住友商事は、航空業界におけるネットワークや多角的な事業活動を通じて培ったノウハウを活用し、2018年からAAM分野における事業化を検討しています。2020年にはAAMの社会実装に不可欠な無人機管制システムを開発する米国のOneSky Systems Inc.に出資し、日本で市場開拓を行ってきました。同時に物流課題・地域課題の解決に向け、国内外で小型ドローンを用いた各種実証を通じて、AAMと既存物流を組み合わせた持続可能な物流システムの実装に挑戦しています。本出資を通じ、Volocopterとの連携を図り、新たな空の交通・物流手段として期待されるAAMの日本国内の普及浸透と持続可能な新しい社会インフラの構築を行うことで、地球環境と共生しながら地域と産業の発展へ貢献していきます。

     国交省航空局の発表は以下の通り

    ドイツ Volocopter 社からの空飛ぶクルマの~型式証明の申請受理について

    本日、国土交通省は、ドイツの空飛ぶクルマの設計製造者である Volocopter社 が開発中の機体について、同社からの航空法に基づく型式証明申請を受け付けました。空飛ぶクルマとしての型式証明申請の受理は、我が国で3件目となります。国土交通省としては、今後、開発の進捗に合わせて、航空機の安全性及び環境適合性に係る審査を適切に進めることとしております。

    ○ 今般、ドイツ・ブルッフザールに所在する Volocopter 社において開発が進められている電動・垂直離着陸型の航空機、いわゆる“空飛ぶクルマ”について、同社より航空法に基づく型式証明※1の申請があり、国土交通省は本日付けでこれを受理しました。
    ※1 型式証明とは、機体の設計が安全性及び環境適合性に関する基準に適合することについて国が
    審査及び検査を行う制度のこと。国は、機体の開発と並行して審査及び検査を行う。
    ○ 空飛ぶクルマとしての型式証明申請の受理は、我が国で3件目※2となります。
    国土交通省としては、今後、開発の進捗に合わせて、欧州航空安全当局(EASA)とも連携し、航空機の設計・製造過程等に係る型式証明審査を適切に進めることとしております。
    ※2 空飛ぶクルマとしての型式証明の申請をこれまでに2件受理。
    ・㈱SkyDrive (本社:東京都)から、令和3年 10 月 29 日付で受理
    ・Joby Aviation(所在地:米国・カリフォルニア州)から、令和4年 10 月 18 日付で受理

    【Volocopter 社の会社概要及び機体概要】
    設立: 2011 年
    所在地: ドイツ・ブルッフザール
    人数規模: 500 名以上
    CEO: Dirk Hoke
    事業内容: eVTOLの開発/設計/製造
    日本航空等が出資

    AUTHER

    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
  • 2022.7.14

    【京阪奈ドローンフォーラム】22社・団体が出展、11人が登壇 若宮健嗣万博大臣も視察へ

    account_circle村山 繁
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    奈良エリアの大型コンベンション施設「奈良県コンベンションセンター」(奈良市)で7月22日(金)の午後に開催される『第一回京阪奈ドローンフォーラム』(主催:京阪奈ドローンプロジェクト実行委員会:実行委員長・増尾朗)の概要が判明した。ドローンやエアモビリティ関連の製造、技術開発、サービス、研究に関わる22の企業・団体が出展する。講演会場ではドローンやエアモビリティのキーパーソン11人が次々と登壇し、テンポよく講演する濃密な時間となる。また当日は若宮健嗣万博担当大臣が視察することも決まった。フォーラムの参加には申し込みが必要だが、現在申し込みが急増しており、定員に達した場合、そこでいったん申し込みを締め切ることも検討している。

