株式会社SkyDrive(東京)の貨物輸送ドローンが10月22日、大阪港の中央突堤で海上を自動飛行した。大阪湾に接した中央突堤で離陸した機体は、上空で方向を変え大阪湾の洋上を数分間、安定した飛行を披露した。飛行は空飛ぶクルマの社会受容性を高める方法を探るための実証実験で、実験の様子は、抽選で選ばれた地域在住の市民、地元に拠点を構える企業関係者らを含め、約150人が見学した。着陸後には見学者が間近で機体を眺めたり、関係者に積極的に質問をしたりしており関心の高まりをうかがわせた。また会場に近いレジャー施設「天保山マーケットプレース」(大阪市)には、空飛ぶクルマ「SD-03」のモデル機が展示され、来場者が写真に収めるなど人垣を作った。実検は23日も行われ、収集したデータを分析する。


実験は株式会社SkyDrive(東京)、株式会社大林組(東京)、関西電力株式会社(大阪市)、近鉄グループホールディングス株式会社(大阪市)、東京海上日動火災保険株式会社(東京)が実施した。5社は大阪での「空飛ぶクルマのエアタクシー事業」の実装に向けて、「空飛ぶクルマによるエアタクシー事業性調査」(以下、本事業)を実施することで連携している。連携事業は大阪府の補助金事業に採択されている。
実験では、大阪湾に接する中央突堤のオープンスペースで行われた。実検に使われた物流ドローンはすでに各地で運搬実験に使われている実績を持つ。この日は会場に準備された離発着場から10メートルほど離れた場所に、制御用パソコンなどを設置するコントロールステーションが設置された。22日午前の飛行時にはほぼ晴天なうえ、地上での風速が1~2メートルと穏やかだった。自動で離陸した機体は、対地で20メートル上空まで上昇し、方向を変え沖合50メートルの湾内の洋上に進み、移動し続けたのち、離発着点に戻った。約5分間のフライトだった。飛行中には対岸にそびえるガントリークレーンを背景に飛ぶシーンも見られ、集まった実験関係者やメディア関係者がカメラを構えた。
着陸後には、SkyDriveの福澤知浩CEOが関係者を機体の間近に招き、機体や、「空飛ぶクルマ」の開発状況、課題、対応策などについて説明したり、質問に回答したりする時間が設けられ、活発な質疑応答が行われた。この中で「ドローンを知ってはいたが間近に見て関心が高まった」「飛ぶのを見たが人が乗る様子をまだ想像できない」などの意見が寄せられた。
実験は、技術実証と一般市民の感想などフィードバックの収集が目的で行われた。特に市民の感想を収集するため、地元在住者から見学者を募るなどの準備を進めた。公募から選ばれた市民は、見学後にアンケートに回答する。地域住民は22日、23日の2日間で100人となり、集まったアンケートは社会受容性の向上に役立てる。
実験は、大阪府、大阪市、大阪商工会議所で構成する「実証事業推進チーム大阪」が、実験環境整備の支援を受けて行われた。チーム大阪は、実験会場の確保、海上管理者との調整、資金支援などを通じて大阪で行われる実験を支援している。この日の実験も会場調整などで支援しており、チーム大阪の一員として会場を訪れていた大阪商工会議所の吉村保範産業部長は「実証事業都市大阪をつくりあたげたい」と話した。吉村氏によると、実験は多くの人々にとって未知なため警戒され、会場確保が難航することもあるという。それでも「大阪・関西万博の開催決定をきっかけにドローンへの認知度は高まりつつある。実験会場の確保が以前ほど難しくないことも増えたが、それでも管理者にはていねいに実験の趣旨を説明し、理解を求める作業をしたい」と話している。






また飛行実験とは別に、中央突堤から徒歩10分の場所にあるレジャー施設「天保山マーケットプレース」には、空飛ぶクルマ「SD-03」のモデル機が展示された。飛行実験を主催した5社の関係者は、午前の飛行実験後に展示会場を訪れ、メディアの取材に応じた。展示された機体は注目度が高く、多くの来場者が写真に収めていた。
5人の主な発言は以下の通り。
