ドローン、エアモビリティ系スタートアップ特化型のファンド、DRONE FUND(本社・東京)は2017年6月1日に発足し、2020年6月1日に3周年を迎えました。少子化、高齢化といった構造的な課題解決に欠かせないドローンのテクノロジーを、資金、知見、環境整備のすべてで支える活動は、日本のドロ ーン前提社会実現のけん引役となっており、さらなる活躍が期待されています。千葉功太郎代表パートナーは、このタイミングで自家用操縦士の取得も発表しました。2022年度の「レベル4」解禁、2023年度の「空飛ぶクルマ」の解禁に向けて議論の活発化が確実な中、パイロット免許取得で得た知見は、技術面、政策面、制度面に加え、ミーティングでの説得力などあらゆる場面で大きな力となりそうです。ただ、千葉さんのライセンス取得への道は精神的にも肉体的にも険しく、「心が折れて、後悔しまくってました」と振り返るほどでした。
千葉さんが、操縦士免許取得を目指すと決めたのは、テレビCMを観てビジネスジェット「HondaJet Elite」を買うと決めた時と同時でした。もともと機械は自分で操縦する、という考えの持ち主。クルマと同じように買ったら自分で操縦する気でいました。「当たり前のつもりでいたのですが、それが後悔の始まりでもありました」。
最初に門をたたいたハワイのスクールでは、分厚いマニュアルを渡され圧倒されます。量が多いだけでなく、基礎知識がないところからのスタートなので、字面を拾ったところで頭に入らない。加えて教官が厳しいスタイルで接してくるタイプだったため、圧力も強い。教官の質問に答えられないと「なんでこんなことが分からないんですか?教科書くらい理解してください」と容赦なく怒られました。そのため「分からないし怒られるしで4日で心が折れ、1週間後には恥ずかしながら『やめます』って言おうかと思うところまでいきました」と言います。
それでもやめなかったのは、自分自身で空を飛ぶことが楽しかったから。当初、仕事の合間にハワイに出向いて訓練し、短期取得を目指していました。しかし、しっかり学ぶ必要があると考えなおし、世界でも最も厳格といわれる日本で学び直すことを決めました。自分を追い込むために飛行機も買いました。それがDRONE FUNDのイメージキャラクター、美空かなたちゃんのイラストに覆われた、パイパー・エアクラフトの単発機です。さらに千葉さんの国内飛行免許取得に向けた訓練教官には、元航空自衛隊でF15戦闘機のパイロットをしていた、まさに航空界のエリートである船場太教官が内定。「まさに猫に小判でしたが、退路はなくなりました」と振り返ります。また訓練空港は航空自衛隊小牧基地として知られる名古屋空港が決定。名古屋への「通学」が始まります。
2018年7月末、千葉さんは「DRON FUND2号」の発表にのぞみ、会場となった竜ヶ崎飛行場(茨城県龍ヶ崎市)で飛行機「かなたちゃん号」をお披露目しました。この年の12月には念願のHondaJet Eliteの日本1号機を手に入れることになり、こちらもメディアに公開しました。メディアに公開したのは、「自分を追い込むためでした」(千葉さん)。そして、実際に、追いつめられる経験を積み重ねることになります。
千葉さんは、日本で操縦を学び始めてから免許を取得するまで、のべ150時間のフライト訓練と383回の離発着を重ねました。規定では40時間以上あれば免許の基準に合致しますが、「とてもそんな時間では取れそうにありませんでした。遠回りしたかもしれません」と話します。
千葉さんが挑んだのは、自家用操縦士のうち「VFR単発機」と呼ばれる、地面を見て飛ぶスタイルです。ほかに「VFR双発機」、計器だけで飛行できる「IFR」、さらに機種ごとのライセンスがあります。「かなたちゃん号」は「VFR単発機」の免許で操縦できますが、HondaJet Eliteを操縦するには、機種ごとのライセンスまで取得する必要があります。
千葉さんは「VFR単発機」取得への挑戦を振り返ると、この間に大きく5つのヤマ場があったといいます。第一は、ゼロからの挑戦期、第二が筆記試験、第三が初の単独飛行である「ファーストソロフライト」、第四が試験本番に向けた訓練の仕上げ、第五が試験当日です。
第一段階では、ゼロからスタートして、視界の悪い空中で飛行機を操縦することによって体に起きる空間識失調(VERTIGO=ヴァーティゴ)の体験が大きかったといいます。この状態になると感覚がまひして、機体の動きを理解できなくなります。水平に飛んでいると感じていても、機体は下降している、ということがあり、危険な状態です。このため教官は「異変を感じたら、自分の感覚を捨てろ、計器を信じろ」と繰り返し叩き込んだといいます。
第二段階のヤマ場は国家試験の筆記試験でした。自家用操縦士の免許を取得するには、航空気象、航空工学、航空法規、航空通信、航空航法の5科目の試験に合格することが必要です。そのうえ、実地試験で単独飛行をするためには、特殊航空無線技士をもっていなければいけないので、実質6科目の勉強をする必要があります。仕事をしながら本格的な受験生の勉強もこなすことになり、脳みそをいじめ抜くような苦しい日々が続きました。千葉さんは「最終的に効果的だったのは過去問をひたすら解くことでした」と振り返ります。なお千葉さんは、必要な6科目に加え、「第二種陸上特殊技士」も「ついでに」受験して合格しました。
第三段階のヤマ場は、横に教官が座らずに、初めて完全に一人で空を飛ぶ「ファーストソロフライト」です。隣にいるのが当たり前の教官がいなくなる恐怖。千葉さんは「死をリアルに感じた」と言います。
