次世代エアモビリティ(AAM)運航の株式会社Soracle(ソラクル、東京)と、AAM開発の米Archer Aviation Inc.(アーチャー・アビエーション社、米カリフォルニア州)は、戦略的関係構築に向けた基本合意書を締結した。アーチャーは11月7日付で、ソラクルは11月8日付でそれぞれ発表した。両者で商用運航実現に向けた協業の検討を始める。合意にはソラクルによるアーチャー製AAM「Midnight(ミッドナイト)」の最大100機(5億ドル)の購入権が含まれていて、開発の進捗状況に応じて機体の引き渡し前に一部の前払いを実施する。
ソラクルは今回の合意に沿って、日本国内における空港シャトル・地域内輸送・地域間輸送など国内外の利用者を想定して魅力的な路線を開拓し、新たな価値を創造する交通ネットワークの構築を目指す方針だ。合意はソラクルがミッドナイトを最大100機(約5億ドル)購入する権利も含み、開発の進捗状況に応じて前払いを行う。
アーチャー製AAMミッドナイトはパイロット1人を含めた5人乗りのeVTOL。回転角度を変えられるチルトローターと固定翼を併用する機体で、最高速度は240km/h、航続距離160km。すでに米国内で試験飛行を重ねていて2025年末までにFAA(米連邦航空局)から型式証明の取得、2026年の商用運航実現を目指している。日本国内でも航空当局である国土交通省航空局の認可取得を目指す。
ソラクルは「eVTOLを用いた地球に優しく、より身近で新しい移動価値を創造することを目指し」て「eVTOLの社会実装の早期実現に向けた準備を加速」すると抱負を述べている。
アーチャーの事業開発担当シニア・ディレクター、アンドリュー・カミンズ氏は「私たちはソラクルとフライト新時代の先頭に立てることを誇りに思います。革新的で持続可能で便利な代替交通手段をもたらすことに全力を尽くします」とコメントしている。
ソラクルは今年(2024年)6月、住友商事株式会社と日本航空株式会社が50%ずつ出資して設立されたAAM運航を目指す合弁会社で、大阪・関西万博で独ヴォロコプター社(Volocopter)製AAMヴォロシティ(VoloCity)を飛行させる計画を進めてきた日本航空から事業を引き継いでいる。大阪・関西万博でデモフライトをする機体について、ヴォロシティからアーチャーのミッドナイトへの変更は9月26日に公表している。
ソラクルの発表内容は以下の通り。
~Soracle は大阪・関西万博デモンストレーション運航を契機に、eVTOL の社会実装を目指します~
株式会社 Soracle(以下「Soracle」)は、米国 Archer Aviation Inc.(以下「Archer 社」)と戦略的関係構築に向けた基本合意書を締結しました。
両社は、2024 年 9 月 26 日付で発表いたしました 2025 年日本国際博覧会(以下「大阪・関西万博」)でのデモンストレーション運航プログラムの実施に加え(※)、eVTOL の商用運航実現に向けた協業の検討を開始することに合意しました。
Soracle は、日本国内における空港シャトル・地域内輸送・地域間輸送など、様々なユースケースを想定した路線を開拓し、eVTOLを用いた地球に優しく、より身近で新しい移動価値を創造することを目指しています。今般 Archer 社との基本合意書には同社が開発・製造する eVTOL ”Midnight”の最大 100 機の購入権取得を含んでおり、eVTOL の社会実装の早期実現に向けた準備を加速して参ります。
Soracle は、2025 年 4 月から大阪・夢洲で開催される大阪・関西万博に、未来社会ショーケース事業「スマートモビリティ万博 空飛ぶクルマ」に、シルバーパートナーとして協賛いたします。本事業は、eVTOLをより身近に感じていただくことで、大阪・関西万博のコンセプトである「未来社会の実験場」を体現するものです。Soracle は Archer 社 eVTOL “Midnight”を用いた万博会場の周遊および会場と大阪ヘリポートを結ぶ2地点間のデモンストレーション運航を予定しています。
■Soracle 概要
社名 :株式会社 Soracle
事業内容:eVTOL による航空運送事業(許可取得予定)
設立 :2024 年 6 月
代表者 :代表取締役 太田幸宏・佐々木敏宏
所在地 :東京都中央区
ホームページ:https://www.soraclecorp.com/
■Archer 社概要
社名 :Archer Aviation, Inc.
