アマナグループでドローン人材育成やドローン空撮事業を展開する株式会社アマナビはこのほど、DJI の産業用パイロット教育機関「UTC」プログラムのひとつとして開発した「アマナ空撮技術コース powered by airvision」の提供を開催した。空撮を体系的に学べるカリキュラムが特徴で、当日は約 20 人が参加した。運営には DJI JAPAN 株式会社と株式会社 ORSO が共同出資で設立したドローン利活用推進サービスを手掛ける do 株式会社が協力した。次回は 2020 年1月 22日、23日に開催される予定だ。初日の基礎編を見学すると、情報、知識が整理され、経験談が随所で生かされていた。

「アマナ空撮技術コース powered by airvision」は、空撮サービスチーム「airvision」のパイロットが講師を務める。ドローンの飛行や操作に関する理論を体系的に整理し、実践で活かせるよう技能、知識をわかりやすく伝える講習だ。基礎編と上級編があり、基礎編では、カメラの構造や「解像度」の解説、カメラの設定方法などから、機材の種類、特徴、空撮映像をとるためのポイント、インテリジェント機能とフライトモードの活用、関連法、保険などを網羅している。
講師らが所属する「airvision」は、映画『魔女の宅急便』の実写版、NHK 大河ドラマ『真田丸』のオープニング映像など、テレビ、映画、CM、ミュージックビデオなどの製作に関わってきた、アマナグループ内のアマナビが結成している撮影チームだ。2011 年からドローン空撮を通じて「情報の見える化」に取り組んでおり、今回のコースでは、これまでの案件での空撮やスクールの運営によって築き上げてきたノウハウを UTC のプログラムのもとで編集し、提供することになった。
講習の冒頭、do 株式会社の角井洋介氏が登壇し、UTC が DJI の産業用パイロット育成機関であることについて説明した。この中で、「UTCは 2016年に中国で設立され、東南アジア、ヨーロッパ、北米で展開しています。日本では、初心者向けトレーニングや産業利用を目的とした測量系プログラムを中心に提供しています。DJIの技能認定であるDJI CAMPもUTCブランドで展開されています。DJI の機体の特性をいかすノウハウを盛り込んだことが特徴で、先日発表されたばかりの『MAVIC MINI』で空撮がより手軽になる中、講習がレベルの高い作品づくりに役立てることを願っています」とメーカー直結の講習であることを伝えた。
また、アマナビの児玉秀明代表取締役社長が「ドローンの人材育成を進めており、今回、DJI が設立した教育機関 UTC への参加をお誘い頂きました。2011 年から取り組んでいる空撮のノウハウ、技術、表現を共有させていただきたいと考えております」とあいさつし、参加者の期待を高めた。

今回の講習では airvision の深田康介さんが講師を担当。受講者にはテキストが配布され、講習はその順番で順を追うように展開された。
深田氏は自己紹介のあと、ドローンで撮影された映像が使われた映像を紹介し、「最初から最後までドローンで取られた映像を使う作品は多くなく、むしろ映像を効果的にスパイス的な演出と使われることが多いです」と、解説を加えた。事例として、オープニングタイトルバック映像、場面から場面の転換、客観視点の表現などを例示した。そのうえで「空を飛ぶことはとても特別なことで、落下するリスクを念頭に、安全への意識と向き合わないといけないと思います」と、安全意識を強調した。

基礎編では、カメラの構造から講義を開始。DJIの ZenmuseX7 を例示しながら、ドローンのカメラが、ジンバルの中にすべてがおさまっているわけではないことや、焦点距離や画角と、その違いによる表現の違いについて、映像をまじえて説明。シャッタースピード、ISO 感度、露出補正、撮影モード、シャッター機構、イメージセンサーのサイズの種類と静止画、動画の画質、動画の場合のフレームレート、フレームサイズ、コーデック、ビットレート、データ保存メディアや規格、ND フィルターについて説明。Mavic2 をはじめ各機体の特徴についても解説が行われ、一とおりの説明後にはスペック表が理解できることを確認した。