なお、ファーストソロフライトに関連して、千葉さんが大きな出来事として刷り込まれているのが、教官から「ソロフライトの前に、不安なことはありますか」と当日本番直前に尋ねられたときのことです。このとき千葉さんは、「上空でエンジンが止まったら、死ぬんですか」と尋ねたそうです。すると教官は「では1回それをやってみましょう」と言い、空中でエンジンを止める体験するはめになってしまいました。離陸して1000フィートまで上昇し、滑走路近くでエンジン出力を切る(スロットルをアイドルにする)。エンジンが切られた状態の飛行機を、教官の指示に合わせて滑空状態で操縦しながら滑走路に対して直角に接近して、最後に滑走路方向に姿勢をかえて着陸。「不安を解消するためにやって頂けたことなんですが、そりゃ怖いですよ。空中で本当にエンジンをスパっと切られると、あとはただ『うおおおっ』て言いながら死にもの狂いでした」。もちろん、空港の管制官の許可を得ての特別な訓練です。
「ファーストソロフライト」はどのパイロットにとっても、最も思い出深い一日にあげる記念日だそうです。このあと単独飛行を無事に成功させて戻ってきた千葉さんを、教官は、日本式で水をかけて祝ってくれたそうです。この瞬間は千葉さんにとっても「本当に感動した瞬間です」と言います。
第四段階は試験本番に向けた練習で、試験に向けて難易度がさらに高くなっていきました。試験までにソロフライトを10時間、積み重ねる必要があり、さらに「エアワーク」と呼ばれる特殊な飛行と、「ナビゲーション」と呼ばれる空港間の長距離飛行をGPS利用なしで安全に時間通りに飛行する2つの飛行試験に向けた訓練を行います。
エアワークは、操縦士が計器だけをみて機体を操縦する計器飛行と、エンジンを空中でアイドルにして、機体を「失速」させて、落下から通常姿勢に戻す特殊飛行訓練などで構成されます。例えば計器飛行の異常姿勢からの回復操作では、空中で外が見えない目隠しメガネをされ、「目を瞑って操縦桿から手を離してください」と言われ、教官が飛行姿勢をわざと大きく崩します。機体の姿勢が崩れたところで、姿勢を立て直すよう指示が出され、操縦士は計器だけを見ながら体制を立て直します。さらに失速訓練では、実際に空中飛行時にエンジンをアイドル(出力をほぼ止める)にして、機体の揚力が消えるまで姿勢維持すると、ある瞬間に機首がガクンと下がり落下を始めます。そこから冷静に手順通り機体を立て直します。「いつも命がけですが、これも命がけ」と、命がけの緊張度の高い訓練が続きます。
「ナビゲーション」では、予め計画した精密な長距離飛行計画の実施途中に、突然予定外の目的地を告げられ、それに対応します。目的地が変わると、航路を確定させるために紙の地図に定規で線を引くことにもなっています。地図は操縦士の膝の上にあり、それを開き、かつ定規で線をひくとなると、手放し操縦をしなければならなくなります。それを手際よくできるかどうかカギとなるそうです。なお、追い打ちをかけるのが、教官からの高まるプレッシャーです。「それまで鍛えられてきたはずのメンタルが、ここにきてさらに折られる思いをします。最後の2、3日は本当にきつかった」と振り返ります。
そして最後のヤマ場が試験本番。試験は口頭試問と、2種類の実地試験。2種類はエアワークとナビゲーションです。この口頭試問が「耐えがたいプレッシャーをかけてくる」難しい質問の波状攻撃なうえ、千葉さんの場合「試験勉強でいう山カンがはずれて」焦った受験となりました。口頭試問に合格して、受験資格を獲得した実地試験は、強風による悪天候で予定がかわり、さらに新型コロナウイルスの影響をみながら日程も調整し、試験本番にパフォーマンスを最大に発揮できるかどうかの管理も試されながらの受験となりました。結果として、エアワーク、ナビゲーションとも「奇跡的にうまくいって」合格したといいます。
合格は「とにかくうれしかったし、教官をはじめ、大勢の協力があってのことなので、ほっとしました」と話しています。
この間がどれだけの極限状態であったかは、千葉さんのメモから読み取れます。
千葉さんの試験前のメモには「守るべきこと」として、数点の箇条書きがあります。
その最初が、「あくまでもマイペースを守る」です。
千葉さんによると、空では「足し算ができなくなるほどアホになる」といいます。多くのことを同時に考えてこなさなければならないうえ、イレギュラーなことが当たり前に起こるため「CPUがフル稼働でそれ以上は考えられない状況。ふだんの10%もアタマが使えません。放っておけば、自分のペースを守れない。事故は多くの場合、パニックに陥ったときにおこります。マイペースを保つ、ということは、命を守ることに直結するんです」。
そしてもうひとつ、「色気を出さない」とも書いてあります。
これは、「こうできたらカッコよさそう」などと考えてはいけないという戒めだそうです。着陸が難しそうなら躊躇なくやり直さなければいけません。また、聞き取れなかった交信は必ず聞き返して理解する、ということも含むそうです。「航空管制無線が聞き取れなかったにもかかわらず、自分には直接、関係のないであろうと思い込み、分かったフリをしたことがありました。そうしたら教官からめちゃめちゃ怒られました」。
こうした経験から何を得たのでしょうか。
千葉さんは「いくつもありますが」と言いながら、メンタルが強くなったこと、空から俯瞰する地理感覚や、相対座標という感覚を手に入れたこと、パイロットだからこそ一目置かれる立場に入れたこと、などをあげてみせました。空の利用をめぐる議論の中でも、自家用操縦士の免許を持つドローンの立場からの発信は、ドローン・エアモビリティ前提社会を目指すうえでより説得力を持ちそうです。HondaJet Eliteを操縦したい、という「軽いノリ」から始まった壮絶な免許取得への挑戦は、千葉さんに新たな視点を授けたことは確実です。
