慶應義塾大学SFC研究所・ドローン社会共創コンソーシアムが11月3日に静岡県御殿場市で開催するドローンの飛行ショー「富士山UAVデモンストレーション2020 in 御殿場」の出場チームが固まった。企業や研究機関など10組がデモフライトに臨み、6組も機体や関連プロダクトを展示する。最大航続50分の大型機「ALTA-X」や、日本向けにカスタマイズされたAIドローン「Skydio J2」、独自に作られた機体などが集う。米大統領選の投票日であり、日本の誇るスーパーアイドルグループ「嵐」が無観客ライブ「アラフェス2020 at 国立競技場」を配信する日でもあるなど巨大イベント目白押しの祭り一色の文化の日は、御殿場ではドローンの話題機が秋空を彩る。
今回のUAVデモンストレーションは、西に富士山をのぞむ御殿場市陸上競技場を会場に開催される。御殿場市が共催し、当日は400mトラック8コースを備えるグラウンドで、上空40mまでの空域を、10組が持ち込むドローンが飛行姿を見せる。これまで展示会の陳列や、フライトゲートでのホバリング、ネット上の広告や動画などで関心を集めた話題機や珍しい機体が空を舞う、いわばドローンの航空ショーだ。
屋内展示会場も準備され、フライトに登場した実機を間近で確認したり、担当者から説明を受けたりできる。フライト参加チームとは別の6組も機体や関連プロダクトを持ち込む予定で、関心の高い来場者には、目の前で実物を確認できる機会となる。
なお、新型コロナウィルス感染拡大対策のため、観覧者は全員、検温、アルコール消毒、マスク着用、観覧同意の意思確認を受ける。観覧希望者は事前登録が必要で、観覧席から見ることになる。
https://uav-demonstration.jp/
出場機のバリエーションは多岐にわたる。
株式会社イデオモータロボティクス(東京都府中市)は米Freefly Systems社の重量級大型機「ALTA-X」で当日に臨む。最大積載可能重量が15.9kg、無負荷時の最大飛行時間50分という飛行性能や、高性能GPS、オープンソースのPX4フライトコードを採用した拡張性のあるシステム、3重化されたIMUをもつフライトコントローラー、折りたたみ可能で、防塵防雨対策が施されたフレーム、可変安定機構を備えた33インチ大型プロペラなどが話題を集めた機体だ。
日本の機体制御技術をリードする株式会社自律制御システム研究所(千葉市)は、同社の主力機「PF-2」で日本の底力を見せ、ジオサーフ株式会社(東京都大田区)は、スイスsensFly社のマッピング向け固定翼機「eBee」の新型機「eBee X」を披露する。インフラの設備点検などを手掛ける株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク(大阪市)は、米Skydio社のAIドローンに磨きをかけた日本仕様の機体、Skydio J2を持参して会場入りする。
株式会社空撮技研(香川県観音寺市)は、空撮専門業者が撮影のさいに頼る係留装置、「ドローンスパイダー」を、DJIの Phantom4をフライトさせながら、飛行する機体を一定のテンションでつなぎとめる暴走防止機能の真価を見せつける。千葉県君津市にある広大なフィールドで多彩な機体の飛行実績を多く積むDアカデミー株式会社(神奈川県横浜市)はフランスParrot社のDiscoの編隊飛行などを予定。火山観測を実施した株式会社HEXaMedia(埼玉県川口市)や、さまざまな機体開発を手掛けている徳島大学制御工学研究室が披露するオリジナル機体も見逃せない。
スタイリッシュで活用の範囲が拡大しているVTOL機も登場する。有限会社森山環境科学研究所(名古屋市)がスイスWingtra社の「WingtraOne」を、株式会社WorldLink & Company(京都市)がドイツWingcopter社の「Wingcopter」を、それぞれ飛ばす予定で、スタイリッシュな外観や飛行スタイルが来場者の目をひきそうだ。
また慶応義塾大学はこの夏、藤沢の海岸の安全確保の活躍したDJIのMatrice300 RTKを、Flying Beach Guardians仕様としてフライトさせる計画だ。