SkyDriveの福澤知浩CEO「2025年の万博で空飛ぶクルマを飛ばすことを目指して開発を進めていますが、飛ばす場所や、エリア構築、バッテリーなど広範な課題感を持っています。今回も技術実証と人々が抱く心象を対象に実験をしました。これをさらに実現に生かしたいと思っています」
東京海上日動火災保険航空保険部長・宇井秀夫氏「市民に実験前、実験後のアンケートを実施している。分析して受容性を高めるための手立てを研究、検討していきます」
大林組技術本部未来技術創造部長・久保田孝幸氏「空飛ぶクルマは社会生活を変えると考えています。そうなったときには建物も、インフラも変わる必要があると思います。では、どう変わればいいのか。空飛ぶクルマ時代のインフラのありかたとは何か。それを考えたいと思っています。ポートが身近にできたときに人々がそれをどう感じるか、といったことについても調べたいと考えています」
関西電力株式会社理事ソリューション本部副本部長・奥戸義昌氏「関電は中期経営計画の中でゼロカーボンへの挑戦を打ち出しています。発電だけでなく、モビリティ分野でも貢献できないかと考えていて、電気自動車、電動推進船に加え空のモビリティでも、電気のノウハウで貢献したい。今回の実験データも、開発中のバッテリーの消費や、最適な充電方法などの分析に生かしたいと思っています」
近鉄グループホールディングス株式会社事業戦略部長・濵松勇治氏「空飛ぶクルマの機体がたくさんできるには、離発着場となるポートがたくさんできていないと、身近な乗り物にならないだろうという問題意識を持っています。そこで交通事業者、不動産事業者としてポートのありかたを模索し、空飛ぶクルマ社会の実現に貢献したいと考えています。実検会場であるここ、天保山から対岸の万博会場である夢洲まで空飛ぶクルマをぜひ飛ばしてみたい。より身近、より便利な乗り物として生活を豊かにする社会を実現させたいと考えています」
なお実験後、DroneTribuneの取材に対し、SkyDriveの福澤CEOは「感覚的には空飛ぶクルマの認知度はまだまだ低いです。機体を展示すると来場者の反応は初めてみた、初めて知った、という方が9割、といた感じです。空飛ぶクルマを実現させるためには、人々の理解が欠かせません。機体開発など実現おためにしなければいけないことはいろいろありますが、理解をして頂くために何をしたらよいのかについても、探っていきたいと思っています」と話した。



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所信表明演説でドローン、AIに言及 「世界で最もAIを活用しやすい国に」
えりんぬが中学生にドローン授業 「かわいいっ」「おおっ」連発の盛況
VTOLレース「VTOL-1」 ハウステンボスで11月29日に開催へ
仙台市が11月5日、ドローン使い津波避難訓練 ブルーのBEP技術活用 高市早苗首相が10月24日の衆参両院本会議で行った就任後初の所信表明で「ドローン」「AI」などの言葉を盛り込んだことで、関係産業が市場活性化への期待を寄せている。ドローンについては国土強靭化の関連で言及し、AIについては3カ所で使った。なお東京証券市場はAI関連銘柄を中心に買いが集まっている。
高市首相は10月21日の首班指名選挙で第104代内閣総理大臣に選出され、同日夜、皇居での首相の親任式と閣僚の認証官任命式を経て、高市内閣(自民党と日本維新の会による連立政権)が正式に発足した。
10月24日の所信表明演説では、ドローンについて国土強靱化の関連で言及した。具体的には「デジタル技術や衛星情報、電磁波、ドローンなども活用しながら、防災インフラ、老朽化したインフラの整備・保全を始め、ハード・ソフトの両面で、事前防災・予防保全を徹底します」と述べ、防災・インフラ保全の分野でドローン活用を示した。
「空飛ぶクルマ」や「AAM」(Advanced Air Mobility)、「eVTOL」(電動垂直離着陸機)などの言葉やそれらを含むエアモビリティの活用などへの直接の言及はなかったが、演説内に「先端技術」「航空・宇宙」などの言葉を使い、今後の政策に反映される可能性を織り込んだ。