午後には、機材の説明をしたあと実際の airvision の空撮映像を元にカメラワークの基本パターンを説明したうえで、グループごとにシミュレーターを使って実践。airvision の講師がそれぞれのグループを巡回しながら、カメラワークのコツを受講生の動きを見ながら助言した。その後の、法律やルールの解説の中では、申請手続きの実際を、airvision の経験談をまじえて説明。どんな申請をした結果、なにが実現したのかを含めた解説に、参加者は「実践的で現場で役立つ話が聞けた」「これまで独学で空撮業務をやっていたので体系的に学べてとても参考になった。」と充実感をにじませていた。

アマナ空撮技術コースは基礎編と上級編があり、それぞれ1日。基礎編コースは「あらためて空撮技術と知識を学びたい」、上級編は「空撮による映像表現をさらに磨きたい」と考えているユーザー、愛好家、研究者などに向けて構成してある。上級編では、ダイナミックレンジを活かした撮影法、一人でできる Inspire2 のカメラワーク攻略法、実際の撮影現場での重要ポイント、実践空撮シミュレーション・トレーニングなどが盛り込まれる。受講料は基礎編が 48,000 円(税別)、上級編が 68,000 円(税別)。基礎編+上級編は98,000 円(税別)。次回は 2020 年1月に開催する。
プログラム受講後にオンラインテストに合格すると、修了証が発行される。また受講者特典として、アマナグループの株式会社アマナイメージズが運営す
るストックフォト販売サービス(https://amanaimages.com)の静止画・動画クリエイターとして、登録が可能になる(要審査)。
アマナビは一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の認定校でもあり、JUIDA 認定スクールの中でもっとも多くの卒業生を輩出するなど実績を重ねている。こうした実績は、このコモースでも、効率的でわかりやすい指導や運営に発揮されていた。すでに実績があるアマナビだが、この日講師をつとめた深田氏は、より役立つ講習にするため、直前一週間はこのコースのため
にかなりの準備を重ねて当日にのぞんだという。深田氏は「終わりはないと考えているので、今後もさらにブラッシュアップして、みなさまのお役にたちたい」と意欲を見せていた。
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歩く、走る、飛ぶ 米CaltechとアブダビTIIがヒューマノイドと空陸ドローンとの協調実証
米カリフォルニア工科大学(Caltech)とアラブ首長国連邦アブダビのテクノロジー・イノベーション研究所(Technology Innovation Institute:TII)は、ヒューマノイドと空陸両用ドローンが連携して行動する「マルチロボット応答システム(multi-robot response system)」の実証を行った。Caltechが2025年10月14日(現地時間)に公式サイトで発表した。
実証は、Caltechの自律システム・技術センター(Center for Autonomous Systems and Technologies:CAST)で実施されたもので、中国・杭州Unitree Roboticsのヒューマノイドロボット「Unitree G1」とCaltechが開発した変形型モビリティロボット「M4(Multi-Modal Mobility Morphobot)」が協調して動作する様子を披露した。
デモンストレーションでは、ヒューマノイドロボットが建物内を歩行し、屋外に出るとM4を起動。M4は地上走行から飛行モードに変形し、上空から周囲を監視した。両機体は無線通信でつながり、カメラやセンサーで得た情報を共有しながら、空と地上の連携探索を行った。
M4は車輪走行、歩行、飛行を切り替え可能な機構を備え、状況に応じて最適な移動モードを自律選択する。ヒューマノイドは人間環境下での操作や調査を担い、M4が空から支援することで、災害現場などの不確実な環境でも効率的な任務遂行が可能になるという。
Caltechの研究チームを率いるMory Gharib教授は、「異なるプラットフォームのロボットが協調して行動する新たな枠組みを示した。今後は災害対応や宇宙探査など、さまざまな応用が見込まれる」とコメントしている。
研究チームは今後、より多くのロボットが同時に協働できるネットワーク構造への発展を目指し、屋外・屋内の複雑地形での自律動作の高度化を進める方針だ。
