株式会社SkyDrive(豊田市<愛知県>)と、大阪市高速電気軌道株式会社(大阪メトロ、大阪市)は大阪エリアで空の移動革命を社会実装させるために共同で取り組む業務提携を結んだ。また大阪メトロがSkyDriveに出資した。大阪メトロによるSkyDriveへの出資は8月23日付。今回の出資の金額は非公表だが、SkyDriveの資金調達は2022年9月のシリーズCラウンド以降の3回で累計約80億円となり、またこれを含めた調達総額は350億円超となった。大阪メトロは2025年の大阪・関西万博でVポート(離発着場)の整備を担うことになっている。これをきっかけにエアモビリティ事業に本格的に参入する方針で、10月1日には社内に専門の部署を発足させる。万博閉幕後の2028年に大阪市内の大阪城東部の開発エリアに新設を計画しているメトロ新駅にVポートの設置を目指しており、大阪メトロの河井英明社長は新駅の開業にあわせ、Vポートを活用した空のサービスを開始することを目指すことに「願わくば、そうなれば望ましいと期待しています」と意欲を示した。
提携は8月26日に発表された。大阪市内の大阪メトロ本社では、大阪メトロの河井英明代表取締役社長、SkyDriveの福澤知浩代表取締役CEOらが会見した。
河井社長は「大阪全域での格段に便利で快適な移動サービスを構築するモビリティのベストミックスカンパニーに取り組んでおります。空飛ぶクルマが加えることで地下、地上、空が一体となったあらゆる移動サービスにこたえる交通インフラの確立を目指します」と空クル事業への参入の意義を説明。「当社がVポートの整備や運営を手掛けます。ストレスフリーな、多様なモビリティの結節点として、今後開発する中規模から大規模の乗り継ぎハブとして、必要に応じて(ビルの)屋上などにも設置して、都市機能のさらなる強化を図りたいと思っています」と述べた。
業務提携について、河井社長は「空飛ぶクルマの社会実装、都市内の輸送などでの両者の目指す姿が一致したことと、大阪メトロのVポート事業、SkyDriveの機体製造、運航事業の補完関係が極めて明確で、SkyDriveは私どもにとってベストパートナー。当社はこれから空飛ぶクルマ事業に本格的に参入していく所存ですが、現時点では知見が不足しており、事業かに必要な各種調査、人材交流、事業化後の協力体制までを盛り込んだ提携を結びました」と提携締結の経緯を説明。「(大阪城東部に計画している)『森之宮新駅』のVポート設置をはじめ、当社の空クル事業を加速させ、大阪における空飛ぶクルマの社会実装につなげたいと考えています」と意欲を示した。
大阪メトロからSkyDriveへの出資について、河井社長は「空飛ぶクルマ事業は先行事例もなく両者とも相当のリソース、エネルギーを投入する必要があり、出資することでSkyDriveの財務面をサポートし、強固なパートナーシップを築くことにしました」と説明。関連して「また空飛ぶクルマに関わる専属の組織をたちあげることを決めました」と10月1日付で新部署を設置する方針を示した。後世メンバーは今後調整するが、この時点では中期的に10人規模をめざし、社内の人材のほか、外部の有識者の登用も検討する見込みだ。
SkyDriveは、自社開発のエアモビリティを、自動車を日常的に使うように運転の延長線上で空を移動できる乗り物を作りたいという思いから創業時から「空飛ぶクルマ」と呼び、英語表記として「FLYING CAR」を使っている。現在開発中の機体は操縦士1人と同乗者2人までの3人乗りの12基のローターを搭載するバッテリー駆動のエアモビリティで、陸上を走る機能は持たないが、創業時の思いは自動車の延長線上で日常使いできる空の乗り物だった。現在も将来的な空と陸の両用機の開発を排除していない。
この日の会見では福澤CEOが自社開発中、製造中の「空飛ぶクルマ」の特徴や開発にかける思い、エアモビリティのある社会の利便性などを説明したあと、大阪メトロとの関係について言及した。その中で、大阪メトロの河井社長らがSkyDriveの施設を見学に訪れて熱心に見学したことや、意見交換でモビリティ革命について意気投合したことなどを紹介した。