なお、千葉さんが今回取得した「VFR単発機」の免許では、千葉さんが目指す「HondaJet Elite」を単独で操縦することはできません。ここを尋ねると、「それができるように免許を取ろうと思っています」と即答しました。「『VFR双発機』はできれば年度内に。3年以内に機種別を取得してHondaJetEliteを操縦したいと思っています」。
門をたたいてから「後悔しまくっていた」「心が折れた」と振り返るほどの壮絶な免許取得のストーリーには、まだ続きがありそうです。
DRONE STARを手がける株式会社ORSO(オルソ、本社・東京都千代田区、坂本義親代表取締役社長)は12月3日、先月末に発表した新製品「DRONE STARトレーニングマット」を、12月18、19日に大阪で開催される「Japan Drone 2024 in 関西」で初公開する。ORSOが出展するブースで使い勝手を試せる体験会も開く。体験会の予約も12月3日に開始した(予約はこちら)。ブースではトークセッションも予定していて、ドローン教育の第一人者、株式会社Dron é motion(ドローン・エモーション)の田口厚代表取締役や株式会社オーイーシーの野﨑浩司上席執行役員の登壇が予定されている。
トレーニングマットは今年(2024年)6月に千葉・幕張で開催されたイベント「Japan Drone」で、ORSOがDRONE STAR TRAININGの体験会を開催したさい、体験者から機体などとともに好評で問い合わせが相次いでいたアイテムを市販用に開発したもの。製品化までの間に、ドローンの専門家やスクール関係者などからのフィードバックを受けて製品としての価値向上の行程を重ねてきた。ORSOは11月26日にトレーニングマットの開発を発表しており、12月18日のJapan Drone関西はユーザーが直接目の当たりにする初めての機会となる。
ブースでは、体験会、第一人者が知見を披露するプレミアムトークセッション、即売会などが行われる。トークセッションに登壇するドローン・エモーションの田口氏はドローン講師の第一人者で、トークセッションでは国家資格取得のためのトレーニングで「ドローン・コントローラーセット」と「トレーニングマット」を活用する実践例を解説する予定だ。田口氏は18日(水)11:30~12:00、19日(木)11:30~12:00にORSOブースに登場する。
またオーイーシーの野﨑氏は、大分県内を中心に行政や教育機関と連携してドローンを活用した地域課題解決や人財育成、エンタメを活用した地域活性化に取り組んでいて、その事例を紹介する。野﨑氏の登壇は18日(水)15:00~15:30を予定している。
ブース内では即売会も行われ、対象となるセットを購入した場合、追加バッテリーやドローン国家資格向け練習ガイドなどの特典を用意しているという。
ORSOの発表は以下の通り
~「Japan Drone 2024 in 関西」初出展~
DRONE STARブランドを手掛ける株式会社ORSO(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:坂本義親、以下ORSO)は、2024年12月18日~19日までJR大阪駅直結のナレッジキャピタルコングレコンベンションセンターにて開催される「Japan Drone 2024 in 関西」へ、初出展いたします。本展示では西日本で教育・スクール事業を行われている皆様向けに基礎操縦力を効果的に鍛える練習セット「DRONE STAR TRAINING」の展示を初めて行います。
展示ブースでは、基礎操縦力を効果的に鍛える練習機「DRONE STAR TRAINING ドローン・コントローラーセット」と、新製品である「DRONE STAR トレーニングマット」のドローン国家資格に特化した練習セットを、いち早く体験できる体験会を開催し、本日より体験会の事前予約を開始いたしました。また、登録講習機関や、ICT教育現場における具体的な活用方法、事例について田口氏、野崎氏の両名をお迎えしてプレミアムトークセッションを実施いたします。
さらにブース内では新製品発売を記念した即売会を開催し、対象セットをご購入の方に追加バッテリーやドローン国家資格向け練習ガイドなどの特典を用意しております。この機会にぜひ、ブースにお立ち寄りください。
Japan Drone 2024 in 関西 DRONE STAR ブースでは、新製品である「DRONE STAR トレーニングマット」を初公開し、実際の試験内容である「スクエア飛行」、「8の字飛行」、「異常事態における」を想定した、基礎操縦力を効果的に鍛える体験会を開催いたします。
当日混雑が予想される為、事前に予約された方を優先してご案内させていただきます。
体験会の事前予約はこちら:https://reserva.be/dronestar
■ プレミアムトークセッションのご案内
展示ブースでは、体験会と同時に、プレミアムトークセッションを実施いたします。「DRONE STAR TRAINING ドローン・コントローラーセット」と「DRONE STAR トレーニングマット」の登録講習機関や ICT 教育現場における効果的な活用方法や、資格取得や教育に役立つ実践的なノウハウをご紹介いたします。参加は無料です。