    京阪奈ドローンプロジェクトのキックオフ 出展のうち9組が関西勢

    第一回京阪奈ドローンフォーラムは、京阪奈エリアでドローン前提社会の実現を推進する「京阪奈ドローンプロジェクト」のキックオフイベントとして開催する展示と講演で構成する大型イベント。プロジェクトを通じ、ドローン、エアモビリティの活躍が展望される大阪・関西万博の開催年、2025年をターゲットに、地域でドローン・エアモビリティ前提社会を推進し、大阪・監査万博の機運醸成やその後の地域活性化、デジタル田園都市国家構想の一端としてのデジタル田園地域・京阪奈の実現を目指す。

    奈良県コンベンションセンターで正午にホールCの展示会場がオープンし、その後13時からホールA、Bでステージでの講演などが行われる。講演などは16時まで行われ、展示は17時まで行われる。

    展示会場には、各種ドローンの機体のほか、農業、測量、障害者支援、運用やデジタル人材などの人材育成サービスの取組、ドローンの飛行環境を感知するセンサー技術の展示などが予定されている。機体には国産VTOL、ハイブリッド機など幅広い種類の機体が展示される。展示のうち9件が関西地域、または関西に親会社がある企業だ。

    またステージにはいずれもドローン産業のキーパーソンがずらりと登場する。日本でドローンの産業振興をいち早く唱え、政府とも連携を図る一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の鈴木真二理事長、ドローン研究、人材育成、社会実装に力を入れていることで知られる慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアムの古谷知之代表、都市部上空での目視外飛行をさす「レベル4」の解禁にあわせて導入される国家資格などのルールをとりまとめる政府の調整役、内閣官房ドローン室(小型無人機等対対策推進室)の小熊弘明内閣参事官らが、ドローンの作業、生活、活用、ルールなどの全体像を描く。

    また、埋もれた絶景の発掘を提唱し観光による地域活性化に取り組む株式会社ドローンエモーションの田口厚代表が「観光と地域活性化」をテーマに、牛丼やラーメンなどをドローンも組み合わせて運ぶスマート物流の取組を加速させている株式会社エアロネクストの田路圭輔CEOが「物流と地域活性化」をテーマに話す。

    さらに空飛ぶクルマ開発で知られカーゴドローンの開発や運用代行を手掛ける株式会社SkyDriveの羽賀雄介アカウントプランナー、産業や生活の基盤となるインフラ点検でドローンの活用を推進しAIドローン米Skydio社の機体も運用する株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマークの柴田巧代表、空飛ぶバイク開発や空の交通整理に必要な運航管理システムの運用を手掛けるA.L.I,Technologiesの片野大輔代表が最新の取り組みを報告しながら、来場者にドローン前提社会の青写真を示す。東南アジアを中心に急速にドローンの運用を拡大しているマレーシアノエアロダイン社の日本法人、株式会社エアロダインジャパンの伊藤英代表もA.L.I.片野氏とともに登壇する。

    ステージの最後は、奈良市観光協会の乾昌弘会長、公益財団法人大阪産業局の手嶋耕平氏と、数人の登壇者とでパネルディスカッションをたたみかけ、京阪奈エリアでのドローン前提社会推進の意義などについて、目の前の課題を題材にしながら意見を交換する。

    来場が決まった若宮健嗣万博担当大臣は、デジタル田園都市国家構想担当、共生社会担当のほか、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全、クールジャパン戦略、知的財産戦略)も兼ねる。フォーラムでの発現が注目されるとともに、フォーラムでの視察がどういかされるかにも期待が寄せられる。

    実行委員会は、5時間の展示、3時間の講演と、実質的に半日のスケジュールに要素を詰め込んだ濃密なイベントで、京阪奈エリアでのドローンの取り組みを加速させる方針だ。

    なおフォーラムの参加には原則、事前の申し込みが必要(https://www.keihanna-drone.com/)で、現在参加申し込みを受け付けている。ただし現在、申し込みが急増しているため、定員に達した場合にはいったん、受付を修了する方針だ。展示会場の見学者も想定し、当日受付の窓口を設置するかどうかを検討している。また、ステージでの講演の様子は、リアルタイムで配信する予定だ。アーカイブ配信は予定していないという。