出典:Caltech公式発表 “Caltech and Technology Innovation Institute Demo Multirobot
高市早苗首相が10月24日の衆参両院本会議で行った就任後初の所信表明で「ドローン」「AI」などの言葉を盛り込んだことで、関係産業が市場活性化への期待を寄せている。ドローンについては国土強靭化の関連で言及し、AIについては3カ所で使った。なお東京証券市場はAI関連銘柄を中心に買いが集まっている。
高市首相は10月21日の首班指名選挙で第104代内閣総理大臣に選出され、同日夜、皇居での首相の親任式と閣僚の認証官任命式を経て、高市内閣(自民党と日本維新の会による連立政権)が正式に発足した。
10月24日の所信表明演説では、ドローンについて国土強靱化の関連で言及した。具体的には「デジタル技術や衛星情報、電磁波、ドローンなども活用しながら、防災インフラ、老朽化したインフラの整備・保全を始め、ハード・ソフトの両面で、事前防災・予防保全を徹底します」と述べ、防災・インフラ保全の分野でドローン活用を示した。
「空飛ぶクルマ」や「AAM」(Advanced Air Mobility)、「eVTOL」(電動垂直離着陸機)などの言葉やそれらを含むエアモビリティの活用などへの直接の言及はなかったが、演説内に「先端技術」「航空・宇宙」などの言葉を使い、今後の政策に反映される可能性を織り込んだ。
一方、AIについては3カ所で言及した。成長戦略に関連して「AI・半導体、造船、量子、バイオ、航空・宇宙、サイバーセキュリティ等の戦略分野に対して、大胆な投資促進、国際展開支援、人材育成、スタートアップ振興、研究開発、産学連携、国際標準化といった多角的な観点からの総合支援策を講ずることで、官民の積極投資を引き出します」と述べた。
またデジタル化、データ利活用に関連しては、「『世界で最もAIを開発・活用しやすい国』を目指して、データ連携等を通じ、AIを始めとする新しいデジタル技術の研究開発及び産業化を加速させます。加えて、コンテンツ産業を含めたデジタル関連産業の海外展開を支援します」と踏み込んだ。
さらに農林水産業について、「世界トップレベルの植物工場、陸上養殖、衛星情報、AI解析、センサーなどの先端技術も活用し、輸出を促進し、稼げる農林水産業を創り出します」と技術革新を通じて伝統的産業を再構築する方針を明確にした。ドローンを活用したリモートセンシングなどもここに入る可能性が高く、今後、ドローン、AIに関連する政策はさらに関心を集めるとみられる。
なお東京証券市場は11月4日現在、日経平均株価が一時、5万2600円台で取引された。3月4日に4万円を突破してから、わずか7カ月後の10月27日に25%増の5万円に乗せており、AI関連銘柄が中心的な役割を果たしている。ドローン関連銘柄はこの間、日経平均の値動きと比べるとおとなしく、今後の政策や次年度予算編成などが左右する可能性がある。

ドローンを学ぶ授業が東京都港区の中学校で行われ、2コマ(100分)の授業中、教室にはずっと笑顔があふれ歓声が上がっていた。授業は教室で始まりドローンの基礎が紹介された後、体育館に移り生徒たちがトイドローンを飛ばした。講師として登壇したドローンパイロット、えりんぬは終始楽しそうにレクチャーをしながら生徒たちと交流を深めた。今後、ドローンを組み立てる授業も予定されている。
授業は東京都港区が今年度開設した港区立御成門中学校「Minato School」(学びの多様化学校)で、社会や生き方を学ぶ「キャリア科」の一環として行われた。「キャリア科」は地元企業と連携した授業で、「Minato School」の重要なカリキュラムだ。
講師には、ドローンレースやミュージックビデオ撮影などで実績を持つドローンパイロット、えりんぬが登壇したほか、港区にオフィスを構えるドローン事業者、株式会社セキドが今年発売された新型機、DJI Mavic 4 Pro、DJI Inspire 3などの最先端の機体や機材を持ちこみ、操縦の助言も含めてえりんぬをサポートした。
教室の授業では、本題に入る前からドローンへの興味で活気づいていた。えりんぬが登壇すると生徒たちから「かわいい♪」「ずっとこの先生に教わりたい♪」の声が上がった。
えりんぬはまず、自分自身の大学時代を振り返り、ドローンとの出合いや、大学を一時離れてドローンを極めたこと、現在取り組んでいることなどを具体例をまじえて紹介した。事例を紹介したさいに生徒たちにも見覚え、聞き覚えのある事例が出ると、「へえ」「すごーい」など歓声があがる場面もあった。