福澤CEOは「大阪における多くの方々の日常的な移動の向上に起用したいと思っています。新しいものを生み出す観点からは、機体開発だけではなく、効率のいいオペレーション、利用者にとっての使いやすさも同時に満たす必要があります。両者一眼となってプロジェクトに取り組んで参ります」と抱負を述べた。
また福澤CEOは、記者会見の質疑応答に答える形で自社製品について触れ「(大阪関西万博では)デモフライトを実施すべく動いております。そのタイミングで(世界の)いろんな会社が飛行を目指しています。その一番進んでいる会社とあまり大きな差はないレベルだと思っております。ほかのプレイヤーと一緒に万博でデモフライトができればいいと思っています」と自信をのぞかせた。
また大阪メトロからの出資については、「とっても助かります。大変ありがたい」と感謝した。そのうえで「モノができたあとには、利用者が実際にどう使い、うまくワークするのかどうかが大事になります。ぼくらは飛ばすことについてはできますが、利用者にとって移動ニーズがあるのか、コストと価格が見合うのか、地下鉄やオンデマンドバスと組み合わせたときの結節点のありかたはこれでいいのか、といった需要側のことがわからない面があります。そうしたところをワンチームで勧めたいと考えています」と付け加えた。
空クル事業のサービスについて、大阪メトロの河井社長は「最初は遊覧飛行ぐらいかもしれません」などと展望。日本で最初の商用運航でありたいか問われた質問に対して、「できることでありましたらそういうことも目指したい」と応じた。
商用運航のスタートの時期について河井社長は「万博が終わって数年以内にはスタートしたいと思っています」と述べたあと、2028年に開設を目指す森之宮新駅との関連について追加で質問をされ、「新駅にVポートをつくれないか検討を進めていきたいと思っています。(森之宮では)新しい駅ビルもつくります。再開発も行いますのでそこにVポートをつくりたい。タイミングがあえば(2028年のサービス開始が)望ましいかな、と期待しているところです。私どもだけでできるわけではないですが、私どもとしてはそう願っています」と2028年のサービス開始に期待を寄せた。福澤CEOも「われわれも目指します」と同調した。
大阪メトロとSkyDriveは提携についてプレスリリースを発表している。SkyDriveのプレスリリースは以下の通り。
~併せて、Osaka MetroからSkyDriveに出資いただきました~
(※編集部注:大阪メトロもほぼ同じ内容のリリースを公表している。会社名の場所や上記の「出資いただきました」が「出資しました」になるなど文章上の係り結びが整理されている)
「空飛ぶクルマ」(※1)の開発およびドローン関連サービスを提供する株式会社SkyDrive(本社:愛知県豊田市、代表取締役CEO 福澤知浩、以下「SkyDrive」)は、空飛ぶクルマの社会実装を目指し、2025年日本国際博覧会(以下「大阪・関西万博」)後の大阪エリアでの空飛ぶクルマを用いた事業化に向けた検討を行うことを目的に、大阪市高速電気軌道株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長 河井英明、以下「Osaka Metro」)と業務提携契約を締結したことをお知らせします。併せて、Osaka MetroからSkyDriveに出資いただきました。
SkyDriveは「100年に一度のモビリティ革命を牽引する」をミッションに、「日常の移動に空を活用する」未来を実現するべく、「空飛ぶクルマ」の開発をしています。大阪・関西万博においては、「空飛ぶクルマ」の2地点間での運航事業者に選定されています(※2)。
Osaka Metroは、地下鉄およびニュートラムを9路線運営しており、1日の乗降客数は平均約240万人にのぼります。大阪を各段に便利で快適なまちにしていくことを目的に都市型MaaS構想「e METRO」を推進しており、パーソナルな移動を実現するための新たな選択肢として「空飛ぶクルマ」も視野に入れています。2024年2月には大阪市の「空飛ぶクルマ」会場外ポート事業者として選定され、バーティポートの整備を進めていきます。