    ■出展企業・団体は以下の通り

    ㈱エアロジーラボ/エアロセンス㈱/㈱エアロネクスト/NTTコミュニケーションズ㈱/大阪産業局・ソフト産業プラザTEQS/㈱キッズプロジェクト/慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム/㈱国際電気通信基礎技術研究所/ジオサーフ㈱/セブントゥーファイブ㈱/D-wings/dig-it-works㈱/合同会社DPMSs/一般社団法人DPCA(ドローン撮影クリエイターズ協会)/ドローンジャパン㈱/ドローン アクセシビリティ プロジェクト(㈱シアン/テクノツール㈱)/奈良自動車学校/菱田技研工業㈱/明新社/(有)森山環境科学研究所/㈱WorldLink & Company(五十音順)

    DroneTribuneのインタビューを受ける若宮健嗣万博担当大臣=2022年2月
    京阪奈フォローンフォーラムの会場となる奈良県コンベンションセンター(奈良市)

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    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
  • 2022.4.26

    空飛ぶクルマ、マンガで解説 テトラが機体開発や展望を分かりやすく

    account_circle村山 繁
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     人を乗せて飛ぶドローン“空飛ぶクルマ”の開発を手掛けるテトラ・アビエーション株式会社(東京)が、「マンガでわかる! 空飛ぶクルマ」を刊行した。小中学生向けに航空機の歴史や空飛ぶクルマの開発について紹介している。

    小学校5年生の女の子、男の子が主人公のストーリー

     マンガでは空の移動や航空機開発の歴史、空飛ぶクルマがもたらす利点、テトラの開発した機体、将来展望などを、小学校5年生のドローンが趣味の女の子と同級生の男の子を主人公にしたストーリーの中で解説している。ストーリーの中で主人公の2人がテトラの中井佑代表らを訪ね、空飛ぶクルマの実用化で渋滞解消や環境課題などの解消につながる説明を受ける。

     マンガを刊行したテトラは100㎞を30分で移動する1人乗りのeVTOLなどの開発を進めており、購入予約も始めている。

     テトラは「このマンガで理解が進み愛着が広がればうれしいと思っています」と話している。企画・制作は株式会社ポプラ社、編集協力は株式会社サイドランチ。B5判、オールカラー96ページで1100円(税別)

    【オンライン販売】Amazon

    【マンガ概要】
    
    「マンガでわかる!空飛ぶクルマ」
    
    発行日:2022年3月11日
    
    判型:B5判/オールカラー/96ページ(表紙除く)
    
    発行:テトラ・アビエーション株式会社
    
    制作:株式会社ポプラ社
    
    制作協力:株式会社サイドランチ

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    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
  • 2022.4.21

    “日本のインターネットの父”村井純氏、DRONE FUNDエグゼクティブアドバイザーに就任

    account_circle村山 繁
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     ドローン、エアモビリティ関連特化型のベンチャーファンド、DRONE FUND(東京都渋⾕区)は4月20日、“日本のインターネットの父”として知られ、「インターネット前提社会」を掲げて普及、啓蒙に励んだ村井純慶應義塾⼤学教授がDRONE FUNDエグゼクティブアドバイザーに就任したと発表した。DRONE FUNDが目指す「ドローン・エアモビリティ前提社会」は村井氏の「インターネット前提社会」が土台となっており、今後さらに取り組みを加速させる。

    ドローン・エアモビリティ前提社会の実現へ取り組み加速

    DRONE FUNDはドローンやエアモビリティを新しい時代のインフラとして定着することを目指し、2017年6月に発足以来、多くの関連スタートアップを社会に送り出している。ドローンの社会実装にとってひとつの節目となる「レベル4」の解禁を目前に控え、今後はドローン、エアモビリティを社会のインフラとして機能させる取り組みを加速させる段階に入る。DRONE FUNDと村井氏の「前提社会コンビ」が手を携え、インフラ化実現に取り組むことになる。