一方、AIについては3カ所で言及した。成長戦略に関連して「AI・半導体、造船、量子、バイオ、航空・宇宙、サイバーセキュリティ等の戦略分野に対して、大胆な投資促進、国際展開支援、人材育成、スタートアップ振興、研究開発、産学連携、国際標準化といった多角的な観点からの総合支援策を講ずることで、官民の積極投資を引き出します」と述べた。
またデジタル化、データ利活用に関連しては、「『世界で最もAIを開発・活用しやすい国』を目指して、データ連携等を通じ、AIを始めとする新しいデジタル技術の研究開発及び産業化を加速させます。加えて、コンテンツ産業を含めたデジタル関連産業の海外展開を支援します」と踏み込んだ。
さらに農林水産業について、「世界トップレベルの植物工場、陸上養殖、衛星情報、AI解析、センサーなどの先端技術も活用し、輸出を促進し、稼げる農林水産業を創り出します」と技術革新を通じて伝統的産業を再構築する方針を明確にした。ドローンを活用したリモートセンシングなどもここに入る可能性が高く、今後、ドローン、AIに関連する政策はさらに関心を集めるとみられる。
なお東京証券市場は11月4日現在、日経平均株価が一時、5万2600円台で取引された。3月4日に4万円を突破してから、わずか7カ月後の10月27日に25%増の5万円に乗せており、AI関連銘柄が中心的な役割を果たしている。ドローン関連銘柄はこの間、日経平均の値動きと比べるとおとなしく、今後の政策や次年度予算編成などが左右する可能性がある。

ドローンを学ぶ授業が東京都港区の中学校で行われ、2コマ(100分)の授業中、教室にはずっと笑顔があふれ歓声が上がっていた。授業は教室で始まりドローンの基礎が紹介された後、体育館に移り生徒たちがトイドローンを飛ばした。講師として登壇したドローンパイロット、えりんぬは終始楽しそうにレクチャーをしながら生徒たちと交流を深めた。今後、ドローンを組み立てる授業も予定されている。
授業は東京都港区が今年度開設した港区立御成門中学校「Minato School」(学びの多様化学校)で、社会や生き方を学ぶ「キャリア科」の一環として行われた。「キャリア科」は地元企業と連携した授業で、「Minato School」の重要なカリキュラムだ。
講師には、ドローンレースやミュージックビデオ撮影などで実績を持つドローンパイロット、えりんぬが登壇したほか、港区にオフィスを構えるドローン事業者、株式会社セキドが今年発売された新型機、DJI Mavic 4 Pro、DJI Inspire 3などの最先端の機体や機材を持ちこみ、操縦の助言も含めてえりんぬをサポートした。
教室の授業では、本題に入る前からドローンへの興味で活気づいていた。えりんぬが登壇すると生徒たちから「かわいい♪」「ずっとこの先生に教わりたい♪」の声が上がった。
えりんぬはまず、自分自身の大学時代を振り返り、ドローンとの出合いや、大学を一時離れてドローンを極めたこと、現在取り組んでいることなどを具体例をまじえて紹介した。事例を紹介したさいに生徒たちにも見覚え、聞き覚えのある事例が出ると、「へえ」「すごーい」など歓声があがる場面もあった。
続いてえりんぬがドローンの種類やそれらの機体が使われている現場、ドローンの構造や飛ぶ仕組み、パーツなどを説明すると、生徒たちは興味津々で身を乗り出した。
ひと通りの説明を終えると、体育館に移動して、トイドローンの操縦体験に入った。生徒たちが3班に分かれ、電源の入れ方、バインドの作法、スティックの使い方などの説明を受けると、生徒たちはさっそくドローン操作に取り組んだ。機体が浮き上がると「おお!」と歓声があがり、生徒たちは笑顔に真剣な眼差しを乗せた表情で操縦に没頭。見守る教職員や関係者の足の下をくぐらせてみたり、フラフープの輪の中を通してみたりと、えりんぬから出される課題に挑戦し、その試行錯誤を楽しんだ。