【トークセッション①】「現役ドローンパイロット兼、登録講習機関講師から見る操縦技能習得の課題を紐解き」
ゲスト:株式会社 Dron é motion 代表取締役 / ドローングラファ 田口 厚 氏
登録講習機関講師として、資格取得のためのトレーニングで「ドローン・コントローラーセット」と「トレーニングマット」を活用する実践例を解説いたします。
12 月 18 日(水) – 11:3012:00
12 月 19 日(木) – 11:3012:00
【トークセッション②】「産官学連携、大分県でのドローンを活用した地域人材の育成、取り組み事例について」
ゲスト:株式会社オーイーシー 上席執行役員 DX プロデュース事業部事業部 兼 DX・海外連携推進室 野﨑 浩司 氏
行政や教育機関と連携し、ドローンを活用した地域課題解決、将来の人財育成、エンタメによ
る地域活性化に取り組んでいます。
12 月 18 日(水) – 15:0015:30
■ DRONE STAR トレーニングマットについて
「DRONE STAR トレーニングマット」は、ドローン国家資格の実地試験で行われる 3 つの飛行コースを 3 分の 1 スケールに集約した練習用マットです。このマットは、限られたスペースや空き時間を活用して、効果的にドローンの操縦技術を磨くために開発を行いました。
また、2024 年 7 月に発表された、ビジョンセンサーON/OFF 機能を搭載した「ドローン・コントローラーセット」と組み合わせることで、改正航空法に基づく実地講習や無人航空機操縦者技能証明の実技試験に必要な技術要素を繰り返し練習することが可能です。
【公式サイト】:https://www.dronestar.jp/product/training
■ 即売会&購入者特典のご案内
展示ブース内では、新製品「DRONE STAR トレーニングマット」の発売を記念して即売会を
開催いたします。対象セットをご購入いただいた方には、以下の特典をご用意しています。
税込価格:¥25,700(1,870 円分お得)
【特典】バッテリー1 個、ドローン国家資格向け練習ガイド
税込価格:¥80,700(3,740 円分お得)
【特典】バッテリー2 個、ドローン国家資格向け練習ガイド
いずれのセットにも「ドローン国家資格向け練習ガイド」を購入者特典としてお付けし、実地
試験のコースに基づいたスキル習得のための練習方法をご紹介いたします。また、長時間の練
習に対応できるよう、追加バッテリーも特典としてご用意しています。お得なこの機会に、ぜ
ひご検討ください。
■Japan Drone 2024 出展概要
展示会名 Japan Drone/次世代エアモビリティ EXPO 2024 in 関西
開催期間 2024 年 12 月 18 日(水)・19 日(木) 2 日間
開催場所 ナレッジキャピタル コングレコンベンションセンター
開催時間 10:0017:00
出展ブース番号 N-4
出展内容 新製品「DRONE STAR トレーニングマット」および「DRONE STAR
TRAINING ドローン・コントローラーセット」の展示・体験会
サイト URL https://www.japandrone-kansai.com/
体験会の事前予約はこちら:https://reserva.be/dronestar
■DRONE STAR とは
株式会社ORSOと、株式会社エルの共同プロジェクトである「DRONE STAR」は、2016年にドバイで開催されたドローンレース世界大会に日本代表として参加した高宮悠太郎を中心に、ドローンとスマホアプリを連携させ、楽しみながら学ぶ新しいコミュニケーションを提案するプロジェクトです。DRONE STARとは、お使いいただくユーザーの方々の中から新たなスターが生まれ、今後の新しい可能性を広がる未来が来ることを願ってつけられた名称です。
2017年には、室内で楽しく学べるアプリ「DRONE STAR」と対応機体「DRONE STAR01」をリリースし、ドローンと共にリリースした連携アプリによって、スマホの画像認識とAR技術を活用し、操縦者の技能をスコア化する機能を提案。2018年には、教育現場でのICT教育を推進するために、ドローンプログラミングアプリ「DRONE STARプログラミング」をリリース。このアプリは全国各地の教育現場とともに研究開発され、創造的課題や動画撮影が可能で、論理的思考を育むツールとして注目されています。2023年には、お家で安心して飛ばせるバッテリー交換可能な「DRONE STAR PARTY」を発売。2017年にリリースした「DRONE STAR 01」と比べて飛行時間が延びたほか、高さだけでなく水平方向の飛行アシストも追加され、より安定したホバリングが可能となりました。引き続き、DRONE S TARを通じて、楽しみながら学ぶ新しいコミュニケーションを提案していきます。
DRONE STAR公式ホームページ: https://www.dronestar.jp/
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)と千葉県は11月29日、「災害時におけるドローンによる物資輸送等に関する協定」を結んだ。両者が同日、それぞれ発表した。JUIDAは同日、東京都内で開催した「JUIDA認定スクールフェスタ」の中で協定締結を参加者に報告した。JUIDAはフェスタの中で、「ドローン防災スペシャリスト教育」の導入方針や、災害対応委員会の創設計画など、防災の取り組みに力を入れる姿勢を示した。