出場チームや登場する機体、デバイスは以下の通り(10月30日現在) <デモフライト&展示(50音順)と飛行させる機体など> ・株式会社イデオモータロボティクス(東京都府中市) Alta-X(米Freefly Systems社) ・株式会社空撮技研(香川県観音寺市) 係留装置ドローンスパイダーとPhantom4(DJI社) ・慶應義塾大学 Matrice300 RTK(DJI社,Flying Beach Guardians仕様) ・ジオサーフ株式会社(東京都大田区) eBee X(スイスsenseFly社) ・株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク(大阪府大阪市) Skydio J2(米Skydio社) ・株式会社自律制御システム研究所(千葉県千葉市) PF-2 ・Dアカデミー株式会社(神奈川県横浜市) Disco(フランスParrot社、編隊飛行)、Matrice300 RTK(DJI社) その他小型VTOL機 ・徳島大学制御工学研究室(徳島県) オリジナルHEX機(RTK-GPSによる飛行経路再生)、 オリジナル倒立型ダクト機 ・株式会社HEXaMedia(埼玉県川口市) オリジナル機(大型マルチコプター ・有限会社森山環境科学研究所(愛知県名古屋市) WingtraOne(スイスWingtra社) ・株式会社WorldLink & Company(京都府京都市) Wingcopter(ドイツWingcopter社) <屋内展示(50音順)> ・一般社団法人アジア総合研究所(東京都) 中国RichenPower社の農薬散布機 ・合同会社アドエア(京都府京都市) ドローン用パラシュート ・株式会社ジーエスワークス(東京都) GNSS受信機、PPK処理ソフト ・合同会社スカイブルー(愛知県岡崎市) ドローン用ガード ・株式会社D-eyes(大阪府堺市) ドローン搭載高性能カメラ ・有限会社ボーダック(埼玉県吉川市) オリジナル 2.5m VTOL機、産業用VTX <開催概要> 開催日:2020年11月3日(火・祝) 時 間:11:00~17:00 場 所:御殿場市陸上競技場(静岡県御殿場市ぐみ沢670-1) 入場料:無料 主 催:慶應義塾大学SFC研究所 ドローン社会共創コンソーシアム 共 催:御殿場市 ※観覧の申し込みは以下の富士山UAVデモンストレーション2020のホームページから https://uav-demonstration.jp/2020/10/14/uav2020/
山梨県道志村のオートキャンプ場に6家族で来ていた千葉県成田市の小学1年生、小倉美咲さん(7)が9月21日から行方不明になっている事件で、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が捜索活動中の自衛隊の要請を受け、27日、ドローンを扱うエキスパート4チームを派遣した。4チームは同日午前に現地で捜索に合流した。
JUIDAによると、出動したのは、JUIDAの事務局を運営するブルーイノベーション株式会社(東京)、JUIDA認定スクールを運営する田中電気株式会社(東京)、JUIDA認定スクール「Dアカデミー埼玉校」を運営する株式会社ジュンテクノサービス(埼玉県川越市)、JUIDAスクール「ミライズドローンスクール」を運営する有限会社小田原ドライビングスクール(神奈川県小田原市)の4チーム。各チームとも2人程度を派遣したという。
行方不明になって以降、山梨県警、自衛隊、消防やボランティアなどの捜索チームは、ドローンも使って捜索を続けているが、それまでに見つかっておらず、JUIDAチームの合流で捜索体制の強化に協力した。
神奈川県は9月2日、ドローン前提社会の実現に向けた取り組みを推進する産学公連携型のコミュニティ「かながわドローン前提社会ネットワーク」の第1回会合を横浜市の神奈川県庁で開催した。あいさつに立った神奈川県の黒岩祐治知事は「日本も世界も、ドローン前提社会に必ず入っていく。その先鞭を神奈川県でつけたい」と決意を表明。急遽参加した鎌倉市の松尾崇市長も「神奈川県を中国・深圳に負けないドローン前提社会にしたい。鎌倉も一員として全力で取り組む」と気勢を上げた。会合では県が取り組み概要を説明したあと、ドローン研究の第一人者である一般財団法人先端ロボティクス財団の野波健蔵理事長、慶応義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアムの南政樹副代表が講演し、ドローンの事業を展開する7団体が活動内容を紹介した。