事業内容:eVTOL 設計・開発・運航
設立 :2018 年
代表者 :Founder & CEO Adam Goldstein
所在地 :アメリカ合衆国カリフォルニア州
ホームページ:https://archer.com/
■Archer 社 eVTOL “Midnight” 概要
Archer 社が設計・開発する4人乗客(パイロット除く)ベクタードスラスト型のeVTOL。当該機は米国における試験飛行の実績を重ねており、2025年末までのFAA(連邦航空局)からの型式証明取得、2026 年の商用運航の実現を目指しております。
【運航性能(目標)】 最高速度 240km/h・航続距離 160km・最大積載量 454kg
(※) Soracle、JAL から大阪・関西万博 「空飛ぶクルマ」運航事業を承継
~Archer 社 eVTOL “Midnight”にて大阪・関西万博 デモンストレーション運航を実施~
https://www.soraclecorp.com/wp-content/uploads/2024/09/Press_240926.pdf
能登地震対応にドローン事業者が続々と参画している。イームズロボティクス株式会社(南相馬市<福島県>)は中型の「E6106FLMP2」、大型の「E6150TC」をあわせて4機を持ちこみ現地の需要に対応しているほか、石川県庁内に設置されたリエゾン拠点で業務調整にあたっている。ドローンが被災地で活躍するには、現地のニーズ、活躍できる事業者の選定、必要な申請など数々の業務調整が不可欠で、その調整役に経験のあるドローン事業者の知見や経験が役立っている。また株式会社SkyDrive も「SkyLift P300S」1機を含め4機を持ちこみ、ドローンの運用に定評のあるエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社(NTTコミュニケーションズ、東京)は主に上空の通信環境整備を担う。株式会社スペースエンターテインメントラボラトリー(横浜市)、日本航空株式会社(東京)、ヤマハ発動機株式会社(磐田市<静岡県>)、日本DMC株式会社(御殿場市<静岡県>)、川崎重工業株式会社(東京、神戸市<兵庫県>)などが現地で被災地の支援の先頭に立っている。
ドローン事業者は主に輪島市、珠洲市で活動をしている。両市は一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)に支援を要請していて、要請を受けたJUIDAのもと、ドローン事業者が災害対応に奔走している。
イームズロボティクスは機体の運用のほか、石川県庁DMAT調整本部内に情報連絡のために設置されたリエゾン拠点で輪島市などで活動するJUIDAや、経産省、国交省、事業者との業務調整にあたっている。政府、国内ドローン事業者へのヒアリングシートを作成したり、政府と災害時のドローン飛行などについて定めている航空法138条92項の取り扱いや災害救助法適応についても協議した。事業者との調整では株式会社スペースエンターテイメントラボラトリー、双葉電子工業株式会社(茂原市<千葉県>)と連絡をとり事前調整にあたった。
また、国立研究開発法人防災科学技術研究所(防災科研、つくば市<茨城県>)とは、オルソデータをアップロード出来るSIP4Dイームズロボティクスパイロットシステムを準備し、SIP4Dにアップされたオルソデータが災害対応機関が閲覧する災害情報サイト、ISUT-SITEに表示されるようにした。一般財団法人日本気象協会、株式会社ウェザーニューズとは活動支援用の特設サイトの準備を調整した。 ウェザーニューズにはドクターヘリ位置情報を輪島市でも確認出来るように、輪島市のDMAT本部にもシステムが設置されるよう調整した。NTTコミュニケーションズとは輪島市上空の電波状況について再計算を受ける調整をし、輪島市で活動するJUIDAチームとの共有を図った。
ドローンオペレーターとしては、輪島市、珠洲市からの撮影要望のある場所を持ちこんだ機体などを使い空撮し、オルソを作成したうえSIP4Dにアップロード した。佐川急便にも物流ニーズを確認したうえで物流用機体の準備を図った。
