遠隔ソリューション開発、運用の株式会社アイ・ロボティクス(東京)は6月2日、西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)敦賀保線区と鉄道保守業務にドローンを有効に活用するための運用モデル構築と実証を行ったと発表した。鉄道保守業務特有の線路内の雑草対策や列車に衝突するなどの事故が課題となっている野生動物対策について、ドローンを使う場合の利便性、ドローンの使用に伴う課題、鉄道の制約などをふまえて検討し、省人化と安全性を両立する運用モデルを構築した。遠隔操作のために合同会社SORABOT(東京)のドローンポートも活用した。除草剤は実際に散布を実施し、散布具合などを確認した。
取り組みの中では「遠隔操作型ドローンポートの現場設置と運用」、「除草剤の空中散布に関する実地検証」、「動物忌避剤の活用可能性に関する環境調査と検討」などを実施しした。ドローンポートの現場設置については合同会社SORABOT(東京)のドローンポートを活用した。除草剤の空中散布では実際に散布し、飛行ルート、撒布の均一性、薬剤の飛散抑制などを確認した。今回は動物忌避剤の散布は行わなかったが、シカ・イノシシなどの獣害対策として有効性や運用実現性を環境、法的観点から整理し、薬剤の選定方法や適用条件の明確化に取り組み、実運用の課題を洗い出し、対応の方向性を可視化した。
今回の検証プロジェクトでアイ・ロボティクスは現場作業や実務を重視した。具体的には現場担当者の動線、作業計画の立て方、飛行申請の実務、薬剤の補充、保管管理などドローンだからこそ生じる課題と鉄道現場ならではの制約をすり合わせて、運用モデルの構築に取り組んだ。
今後、アイ・ロボティクスとJR西日本敦賀保線区は、ドローンポートの常設運用に向けた耐候性・遠隔監視機能の強化、複数ドローンによる自動散布の連携制御、飛行ログや散布実績の自動記録と報告フォーマットの整備、夜間飛行や非GPS環境飛行への対応などにも取り組む方針だ。
発表は以下の通り
アイ・ロボティクスは、JR西日本 敦賀保線区と連携し、鉄道現場の実情に即したドローン運用を構築するとともに、省人化と安全性を両立する新たな保守モデルを実証しました。
株式会社アイ・ロボティクス(本社:東京都渋谷区、代表取締役:安藤 嘉康)は、西日本旅客鉄道株式会社 敦賀保線区と連携し、鉄道保守業務におけるドローン運用モデルの構築と実証を行いました。本取り組みでは、「遠隔操作型ドローンポートの現場設置と運用」、「除草剤の空中散布に関する実地検証」、および「動物忌避剤の活用可能性に関する環境調査と検討」等を実施し、現場に即したドローン活用の在り方を多面的に検証しました。
鉄道業界では現在、沿線保守業務における人手不足や作業の属人化、作業品質の平準化と安全性の両立といった、現場を支えるための持続的な仕組みづくりが求められています。従来、先端技術の導入が現場の運用や業務フローとの接続が不十分なまま進められるケースも少なくなく、またドローン活用がハードウェア中心の性能実証に偏りがちなプロジェクトが多数見られる中で、JR西日本 敦賀保線区とアイ・ロボティクスのチームは、単なる技術導入ではなく「現場と共に設計し、現場で共に試す」ことを軸に据えた共創型の取り組みを重視し、プロジェクトを実施しました。
そのため、スペック重視のデモンストレーションにとどまらず、現場の業務設計・制度対応・運用負荷といった「現場実務における本質的デジタルトランスフォーメーション」を重視。関係者が一体となり、現場担当者の知見と実運用上の要件を取り込みながら、計画段階から現地検証までを一体的に構築しました。
ドローン技術を「現場業務の流れに自然な形で取り込んでいく」という視点で進めることで、省人化と安全性向上を両立する、持続可能な鉄道保守のかたちを模索しています。
実証を通じて得られた主要な成果と検証ポイント
本プロジェクトでは、現場での実運用に近い条件での検証を通じて、単なる実証にとどまらない「導入後の実装像」を具体化しました。以下に、特に成果が顕著だったポイントをまとめます。
(技術協力:合同会社SORABOT)
■ 遠隔操作型ドローンポートによる省力化オペレーションの実現