「かながわドローン前提社会ネットワーク」第1回会合は横浜市の神奈川県庁本館3階の講堂で開催され、会場は事前登録者や関係者など約200人の参加者で埋まった。
冒頭であいさつに立った神奈川県の黒岩祐治知事は、県の10市2町(相模原市、平塚市、藤沢市、茅ヶ崎市、厚木市、大和市、伊勢原市、海老名市、座間市、綾瀬市、寒川町、愛川町)が国から指定を受けている「さがみロボット産業特区」での取り組みのひとつとして、ドローンの研究開発に力を入れていることを紹介。この中で「箱根で火山活動が活発化したさいには、状況把握に活用するなどの経験を重ねてきた。第四次産業革命はドローンで劇的に変わると展望している。ドローンにはまだまだ使い道がある一方、技術である以上、光と影があり、それらをみんなで考え、共通認識を持ちたい。日本も世界も、ドローン前提社会に必ず入っていく。その先鞭を神奈川県でつけていきたい。みんなの知恵を結集したい」と、知事選で公約に掲げたドローン前提社会の実現に強い意欲を示した。
ドローン前提社会の実現に向けた取り組みの事務機能は、神奈川県政策局未来創生課が担う。会合では知事のあいさつに続き、現在の取り組みを紹介。現在、9月12日までの日程でモデル事業を募集していることなどを説明した(記事、神奈川県の告知)また今後の展望として、実証実験の蓄積や、これに伴う経済価値の向上、将来的なサプライチェーン構築のための議論を構想していることを明らかにした。
これに続く講演では、一般財団法人先端ロボティクス財団の野波健蔵理事長が、ドローンの産業活用について、農業、建設、測量、災害対応、物流などセクターごとに、研究フェーズ、開発フェーズ、事業化フェーズの段階に分類して分析。農薬散布などについて「すでに事業化フェーズに入っている」と紹介するとともに、「災害対応と物流とは非常に相性がいい」などと、ドローンの活用法を具体的に展望した。
あわせて、東京湾をはさんで千葉県と神奈川県をドローンで横断させる構想を披露。「直線であれば40キロだが、道路を移動すれば80~90キロメートルと長く渋滞リスクもある。具体的なことは今後検討するが、たとえば重量20キログラム、ペイロード5キロのエンジンを積んだ日本製のカイトプレーンなら、機体に凧がついていて、エンジンを切ってもすぐには落ちない。飛行時間2時間で、飛行距離は100キロと往復できる」などと展望した。さらに、若手研究者を対象としたコンペティションを来年6月に開催すると発言。「日本にはソフトウェア技術者が少ない。この遅れを取り戻すべくエンジニアを育成したい。今年10月から公募したい」と説明した。
「ドローン前提社会」の名付け親でもある慶大ドローン社会共創コンソーシアムの南政樹副代表は、日本では、ドローンが首相官邸で発見されたことなどから否定的にとらえられがちな状況について、「これは産業として健全ではない」と感じたことを説明。「ドローンは日常的にみんなが使えるもの、という状況にシフトさせたい。ドローンは空を活用するためのデジタルツールである、というコンセプトで研究している」と述べ、ネガティブなイメージから日常の道具への認識の転換に意欲を示した。
そのうえで南氏は自身の活動をいくつか紹介。昨年6月に神奈川県立湘南海岸公園で開催した「湘南UAVデモンストレーション」の様子や、現在開発中の航行中の船舶から離発着ができる機体を紹介し、「多くの方々にドローンの魅力を伝えて、いつも使っているスマ-トフォンのように、それほど特別なものではない、ということを伝えたい」と述べた。
またドローンについては、「デジタルテクノロジーが広まっている時代の中で、タンジブル(実体感のある)な、人が手で触れられるテクノロジー」と特徴を説明。「これまでサイバースペースの世界でしかできなかったビジネスが、リアルの世界でもできるようになってきた」と紹介し、可能性が広がっている状況を解説した。