    DRONE FUNDエグゼクティブアドバイザーに就任した“日本のインターネttモの父”村谷純氏(中央)、向かって右は千葉功太郎氏、左は大前創希氏)

    DRONE FUNDの発表は以下の通り(以下、引用)

     2017年6⽉、DRONE FUNDは、⽇本初のドローン・スタートアップに特化した専⾨ファンドとしてスタートしました。「ドローン前提社会」の実現に向けて、ドローン産業黎明期における投資・⽀援活動を進めていくことを宣⾔しました。2018年8⽉に設⽴した2号ファンドでは、「エアモビリティ前提社会」の実現をテーマに加えました。

     ドローン前提社会の実現は、村井純教授がインターネット社会黎明期に掲げた「インターネット前提社会」のコンセプトを基盤にしています。インターネットが私たちの社会を⽀えるインフラになったように、ドローンなどのフィールドロボットが新しいインフラになることを⽬指しています。

     今回、村井純教授をエグゼクティブアドバイザーに迎えることにより、ドローンファンドは、ドローン・エアモビリティ前提社会の実現に向けたコンセプト設計や、制度設計・ルール形成に関する提⾔活動、産業エコシステムの形成に向けた連携活動を加速させていきます。

    DRONE FUNDの

    ■村井純エグゼクティブアドバイザーによるコメント

    いよいよドローン前提の時代を迎える。私たちの社会では、様々な経験が揃い、ドローン時代の具体的なイメージが徐々に明らかになってきた。ドローンそのもののテクノロジーは急激に、しかもしっかりと発展してきている。さらに三次元空間を⾃由に移動するドローンのペイロード、特にあらゆるセンサーから⽣まれる⼈類がこれまで⼿にしたことのない品質の空間知。ペイロードの多様性から⽣まれるサービス展開のアイデア。このような価値もしっかりと認識されてきた。それに加えてドローンそのものの技術だけでなく、ドローン社会を⽀える全く新しいエネルギーグリッド、ドローンや低軌道衛星などで形成される空からのインターネット:NTN、我が国のお家芸ともいえる正確な三次元空間地図の表現など実空間のインフラとプラットフォーム。結果として次々と⽣まれる新しい社会像は無限の可能性へと広がっていることに気がつく。まったく新しい創造性と⼒で未来を開拓する DRONE FUND を通じて、⼤きな期待と夢を共有したい。

    【略歴】:慶應義塾⼤学教授。⼯学博⼠。1984 年⽇本初のネットワーク間接続「JUNET」を設⽴。1988年インターネットに関する研究コンソーシアム「WIDEプロジェクト」を発⾜させ、インターネット網の整備、普及に尽⼒。初期インターネットを、⽇本語をはじめとする多⾔語対応へと導く。内閣官房参与、デジタル庁顧問、北海道顧問、他各省庁委員会主査等を多数務め、国際学会等でも活動。2013年ISOCの選ぶ「インターネットの殿堂(パイオニア部⾨)」⼊りを果たす。「⽇本のインターネットの⽗」として知られる。著書に「インターネット」(岩波新書)他多数。

    村井純氏

    ■共同代表によるコメント

    ドローンファンド 共同代表 千葉功太郎:2022 年はドローン産業にとって、重要な節⽬の年です。空の産業⾰命に向けたロードマップでは今年からレベル4の実装が⾏われます。年内には新しい機体認証・ライセンス制度がスタートします。次世代航空モビリティの分野では、3⽉に、空の移動⾰命に向けたロードマップの更新が⾏われました。私たち、ドローンファンドは、3号ファンドの組成の完了を発表しました。私が慶應義塾⼤学湘南藤沢キャンパス(SFC)で学んでいた時、時代はインターネット社会の黎明期でした。今は、ドローン・エアモビリティ前提社会の実現に向けた新しい時代を迎えるタイミングです。そうした時期に、村井純教授をドローンファンドのエグゼクティブアドバイザーとして迎えられることを⾮常に嬉しく思います。