実証現場にドローンポートを設置し、定時・定ルートでの自動離着陸と巡回飛行を実施しました。これにより、作業員が現場に常駐せずとも点検・散布などの飛行業務が遂行できる運用フローを構築。人的リソースの抑制と業務の標準化・平準化に寄与する効果を確認しました。
■ 線路沿線における除草剤空中散布の実地検証
雑草が繁茂する区間において、中型農業用ドローンを用いた除草剤の空中散布を実施。飛行ルートの安定性、撒布範囲の均一性、薬剤の飛散抑制など、運用上の安全性と精度のバランスを評価しました。作業対象の特性に応じた安全な空中散布手法の確立に向けた実践的な知見が得られました。
■ 動物忌避剤の空中散布に関する環境調査と導入検討
敦賀エリアにおけるシカ・イノシシなどの獣害対策として、忌避剤を用いた空中散布の有効性と運用実現性を調査。今回は散布そのものは行わなかったものの、現地環境や法的観点からの整理、薬剤選定と適用条件の明確化により、実運用に向けた課題と対応の方向性を可視化することができました。
■ 作業体制と人員負荷の最適化
ドローン活用によって、従来は5人以上を要した散布作業を2人で対応可能に。現場の状況変化や気象条件に柔軟に対応しつつも、飛行精度・作業再現性を維持できるオペレーションの確立を確認しました。これは、省人化だけでなく、人的負担の軽減にも大きく寄与する結果です。
■ 安全運用と制度適合の両立
本プロジェクトでは、航空法や農薬取締法など関連法令に基づいた運用設計と、事前申請・周知・現地管理を徹底。飛行区域の安全標識設置、近隣住民への説明対応、緊急停止プロトコルの整備など、制度と現場運用の両面から安全性を担保しました。実証期間中における事故・トラブルゼロという結果は、安全管理体制の有効性を裏付けるものです。
鉄道業界の持続的な発展に向けて
鉄道沿線の保守に関わる作業では、「安全確保」と「人手による確実な作業」が何よりも優先される一方で、慢性的な人材不足や作業の属人化、作業品質の平準化といった業界共通の課題が表面化しています。鉄道業界が今後も持続的に安全と信頼を提供し続けるためには、現場の知見と技術革新の橋渡しとなる取り組みが求められます。今回のプロジェクトは、まさに「技術を持ち込む」のではなく、「現場に寄り添いながら共に育てていく」姿勢を重視した共創型のアプローチでした。
特に注力したのは、鉄道保守に関わる上流から下流までの工程全体に目を配りながら、ドローンを単なる省力化ツールとしてではなく、現場業務の中に自然に組み込める手段として位置づけた点です。現場担当者の動線、作業計画の立て方、飛行申請の実務、そして薬剤の補充や保管管理まで、あらゆる段階で「ドローンだからこそ生じる課題」と「鉄道現場ならではの制約」をすり合わせていきました。
ドローン技術単体ではなく、それを運用する体制や、安全を担保する制度・知識、さらには現場環境の理解を含めた“現場起点の導入プロセス”が求められるなか、アイ・ロボティクスは技術と現場、制度と実運用、そのあいだを橋渡しする存在として動いています。これができるのは、創業以来、現場を重視して開発から実装まで取り組んできたからでもあります。
アイ・ロボティクスは、ドローンによってすべてを代替するのではなく、「人と技術が役割分担しながら持続的に保守作業を続けていける未来」に向けて、今後も一歩ずつ取り組みを進めてまいります。
今後の展望
今回の取り組みを通じて、アイ・ロボティクスとJR西日本 敦賀保線区のチームは以下のような技術・運用基盤の整備に注力してまいります:
また、鉄道事業者の皆様と連携し、地域ごとの植生や地形に応じた散布設計、制度整備への共同対応など、技術導入だけでなく“運用の設計”をともに進めていく協業体制の構築を目指しています。
ドローンが本当に使えるものになるかどうかは、現場の知見とセットで育てていけるかどうかにかかっています。共に次の一歩を踏み出すパートナーとして、ご相談をお待ちしています。
GMO AI&ロボティクス商事株式会社(東京、GMO AIR)と日本科学未来館(東京)は8月25日、対話型AIロボットが来館者に案内をしたり科学の質問に答えたりする取り組みを始めた。対話型AIロボットは8月31日までの7日間、各日の午前11時から午後1時までと、午後3時から午後5時までの2回、日本科学未来館5階の常設展示、常設展示ゾーン「プラネタリー・クライシス」内で来館者を迎える。