県が「ドローン前提社会」の実現に向けてモデル事業を募集していることを念頭に、南氏は、「それを考えるうえでヒントとなる4つの視点」を提示。「①従来、人が得られなかった視点を持てる、②空間で静止できるなど自在のポジショニングが可能、③インターネットと連携できる、④群で行動できる」と列挙し、多くのアイデア、工夫を呼び掛けた。
「ドローン前提社会でしたい」として「実証実験で終わることではなく、サービスや産業として継続できること」を掲げた。「そのために新たに産業に参入できる環境づくりが大事だ。人材、プラットフォーム、規制緩和、事業支援の4つの『財』を大事に、担い手、価値づくり、仕掛けの3つのセクターが三位一体となって進むことをイメージしている」と展望した。
さらに、ドローンが社会に受け入れられるための「パブリックアクセプタンス」についても言及。「ドローンが当たり前に受け入れられる社会では、利用の目的があらゆる目的に対応できる、という点が大事。社会受容性はリスクと利便性に対する社会のコンセンサスであると考えており、そこでは、思いやりが大切であり、机上でなく実例が重要であり、関係者による公平かつオープンが議論の場が必要。完全な合意をもとに進めることよりも、ゆるやかな合意形成を図る『ラフコンセンサス』を土台にスピード感を重視する考えも重要だ。さらに民意とマーケット志向で、個人が自発的に、みずから寄っていくアプローチが大事。こうしたことがキーワードになる」と、ドローン前提社会の実現に必要となる要素を列挙した。
講演に続き、ドローンの事業、研究を展開、推進する企業、団体が取り組みを発表した。発表したのは、ソリューションを手掛ける株式会社アイ・ロボティクス、機体フレーム技術の研究開発を手がける株式会社エアロネクスト、離島の物流問題解決に取り組む株式会社かもめや、体が不自由な方々にバーチャルツアーを提供する株式会社シアン、ドローンスクールの運営や橋梁点検サービスなどを提供している一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)認定スクールのDアカデミー、空撮で魅力を発信する事業を展開している株式会社Dron é motion(ドローンエモーション)、災害発生時に迅速な発災地地図作成を手掛ける「災害ドローン救援隊DRONEBIRD」や「Japan Flying Labs」などの活動を実施している特定非営利活動法人クライシスマッパーズ・ジャパンの7団体。
アイ・ロボティクスの我田友史氏は、「事業のひとつ、プラントソリューションでは国内鉄鋼大手と研究している。スーパー専門家集団というのが強みで、課題を解決していく」と事業を紹介。エアロネクスト伊東奈津子執行役委員は、「ドローン前提社会の前提は安全を担保する機体の信頼性。ソフトウェアでの解決をめざす企業が多い中、われわれはハードでの解決を試みている。最大の特徴は特許ポートフォリオ。世界の産業ドローンに搭載させたい」と意欲を語った。
かもめやは「離島の物流問題を解決するため、陸、海、空を含め24時間、365日、完全自動、無人で動く離島向け物流インフラをつくることに取り組んでいる」と紹介。シアンは「身体が不自由な方に、行けない、を、行けるにかえる、を掲げて『空力者』というサービスを提供。楽しい旅行を治療にする、というビジョンを掲げて研究をはじめている」と述べた。またDアカデミーは「スクールとして、安全運航で業務を遂行してもらうことを目的にしている。千葉県君津市とは橋梁点検の実証実験で、横浜に本社を置く株式会社アイネットとともに締結をし、手軽に低コストで点検できる方法を開発した」と発表した。
ドローンエモーションの田口厚代表は、「空撮をキーワードにさまざまな事業を展開していて神奈川県でも各地で活動している。ドローンでは、頭上より高く、ヘリコプターより低い、地上150メートル未満の高さという、ドローンを手にするまで人が得られなかった視点を得られる。観光開拓に使えると考え、自治体向けのコンテンツを発信し、旅のドローン前提社会をつくることをテーマに取り組んでいる。ホテル予約のようにスマホでドローンを飛ばせる場所を予約できるシステム『そらチケ』も展開中。今まで観光地でなかったところが、ドローンで絶景になって観光地化すれば、眠っていた土地が、人が集まる土地にかわる。そんな仕組みを神奈川県のみなさんとつくりたい」と表明した。