体験の後半には、被写体を追尾する機能のついたドローンを使って、ドローンが追尾対象にした生徒が誰かを当てるミニゲームで盛り上がった。スタートの掛け声で生徒が体育館の中を走り回ると、ドローンが追尾する生徒を追いかけはじめる。すると生徒たちは「え~、自分かな」「いやいや、自分じゃなさろう」「あ、〇〇だ」とロックオン対象生徒を推測する声があがった。その後、えりんぬが正解を発表すると歓声があがった。最後にDJI Inspire 3を使って体育館内で参加者全員の記念撮影を行った。
授業を終えたえりんぬは、「ドローンで撮影する方法やドローンのおもしろいところ、いろいろな仕事があることなどをできるだけわかりやすく伝えられるように話をさせて頂きました。生徒のみなさんも親しく接してくれましたし、話もよく聞いてくれました。この授業をきっかけに、ドローンでできる仕事は他にどんなものがあるのか、などと想像したり考えたりしてもらえるとうれしいです」と話した。
キャリア科のカリキュラムの運営を担う株式会社まちづくりホールディングス(東京)代表取締役の鏑木達哉さんは「体験型の授業を取り入れていて、授業にはわれわれが開発した『有機的思考』と呼ぶメソッドを活かしています。このメソッドは、事象を点と点でつなぎ、全体像を導き出し全体を俯瞰しながら自分で意思決定していく、という3つが柱で構成されています。今回のドローン操縦体験では、生徒が自分でドローン操縦することを通して自分が将来ドローン関連の仕事をするとしたらどういうことをしたいのか。あるいはできるのか。そういったことを考えることに力点を置きました。えりんぬやセキド社のご協力により、リアルなドローン操縦体験を通して思考力を養ういい授業になったと思います」と話す。
ドローンの第2回授業も近く行われる予定で、生徒たちはドローンの組み立てに挑戦する。えりんぬは航空力学、電気回路、航空制御プログラム、機体構造などさまざまな体験を盛り込む予定だ。




固定翼型VTOL(垂直離着陸)のドローンレース「VTOL-1」が11月29日、佐世保市(長崎県)の大規模テーマパーク、ハウステンボス南側の特設エリアで行われる。VTOLを使った大掛かりなレースは日本初の開催となる。レースは、ドローンショー、ドローン展示など複数の企画を組み合わせた「長崎空創祭2025 ~海から空へつなぐ、長崎の未来~」の一環として行われる。イベントそのものへの入場は無料だ。
長崎空創祭2025を開催するのは、一般社団法人日本ドローンスポーツ連盟(山梨県)とVISIONOID株式会社(東京都港区)が構成する「長崎空創祭実行委員会」。「長崎空創祭2025」はVTOLレースを中心に「空の地域創生」をテーマとしたプロジェクトだ。教育コンテンツ、エンターテインメントを盛り込み、「ドローン×教育×エンターテインメントで地域創生に挑戦」を掲げる。
VTOLレースでは、大型固定翼VTOLによる高速周回レースを実施する。コースは海上に設け、時速100km以上の高速レースをFPV視点でリアルタイム中継を行い、実況で盛り上げる。今後、出場チームやコースなどが順次公開される見通しだ。
レースのほか、スペシャルドローンショー、展示や体験ブースなどのドローン産業展示会、地元飲食店が集まる飲食ブースとインフルエンサーによるライブ配信などの企画を盛り込み、地域の魅力を発信することに力点を置く。
長崎空創祭2025の後援には長崎県、佐世保市、九州旅客鉄道株式会社(JR九州)が名を連ね、ハウステンボス株式会社などが特別協賛する。
長崎空創祭実行委員会は「長崎空創祭は地域の取り組みと技術資産を土台に、観光・教育・産業をつなぐ新しい地方創生モデルを構築する試みです。かつて海から世界へ開かれた長崎が今度は“空から未来へ”開く。その象徴的な第一歩として固定翼VTOLドローンレースや教育体験、夜空のショーを通じて、『空で地域を再びつなぎなおす』未来像を発信します」としている。
■イベント名:長崎空創祭2025 ~海から空へつなぐ、長崎の未来~
■日程:2025年11月29日(土) 10:00開場~20:00 終了予定