対話型AIロボットの来館者対応は、GMO AIRと日本科学未来館の共同実証実験で、AIがロボットに組み込まれた場合に顧客体験価値を創出するかどうかなどを確認する。GMO AIRにとっては昨年(2024年)6月の設立以来初めて、また日本未来科学館にとっても未来館を実験フィールドとして提供する「未来をつくるラボ」の活動を掲げて初めての実証実験となる。
初日の8月25日は来館者が訪問する前の時間帯に説明会が行われ、取り組みの概要やロボットの特徴が紹介され、デモンストレーションが行われた。
GMO AIRの内田朋宏氏代表取締役社長は「AIにバーチャルな印象を持たれる方もいらっしゃいます。ロボットに組み込むことで身近に感じていただけると思います。この取組を通じて老若男女にAIを感じてもらい、未来への想像を膨らませて頂きたいと考えています。将来的にはヒューマノイドに搭載することも考えたいと思っています」とあいさつした。
実験概要についてはGMO AIRの金明源(きむ・みょんうぉん)氏が「この実証実験では『プラネタリー・クライシス』の中を案内し、かつ科学に関する一般的な質問に答えます。目的は新しいコミュニケーションツールとしての実用の可能性の検証と、来館者と触れ合うことを通じた新しい顧客体験価値の発見です」と説明した。
活用するロボットはGMO AIRがメーカーから仕入れた。仕入れたままでは展示の説明などはできないため、GMO AIRがソフトウェアとアプリケーションを開発した。これについて金氏は「開発業務のプログラミング部分は80%をAIが自動生成しました。また4か国語に対応すること、インタラクティブにコミュニケーションがとれることが特徴です」などと説明した。
またRAG(Retrieval Augmented Generation)を採用したことも紹介され、来館者の音声質問をテキストに変換して、大規模言語モデル(LLM)が外部情報源と照合して回答を生成し音声変に換する。実験で使われているロボットは、来館者から質問を受けて5秒ほどで音声で回答する。展示関連の質問に加え、一般的な科学に関するやりとりにも対応できる。
日本科学未来館科学コミュニケーション室の樋口貢介調査役は「日本科学未来館は一般の人に先端的な研究開発にふれ、参加していただく活動に注力しています。その一環で『未来をつくるラボ』というコンセプトを今年度から打ち出し、研究開発や実証実験のフィールドとして使っていただく事業を展開しています。AIについてもロボティクスをかぶせることで実現するリアルの可能性と社会受容性の検証を行います。AIとロボットの組み合わせでどういうコミュニケーションできるのか、その可能性を探りたいと思っています。今回が初めてのトライで、今後もさまざまな取り組みを企画しています」と未来館としての取り組みを紹介した。
デモではAI対話型ロボットに話しかけて対応を確認した。
ロボットは自律走行の機能がついていて、人を検知すると話しかけたり止まったりする。話しかけると声の方向を向く。ロボットの顔にあたる部分にマイクボタンがあり、声をかけるときにはそこをタップする。
来館者 あなたはなにができますか」
AI対話ロボ 「プラネタリー・クライシスの案内や解説、館内の安全な移動サポートができます。展示内容や科学知識についてご質問があればわかりやすくお答えします」
――プラネタリー・クライシスについて教えてください
「地球環境の危機をテーマにした展示です。気候変動や生物多様性の減少、汚染などについて学び、自分たちについて考えるきっかけになります」
――地球温暖化について知りたいです
「地球温暖化は二酸化炭素などの温室効果ガスが増えることで地球の気温が上がる現象です。人間の活動が主な原因とされ、異常気象や海面上昇などさまざまな影響があります
――気候変動についての展示はありますか
「進行する気候変動、の展示があります。ご案内しましょうか」
――はい、案内してください
「ご案内します。どうぞこちらへ」(そのまま展示パネルまで移動する)
このほか、展示内容に関わる質問、展示にはない質問にも答える様子が紹介された。
また「おなかがすいた」と話しかけると、レストランや飲食可能な休憩スペースの場所を紹介し、韓国語で訊ねると韓国語で回答した。