両社は、Osaka Metroが「空飛ぶクルマ」会場外ポート事業者として選定されて以来、協議を進めてきました。議論を進める中で、Osaka Metroが都市型MaaS構想で目指す「あらゆる移動ニーズに応える交通インフラの確立」と、SkyDriveが実現を目指している、「空飛ぶクルマ」によって日常の移動に空を活用する世界に親和性があると考え、この度、業務提携契約の締結に至りました。
今回の提携により、両社はビジネスモデルの策定・精緻化、オペレーション内容の設定・確定など、「空飛ぶクルマ」の事業化に必要な検討を進めてまいります。
(以下にSkyDriveのシリーズCについてのリリースがあります)
~「空飛ぶクルマ」の機体開発および製造を加速~
「空飛ぶクルマ」の開発およびドローン関連サービスを提供する株式会社SkyDrive(本社:愛知県豊田市、代表取締役CEO福澤知浩、以下「当社」)は、新たに4社を引受先とした第三者割当増資により追加調達を完了しました。2022年9月に実施したシリーズCラウンド以降、3回に渡り追加調達した金額は累計約80億円となります。
<本ラウンドの引受先>(五十音順)
<これまでの追加調達のプレスリリース>
2024 年 1 月:https://skydrive2020.com/archives/41403
2023 年 4 月:https://skydrive2020.com/archives/21778
■ 資金調達の背景・目的
当社は、「100 年に一度のモビリティ革命を牽引する」をミッションに 2018 年に設立し、「日常の移動に空を活用する」未来を実現するべく、空飛ぶクルマの開発を行っています。社会実装する上で不可欠な認可の1つが型式証明です。当社の製品『SKYDRIVE(SD05型)』は、2021年に日本の国土交通省により、型式証明申請が受理され、2022年には審査適用基準の方針を合意しました。現在は、次の段階である適合性証明計画の合意に向け、開発と並行して証明活動を行っております。そして、証明計画合意後は、その計画に沿って地上試験、飛行試験等を行います。
今回の資金調達を通して、前述の地上試験、飛行試験等の環境や体制を強化し、開発・証明活動を加速していく所存です。加えて、量産に向けた品質保証部門等の増員・強化にも着手してまいります。
また、当社の『SKYDRIVE(SD-05型)』は、4カ国(日本、アメリカ、韓国、ベトナム)から、合計263機のプレオーダーをいただいております。お客様に納入後も機体のコンディションが管理できるよう、設計から製造そして納入後まで、一貫して機体データを管理するデジタルプラットフォームの構築を進めてまいります。
■株式会社SkyDrive代表取締役CEO福澤知浩コメント
2022年9月のシリーズCの資金調達時以降、多くのグローバルトップクラスの航空機エンジニアがチームに加わり、当社の機体開発は大きく前進する事が出来ました。また、株主でもあり強力なパートナーであるスズキ株式会社のご協力の元、2024年3月、スズキグループの静岡県磐田市の工場で『SKYDRIVE(SD-05型)』の製造を開始することが出来ました。
事業開発においても、スズキのサポートの元、インドでの市場開拓を進め、グジャラート州政府と戦略パートナーシップを締結しております。
アメリカにおいては、2023年11月にSkyDrive America, Inc.を設立、サウスカロライナ州やジョージア州等の各空港を起点とした航路検討が進んでおります。
この度、投資家の皆さま、事業会社の皆さまに、当社の進捗を評価していただき、強力なサポートをいただくことができました。感謝するとともに、皆様のご期待に応えるべく全力で開発と事業を進めてまいります。





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GMOインターネットグループ、「2025国際ロボット展」に初出展 ブルーイノベーション株式会社(東京)の熊田貴之社長がドローントリビューンのインタビューに応じ、「お客様」との向き合い方について語った。同社は複数のドローンやロボット、センサーなどを統合管理するデバイス統合プラットフォーム「Blue Earth Platform(BEP)」や、球体ドローン「ELIOS」シリーズ、ドローンポートなどの事業を展開していて、取引先、顧客との関係について模索を続けている。