■会場: ハウステンボス 南側特設エリア(長崎県佐世保市)
■来場者数(想定):約1万人(県内外・インバウンド含む)
■入場料:無料 (ハウステンボスへ入場する際は入場料が必要)

仙台市は11月5日午前、津波避難広報訓練を行う。訓練では仙台市の津波情報伝達システム(屋外拡声装置)、緊急速報メール、広報車両に加え、ブルーイノベーション株式会社(東京)の「BEPポート|防災システム」を活用した仙台市津波避難広報ドローンなどを使い避難を呼びかける。訓電時間に指定エリアにいる市民や勤務者は、一時避難するなどして万が一に備え、避難行動の定着を図る。
ブルーイノベーションの「BEPポート|防災システム」は、仙台市が2022年、一宮町(千葉県)が今年(2025年)5月、沿岸防災を目的に導入し、運用を始めた。津波警報や津波注意報が出されると自動でドローンが離陸し、沿岸地域にアラート音を流し周辺にいる人々に避難を呼びかけるシステムで、職員が津波に遭遇する危険のある沿岸部に近寄ることなく避難を呼び掛けられることを目指している。今年7月30日午前8時24分のカムチャッカ半島付近で発生した地震に伴う気象庁の津波注意報で、仙台市、一宮町それぞれのドローンが出動し沿岸上空で避難を呼びかけるなど役割を果たした。11月の訓練ではこのシステムを訓練として活用する。
11月の訓練は仙台市が主催し、宮城県警察本部、仙台東警察署、若林警察署、宮城海上保安部、公益財団法人日本道路交通情報センター、東日本高速道路株式会社、民間協定津波避難施設などが協力機関として参画する。
訓練は「東北地方太平洋沖を震源とする地震が発生し、地震発生の3分後に宮城県に大津波警報が発表された。そのため、津波避難エリア1・2内(編集部注:仙台市が指定したエリア)の居住者等は、津波の到達予定時刻までに、津波避難エリアより内陸側への避難、または津波避難施設・場所への緊急一時避難が必要となった」と想定して行われる。
当日の午前9時48分から、津波情報伝達システム(屋外拡声装置)の避難広報を3階行い、緊急速報メールを午前9時48分に送り、消防車両・区広報車による避難広報は午前9時48分から10時30分にかけて行う。津波避難広報ドローンによる避難広報は午前10時00分から10時30分ごろに行われる計画だ。また巡視艇(宮城海上保安部)の避難広報も午前9時48分から10時30分ごろに行われる。
ドローンは初動対応として沿岸部で空から避難広報を行い、同じ時刻に出動する消防車両は内陸部をめぐるなど活動するエリアを分担するという。
モビリティ産業のテクノロジー見本市、JAPAN MOBILITY SHOW2025(ジャパンモビリティショー2025)は10月31日に東京ビッグサイトで一般公開が始まる。TOYOTA、HONDAなど自動車大手をはじめ、モビリティ事業者や関連企業などが最新の開発情報や技術、デザインを持ち寄る。大阪・関西万博で話題をさらったSkyDriveが搭乗体験を提供するほか、KDDIは全国に1000機配備する計画の機体と格納庫を展示する。2年前の開催時にAAM(いわゆる空飛ぶクルマ)を展示したHONDAはロケットを展示。前回、サプライズでAAMを展示したSUBARUは今回はAAMの展示は見送る。
Japan Mobility Show 2025は日本自動車工業会が主催するモビリティ産業のテクノロジー見本市で、東京モーターショーが前回2023年開催から現在のスタイルに衣替えした。展示には企業展示に加えテーマブースが用意され、10年後の人とモビリティの生活を表現する「Tokyo Future Tour 2035」、キャンピングカー、スーパーカーなど多様なモビリティを描く「Mobility Culture Program」など、自動車を超えた幅広い移動に関わる展示に触れることができる。