協定は、災害時に医薬品、応急用敷材、食料などの応急物資をドローンで運搬することが内容だ。また協議のうえ必要と認められたドローンによる支援活動も可能になることも盛り込んだ。
千葉県は「災害時におけるドローンによる物資輸送等に関する協定」の協定により、「災害時にドローンを活用した物資輸送等ができるようになり、支援物資を運搬するための多様な手段を確保することで、今後も迅速な災害対応を実施してまいります」と説明している。
JUIDAは自治体との防災協定を進めていて、すでに大分県などと結んでいる。東日本の自治体とは千葉県が初めてとなる。JUIDAは「この協定に基づき、JUIDA は災害時にドローンを活用した物資輸送等において千葉県での支援活動が可能となります。支援物資の運搬等の手段としてドローンを活用し、迅速な災害対応を実施して参ります」と抱負を述べている。JUIDAは締結当日に東京大学山上(さんじょう)会館で開催された会員向け交流、情報提供ミーティング「JUIDA認定スクールフェスタ」で協定の締結に言及し「平時でのドローンの活用も検討いていくことになります」と説明した。
JUIDA認定スクールフェスタでは、災害関連として千葉県との防災協定に加え、「ドローン防災スペシャリスト教育」の導入方針や、「災害対応委員会」の設置計画、被災地への派遣チーム「JUIDA D³(ディーキューブ=JUIDA Drone Disaster Dispacher)」の創設方針などが伝えられるなど、防災への意気込みを強く印象付けた。
JUIDAの鈴木真二理事長も認定スクールフェスタでの冒頭のあいさつで「毎年スローガンを発表していて2024年は『ドローン社会貢献元年』でした。年明けの能登半島地震で防災活動に取り組んだことが背景にあります。この取り組みで齋藤健前経済産業大臣から感謝状も頂きました。JUIDAはドローン活用の提言、国や自治体との連携、民間防災協力、防災教育のたちあげに取り組みます」と述べ、防災を重視している姿勢をみせた。
このほかフェスタでは、経済産業省製造産業局次世代空モビリティ政策室の滝澤慶典室長、 国土交通省航空局安全部無人航空機安全課の齋藤賢一課長が来賓としてあいさつした。JUIDAの熊田知之理事・事務局長は防災関連とともに、会員サービス、グローバルの取り組み、国際標準化の取り組み、JapanDroneなどビジネス機会に関する取り組み、学術振興の取り組みなど重点施策を説明した。経営企画室室長の田口直樹氏も登録更新や監査システムについて、岩田拡也常務理事も情報収集などについて報告した。
認定スクールの表彰も行われ、恒例のスクールアワードはゴールドにSKY FRIENDS ACADEMY、シルバーにサイワークスドローンスクール、ブロンズにドローン合宿岡山校を選出。取り組みを社会貢献や独自性などの視点で評価する理事長賞には、スマート林業講習に取り組んだFALCON DRONE SCHOOLを選出した。
親切した「優良登録講習機関賞認定証」は14法人に贈られた。表彰されたのは、株式会社スリーアイバード、田中電気株式会社、双葉電子工業株式会社、株式会社東北高速道青森、株式会社ミラテクドローン、株式会社スカイフォトサービス、株式会社ドリームモータースクール、有限会社オーシャン・クルー、株式会社札幌篠路自動車学校、日本DMC株式会社、株式会社ナスコ、丸山建設株式会社、株式会社ラパン・トルテュ、一畑工業株式会社の各法人だった。
DRONE STARを開発する株式会社ORSO(東京)が、かねて開発を進めてきたドローン国家試験向けトレーニング用マット「DRONE STAR トレーニングマット」を完成させ、発表した。実地試験の3種類のコースを1枚のマットの上に集約した約3分の1スケールのマットで、ドローンスクールが空きスペースに敷き受講生の自主練習にあてたり、会議室で活用したりすることを想定している。価格は55,000円(税込)で12月18に発売する。予約者は先着20組に20%割安になるキャンペーンも実施中だ。
「DRONE STAR トレーニングマット」は3.2m×1.6mで、実地試験コースの約3分の1。二等試験の「スクエア飛行」「8の字飛行」「異常事態における飛行」に3種に対応している。3分割でき、中央をはずし左右両端のマットをつなぐことで円のコースにすることもできる。丸めて持ち運ぶことも可能だ。
ORSOの発表は以下の通りだ。
~発表を記念して先着20社限定、20%OFFキャンペーンを開始~
DRONE STARブランドを手掛ける株式会社ORSO(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:坂本義親、以下ORSO)は、ドローン国家試験向けに、実地試験における3種類のコースを集約した、「DRONE STAR トレーニングマット」を発表します。また、新製品の発表を記念して、先着20社限定で「DRONE STAR トレーニングマット」を20%OFFで予約ができるキャンペーンを開始します。
■先着20社限定、20%OFFキャンペーン
新製品『DRONE STAR トレーニングマット』の販売を記念し、特別価格でご提供するキャンペーンを開始します。
本キャンペーンでは、実際に製品を使用いただき、導入事例のご協力をお願いできるお客様を募集しています。導入事例は弊社Webページ等でご紹介させていただき、同様の導入を検討中のお客様の参考情報として活用させていただきます。
ご協力いただける方には、通常価格55,000円(税込)のところ、20%OFFの44,000円(税込)でご提供いたします。 先着20社限定 となりますので、この機会にぜひお申し込みください。