ブルーイノベーションはBEP技術を軸に、「点検」、「ドローンポート」、「教育」、「ネクスト」の4つに分類したソリューションを提供している。11月14日に発表した2025年12月期第3四半期決算によると売上高は、7億7000万円で、1年前の第三四半期から4.3%増加した。売上高を構成する4ソリューションのうち「点検ソリューション」の構成比が46%と半分近くを占めた。
熊田貴之社長 「わたしたちはソリューションを提供している会社ですが、ソリューションはお客さまの声をしっかり聞くことなしに作れません。ドローンの機体を開発する、販売する、ということにだけ集中してしまうとプロダクトアウトになり、お客さまの要求に必ずしも合致せずにソリューションにならない、あるいは十分ではないということが起こりえます。ソリューションを提供するには、機体をお客さまの求める作業や動作ができるようアプリケーションが必要になるかもしれません。場合によってはドローンでない方がソリューションとしてふさわしいかもしれません。ソリューションはお客さまのご要望を伺うところから始まります。わたしたちはお客さまとメーカーとをつなぐ部分を担う面があるのかもしれません」
――持ち味はドローンやロボットなどの統合管理プラットフォーム「BEP」だ
熊田社長「はい。主な対象はドローンですが、お客さまとは無人搬送車の運用の話もしています。無人搬送車の複数制御。これにドローンが組み合わされることになれば、走る、飛ぶが統合されて、制御系に対するニーズにつながるのだと思います。それまでお客さまのご要望を伺いながら試行錯誤をしてまいります。プラットフォーマーになることは、その技術がみんなの共有財産になるということだと思っています」
――お話の随所に「お客さま」が登場し、強い意識を感じる
熊田社長「一般論ですが、ドローンに関連する産業が実証実験の段階から商売やビジネスなどの事業の段階に移りつつあることと関係しているかもしれません。実験は提供期間が実験の期間に限られます。それに対して商品を提供する事業段階になると、購入頂いた先での満足度の重要性が高まります。わたしたちも社内でカスタマーサポートの重要性に対する認識が日々高まっています」
――たとえば
熊田社長「ドローンポートは、購入頂いたお客さまのもとにずっと置いてあるわけです。そうするとお客さまからのご意見も寄せられます。問い合わせ、不安、クレーム、トラブル連絡など含めて、お客さまの声に向き合う期間が長くなります。わたしたちも十何年ドローン関連の事業に取り組んでおりますが、お客さまを担当する担当者が現場で親身に対応するフェーズから、組織として対応するフェーズに変わってまいりました。お客さまと向き合うサービスのフェーズに入ってきた、と言い換えてもいいかもしれません。ほかの会社ではすでにできているところもあるのだと思いますが、わたしたちは今年、社内にその体制をつくりました」
――トラブルを現場まかせにしない
熊田社長「はい。経営会議でも話をします。それはそのお客さまの中でわたしたちのサービスが浸透し始めている裏返しでもあると思っています。産業全体でもドローンがサービスのフェーズに入りつつあることを示しているかもしれません。いまではわれわれの提供しているプロダクトやサービスなどを通じて、LTV(Life Time Value)をしっかり提供できているか、本当の意味で長くお客さまに価値を提供するか、より強く意識するようになりました。LTVがKPIにもなりました」
――「お客さま」重視のサービスの会社だと
熊田社長「それを目指していますが、正直なところ、まだ全然です。ようやくそのフェーズに入ったという感じです。サービスがお客さまに浸透していくプロセスを体験している段階かもしれません。カスタマーサポートには大きなコストがかかる面もありまし、決して華やかなことばかりではないです。注目もされないし記事にもなりません。それを繰り返していくことが大事なのだろうと思っています。いま巨大企業になっているメーカーもそこからはじまって、やがて強いブランドになっています。わたしたちもそこを通っていかなければいけないと感じています。社内でもお客さまからの声に、現現も組織も対応する。会社としてちゃんと向き合おうという話をしています。営業、開発、保守などすべてです」