    千葉功太郎代表

    ドローンファンド 共同代表 ⼤前創希:「インターネット前提社会」というコンセプトを⽣み出し、⽇本のインターネットの⽗として市場の開拓に尽⼒された村井純教授に、弊ファンドのエグゼクティブアドバイザーに就任頂く事はこの上ない嬉しい事であり、⼤変光栄に感じます。現在の⽇本におけるデジタル⾰命の根幹にある課題は、いかに今までの業務内容を⾒直し効率化を図っていくかという所にあります。これはドローン・エアモビリティに課せられている課題の⼀つでもあり、⼈間社会が環境負荷を軽減しながら永続的かつ効率的に活動していくための、重要な転換期と⾔えると私どもは考えています。インターネットがもたらした私たちの⽣活への変化と同じような⼤変⾰を「ドローン・エアモビリティ前提社会」の実現によって成しえるため、私たちはこれからもスタートアップの⽀援を通して社会に貢献できるよう努めて参ります。

    大前創希共同代表

    【DRONE FUND について】

    正式名称:DRONE FUND1号投資事業有限責任組合、DRONE FUND2号投資事業有限責任組合、DRONE FUND3号投資事業有限責任組合

    運営会社:DRONE FUND株式会社

    代表パートナー:千葉功太郎、⼤前創希

    所在地:東京都渋⾕区恵⽐寿三丁⽬3番6号滝澤ビル3F

    設⽴:2017年6⽉(1号)、2018年8⽉(2号)、2020年5⽉(3号)

    事業内容:ドローン・エアモビリティ関連スタートアップへの投資及び協業⽀援

    ウェブサイト: http://dronefund.vc

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    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
  • 2022.2.9

    若宮万博相インタビュー 万博をドローンの事業モデル示す“未来社会の実験場”に 

    account_circle村山 繁
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     社会課題の解決や空の産業革命の期待を担うドローン、エアモビリティなどの活躍が展望される2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)は、ドローンや空飛ぶクルマにどんな舞台となり、どんな刺激をもたらすのか。DroneTribuneは若宮健嗣万博相(国際博覧会担当大臣)にインタビューした。若宮万博相は「未来社会の実験場にしたい」と語った。その背景には、1970年の大阪万博で積み残した課題に対する思いがあった。

    ■「飛ぶ」を超えた価値提供し大阪万博を超えたい

    ドローン、空飛ぶクルマに寄せる期待を大阪・関西万博やデジタル田園都市国家構想の観点からインタビューに応じる若宮健嗣万博相

    ――第二次岸田政権で万博相をつとめています

     

     「大阪・関西万博」は2025年4月13日から2025年10月13日までの間、大阪の夢洲地区をメイン会場にして開催されます。海外からも多くの国に参加頂き日本の底力を世界に発信して成長を加速させる機会にできればと思っております。そのためには大阪だけでなく周辺の関西地域や全国の積極的な参加も必要です。私は万博大臣、正式には国際博覧会担当大臣ですが、そのほかに共生社会担当大臣、デジタル田園都市国家構想担当大臣、クールジャパンや知財戦略を担当する内閣府特命担当大臣でもあります。融合させるべきところは融合させ、取り組みを進めております。

     

    ――大阪・関西万博はドローンや空飛ぶクルマにとってどのようなステージになりますか

     

     ドローンにも空飛ぶクルマにも大きな意味を持つ機会になると確信しています。具体的なことはこれから知恵を絞り創意工夫を重ねて参りますが、日本の持つ技術や創造力をお示しし、来場されるみなさま、海外からお越しのみなさまに驚いて頂き、再び日本に注目して頂ける機会にしたい。ドローンや空飛ぶクルマ、空飛ぶバイクは、周辺技術も含め、世界各国、各地域で開発が進んでいます。その中で日本は何を提案するのか、万博で何を発信するのか、ここは大きな注目点になると思っています。私としましては、こうした機体が飛ぶことで、生活がどう豊かになるのか、人々がどう幸せになるのか、といったものを示していければよいのではと思っております。