NPO法人クライシスマッパーズ・ジャパンの代表で、青山学院大学教授の古橋大地氏は、活動の原点が2010年1月のハイチ大地震だったと述べ、「地図がなかったが、インターネット上で2000人ぐらいがあつまって、地図をできていったことを経験した。これを災害対応にいかすそうと考えた。発災後に迅速に被災地にかけつけて、撮影して、データを共有する。これらを通じて人道的に使いたい」などと活動の一端を紹介した。
事例紹介が終了したあと、鎌倉市の松尾市長が飛び入りで参加。松尾市長は「ドローン前提社会を掲げたとき、わくわくするとともに、どうしたらいいか、とも感じた。鎌倉は高齢化率が30%を超え、17万の人口の場所に、延べ年間2000万人を超える観光客が来る。交通渋滞をはじめとしたオーバーツーリズムの問題もある。解決には、住民や企業と共創を通じて新しい価値を生み出すことが必要だと思っている。その中でドローン前提社会はおおきなキーワードになると思う。ドローン前提社会を実現するためには、産業クラスターの形成が重要と認識している。規制緩和に向けたアクション、空域の実証実験、産官学の連携とともに、企業の集積、人材の集積が重要。課題解決に手を取り合って進める中で、鎌倉も一翼を担える。頭脳、パッションをお貸し頂き、神奈川県を中国・深圳に負けないぐらいのドローン前提社会にしたい。鎌倉も一員として全力で取り組みたい」と表明した。
千葉県君津市が7月から市内の橋梁点検に4Kカメラを搭載したドローンを使う実証実験を行うと表明しました。増加する点検需要への対応と点検予算削減を目指しています。小さな橋ほど住民の生活に欠かせないものですが、数が多いうえ細かな作業が必要で、自治体の悩みの種です。その課題にシステム開発の株式会社アイネット、Dアカデミー株式会社が挑んでいます。今回Dアカデミー代表の依田健一さんが、君津市での橋梁点検を可能にした“発想の転換”について明かしてくれました。以下、その原稿をそのまま記事としてお届けします。(DroneTribune編集長 村山繁)
北海道から沖縄まで全国17か所でドローンスクールを展開しているDアカデミー株式会社(代表取締役 依田健一)は令和元年5月28日、千葉県君津市と、ドローン使った橋梁点検の実証実験に関する覚書を締結しました。
橋梁点検は一般に、作業員を乗せたアームを橋の下にせり出させ、点検のために足場をかけるなど大規模で点検費用のかさむ方法をとっています。生活道路の片側を通行止めにしないとならないこともあり、無数にある小さな橋には適していませんでした。
Dアカデミー株式会社はこのたび発想を転換し、コンパクトで安価なドローンを利用して簡単に橋梁点検ができる仕組みを実現しました。
通常のドローンの操縦では、構造物にぶつかることがないように、接近せずにすむように飛ばします。しかしここではあえて、機体を橋梁に接近させます。それによって機体に備わっている衝突防止センサーを利かせ、機体を安定させることができるのです。これはコロンブスの卵的発想であり有効です。
また橋梁点検では橋の裏側を点検しなければならないため、橋の下にもぐったドローンは頭上を見上げるように上部を撮影をする必要があります。多くのドローンは、カメラこそ搭載していても、機体の真上の撮影することは困難です。そこで、撮影用のスタビライズ機能の付いたカメラを機体の上部に新たに搭載することにしました。これにより機体上部の安定した撮影にも成功しました(航空局改造申請許可承認済み)。
作業員による目視点検でさえ困難な小さい橋が、全国には無数にあります。小さな橋では作業スペースの確保が難しいなど物理的な問題や、小さいわりには費用がかかるなど効率の課題もあり、建設現場で使うような大型ドローンでの点検には不向きです。ところが今回の方法で実験をしたところ、安価で手軽に有効な画像が取得することができました。今後の橋梁点検の予備検査に大きく貢献すると期待できます。(Dアカデミー株式会社 依田健一)