――ありがとうございました。

「Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2025 in 関西」は11月27日閉幕し、二日間の合計で3006人が会場を訪れた。事前に公開していた来場者目標の3200人には届かなかったが、期間中は来場者、出展者の笑顔がはじけた。機体メーカーなど主要プレイヤーの出展の上積みなどが、来場者拡大のカギとなりそうだ。
Japan Drone関西は一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の主催、株式会社コングレの共催で11月26、27日の2日間、JR大阪駅直結の「ナレッジキャピタルコングレコンベンションセンター」を会場に開催され、26日に1604人、27日に1402人が足を運んだ。講演、パネルディスカッションなどのステージには2日間で1131人が参加した。来場者の中には出展者ではないドローン事業の経営者、関係者も見られ、会場内で知人を見つけてはあいさつをかわす光景や談笑する様子が多くみられた。
関係者や愛好家の間で話題になったのは初出展、初公開プロダクトだ。360度カメラの開発で知られる中国のテクノロジー企業Insta360がパートナー企業と設立したドローンブランド「Antigravity」が、日本の展示会に初出展し、機体やコントローラー、ゴーグルを紹介した。日本での発売計画は未確定だが、来場者の多くが足を止め、製品の仕様や今後の計画を担当者にたずねていた。
台湾の電気機器メーカーWistronも、系列のドローンメーカーGEOSATとブースを共同出展し、GEOSATの機体3種が初公開された。イタリアのモニタリングソリューションを展開するTAKE OVERも老朽インフラの課題と向き合う日本市場の調査をかねて初出展し、来場者と意見交換をしていた。米Skydioが9月に発表したふたつの新型ドローンについて、日本市場向けの公式アナウンスが出ていない中、JapanDrone関西に出展したジャパン・インフラ・ウェイマークは、二機種のうちの屋内向けドローン「R10」について独自のポスターを張り出したほか、チラシも用意し来場者に配布するなど関心を集めた。
会場では多くのブースで来場者と出展者が意見交換をしたり、説明を求めたりしている様子がみられ、あちこちで笑顔がはじけていた。ジュンテクノサービスやMizubiyoriは会場内に設置されたプールで水中ドローンを実演し、来場者に囲まれていた。
自治体の取り組みなどを紹介するパネルも多く設置され、じっくりと観察する来場者がいた一方、説明員のいるところは限られ、見学者が途切れる時間帯もあった。自治体の取り組みについては、「主催者テーマ展示ゾーン」と「ドローン×地方創生:自治自治体PRゾーン」とに分かれて展示されていて、来場者の利便性に合致していたかどうかの検討が加えられる可能性がある。
Japan Drone関西はJUIDAが10年前から毎年、千葉・幕張メッセで開催しているドローンの大規模展示会「Japan Drone」の地方開催版で、大阪で開催するのは2度目。一度開催した地域で二度目を開催したのは今回が初めてだ。JUIDAの鈴木真二理事長は初日の講演の中で、「アンケートで大阪での開催を求める声が大きかったことが今回の開催につながりました」と話している。今後も来場者の声が開催方針に反映されることになりそうだ。








11月26日に開幕した「第2回 Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2025 in 関西」では初公開、初出展を含め、多くの取り組みが披露されている。イタリアの保守、モニタリングソリューションを提供するTake Over社はFranz Lami CEO自身が来日して初出展。株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク(東京)は、日本市場向けには公式発表がない米Skydioの屋内用ドローン「Skydio R10」について独自のポスターを作成し公開している。セントラル警備保障は不審ドローン対策ソリューションを提案している。