     

    ――大きな意味を持つ機会としての万博ですね

     

     はい。「飛ぶ」を超えた価値を示したいと考えています。日本は、前回の大阪万博で世界を驚かせた実績を持っています。私自身は、小学校3年生の時に、前回の大阪万博に出かけました。そこでは特に4つ、強く印象に残ったものがあります。携帯電話、リニアモーターカー、電気自動車、ロボットです。1970年当時には、どれも身の回りにはありませんでした。私自身も初めて見るものばかりでとても驚きました。海外から来られた方もみなさん驚かれたと思います。その驚かせた4つがいまや現実になってきています。ロボットは二足歩行でないにしろ産業や介護などさまざまな現場で役立っています。携帯電話はすでに普及し、電気自動車も広がりつつあります。リニアモーターカーも計画が進んでいます。

     

    ――その時の驚きを再現したい?

     

     それを超えたい、というのが本音です。たとえば携帯電話。1970年の万博で日本が世界に先駆けて発信して世界を驚かせましたが、現在、どこの国のメーカーが世界のマーケットでシェアを押さえているかというと、アメリカであり、韓国であり、スウェーデンであり、といった状況です。日本製は、素晴らしいのに、世界のマーケットをとっているかといえば、そうはなっていません。そこにやや“残念感”があるのです。その状況を次の万博で打ち破りたいのです。ドローンもそれになれると考えています。ドローンの開発はしばしば海外が先行している、と言われます。そのドローンで、日本のすごさを示したい。飛ばすために必要な環境や条件ですとか、ビジネスでうまくいくためのモデルであるとか、利用した企業や人々や社会が歓迎するためのスタンダードであるとか、そういったものが示せないか、と思うわけです。アフリカのルワンダで血液製剤などをドローンで運んでいるアメリカのジップライン(Zipline)という会社がありますよね。道路網の整備状況などから考えると、あの取り組みは「飛ぶ」を超えた価値があると思うのですが、そんな価値あるビジネスデルを、日本なら構築して提案できると思うのです。

    ■「飛ぶ」に思いやりをのせて

    ――示したいのは、飛ぶことのその先、ということですか

     はい。飛行そのものの質も当然ながら大事ですし、日本の強みになると思いますが、その先のことを示したいのです。ドローンや空飛ぶクルマによる生活スタイルや、ビジネススタイルの変革です。安全性と利便性のバランスをとりながら、ドローンでどのような価値を生み、どのように次の新しい生活スタイルになじませるのか。前回の大阪万博で日本が発信した技術は、マーケットを海外に占められました。しかし今の日本は当時と違います。もはや固定観念にとらわれる日本ではありません。振り返りますと、当時の日本には三公社五現業がありました。電話の事業も国の経営体制の中で運営されていました。その枠の中でもあれだけのことを発信しました。残念ながら普及に至らず、固定観念のない海外勢が普及させたわけですが、今の日本には当時の枠はありません。固定観念にとらわれない新しい発想も出てきています。ドローンが飛んで当たり前の社会を、グローバルスタンダードとして提示していければ、と思います。

    ――ドローンが当たり前の社会を実装するステップに?

     はい。どれだけ示せるかはこれからですが。その前に、もしかしたらドローンを軍事用と感じておられる方がいらっしゃるかもしれませんので、生活の利便性を高めるものと認識して頂けるようにしたいです。良い面、悪い面がそれぞれあると思いますので、そのいい面を育てる。悪い面を減らす。AIを組み合わせることでそれができるかもしれません。普及のためには製品やサービスが普及しやすい価格になることも大事だと思います。万博会場やその周辺エリアでのサービスの中に取り込むことも考えられます。オリンピック・パラリンピックで、日本のおもてなしの心を示すことに取り組みましたが、万博でも日本の思いやりを届けられれば。行き届いていないところに手を差し伸べるようなことができれば。

