• 2025.4.1

    【大阪・関西万博】「大阪港バーティポート」完成 Osaka Metro、大阪市が現地で竣工式

    account_circle村山 繁

    大阪・関西万博でAAMの「会場外ポート事業者」を担う大阪市高速電気軌道株式会社(Osaka Metro=大阪メトロ、大阪市)は、大阪・中央突堤(大阪市港区海岸通)に「大阪港バーティポート」を完成させ、3月28日、土地を所有する大阪市と共同で竣工セレモニーを開催した。テープカットを行った格納庫には、日本のAAM開発事業者、株式会社SkyDrive(スカイドライブ、豊田市<愛知県>)が万博でデモフライトに運用する機体「SKYDRIVE」(SD-05)の実物大モックアップを展示した。

    離着陸場所にVマーク、万博ではEXPO Vertiportとの間をSkyDrive機がデモ飛行

    大阪港バーティポートは、Osaka Metro中央線「大阪港」駅から徒歩10分の中央突堤に整備された。入口には「大阪港バーティポート」の案内板が掲げられていて、足を踏み入れると路面には英字表記で「OSAKAKO Vertiport」と白文字で描かれていることがわかる。上空からの視認を助けることになる。

    敷地は約12,000㎡で、AAMが離着陸する場所を示す「V」マークが施されたポートや、利用者が認証を受けたり待機したりする幅20m、奥行き5mの旅客ターミナルに加え、幅25m、奥行き20m、天井高が最大で9mの格納庫、消火設備、風向指示器、オンデマンドバスやシェアサイクルのためのモビリティポート、駐車場などが備わる。充電ケーブルが埋設されている場所には、近く充電設備が整備される。

    万博期間中はデモフライトをするSkyDrive専用だ。ただし大阪港バーティポートは2025年10月に万博が閉幕した後も2026年度末までは活用できることになっているため、SkyDrive以外の機体の利用も想定している。万博期間に離着陸するSkyDriveの機体「SKYDRIVE」(SD-05型)は全長11.5m、幅11.3mで、最大離陸重量が1.4トンだが、大阪港バーティポートは15m×15m、5トンまでの機体の運用が可能だ。

     大阪港バーティポートのある大阪市港区は、Osaka Metroが今年(2025年)1月27日から万博終了までの期間限定で、オンデマンドバスを運航させている。Osaka Metroは将来的に、オンデマンドバスとバーティポートの連結を想定していて、オンデマンドバスでポートまで来た利用者が、旅客ターミナルに横付けされたバスを降り、顔認証でチェックインをすませ、AAMに乗る運用を目指している。

    大阪港バーティポート入口
    離着陸場所に「V」マーク
    ケーブルが伸びている場所は今後充電設備に整備される
    旅客ターミナル
    格納庫

    Osaka Metro河井社長「大阪で日本初の商業運航目指す」 大阪市副市長「会場外でも見られる場所」

    セレモニーではOsaka Metroの河井英明代表取締役社長が「私たちは大阪の交通を格段に進化させていきたいと考えています。交通と社会サービスをかけあわせて大阪をより便利で快適な都市にしていきたいと思っています。大阪港バーティポートを使い、SkyDriveといっしょに二地点間飛行を実現して技術開発を促進し、さらに多くの人に見てもらうことで社会受容性を進展させて、地下、地上に加え将来は空の移動サービスも発展させていきたいと思っております。大阪において、日本初の商業運航を目指して参りたいと思います」と改めて決意を表明した。

     大阪市の高橋徹副市長も「大阪港バーティポートは万博会場とつながる未来社会の実験場の一部になるとともに、万博会場外でも市民のみなさまに未来社会を体験頂き、これまでにない新しい移動手段を目の前で御覧頂ける場所となります。万博終了後も実証実験フィールドとして引き続き活用することを考えております」と大阪市として空の移動革命をけん引する意欲と決意を表明した。

     また来賓として参列したSkyDriveの福澤知浩代表取締役CEOは「大阪・関西万博、そしてその後の商用飛行を見据えたポートがこの大阪の地に誕生したことを大変うれしく思っています」と歓迎した。

     竣工セレミニーではこのほか、内閣官房内閣審議官で国際博覧会協会事務局次長の西海(にしうみ)重和氏、公益社団法人2025年国際博覧会協会企画局長河本(かわもと)健一氏があいさつをした。

      またあいさつ後には、国交省大阪航空局長の石井靖男氏や大阪・関西万博公式キャラクター、ミャクミャクをまじえてテープカットで竣工を祝った。

     Osaka MetroとSkyDriveが連名で公表したプレスリリースは以下の通り

    Osaka Metro が整備した空飛ぶクルマ専用「大阪港バーティポート」が完成 Osaka Metro と大阪市が竣工セレモニーを開催

    ~2025 年大阪・関西万博にて SkyDrive のデモフライトの離着陸場に~

    (※編集部注:脚注は省略)