SkyDriveは1月8日から14日にかけて現地入り。物流、状況把握を担った。スペースエンターテインメントラボラトリー(横浜市)は水上飛行を調整し、日本DMCは飛行前のロケハンのためにドローンを運用した。
災害対応の現場では、業務調整が不可欠だ。結集した事業者や、それぞれの事業者が持つ知見は、適切に運用が図られてはじめて本領を発揮する。どこで、なんのために飛行することが求められているのか、そのためにどこに、どう申請するのか、飛行環境は整っているのか、など数々の業務調整が果たす役割は大きく、今回は、専門家とのつながりも含めた業務調整の蓄積が一定水準で機能したといえそうだ。災害対応はまだ続くが、ドローン事業者が災害対応のために集結し、それぞれが果たした役割や成果は、今後の検証事例やモデルケースになることは間違いない。
JUIDAは発災直後から内部で調整を進め、1月4日以降、活動を具体化させ、1月5日にはブルーイノベーション株式会社(東京)、株式会社Liberaware(千葉市)とともに支援を始めた。被災地では1月2日に緊急用務地域に指定され(1月5日に改定)ている。現在の航空法では緊急用務地域では国か地方、または現地災害対策本部の要請を受けていない場合、原則としてドローンの飛行は禁止されている。JUIDAは輪島市、珠洲市の要請を受け活動をしており、ドローン事業者も原則として、JUIDAの統括のもとで運用している。
JUIDAが公表している活動報告
国土交通省は4月1日付でドローンや空飛ぶクルマなどの事務を担う「次世代航空モビリティ企画室」を航空局安全部に設置すると発表した。活用ニーズを踏まえた安全基準の整備などの制度構築を推進する。大臣官房参事官の次世代航空モビリティ担当を新設し、22人の専従職員を配置する。安全基準の検討、登録制度の導入準備と運用、関連システムの整備と運用などを業務とする。
業務にあたり福島ロボットテストフィールド(RTF、福島県南相馬市、浪江町)や航空機技術審査センター(TCセンター、愛知県西春日井郡豊山町)との連携を図る。RTFには4月に職員を派遣し、飛行試験などでの規制面のサポートをし、技術開発の促進を支援する。TCセンターとは安全審査の円滑な遂行や、製造事業者などへの助言で連携する。
ドローンについては2022年度を目途にレベル4飛行実現に向けて、機体認証制度や操縦ライセンスの導入を柱とした航空法の改正案が閣議決定された。空飛ぶクルマも2023年の事業開始を目標とするロードマップが定められていて、実現のための取組が進んでいる。次世代航空モビリティ企画室」はこれらに向けて制度設計、運用などを担う。
国土交通省航空局は「飛行許可を受ける際の申請書類の一部を省略することができる講習団体等」についてホームページの記載内容を12月1日現在の情報に更新した。新型コロナウイルス禍でも、講習団体、管理団体ともに増加した。
講習団体をたばねる管理団体は12月1日時点で55団体となった。傘下に抱える講習団体の数をみると、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が176、一般社団法人ドローン撮影クリエイターズ協会(DPCA)が164、DJI JAPAN株式会社が138と、上位陣の顔ぶれには変動はなかった。管理団体は前月の11月1日現在では54団体で、12月に静岡市に拠点をおく株式会社カントビが加わり55となった。
講習団体は12月1日時点で913となった。11月1日現在の906から増加した。12月1日の新規に掲載された団体が12ある一方で5つが姿を消した。新たに掲載された団体の中には、ドローンフィールドの運営、空撮、産業用機の運用、ドローンを使った子供向けプログラミング教室「StedRO」の運営など幅広く活躍していることで知られる株式会社ダイヤサービス(千葉市)のたちあげたドローンスクール「ドローン・オペレーション・サービス・アライアンス(DOSA)」や、文化財保護など地域に根差した活動で知られる一般社団法人鎌倉ドローン協会(神奈川県鎌倉市)の名前がある。