    ■万博を未来社会の実験場に

    インタビュー風景

    ――地方活性化であるデジタル田園都市国家構想にもつながりそうです

     

     はい。デジタル田園都市国家構想は、地方も含めて全国で光ファイバーをめぐらせ、Wi-Fiが使えるように整備して利便性を高める政策です。地方の生活の中で、行き届いていない部分を満たしていく対策です。現状の生活で買い物が不便なのであれば、ドローンで宅配してもらえれば早くて便利かもしれません。その通信インフラを整えることが必要となりますので、デジタル田園都市国家とドローンは非常に相性が高いと私は思っています。私はよく街頭演説で「不便」や「不満」など「不の要素」を取り除く取り組みに価値があるのではないか、とお話します。日常生活もそうです。産業もそうです。不便なところがあればそれを取り除く。農業ではたとえば農業従事者の負担となる散布や生育状況の監視、養殖ではいけすの監視に使うことで、負担を取り除く。それを可能にすることに取り組むつもりです。

     

    ――それがグローバルスタンダードになればよいと

     

     はい。「不の要素」を減らせば、そこで生まれたゆとりで新しい価値を生み出せます。ドローンも大きく寄与します。人々の時間の使い方や働き方も変わってくるでしょう。万博で新たな生活スタイルとかモデルを見せることで、デジタル田園都市国家構想の実現につながってくると思います。ノウハウを凝縮したものが国際ルールになれば知的財産になりますし、各国を魅了するモデルにできればクールジャパンになります。私は万博、デジタル田園都市国家とともに、クールジャパン、知的財産を担う特命大臣でもあります。それぞれがすべてつながるのです。万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」(Designing Future Society for Our Lives)をテーマに掲げております。それをふまえて、私は万博を未来社会の実験場にしたいと思っています。

    ■万博機運を大阪から関西全域に、さらに全国に

    ――「大阪・関西万博」の「関西」への広がりをどうお考えですか

     

     大事なことです。大阪の盛り上がりを関西全域に広げたい。ちょうど関西広域連合の8府県が大阪を囲むようにあり、それぞれ個性豊かな風土と文化を持っています。ドローンという切り口に限りませんが、関西広域連合やそこに参加する府、県、市の持つ役割にも照らして、より盛り上げられる施策につなげられればよいと考えております。万博には約2,800万人の来場を見込んでおります。特に海外からご来場の方には会場を囲む関西エリアに足を運んで頂き、たとえば京都や奈良などの古都の風情や個性や魅力を味わって頂きたいです。大阪で議論が盛り上がっておりますが、これからそれ以外の地域での議論も活発化していくと期待しています。

     

    ――経済効果も見込まれますね

     

     インバウンドの効果も高いと思います。海外からお見えの方は年々増えておりまして、新型コロナウイルスの影響を受ける前の2018年、2019年は年間で3000万人を超えました。約5兆4000億円の経済効果がありました。これは消費税の税収の2%にあたります。しかも海外の型がご自身の国にお帰りになったあとにもお買い上げいただいたり、PRして頂いたりと波及効果もあります。関西に限らず全国で、万博を地域の魅力をアピールする場にして頂いてはいかがかなと思っております。とくに関西エリアでの盛り上がりと積極的な参加を期待しています。

     

    ――デジタル田園都市国家構想に沿ったインフラ整備が進むと地域の利便性はますます高まりそうです

     

     そうです。日本の「田舎」と呼ばれる地方都市の温泉や風景や土地の言葉や食べ物に触れて頂くことがより便利になると思います。日本にお越しのみなさまにはぜひ「田舎」にも赴いて頂き、楽しんで頂き、それを発信して頂ければと思います。発信するために必要なインフラは整えて参ります。北海道のニセコのように、海外で先に人気に火が付く、ということが各地で起こる可能性があります。地方でこそ作れるビジネスモデルに期待しているのはそこのところです。一極集中の打開につながる期待もあります。