イタリアのTake Over社は日本の老朽インフラが抱える課題に対しイタリア仕込みのソリューションを提案している。同社はイタリア国内で橋梁、鉄道、高速道路、ダムなどの保守点検などで実績を積んでいる。イタリアは歴史的な建造物から近代的な道路まで公共構造物の時代背景が幅広く、その知見が老朽インフラを多く抱える日本での需要を見込む。
来日し会場のブースにも立ったFranz Lami CEOによると、イタリアのインフラは近代のコンクリートと中世からの石でできたものなどとがある。課題の緊急性が高いのは重量のあるトラックなどを支える道路などコンクリート製のインフラで、内部の亀裂などをいち早く察知し対処する必要がある。同社はその点検やモニタリングなどで実績を積んできた。
データ取得のためDJIを中心としたドローン、3Dレーザースキャナ、モバイルマッピングシステムなどを機材として使っている。JapanDroneのブースではFranz Lami CEO自身が来場者に実績、技術などをアピールし、情報収集、市場調査を進める。来場者には。同社のロゴの入ったキャップを渡している。最近東京に開設したオフィスの人員の増強にもつとめていて、リクルートにも積極的だ。
JIW、日本向けアナウンスがされていないSkydio「R10」のポスター独自作成
ジャパン・インフラ・ウェイマークは米SkydioのAIドローン「Skydio X10」や、専用の格納庫「Dock for X10」など点検ソリューションを展示しているが、ブースにはもうひとつ、日本市場向けには正式なアナウンスがない機体のポスターがある。屋内向けドローン「Skydio R10」だ。
9月17日と18日に米国で開催されたSkydioの毎年恒例の発表会「Skydio Ascend 2025」では、「Skydio R10」が屋内向けドローンとして発表された。もうひとつ。長距離飛行に対応した固定翼ドローンのプロトタイプ「Skydio F10」も発表されているが、いずれも日本市場向けには公式の見解はない。
屋内の点検ソリューションを展開するJIWはR10について独自にチラシを作成し、ブースではポスターとして来場者に見せている。それによると、R10は785gでX10の2140gから大幅な軽量化が図られる。暗所飛行用の補助ライトを備え、自律飛行し、ライブ映像を配信し、点検を支援するという。市場導入の時期は公式発表を待つ必要があるが、関係者や愛好家の間で関心を喚起しそうだ。
セントラル警備保障が不審ドローン対策展示
セントラル警備保障株式会社(東京)は、不審ドローン対応のためのソリューションなどを展示している。会場にはカウンタードローンシステムのほかいくつもの緊急対応機能を備えた移動指揮所車両「CSP Drone Base Car」を車両ごと持ちこみ、中に搭載している映像監視システムや、電源機能、車内で指揮がとれる機能などを公開している。屋根にはドローンポートを備え、ここから離陸させることもできる。
また、不審ドローンを検知するためのソリューション「DS_005D」も展示してある。ブースではその機能や上位モデルの説明を求めて来場者が足を止めていた。
レッドクリフ、ジュンテクノ、ROBOZが存在感
このほか、開場では大阪・関西万博の協会企画催事プラチナパートナーとして連日ドローンショーを繰り広げた株式会社レッドクリフ(東京)が前面を赤、黒でペイントしたブースで来場者にドローンショーの特徴や効果を説明していた。また屋内ドローンショーを手がける株式会社ROBOZ(名古屋市)は、ドローンショーに使う機体の特徴や通信、飛行の安定性などについて石田宏樹代表取締役が率先して説明していた。会場の隣室でデモンストレーションも行い、手軽に運用できることを実践した。
ジュンテクノサービス(埼玉県川越市)も水中ドローンを中心に展示。ダム堤体、取水口、吐口撮影からポンプ場撮影、流域下水道点検など多くの現場での点検実績などのノウハウをブースで展示しているほか、会場内のプールでデモンストレーションも実施し、来場者がその様子をみるために取り囲む様子もみられた。