続いてえりんぬがドローンの種類やそれらの機体が使われている現場、ドローンの構造や飛ぶ仕組み、パーツなどを説明すると、生徒たちは興味津々で身を乗り出した。
ひと通りの説明を終えると、体育館に移動して、トイドローンの操縦体験に入った。生徒たちが3班に分かれ、電源の入れ方、バインドの作法、スティックの使い方などの説明を受けると、生徒たちはさっそくドローン操作に取り組んだ。機体が浮き上がると「おお!」と歓声があがり、生徒たちは笑顔に真剣な眼差しを乗せた表情で操縦に没頭。見守る教職員や関係者の足の下をくぐらせてみたり、フラフープの輪の中を通してみたりと、えりんぬから出される課題に挑戦し、その試行錯誤を楽しんだ。
体験の後半には、被写体を追尾する機能のついたドローンを使って、ドローンが追尾対象にした生徒が誰かを当てるミニゲームで盛り上がった。スタートの掛け声で生徒が体育館の中を走り回ると、ドローンが追尾する生徒を追いかけはじめる。すると生徒たちは「え~、自分かな」「いやいや、自分じゃなさろう」「あ、〇〇だ」とロックオン対象生徒を推測する声があがった。その後、えりんぬが正解を発表すると歓声があがった。最後にDJI Inspire 3を使って体育館内で参加者全員の記念撮影を行った。
授業を終えたえりんぬは、「ドローンで撮影する方法やドローンのおもしろいところ、いろいろな仕事があることなどをできるだけわかりやすく伝えられるように話をさせて頂きました。生徒のみなさんも親しく接してくれましたし、話もよく聞いてくれました。この授業をきっかけに、ドローンでできる仕事は他にどんなものがあるのか、などと想像したり考えたりしてもらえるとうれしいです」と話した。
キャリア科のカリキュラムの運営を担う株式会社まちづくりホールディングス(東京)代表取締役の鏑木達哉さんは「体験型の授業を取り入れていて、授業にはわれわれが開発した『有機的思考』と呼ぶメソッドを活かしています。このメソッドは、事象を点と点でつなぎ、全体像を導き出し全体を俯瞰しながら自分で意思決定していく、という3つが柱で構成されています。今回のドローン操縦体験では、生徒が自分でドローン操縦することを通して自分が将来ドローン関連の仕事をするとしたらどういうことをしたいのか。あるいはできるのか。そういったことを考えることに力点を置きました。えりんぬやセキド社のご協力により、リアルなドローン操縦体験を通して思考力を養ういい授業になったと思います」と話す。
ドローンの第2回授業も近く行われる予定で、生徒たちはドローンの組み立てに挑戦する。えりんぬは航空力学、電気回路、航空制御プログラム、機体構造などさまざまな体験を盛り込む予定だ。




固定翼型VTOL(垂直離着陸)のドローンレース「VTOL-1」が11月29日、佐世保市(長崎県)の大規模テーマパーク、ハウステンボス南側の特設エリアで行われる。VTOLを使った大掛かりなレースは日本初の開催となる。レースは、ドローンショー、ドローン展示など複数の企画を組み合わせた「長崎空創祭2025 ~海から空へつなぐ、長崎の未来~」の一環として行われる。イベントそのものへの入場は無料だ。
長崎空創祭2025を開催するのは、一般社団法人日本ドローンスポーツ連盟(山梨県)とVISIONOID株式会社(東京都港区)が構成する「長崎空創祭実行委員会」。「長崎空創祭2025」はVTOLレースを中心に「空の地域創生」をテーマとしたプロジェクトだ。教育コンテンツ、エンターテインメントを盛り込み、「ドローン×教育×エンターテインメントで地域創生に挑戦」を掲げる。
VTOLレースでは、大型固定翼VTOLによる高速周回レースを実施する。コースは海上に設け、時速100km以上の高速レースをFPV視点でリアルタイム中継を行い、実況で盛り上げる。今後、出場チームやコースなどが順次公開される見通しだ。
レースのほか、スペシャルドローンショー、展示や体験ブースなどのドローン産業展示会、地元飲食店が集まる飲食ブースとインフルエンサーによるライブ配信などの企画を盛り込み、地域の魅力を発信することに力点を置く。
長崎空創祭2025の後援には長崎県、佐世保市、九州旅客鉄道株式会社(JR九州)が名を連ね、ハウステンボス株式会社などが特別協賛する。