企業ブースでは各社の最新技術に触れることができる。Hondaは、前回2023年のショーでHONDA EVTOLを展示したが今回は見送ることになった。展示の中心は自動車で、「移動体を0から考え直す」のコンセプトをベース「Thin, Light, and Wise.(薄い、軽い、賢い)」を開発アプローチとして位置付け(編集部注:編集長の「しゃべる、すべる、しげる」とはもちろん別物である)、EVの厚くて重いイメージから脱却するコンセプトシリーズ、「Honda 0シリーズ」を公開した。CES 2025で発表した「Honda 0 SALOON」、「Honda 0 SUV」に加え新世代EV「Honda 0 α(ホンダ ゼロ アルファ)」のプロトタイプも世界初公開し、プレスデーでは世界各国の報道陣が取り巻き、説明に聞き入った。ブースにはAAMはないが、ロケットやHONDA JETなどが空のモビリティとしてブースに賑わいを添えている。なおHonda 0 αの量産モデルは2027年から日本やインドを中心に発売を予定しているという。
AAMでは大阪・関西万博でデモフライトを披露した株式会社SkyDriveがテーマ展示「Tokyo Future Tour 2035」に「SKYDRIVE(SkyDrive式SD-05型)」のフルスケールモックを出展し、搭乗体験を提供する。ブースは鉄道の駅のようなしつらえで、自動改札機で電車に乗る感覚の手軽な搭乗体験を提案する。また座席正面には大型スクリーンを備え、窓越しの風景を見ながら疑似飛行体験が味わえる。搭乗には専用アプリでの予約が必要になる。
公式アプリ:https://www.japan-mobility-show.com/program/app/
ドローンではKDDI株式会社が、米国Skydio社製の自律航行をするAIドローン「Skydio X10」と離発着基地となる格納庫「Skydio Dock for X10」を設置し、来場者の要望に応じ「Dock for X10」のフードが開く様子を見せる。同社は日本各地に合計1000機のドローンを配備し災害の発生時に10分で現場にかけつけられる体制を整える方針を発表しており、配備するセットを再現する形だ。10月には1000台配備の第一歩を能登で踏み出したことを発表している。来場者はアンケートに答えると、森永製菓株式会社のチューイングキャンディ「ハイチュウ」のオリジナルハイチュウ「MU-CHEW –ムチュウ-夢中-」がもらえる。
モビリティの多様性も目を引く。スポーツ用品開発のミズノ株式会社は、競技用義足の技術を応用し、一般にも移動用に使うことが想定されているシューズ型移動ギアを展示している。移動ギアはコンセプトモデル「MOBILLARIA β(モビラリアベータ)」でCFRP(炭素繊維強化プラスチック)のブレードをアッパー部と一体化させたシューズ型だ。いわばバネがついたシューズで、着用者の脚の力を効率的に伝える。タイヤがついているわけでも電力など動力で動くものでもない。
会場では試し履きが可能だ。かかとにあたる部分がないなど日常使いのシューズとの違いはあるが、移動のために脚を動かすとギアが力の入れ具合に敏感に反応することがわかる。おそらく軽く走ると効率的に脚力が伝わることをより実感できるだろう。試し履きのサイズは、取材時のギアは足のサイズが27㎝だったなど環境が限られる。サイズがあえば体重が80㎏までなどの制約の範囲内で試し履きが可能になり、脚力がMobilityになる可能性を体感できる。
AI時代に需要が高まることが見込まれる可搬型エッジデータセンター開発のQuantum Mesh株式会社(クオンタムメッシュ、東京)は、ブースに映画『トロン:アレス』(ウォルト·ディズニー·ジャパン配給)に登場するトロンバイク「ライトサイクル」を展示する。関心を寄せて立ち寄ると同社の取り組みであるサーバーを冷却液にまるごと浸す液浸サーバー冷却システム『KAMUI』を目にすることになる。大都市の大規模データセンターと異なるトレーラーなどで運べることを特徴のひとつに掲げている。2024年にこの分散エッジAIデータセンターを稼働させ、Japan Mobility Show一般公開前には、パートナー企業とともに、AIoT時代のデジタルインフラ整備のコンセプト「AIデータステーション構想」を発表した。ブースではその構想を「8M Aliance」として紹介している。




