    ■地域の交流活性化に「寄り合いの進化版」を

    DroneTribuneのインタビューに応じる若宮健嗣万博相

    ――デジタル田園都市国家が進んで地域の利便性が高まった場合、その利便性を生かす人材の育成は

     

     大変、重要です。地方には、自分の生活スタイルを変えたくない、住んでいる場所も変えたくない、友達が少なく交流も限定的ながらそのままでいい、買い物もここ、と決まった生活スタイルで過ごしておられて、別に新しいことを必要としていない、とおっしゃる方、刺激的なことなどいらない、とおっしゃる方がいらっしゃると思います。そこで私が思っていますことが、それぞれの自治体や地区に、よりどころになる寄り合いの進化版のようなものを作ることです。昔からあったところなら、それを少しおしゃれにして、必要で欲しい情報がそこに行き届くようにして、その土地を訪れた方も気兼ねなくは入れて交流ができるようにして。海外の方も入れるようにして。そこでは地域同士の交流の場でもあり、別の地域の人からの交流も気兼ねなくできる。訪れると地元の人から地域の名産の農作物の話や見どころの話が聞ける。豚汁をふるまってもらうこともあるかもしれません。そこが楽しいと、それまで新しい刺激はいらない、と思っていた人の中にも、楽しんでくださる方が出てくるのではないかと思うのです。そこで重要になるのが、そういうことを仕掛けるコーディネートする方です。それまで東京に造っていたアンテナショップを地元につくることで地元に訪れる方を増やしたり、定住者を増やすための医療、教育、仕事の確保をしたり。それができる機能的な設備もあればよいと思います。そうなると、買い物サービスや肉体労働の手段としてドローンは不可欠になりそうです。

     

    ――ところで若宮大臣は未来のドローンとか空飛ぶクルマといったら、どんなものを想像しますか?

     

     『007/私を愛したスパイ』という映画で水中にもぐるクルマを思い出します。普段は道路を走り、必要なときに海や川を潜る潜水艦仕様になって、いざとなれば空も飛ぶ、みたいなものにあこがれますね。あれば映画の中ですが、普段の生活にも使えて、災害のときには別の姿で活躍できる機体があればいいなと思いますね。

     

    ――ありがとうございました。

    ■わかみや・けんじ 

    国際博覧会担当大臣、共生社会担当大臣、デジタル田園都市国家構想担当大臣、内閣府特命担当大臣。

     1961年9月2日、東京都千代田区生まれ。永田町小学校(現麹町小学校)、慶應義塾中等部、慶應義塾高等学校、慶應義塾大学商学部卒業。大学卒業後セゾングループに入社。グループ代表の堤清二氏の秘書等を務めたのち、2005年9月の衆院選に自由民主党公認で出馬し初当選。これまでに外務副大臣、防衛副大臣兼内閣府副大臣、防衛大臣政務官、衆議院外務委員長、衆議院安全保障委員長などを歴任。60歳。

     万博相就任時以来、消費者を取り巻く環境の変化に対応できる制度の構築、食品安全の確保、日本の産業競争力の強化や新型コロナにより打撃を受けたクールジャパン関連産業の存続と発展に努めること、万博相として日本の魅力を世界に発信し、日本の子供に夢、希望、驚きを与える取り組みを掲げている。担務が多いが「所管する担務が多岐に及んでおりますが、すべての課題にスピード感を持って対応してまいります」と話す。

     安全保障政策に強く、「日本の、経済だけ仲良くしてほしい、というスタイルは、安全保障の連携の面では限界があった」と断言する。関係各国との多面的な信頼関係の構築が、新型コロナウイルス感染症対策ワクチン確保にもつながった。

     政策では、「安心した暮らし、安全な生活を守る」「次世代教育と豊かな働き方による、経済発展」「現場を重視した効率的な予算を」「自然災害への備えと環境保全」「自由で開かれたインド太平洋地域の安定と発展へ」などを掲げる。

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    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
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