長崎空創祭実行委員会は「長崎空創祭は地域の取り組みと技術資産を土台に、観光・教育・産業をつなぐ新しい地方創生モデルを構築する試みです。かつて海から世界へ開かれた長崎が今度は“空から未来へ”開く。その象徴的な第一歩として固定翼VTOLドローンレースや教育体験、夜空のショーを通じて、『空で地域を再びつなぎなおす』未来像を発信します」としている。
■イベント名:長崎空創祭2025 ~海から空へつなぐ、長崎の未来~
■日程:2025年11月29日(土) 10:00開場~20:00 終了予定
■会場: ハウステンボス 南側特設エリア(長崎県佐世保市)
■来場者数(想定):約1万人(県内外・インバウンド含む)
■入場料:無料 (ハウステンボスへ入場する際は入場料が必要)

仙台市は11月5日午前、津波避難広報訓練を行う。訓練では仙台市の津波情報伝達システム(屋外拡声装置)、緊急速報メール、広報車両に加え、ブルーイノベーション株式会社(東京)の「BEPポート|防災システム」を活用した仙台市津波避難広報ドローンなどを使い避難を呼びかける。訓電時間に指定エリアにいる市民や勤務者は、一時避難するなどして万が一に備え、避難行動の定着を図る。
ブルーイノベーションの「BEPポート|防災システム」は、仙台市が2022年、一宮町(千葉県)が今年(2025年)5月、沿岸防災を目的に導入し、運用を始めた。津波警報や津波注意報が出されると自動でドローンが離陸し、沿岸地域にアラート音を流し周辺にいる人々に避難を呼びかけるシステムで、職員が津波に遭遇する危険のある沿岸部に近寄ることなく避難を呼び掛けられることを目指している。今年7月30日午前8時24分のカムチャッカ半島付近で発生した地震に伴う気象庁の津波注意報で、仙台市、一宮町それぞれのドローンが出動し沿岸上空で避難を呼びかけるなど役割を果たした。11月の訓練ではこのシステムを訓練として活用する。
11月の訓練は仙台市が主催し、宮城県警察本部、仙台東警察署、若林警察署、宮城海上保安部、公益財団法人日本道路交通情報センター、東日本高速道路株式会社、民間協定津波避難施設などが協力機関として参画する。
訓練は「東北地方太平洋沖を震源とする地震が発生し、地震発生の3分後に宮城県に大津波警報が発表された。そのため、津波避難エリア1・2内(編集部注:仙台市が指定したエリア)の居住者等は、津波の到達予定時刻までに、津波避難エリアより内陸側への避難、または津波避難施設・場所への緊急一時避難が必要となった」と想定して行われる。
当日の午前9時48分から、津波情報伝達システム(屋外拡声装置)の避難広報を3階行い、緊急速報メールを午前9時48分に送り、消防車両・区広報車による避難広報は午前9時48分から10時30分にかけて行う。津波避難広報ドローンによる避難広報は午前10時00分から10時30分ごろに行われる計画だ。また巡視艇(宮城海上保安部)の避難広報も午前9時48分から10時30分ごろに行われる。
ドローンは初動対応として沿岸部で空から避難広報を行い、同じ時刻に出動する消防車両は内陸部をめぐるなど活動するエリアを分担するという。
モビリティ産業のテクノロジー見本市、JAPAN MOBILITY SHOW2025(ジャパンモビリティショー2025)は10月31日に東京ビッグサイトで一般公開が始まる。TOYOTA、HONDAなど自動車大手をはじめ、モビリティ事業者や関連企業などが最新の開発情報や技術、デザインを持ち寄る。大阪・関西万博で話題をさらったSkyDriveが搭乗体験を提供するほか、KDDIは全国に1000機配備する計画の機体と格納庫を展示する。2年前の開催時にAAM(いわゆる空飛ぶクルマ)を展示したHONDAはロケットを展示。前回、サプライズでAAMを展示したSUBARUは今回はAAMの展示は見送る。
Japan Mobility Show 2025は日本自動車工業会が主催するモビリティ産業のテクノロジー見本市で、東京モーターショーが前回2023年開催から現在のスタイルに衣替えした。展示には企業展示に加えテーマブースが用意され、10年後の人とモビリティの生活を表現する「Tokyo Future Tour 2035」、キャンピングカー、スーパーカーなど多様なモビリティを描く「Mobility Culture Program」など、自動車を超えた幅広い移動に関わる展示に触れることができる。