関係者は「来館者の関心は幅広いのでどんな関心を持つのか、どんな対応を求めてくるのか、どう対応すると満足度が高まるのか、いろいろなケースを実験で確認してみたいと思っています」と話している。
ブルーイノベーション株式会社(東京)は屋内点検用球体ドローン「ELIOS 3」に、作業を一時中断して出発地点まで戻っても中断した位置に自動で最適ルートで戻って作業を再開できる「レジューム機能」が備わったと発表した。ソフトウェアのアップデートで使える。バッテリー交換などで離陸地点に戻ったあとの作業再開時などの活用を想定している。
レジューム機能はELIOS3を開発するスイスのドローンメーカー、Flyability SAが開発した。屋内空間などの点検作業のために飛行しているさいに「Smart RTH」機能で離陸地点に戻りバッテリー交換をしても、自動で点検地点に復帰させることができる。ブルーイノベーションによると、復帰位置はSmart RTHの作動地点から水平方向、高さともに10cm未満で復帰できるという。
復帰途中に新たな障害物が生じてもリアルタイムで回避ルートを再計算し復帰を実現するため「複雑な屋内環境においても、作業者は操縦ではなく点検業務そのものに集中できます」と話している。
東日本旅客鉄道株式会社(東京、JR東日本)は8月23日、高輪ゲートウェイ駅(東京都港区)一体型の都市開発エリア、TAKANAWA GATEWAY CITYで300機のドローンを使った「ドローンショー in Summer」を開催した。幹線道路と鉄道とビルにはさまれた都心の夜空に、高輪のイノベーションの歴史を物語る汽車のモチーフや開業情報、JR東日本のロゴなどが浮かび、招待者やエリアに居合わせた人が約10分間のショーを楽しんだ。主催したJR東日本の出川智之マネージャーは「まちづくりへのメッセージは伝えられたと思います」などと話した。
ドローンショーは、開発中の敷地内に離発着のための専用スペースを設けて行われた。専用スペースに株式会社レッドクリフが開発した300機の専用ドローンが並べられ、光を放ちながら離陸すると、地表から40~60mの空域を中心に、最も高いところで80mの高さまでの間で広がり、文字、モチーフ、ロゴなどを浮かびあがらせた。ショーの運用はレッドクリフが行った。
描かれたのは、「TAKANAWA GATEWAY CITY」の文字やロゴマーク、150年前のイノベーションの象徴である蒸気機関車、山手線の車両、「100年先の未来へ」のメッセージ、「イノベーション」「共創のまち」、「地球益の実現」などのJR東日本が目指すまちづくりのコンセプト、近々開業する施設の告知、ドローンで再現された花火、JR東日本のロゴなどだ。午後7時からと、午後8時半からの2回、それぞれJR東日本の募集に応じて招待を受けた200人が、この日のために用意された観覧席で「すごいね」「よく許可がおりたね」などと感心しながら見守り、終了後には各回とも拍手があがった。
また招待客でなく一般の通行人や周辺の利用者も駅前や広場でドローンショーを見上げた。高輪ゲートウェイ駅の改札を抜けた広場からもビルと駅舎の間にドローンショーを見ることができ、建物の間にはさまれるように浮かぶ都心ならではのドローンショーを堪能した。予期せぬドローンショーをスマホで収める姿が見られたほか、タイミングよく通った山手線などの電車の車内や、近隣の居住者や利用者にも光のショーを届けた。
JR東日本マーケティング本部まちづくり部門品川ユニットTAKANAWA GATEWAY CITYの出川智之マネージャーは今回のドローンショーの目的と、達成具合について、「JR東日本として力を入れているモビリティー領域のひとつとしてドローンを物流、設備点検などいろいろなところに活用したいと考えていまして、それを多くの人に伝えるメッセージとしてドローンショーを企画しました。その目的は達成できたのではないかと思っています。実際、今回のドローンショーの開催を知らせるプレスリリースを発表したときには、その数時間後には満席になり関心の高さを感じることもできました。観覧席にお越しいただいたみなさまにもそのメッセージを伝えられたと思っています」と述べた。