    大阪市高速電気軌道株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長 河井英明、以下「Osaka Metro」)は、2025 年大阪・関西万博で株式会社 SkyDrive(本社:愛知県豊田市、代表取締役 CEO 福澤知浩、以下「SkyDrive」)が開発した「空飛ぶクルマ」のデモフライト時に使用する夢洲の万博会場外の離着陸場「大阪港バーティポート」が、2025 年 3 月 28 日(金)に完成し、大阪市と共催で竣工セレモニーを開催したことをお知らせします。

    ■完成までの経緯

    Osaka Metro は、地下鉄およびニュートラムを 9 路線運営しており、大阪を各段に便利で快適なまちにしていくことを目的に、都市型 MaaS 構想「e METRO」を推進しています。「e METRO」では、お客さまの多種多様なニーズに対応するため、さまざまなモビリティを一元的に提供することを目指しており、空飛ぶクルマを新たな空の移動手段と位置付けています。SkyDrive の空飛ぶクルマは、短距離~中距離をスピーディに移動できる新たな空の交通手段であり、これまでの陸の移動と組み合わせることで新たなニーズに対応できる点に加え、レジャー性が高い点において、既存のモビリティ(地下鉄、バス、オンデマンドバスなど)と異なる特性を持っており、お客さまに提供するモビリティのベストミックス実現のために有望な交通手段であると考え、2024年8月に両社で業務提携契約を締結しました。

    2025年大阪・関西万博を見据え、2024年1月に大阪市が実施した「『空飛ぶクルマ』会場外ポート事業者」の公募にOsaka Metroが選定され、大阪市港区(中央突堤)でバーティポート(空飛ぶクルマの離着陸場)の整備を進めてきました。2025 年大阪・関西万博では、SkyDrive の空飛ぶクルマ「SKYDRIVE(SkyDrive 式 SD-05 型)」が万博会場内ポート「EXPO Vertiport」と「大阪港バーティポート」の二地点間運航等を予定しています。

    「大阪港バーティポート」の名称は、最寄り駅となる Osaka Metro 中央線「大阪港」の駅名と、空飛ぶクルマの離着陸場の呼称(バーティポート)を掛け合わせたものです。2025 年大阪・関西万博をきっかけに、バーティポートという名称が広がることに期待を込めています。

    ■施設概要

    バーティポートの施設には、空飛ぶクルマの整備や補給、待機などを行う格納庫、空飛ぶクルマの離着陸面、顔認証チェックインからモックアップへの搭乗までを体験できる旅客施設がある他、オンデマンドバスやシェアサイクルなどのモビリティとの結節点となる機能も備えています。

    ■3 月 28 日に竣工セレモニーを開催

    「大阪港バーティポート」の完成を記念し、2025年3月28 日(金)に竣工セレモニーを開催しました。登壇した皆さまからは、バーティポートへの期待等が語られました。また、2025年大阪・関西万博でデモフライトを行う空飛ぶクルマ「SKYDRIVE(SkyDrive式SD-05 型)」のフルスケールモックアップを初公開し、報道陣の皆さまに搭乗体験いただきました。

    あいさつするOsaka Metroの河井英明代表取締役社長
    あいさつするSkyDriveの福澤知浩代表取締役CEO

    ■「大阪港バーティポート」の活用方法

    2025 年大阪・関西万博で SkyDrive の空飛ぶクルマがデモフライト時に使用する他、一般のお客さまにもご来場いただけるよう 2025 年 4 月中旬以降からイベントを実施します。空飛ぶクルマ開発の歴史パネルの展示等で空飛ぶクルマの特徴を紹介する他、顔認証チェックイン、待合室待機、空飛ぶクルマのモックアップへの搭乗といった一連の流れをシームレスに体験できるイベントです。2025 年 4 月中旬にイベント公式ホームページからご予約が可能となります。さらには、バーティポート近隣地域で開催されるイベントに合わせて、気軽にお楽しみいただける空飛ぶクルマに関するイベントの実施も予定しています。

    イベント公式ホームページ

    AUTHER

    村山 繁
    DroneTribune代表兼編集長。2016年8月に産経新聞社が運営するDroneTimesの副編集長を務め、取材、執筆、編集のほか、イベントの企画、講演、司会、オーガナイザーなどを手掛ける。産経新聞がDroneTimesを休止した2019年4月末の翌日である2019年5月1日(「令和」の初日)にドローン専門の新たな情報配信サイトDroneTribuneを創刊し代表兼編集長に就任した。現在、媒体運営、取材、執筆、編集を手掛けながら、企画提案、活字コミュニケーションコンサルティングなども請け負う。慶應義塾大学SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム研究所員、あおもりドローン利活用推進会議顧問など兼務。元産経新聞社副編集長。青森県弘前市生まれ、埼玉県育ち。
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