企業ブースでは各社の最新技術に触れることができる。Hondaは、前回2023年のショーでHONDA EVTOLを展示したが今回は見送ることになった。展示の中心は自動車で、「移動体を0から考え直す」のコンセプトをベース「Thin, Light, and Wise.(薄い、軽い、賢い)」を開発アプローチとして位置付け(編集部注:編集長の「しゃべる、すべる、しげる」とはもちろん別物である)、EVの厚くて重いイメージから脱却するコンセプトシリーズ、「Honda 0シリーズ」を公開した。CES 2025で発表した「Honda 0 SALOON」、「Honda 0 SUV」に加え新世代EV「Honda 0 α(ホンダ ゼロ アルファ)」のプロトタイプも世界初公開し、プレスデーでは世界各国の報道陣が取り巻き、説明に聞き入った。ブースにはAAMはないが、ロケットやHONDA JETなどが空のモビリティとしてブースに賑わいを添えている。なおHonda 0 αの量産モデルは2027年から日本やインドを中心に発売を予定しているという。
AAMでは大阪・関西万博でデモフライトを披露した株式会社SkyDriveがテーマ展示「Tokyo Future Tour 2035」に「SKYDRIVE(SkyDrive式SD-05型)」のフルスケールモックを出展し、搭乗体験を提供する。ブースは鉄道の駅のようなしつらえで、自動改札機で電車に乗る感覚の手軽な搭乗体験を提案する。また座席正面には大型スクリーンを備え、窓越しの風景を見ながら疑似飛行体験が味わえる。搭乗には専用アプリでの予約が必要になる。
公式アプリ:https://www.japan-mobility-show.com/program/app/
ドローンではKDDI株式会社が、米国Skydio社製の自律航行をするAIドローン「Skydio X10」と離発着基地となる格納庫「Skydio Dock for X10」を設置し、来場者の要望に応じ「Dock for X10」のフードが開く様子を見せる。同社は日本各地に合計1000機のドローンを配備し災害の発生時に10分で現場にかけつけられる体制を整える方針を発表しており、配備するセットを再現する形だ。10月には1000台配備の第一歩を能登で踏み出したことを発表している。来場者はアンケートに答えると、森永製菓株式会社のチューイングキャンディ「ハイチュウ」のオリジナルハイチュウ「MU-CHEW –ムチュウ-夢中-」がもらえる。
モビリティの多様性も目を引く。スポーツ用品開発のミズノ株式会社は、競技用義足の技術を応用し、一般にも移動用に使うことが想定されているシューズ型移動ギアを展示している。移動ギアはコンセプトモデル「MOBILLARIA β(モビラリアベータ)」でCFRP(炭素繊維強化プラスチック)のブレードをアッパー部と一体化させたシューズ型だ。いわばバネがついたシューズで、着用者の脚の力を効率的に伝える。タイヤがついているわけでも電力など動力で動くものでもない。
会場では試し履きが可能だ。かかとにあたる部分がないなど日常使いのシューズとの違いはあるが、移動のために脚を動かすとギアが力の入れ具合に敏感に反応することがわかる。おそらく軽く走ると効率的に脚力が伝わることをより実感できるだろう。試し履きのサイズは、取材時のギアは足のサイズが27㎝だったなど環境が限られる。サイズがあえば体重が80㎏までなどの制約の範囲内で試し履きが可能になり、脚力がMobilityになる可能性を体感できる。
AI時代に需要が高まることが見込まれる可搬型エッジデータセンター開発のQuantum Mesh株式会社(クオンタムメッシュ、東京)は、ブースに映画『トロン:アレス』(ウォルト·ディズニー·ジャパン配給)に登場するトロンバイク「ライトサイクル」を展示する。関心を寄せて立ち寄ると同社の取り組みであるサーバーを冷却液にまるごと浸す液浸サーバー冷却システム『KAMUI』を目にすることになる。大都市の大規模データセンターと異なるトレーラーなどで運べることを特徴のひとつに掲げている。2024年にこの分散エッジAIデータセンターを稼働させ、Japan Mobility Show一般公開前には、パートナー企業とともに、AIoT時代のデジタルインフラ整備のコンセプト「AIデータステーション構想」を発表した。ブースではその構想を「8M Aliance」として紹介している。



