今回のドローンショーを開催するうえで乗り越えた点について「ポイントは難易度の高い場所での開催です。このエリアは人口密集地域で、羽田航路の直下で、線路と国道にはさまれたかなりタイトな場所でもあり、Wi-Fiですとか携帯電話ですとかの干渉リスクも気にしなくてはならない場所です。そばを電車が走っていますし、電車の鉄が磁気化されてしまう課題もあります。こうした環境の中でデータ転送をして飛行させる、いわば過酷な環境の中でのドローンショーがひとつのポイントでした。また演目にJR東日本がTAKANAWA GATEWAY CITYをどのようなまちにしたいかというメッセージも加えて、御覧頂く方に伝えさせて頂きました。ここは150年前、日本ではじめて汽車が走った場所で、海の上に堤を築いて線路を敷設したという、当時としては画期的な、いまでいうイノベーションの象徴のような場所です。その記憶を継承して100年先の未来に向けて新たなイノベーションを起こしていく。それが地球にとってもよい効果をもたらす。そんな『地球益』の実験を目指す、というメッセージを込めさせて頂きました。夏らしく花火を盛り込んだり、JRのロゴを入れたり、JRならでは、この場所ならではの演目にできたのではないかなと思っています。今後は今日の反響や、歩道、車道での状況などもふまえて検討をしたいと考えております」とコメントした。
3月のまちびらきイベントで実施したサプライズでのドローンショーにも言及し、「ドローンショーの一般公開にあたり3月に同じ演目で、高輪のまちを正面にして一部の方に公開した実証などを行ったことも生かされました。データ転送、フライトに関する実験は3月の実施で大丈夫と確認できたことが意義を持ちました。3月からこの8月までの5カ月で、新たなシーンを追加するなどの調整をして実施しました。ただ3月のショーのさいにはその1年前、つまり昨年3月ごろから事業者の選定や、実際に飛ばす場所、実地調査などかなりの準備を進めました。航空行政、駅、警察、消防などの行政まわりへの連絡や、技術的な諸条件を整えることは3月のさいにできていたので、それをふまえて今回、いよいよお客さまをお迎えして飛ばすことに取り組みました」
今後の展望について「空飛ぶクルマを小岩井(=小岩井農場。JR東日本は2026年春に雫石町<岩手県>の小岩井農場にJR東日本の新ブランドホテル「AZUMA FARM KOIWAI」を開業する)で飛ばす計画を発表しておりますが、そういったものに取り組んでいきたいという思いはあります。ドローン事業というところではすでに子会社が合弁で設立したCalTa株式会社(東京)がドローンを使った設備点検に取り組んでいまして、ある意味ですでにドローン事業に取り組んでいます。ドローンショー事業についてはすぐにということはないと思いますが、今回のレッドクリフさんのほかにもいろいろなドローンショー事業者さんがいらっしゃるのでいろんな方との取り組みも可能性があると思っています」などと述べた。
株式会社ドローンショー・ジャパン(金沢市)が、音楽ユニットYOASOBIのライブ会場で、メンバーから参加者けメッセージをドローンショーで夜空に投影した。8月5日に兼六園に近い「本多の森北電ホール」(金沢市)で行われたライブ終了後、ホールから出て帰路につく来場者の頭上に、「ありがとう I♡石川 いくら」「石川ありがとう YOASOBI あやせ」のメッセージが浮かび上がらせ、来場者に感動の余韻を残した。
ドローンによるメッセージが投影されたのは、7月に熊本でスタートした全国ツアー『YOASOBI HALL TOUR 2025 WANDARA』のうち、8月5日に「本多の森北電ホール」で4日間にわたって開催されたの金沢市でのライブの初日。ライブの終了後に会場を後にしようとした参加者の頭上に、このツアーのキービジュアルである犬のキャラクターのモチーフや、メンバー2人から来場者への感謝を伝える直筆のメッセージを再現した映像が投影され、来場者へのサプライズとなった。
メッセージの投影はドローンショー・ジャパンの特別協力で行われ、同社が開発した専用機「DSJ MODEL-X」500機が使われた。
YOASOBIは新型コロナ感染症拡大期の2021年7月に開催し配信ライブ『SING YOUR WORLD』でもFPVドローンを駆使した映像をまじえるなど、ドローンの活用に前向きなことで知られる。