お問い合わせ:Dアカデミー株式会社、045-520-755
ウェブサイト:d-academy.co.jp/
ドローンで撮影した写真をもとに、3Dプリンターで立体模型を作るための講習会がこのほど開かれました。以下は、合弁事業を構成する4社のうちの1社、UAV環境調査研究所代表の前場洋人さんが寄せてくれた現場報告です。これを読めば、作りたいものが次から次へと頭に浮かんでくるかもしれません。(DroneTribune編集長 村山繁)
みなさんはドローンで撮影した画像をどのように活用しておられるだろうか。ドローンスクールを卒業し事業を始めたものの、なかなか受注に結び付かず苦戦しておられないだろうか。また、ドローンで映像を撮りさえすれば顧客に満足頂けることは、平成とともに終わったのではないだろうか。
そのような状況を踏まえ、ドローン運用事業者や愛好家を対象に、ドローンで撮影した写真を元に3Dモデルを作製するという講習会が開催された。
令和元年5月8日、気持ちよく晴れ渡った空の下、千葉県君津市にあるDDFF(Dream Drone Flying Field)に受講生30有余名が集まった。SNS等での受講者募集したところ、撮影手法から3Dモデル作製までが安価で学べるとあり(しかも名物弁当付き)、30名の定員に対しキャンセル待ちが出るほどの盛況ぶりであった。これは「ドローン×3Dプリンター」という付加価値への期待感の高さによるものと思われる。
前半では、3Dモデル作製に適した自動航行アプリの設定方法、格安3Dプリンターの紹介(本講座でも同機種を使用)、撮影データの加工方法や3Dプリンターで扱えるようにSTLデータに変換するソフトウェアの操作方法等の講習が行われた。後半は、出力した3Dモデルの着色方法の講習だ。下地処理から塗料の選定や使用する道具の解説、さらには作業工程がわかりやすいように、会場内で実際に塗装のデモンストレーションも行われた。着色工程は、ソフトウェアの操作や3Dプリンターの調整とは異なるノウハウの詰まった作業であり、多くの質問が相次いだ。
ドローン業界において、3Dプリンターで製作された物というと、サードパーティー製の固定具などのカスタムパーツ製品などが挙げられるが、それらは自分で作らなくとも、ネットで簡単に入手することができてしまうものがほとんどだ。
しかし、自身で撮影した画像から地形や建物の立体模型が出来るとしたらどうだろう。
今までは画像や紙でしか提出できなかった成果物が、3Dモデルで納品することが出来れば顧客の評価はかなりアップすることだろう。平面的なものを眺めて想像するよりも、実際に触れて凹凸を感じることで得られる情報量は格段に多い。撮影から3Dモデルの作製までワンストップでサービスを提供できれば、アイディア次第でさらに受注を増やすことも可能だろう。
この講習会を企画・開催した「DJUS航空技術研究所」は、ドローンスクールのDアカデミー、ドローン運用事業者のJINSOKUTSU、UAV環境調査研究所、藤沢航空撮影隊(下田商会)の4社で組織された合弁事業者である。
今回、この4社が手を携えたのは、「ドローンってこの程度なのか」と思っている顧客やドローンスクール卒業者が少なからず存在することを危惧したからだ。「令和はドローンにとって成長期だ」というのは業界の共通認識である。
ドローンも3Dプリンターも単なる道具にすぎない。それらを上手く組み合わせ、いかに有効活用させるかがカギであり、あなたのアイディア次第で、夢は必ず形になるはずだ。(UAV環境調査研究所代表・前場洋人)
DJUS航空技術研究所では、より具体的な3Dモデル作製の講習をおこなっています。今回の講習会では紹介できなかった導入方法やノウハウを細かく丁寧にお教え致します。※先着10名様に今回使用したものと同型の3Dプリンタープレゼントキャンペーン中!また、弊社にて撮影から3Dモデルの作製もお受け致します。(データのお持込みも可能です)
詳しくは下記まで
DJUS航空技術研究所 営業部 montan@ozzio.jp
TEL 045-884-1271(保土ヶ谷ドローンフィールドHSK内)担当:ミナミ