【キャンペーン期間】2024年11月26日 ~ 2024年12月17日
【キャンペーン対象者】
・製品を使用し、その活用方法についてご意見をいただける方
・導入事例として、弊社WEBサイト等での掲載にご協力いただける方
【予約受付サイト】 https://www.dronestar.jp/product/training
■「DRONE STAR トレーニングマット」の特徴
◯ 約3分の1スケールで実地試験コースをリアルに再現
「DRONE STAR トレーニングマット」は、横幅3.2m×縦幅1.6mで、実地試験コースを約3分の1スケールで再現しており、スクールの空きスペースや会議室に手軽に設置できます。マットを敷くだけで、二等試験に必要な「スクエア飛行」「8の字飛行」「異常事態における飛行」の練習をすぐに始められます。メジャーやパイロンを使った準備が不要なため、練習のセットアップ時間を短縮でき、より多くの飛行時間を確保し、苦手な飛行技術を繰り返し練習することが可能です。さらに、3つのパーツに分割でき、両端のマットを重ねることで1つの円を作ることができます。小さく丸めることができるため、収納や持ち運びも簡単です。
■「DRONE STAR トレーニングマット」製品情報
【名称】DRONE STAR トレーニングマット
【価格】55,000円(税込)
【発売日】2024年12月18日
測量や点検などのドローン関連サービスと運航管理システム(UTM)を手掛けるTerra Drone株式会社(テラドローン、東京都渋谷区、徳重徹代表取締役社長)は11月29日、株式会社東京証券取引所が運営する東京証券取引所グロース市場に上場した。午前9時12分に2162円で初値をつけ、公開価格の2350円にやや届かなかった。ドローン関連銘柄で公開価格割れの初値をつけたのは2018年12月21日に上場した株式会社ACSL以来だ。株価は午前9時37分に2040円まで下げた後切り返し、一時2,459円をつけた。午前は公開価格をやや上回る2370円で取引を終えた。
取引開始前から公開価格に売り注文が多く寄せられていて、公開価格割れで初めての取引が成立した。売り注文をこなしたあと株価は切り返すなど活発な取引が続いた。売買代金はグロース市場全体の4番目の大きさで取引が続いた。ドローン銘柄と認識されている企業としては、ACSL、ブルーイノベーション、リベラウェアに続く上場となる。なお傘下にドローン企業を持つ上場企業としてはイームズロボティクスをグループ会社に持つ株式会社菊池製作所などがある。
テラドローンの業種は精密機器で銘柄順位は7月29日に上場したリベラウエアの次にあたる。コードは278Aで業種は精密機器、単元株数は100株。主幹事はSMBC日興証券。1月末決算の事業年度となる。従業員は548人。
同社の2024年1月末の連結売上高29億6332万3千円で。前年同期の10憶1397万3千円から52%増。2024年1月期の連結当期純損益は3億5386万8千円の赤字で、前年同期の11億1163万2千円の赤字から赤字幅を圧縮している。
同社は上場に伴いコメントを発表している。「東京証券取引所グロース市場への上場に関するお知らせ」と標題をつけて公表されたコメントは以下の通り
(以下、同社コメント)
Terra Drone株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:徳重 徹、以下 当社)は、本日、東京証券取引所グロース市場(証券コード:278A)へ新規上場いたしました。
ここに謹んでご報告申し上げますとともに、創業以来支えてくださった全てのステークホルダーの皆様のご支援、ご高配に心より厚く御礼申し上げます。
当社は、「Unlock “X” Dimensions(異なる次元を融合し、豊かな未来を創造する)」というミッションを掲げ、豊かな暮らしの実現に向け、多様な領域を融合させて新しい可能性を生み出し、課題解決に取り組んでまいりました。
引き続き当社は、ハードウェア・ソフトウェア・サービスを統合した包括的なドローンソリューションを提供するとともに、安全かつ効率的なドローンや空飛ぶクルマの運航を実現するための運航管理システム(UTM)の開発・提供に注力いたします。これにより、次世代エアモビリティの普及を見据え、”低空域経済圏のグローバルプラットフォーマー”として、安全かつ効率的な移動を支える基盤を築いてまいります。
当社は、日本発のグローバルメガベンチャーとしてグローバル市場での成功を目指すともに、当社事業を通じて日本経済の発展にも貢献していく所存です。
今後も変わらぬご支援、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
加賀市(石川県)はドローンやエアモビリティ関連産業の集積を目指す「加賀市次世代エアモビリティコンソーシアム」を設立し、11月26日、市内で設立総会を開催した。コンソは官民26機関が構成員として名を連ね、設立総会には22機関が出席した。中央省庁も関連部署や地元機関などがオブザーバーとして参加することになった。総会は設立趣意書、規約案を確認し、会長に法政大学の御法川学教授を選任した。出席した加賀市の宮元陸市長は「オールジャパンのスター、トップクラス、そうそうたるみなさまが集まった。われわれは空の産業集積を大目標に掲げております。令和4年には国家戦略特区にもなりました。規制緩和も進め世界一ビジネスのしやすい環境をつくり、空への夢を育てたい」とあいさつした。総会には関連する企業、団体の代表者も出席し総会の賑わいを彩った。