またドローンショー・ジャパンは7月26日、27日に開催されたMrs.GREEN APPLEの野外ライブでバンドロゴを浮かび上がらせるなどライブでの演出活動が話題になっている。(参考記事はこちら)
ドローンショーの企画・運営を手がける株式会社レッドクリフ(東京)は、秋田県大仙市で8月30日(土)に開催される開催の第97回全国花火競技大会「大曲の花火」をドローンショーで盛り上げる。約1300機のドローンで夜空にシンガーソングライター、KANさんの代表曲『愛は勝つ』の歌詞を投影し、来場者が合唱する。この取り組みは大塚製薬株式会社(東京)の炭酸栄養ドリンク「オロナミンCドリンク」発売60周年記念特別プロジェクト「元気ハツラツ!大空大合唱」の一環で、ドローンショーではたて225m、横65mのオロナミンCボトルも登場する。
「大曲の花火」は、JR大曲駅から直線距離で約1.5㎞での雄物側河川敷で開催される。レッドクリフがドローンショーを手がける大塚製薬の特別プロジェクト「元気ハツラツ!大空大合唱」は8月30日午後6時半ごろからの開催が見込まれる。大会の主役である花火は午後6時50分ごろから打ち上げが始まる予定だ。観覧席はいくつもの種類があるが完売している席が多い。
「元気ハツラツ!大空大合唱」では、光を放つドローンがオロナミンCのボトルを音符に見立てた『愛は勝つ』の楽譜や、歌詞を投影する。会場では『愛は勝つ』を流し、参加者、来場者、関係者らで合唱する。合唱中はドローンがカラオケのテロップのように、歌うべき歌詞を光らせて参加者を歌いやすいように導く。プロジェクトを主導する大塚製薬の主力製品、オロナミンCの巨大ボトルも浮かび上がらせる。
レッドクリフのドローンショーは「元気ハツラツ!大空大合唱」の一環で実施される。7月27日に開催された北海道小樽市の小樽港第3号ふ頭基部で開催された「第59回おたる潮まつり大花火大会」で実施したときの動画はオロナミンCドリンク公式SNSで8月4日時点で、総再生数が1350万回超を記録するなど大きな反響を呼んだ。大曲の花火は約75万人の来場実績があり、今回も大合唱が期待される。
「元気ハツラツ!大空大合唱」は小樽、大曲に続き、10月18日には八代市<熊本県>の球磨川河川緑地で開催される「第38回やつしろ全国花火競技大会」でも開催される計画だ。実は7月の「第72回安倍川花火大会」(静岡県)でも開催の計画があったが荒天により河川が増水した影響で花火大会とともに中止になっていた。
またレッドクリフは、日本三大花火大会のうち今回の「大曲の花火」と「長岡花火大会」でドローンショーを実施した実績があるほか、全国各地の花火大会をドローンで盛り上げている。大阪・夢洲で開催中の大阪・関西万博でも連日、ドローンショーを開催し来場者を楽しませ、ギネス世界記録の達成への挑戦も続けている。
株式会社エアロネクスト(東京)は8月15日、ドローンでフードデリバリーの試験飛行を 実施したと発表した。6品、約2.5㎏を有人地帯での補助者なし目視外飛行(日本ではレベル4に該当)で、地元モンゴルの有力企業と連携して実施した。
エアロネクストのモンゴル国でのフードデリバリは7月25日に行われた。同社の「モンゴル展開パートナー」である モンゴルを代表する投資会社Newcom Group(ウランバートル市)、同社の子会社、Mongolian Smart Drone Delivery LLC(ウランバートル市)、モンゴル国フードデリバリー最大手、Tok Tok LLC(ウランバートル市)と組んで実施した。エアロネクストの調べでは、7月時点でモンゴル国内では初めての取り組みという。
試験飛行では、アプリ「TOK TOK」を通じて注文を受けたレストラン KIBO の料理6品、2,420gを、ウランバートル市内からウランバートル郊外の研修・保養施設まで片道約 16.5km、株式会社ACSL(東京)製の「PF4」で運んだ。動画にはTOK TOKのロゴの入ったデリバリボックスをPF-4が運ぶ様子や、都心部を飛行する様子、受け渡しの様子がおさめられている。
エアロネクストはすでにウランバートル市内で定常運航として血液製剤の配送を実施しており、6月には郵便輸送も実施している。フードデリバリは第3のユースケースとなる。
(モンゴル郵便とのドローン配送試験運航の実績についてはこちら