Oasisの来日公演が話題だが、開催の10月25、26を前にした10月24日、東京・外苑前の夜空にOasisのバンドロゴがドローンショーで浮かび上がった。ドローンショーによるロゴ投影は今年7月、ワールドツアーがスタートしたウェールズの首都カーディフのプリンシパリティ・スタジアムでも行われていて、7月4日の初日公演を翌々日に控える7月2日に、巨大ロゴで再結成を祝った。来日公演では代表曲「Don’t Look Back In Anger」のパフォーマンスでは会場である東京ドームでは、客席とともに音漏れを期待して駆けつけた会場の外のファンも含めた大合唱が起こる盛り上がりとなった。
Oasisロゴのドローンショーは、ライブ参加者が会場に足を踏み入れる前から“再結成の物語”にひきこみ、熱気をさらに高める役割を担った。前回の来日公演は2009年でその年に主要メンバーであるNoel Gallagher、Liam Gallagher兄弟の仲たがいなどを背景に解散している。2024年に再結成が発表されると世界中のロック愛好家が沸き立ち、今回の日本での16年ぶりの公演では2日間にわたり10万人以上の幅広い世代を熱狂させた。
ドローンショーがライブを盛り上げる重要なツールとして活用されるケースは日本国内だけでも増えている。
7月には、ドローンショー運営や機体開発を手掛ける株式会社ドローンショー・ジャパン(金沢市<石川県>)が、7月26、27日に横浜市の山下ふ頭特設会場で開催されたMrs. GREEN APPLEの野外ライブで、1200機のドローンでバンドのロゴやメッセージを浮かび上がらせた。同社は8月5日にも音楽ユニットYOASOBIメンバーからライブを終えて帰路に就く参加者に向けて「ありがとう I♡石川 いくら」「石川ありがとう YOASOBI あやせ」のメッセージを浮かび上がらせて来場者に感動の余韻を残した。
また音楽にあわせて夜空に歌詞を投影させたのは、大阪・関西万博でギネス世界記録を樹立した株式会社レッドクリフ(東京)だ。花火大会にあわせて約1300機のドローンで夜空にシンガーソングライター、KANさんの代表曲『愛は勝つ』の歌詞と楽譜を投影した。参加者はドローンショーの歌詞をカラオケのテロップとして、会場に流れる音楽にあわせて合唱した。この取り組みは大塚製薬株式会社(東京)の炭酸栄養ドリンク「オロナミンCドリンク」発売60周年記念特別プロジェクト「元気ハツラツ!大空大合唱」の一環で8月30日の秋田県大仙市で開催された第97回全国花火競技大会「大曲の花火」など全国3カ所で会場を盛り上げた。
音楽とドローンの組み合わせについては、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の熊田知之事務局長も10月17日の認定スクールフェスタ2025の中で軽く触れている。音楽の演出効果としての役割は続々と実証されていることもあり、今後も活用は増えそうだ。
なおOasisが東京ドームで来日公演を開催した10月25、26日は日本のロックバンドHEY-SMITHが主催し、ELLEGARDEN、THE ORAL CIGARETTES、SiM、coldrain、など20組以上の人気ロックバンドが集結するロックフェス、「OSAKA HAZIKETEMAZARE FESTIVAL」(ハジマザ)が開催され、さらにロックバンドL’Arc〜en〜Ciel(ラルクアンシエル)での活動で知られるhydeも10月25、26日、千葉・幕張メッセでライブ「HYDE [INSIDE] LIVE 2025 WORLD TOUR -JAPAN FINAL」を開催しており、参加するライブの決断に迷うロック愛好家が続出した。ドローンショーがその差別化の役割を担う可能性もある。