加賀市次世代エアモビリティコンソーシアムの会長に就任した御法川氏は次世代エアモビリティの現状とコンソーシアムに寄せる期待について「世界では大小あわせて1000もの機体開発が進んでいます。ただし開発は非常に力のいる仕事です。規制、資金などの大きなハードルがいくつもあり、社会的な需要を生み出す取り組みを同時に進めなければなりません。しかし新しい乗り物なので登場すれば市場は一気に花開くと考えられます。コスト競争、つくる人やパイロットなどの育成などを乗り越えることも必要で、これらの方法もみなさんと考えて参りたいと思います」と述べた。
この日は総会に講演会が行われた。登壇したのは経産省次世代空モビリティ政策室長の滝澤慶典氏、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)航空宇宙部次世代モビリティユニットチーム長の安生哲也氏、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)航空技術部門航空利用拡大イノベーションハブの又吉直樹ハブ長、ドローン・ジャパン株式会社の勝俣喜一朗代表取締役。又吉氏は北海道での実施実験期間中のためリモートで参加した。
講演の中で経産省の滝澤氏は官民協議会が策定しているロードマップを最新改訂に言及し、「レベル4までの制度はすでに整えた。あとは社会実装。レベル3.5などの対応、技術開発、環境整備を進める」と解説した。
JAXAの又吉氏は「エアモビリティとドローンが共存するため、同一空域での多数による同時飛行時の空中コンフリクトを避ける必要がある。またユーザーに求められてオンデマンドで飛ぶことが想定される中、空中での待機時間を削減すること、オンデマンドで待つ時間を減らすことなどが課題になります」などと説明し、JAXA内で協調的運航管理の研究開発のために「CONCERTO(コンチェルト)」プロジェクトを進め、課題解決技術の標準化と技術移転を目指し取り組んでいることを説明した。
コンソーシアムに名を連ねた「構成員」は、学校法人金沢工業大学、学校法人法政大学・大学院、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社、アルデュエックス・ジャパン株式会社、兼松株式会社、NPO法人クライシスマッパーズ・ジャパン/DRONEBIRD、サンワエアロスペースインダストリー株式会社、株式会社デジタルカレッジKAGA、東レ株式会社、ドローン・ジャパン株式会社、株式会社ドローンショー・ジャパン、株式会社トラジェクトリー、一般社団法人ドローン大学校、ドローントリビューン、日本エアモビリティ総合研究所、一般財団法人日本海事協会、日本航空株式会社、DRONE FUND株式会社、emblem株式会社、HIEN Aero Technologies株式会社、HIREC株式会社、株式会社JALエンジニアリング、株式会社NTTコミュニケーションズ、MS&ADインターリスク総研株式会社、PwCコンサルティング合同会社、Skyports株式会社。オブザーバーは内閣府地方創生推進事務局、総務省総合通信基盤局、総務省北陸総合通信局、経済産業省製造産業局、経済産業省中部経済産業局、JAXA、NEDOがオブザーバーとして参加開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構。
自動制御技術のブルーイノベーション株式会社(東京)は、一宮町(いちのみやまち、千葉県長生郡)が同社の開発したドローン自動巡回システム導入を決めたと発表した。機体、ポート、ソフトなど2セットを町役場と町内の小学校に設置する。一宮町は年間60万人のサーファーが訪れるサーフィンの町で、津波注意報が出たときなどドローンが自動で出動し、7.5㎞にわたる海岸線の上空からスピーカーで避難を呼びかける。一宮町は仙台市が導入した事例を参考にしたといい、「長い海岸線があっても迅速に対応し被害を最小限にしたい」と話している。11月15日の発表後の東京証券市場ではこの決定を好感して同社株は急反発した。
ブルーイノベーション株は一宮町へのシステムの導入が決定した週明けの11月18日、前週末15日の1株あたり719円から71円高い790円で始まり、一時121円高の850円をつけるなど終日、前日終値を超えて取引された。18日の終値も808円で、翌19日の取引も812円と続伸で始まった。
一宮町が導入を決めたシステムはブルーイノベーションが開発した「BEP(ベップ)ポート|ドローン自動巡回システム」だ。ドローンと格納庫になるポート、それを稼働させるソフトウェアで構成される。BEPとは異なるIT機器同士を連携させて果たしたいミッションを遂行させるブルーイノベーションのプラットフォームで、Blue Earth Platformの略称だ。「BEPポート」はBEPを組み込んだドローンの離発着用ポートをさす。
主な機能は監視や警戒が必要な地域、施設、現場などでの自動広域巡回だ。必要なときにドローンが自動で離着陸し、各農事には自動で充電できる。Jアラート(全国瞬時警報システム)と連動していて、津波注意報などが発令された場合にドローンが離陸する。一宮町はこのシステムは2組導入する。2機のドローンは海岸まで飛行し、7.5㎞連なる海岸線を分担して飛び、上空から海岸や波の上のサーファーらに自動音声で避難指示を伝える。設置場所は一宮町役場屋上と町立東浪見(とらみ)小学校屋上を想定している。一宮町役場には非常用電源も備えている。