アメリカのドローンメーカー、Inspired Flight Technologies社の産業用ドローン「IF800 TOMCAT」「IF1200」が、「第2回 Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2025 in 関西」で公開されている。展示したのは株式会社栄光エンジニアリング(茨城県つくば市)だ。リスクを回避するオペレーターへの提案として出展した。いずれのモデルも日本のドローンの展示会での出展は初めてだ。
栄光エンジニアリングが展示しているのはアメリカInspired Flight Technologies社のクワッドコプター「IF800 TOMCAT」とヘキサコプター「IF1200」だ。
IF800 TOMCATはバッテリーなし重量が4.2㎏、バッテリー搭載時で8.5㎏で、最大54分飛行する。インフラ点検、LiDAR調査などの用途を想定している。また「IF1200」は最大43分飛行、最大積載量8.6㎏だ。栄光エンジニアリングの大島健一社長は、取引先からよりリスクの低い機体を求める声を聞き、Inspired Flight社にゆきあたった。「IF800 TOMCAT」「IF1200」とも米国防省のサイバーセキュリティやサプライチェーンの健全性基準を見た居た場合に認定を与えるプログラム「Blue UAS」に認定されている。栄光は現在、Inspired Flight社の日本国内代理店だ。
ブースでは大島社長らが機体の特徴などを来場者に説明していた。ブースではそのほかExyn Technologies社の自律飛行型3Dマッピングシステム「Nexys」「Nexys Pro」、Teledyne Optech社の軽量LiDARシステム「EchoONE」も展示している。




台湾の電子機器大手ウィストロン(Wistron)は、同社系のドローンメーカー、GEOSAT Aerospace & Technology Inc.(経緯航太科技)と共同でブースを構えた。GEOSATのドローンが日本の展示会で一般公開されるのは初めてだ。
初公開されたGEOSATのドローンは3機で、日本での展開は今回の反応をふまえるなどして今後検討するという。3機はいずれもスタイリッシュで、「スタイルは重視して作った」という。
ブースにはウィストロンでドローン部門を統括するAnn Liu氏も訪れ、来場者の反応などを確認していた。
展示会で製品を見る機会はそう多くなく、ブースを訪れた来場者の中にはこのブースに立ち寄ることを来場理由にあげる人もいた。
ブースの壁面にかけられていた薄型ディスプレイはウィストロンの製品で、その薄さに来場者が指をさしている様子もみられた。ディスプレイは投影する映像の切り替えや明るさの調整は遠隔で可能だという。




中国Insta360系のANTIGRAVITYが「第2回 Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2025 in 関西」に出展している。同社は8月に8Kで360度の映像が撮影できるドローン「Antigravity A1」の発表をし、話題を集めた。日本の展示会に出展するのは今回が初めてで、ブースのAntigravity A1にも多くの来場者が見入っている。
Antigravity 社は日本の展示会の出展は今回が初めてだ。出入口に近い場所に構えたブースにはひっきりなしに来場者が訪れた。8K360度全景ドローン「Antigravity A1」が今年8月に初の製品として発表され、ドローン愛好家や関係者に間で一気に話題が広がった。
全方位を捉える「デュアルレンズ設計」でドローン周囲のすべてを360度で記録し、ライブ映像や最終映像からはドローン本体を消すことができる。操作はレバー状のコントローラーで直感的な操作が特徴だ。
ブースでは機体重量がバッテリー含めて249gであることや、2026年1月に世界同時発売を目指していることなどが説明されていた。ただし日本での発売は、諸手続きの進み具合にもよるため未定で、今後正式に公表される見込みだ。
操作はゴーグルを装着して行うため、いわゆる目視外飛行の扱いとなる。価格は今後決まるが、現時点では標準型のセットで30万円台、最も基本的なセットで20万円台を想定しているという。
JapanDrone関西ではデモフライトを実施。開催2日目も行う予定だ。