またドローン事業者としてはすでに業界内では知られ、スクールも運営している株式会社FLIGHTS(東京)は、川田テクノロジーズ株式会社製の可変ピッチローターやソナーを備えた点検機「マルコ」の操縦士を育成するコースなど新たな技能認証で、4つめの講習団体を取得した。FLIGHTSはマルコの普及拡大のため、7月30日に建設コンサルタントの大日本コンサルタント株式会社と業務提携の覚書を締結している。
国交省航空局は飛行申請手続きの一部免除が受けられるスクールの情報を「ドローン情報基盤システムDIPS」上で更新した。航空局が要件を満たすことを確認した講習団体は2月1日時点で694となり、1月1日更新時から10件増え、2020年(令和2年)に入ってから48増となった。
講習団体を管理する「管理団体」は2020年1月1日時点より1団体増えて46団体となった。管理する講習団体の数で多い順番に並べると、首位は一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)で156件、2位が株式会社DJI JAPANで112件、3位が一般社団法人農林水産航空協会で111件、4位が一般社団法人ドローン撮影クリエイターズ協会(DPCA)で99件と、5位以下を大きく引き離している。
上位4団体が束ねる講習団体は計478件で、全体の68.87%を占めた。なお5位は一般社団法人無人航空機操縦士養成協会の29件、6位は一般社団法人ドローン操縦士協会(DPA)の26件、7位は一般社団法人日本ドローンビジネスサポート協会の24件だった。
なお、国交省は提供するライセンスごとに講習団体をカウントしている。同一事業主が、複数のライセンスを提供し、それぞれが認定されれば、それぞれが講習団体としてカウントされる。DroneTribuneでは、事業主数や社数と混同されることを回避するため、講習団体を「件」としてカウントしている。ひとつの事業主が、複数の講習団体を持つケースとしては、株式会社ビットモーターズジャパン(さいたま市など)が5つの講習団体をかけ持つ“5刀流”、株式会社スペースワンが4つの講習団体をかけ持つ“4刀流”として活躍している。
講習団体、管理団体は国交省がドローンスクールの乱立を背景に、2017年6月1日に要件を満たした団体の公表をスタートした。初公表時の管理団体は4、講習団体は43。JUIDA、DJI JAPAN、株式会社エンルート(E.R.T.S.)、一般社団法人ドローン操縦士協会(DPA)の4団体。講習団体は43件で、当時とくらべ、管理団体は11.5倍、講習団体は16.1倍に拡大している。
管理団体・講習団体がダウンロードできるサイトはこちら。
国交省航空局は10月1日にドローンスクールに関わるHPの内容を更新した。それによると、ドローンの技能などを教えるスクールを束ねる管理団体のうち、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)、株式会社DJI JAPAN、一般社団法人農林水産航空協会の3団体が、傘下に抱える講習団体が100を超える規模になった。また講習団体は601と、600の大台を超えた。
10月1日付の管理団体の数は43と前月と変わらなかったものの、傘下にかかえる講習団体の数に増加がみられ、JUIDAが136、DJI JAPANが111、農林水産航空協会が101と3ケタを超えた団体が3つとなった。3ケタが3団体になったのは初めてだ。
なおJUIDAは現在、認定スクールを全国に220抱えており、航空局のHPの上でも勢力を拡大することになりそうだ。JUIDAは毎年秋に、「認定スクールフェスタ」と呼ぶスクール同士の交流会を開催しており、こうした地道な取り組みも、組織固めに寄与しているとみられる。
一方、講習団体の数は601となり前月の582から19増えた。複数の技能講習を取り扱うスクールとしては、株式会社スペースワン(福島県郡山市)、株式会社ピットモーターズジャパン(本社・茨城県筑西市、スクールはさいたま市、千葉県野田市など)の2団体が4つのライセンスを扱う4刀流として引き続き最多だ。