一宮町は長い海岸線と地域特産のフルーツなどから「緑と海と太陽のまち」を標榜する。海岸へは鉄道駅の玄関口、JR外房線の上総一ノ宮駅から自転車で10分、徒歩なら30分強。バス便もあるが、駅のバス停留所の発車は平日が15時ちょうど、16時ちょうどの2本のみ。休日の運航はなく、年末年始など運航しない時期も設定されている。
約7・5㎞の海岸線には絶好のサーフポイントが多く点在する。トラブル回避のため、禁止行為、エリア分けなどルールも作られている。この恵まれた環境が年間60万人のサーファーを引き寄せている。11月現在も、一宮海岸の駐車場は多くの車とサーフウェアに身を包むサーファーで賑わっていた。県外ナンバーも多い。
一方、街中では「津波注意」と注意を喚起する張り紙や「ここの海抜は〇メートル」と書かれた表示板が目立つ。海岸から広い範囲で海抜の低い平地が広がるため、津波発生時の避難場所も記されている。避難場所は小学校などの公共施設であったり、海岸から離れた丘陵地側にたつ寺院であったりする。町役場は海岸から約2㎞内陸だが、隣接する中央公民館には「この付近は海抜3.4メートル」と示す表示板がある。巨大地震発生時には数メートルから10mの津波も想定されていて、役所の4階より上階に避難することになる。
一宮町は津波が身近だ。さかのぼると1677年10月の延宝房総沖地震(えんぽうぼうそうおきじしん)では、各地で多くの津波被害をもたらしたといわれる。全体像を示す記録はないが、延宝5年(1677年)から享保4年(1719年)までの一帯の出来事を記した『万覚書写(よろづおぼえがきうつし)』には、一帯で住宅52軒が押し流され、137人の男女と子供が死亡し、その後1か月でさらに14~15人が死亡したとする記述が残る。町内には元禄7年(1694年)に建立された供養塔も残る。消防団の施設の玄関前には、延宝地震が再来した場合に想定される津波の高さを示した表示板もある。
システムの導入を決めた背景には、2011年の東日本大震災の津波で避難広報活動中の職員2人、消防団員3人を失った仙台市の事例が教訓となっている側面がある。仙台市は防災担当者自身の安全確保を検討し、2022年10月にブルーイノベーションの津波波避難広報ドローンの運用を始めた。運用にあたり、仙台市はシステムの主な利点を、道路寸断時でも空から俯瞰できるなど災害時におけるドローンの有用性を活用できること、防災担当者の安全確保や広域確認の迅速性確保など東日本大震災からの教訓をいかせること、行政無線やメールなどとあわせた津波避難広報の手段を多重化できることの3点をあげた。一宮町も海岸が広域で、行政無線の設置に限界があるなど、課題が重なっていた。
一宮町は「万が一のときでも被害を最小限に食い止めるため、導入を検討した。仙台市の事例も聞いていて、実験もして有効と判断した。DXを推進しつつ、まかせきりにはせず対応の強化につなげて町を活性化したい」と話す。
ブルーイノベ―ションの発表内容は以下の通り。
~Jアラートと連動し、自動飛行でサーファーに避難誘導を実現。令和7年度より運用開始~
ブルーイノベーション株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:熊田 貴之、以下 ブルーイノベーション)は、千葉県一宮町において当社の「BEPポート|ドローン自動巡回システム」※1を活用した津波避難広報ドローンシステム(以下、本システム)の導入が決定したことをお知らせします。本システムは令和7年度より運用を開始し、一宮町の防災力を大幅に強化します。さらに、津波リスクが高い他地域への導入を拡大し、全国的な防災力向上に貢献することを目指します。
■ 新たな防災の形として
本システムはJアラート(全国瞬時警報システム)と連動しており、津波注意報以上が発令された際に、一宮町役場および東浪見小学校の屋上に設置されたドローンポートからスピーカーやカメラを搭載したドローンが自動的に発進。指定された海岸エリア(海岸線延長約7.5km)を飛行し、上空から自動音声でサーファーや海水浴客、周辺住民に対して避難指示を伝達します。これにより、迅速かつ効果的な避難指示・誘導対応が可能となり、地域の安全を強化します。
■ 導入の背景
一宮町では、大規模地震に備え、津波災害への防災対策を整備していますが、現状の防災無線だけでは、海岸線延長約7.5kmの沿岸地域に対して充分な避難指示・誘導を行うことが難しい状況です。また、一宮町は全国有数のサーフィンスポットであり、東京2020オリンピックの正式競技会場にも選ばれており、海上にいるサーファーへの迅速な情報伝達が求められています。
このような課題を解決すべく、一宮町は、当社が開発サポートした宮城県仙台市の津波避難広報ドローン事業※2の事例に着目し、本システムの導入を決定しました。この取り組みにより、一宮町はサーファーや海水浴客、周辺住民の安全をより一層強化する体制を整えます。
■ 用語説明
※1 BEPポート|ドローン自動巡回システム
施設内・建設現場・河川・ダムなどの点検や監視、警報などの広域巡回を、現場で人が介在することなく定期的に実施が可能。自動離着陸・充電が可能なドローンおよびドローンポートシステム。
https://www.blue-i.co.jp/solution/logistics/port_04.html
※2 仙台市津波避難広報ドローン事業
2022年10月より運用開始。Jアラートと連動しドローンが自動離着陸・飛行し、避難広報と状況撮影の全自動化を実現しています。