社会課題の解決や空の産業革命の期待を担うドローン、AAM、エアモビリティなどの活躍が展望される2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)は、ドローンやAAMにどんな舞台となり、どんな刺激をもたらすのか。DroneTribuneは若宮健嗣万博相(国際博覧会担当大臣)にインタビューした。若宮万博相は「未来社会の実験場にしたい」と語った。その背景には、1970年の大阪万博で積み残した課題に対する思いがあった。

――第二次岸田政権で万博相をつとめています
「大阪・関西万博」は2025年4月13日から2025年10月13日までの間、大阪の夢洲地区をメイン会場にして開催されます。海外からも多くの国に参加頂き日本の底力を世界に発信して成長を加速させる機会にできればと思っております。そのためには大阪だけでなく周辺の関西地域や全国の積極的な参加も必要です。私は万博大臣、正式には国際博覧会担当大臣ですが、そのほかに共生社会担当大臣、デジタル田園都市国家構想担当大臣、クールジャパンや知財戦略を担当する内閣府特命担当大臣でもあります。融合させるべきところは融合させ、取り組みを進めております。
――大阪・関西万博はドローンやAAM、いわゆる空飛ぶクルマにとってどのようなステージになりますか
ドローンにも「空飛ぶクルマ」にも大きな意味を持つ機会になると確信しています。具体的なことはこれから知恵を絞り創意工夫を重ねて参りますが、日本の持つ技術や創造力をお示しし、来場されるみなさま、海外からお越しのみなさまに驚いて頂き、再び日本に注目して頂ける機会にしたい。ドローンや空飛ぶクルマ、空飛ぶバイクは、周辺技術も含め、世界各国、各地域で開発が進んでいます。その中で日本は何を提案するのか、万博で何を発信するのか、ここは大きな注目点になると思っています。私としましては、こうした機体が飛ぶことで、生活がどう豊かになるのか、人々がどう幸せになるのか、といったものを示していければよいのではと思っております。
――大きな意味を持つ機会としての万博ですね
はい。「飛ぶ」を超えた価値を示したいと考えています。日本は、前回の大阪万博で世界を驚かせた実績を持っています。私自身は、小学校3年生の時に、前回の大阪万博に出かけました。そこでは特に4つ、強く印象に残ったものがあります。携帯電話、リニアモーターカー、電気自動車、ロボットです。1970年当時には、どれも身の回りにはありませんでした。私自身も初めて見るものばかりでとても驚きました。海外から来られた方もみなさん驚かれたと思います。その驚かせた4つがいまや現実になってきています。ロボットは二足歩行でないにしろ産業や介護などさまざまな現場で役立っています。携帯電話はすでに普及し、電気自動車も広がりつつあります。リニアモーターカーも計画が進んでいます。
――その時の驚きを再現したい?
それを超えたい、というのが本音です。たとえば携帯電話。1970年の万博で日本が世界に先駆けて発信して世界を驚かせましたが、現在、どこの国のメーカーが世界のマーケットでシェアを押さえているかというと、アメリカであり、韓国であり、スウェーデンであり、といった状況です。日本製は、素晴らしいのに、世界のマーケットをとっているかといえば、そうはなっていません。そこにやや“残念感”があるのです。その状況を次の万博で打ち破りたいのです。ドローンもそれになれると考えています。ドローンの開発はしばしば海外が先行している、と言われます。そのドローンで、日本のすごさを示したい。飛ばすために必要な環境や条件ですとか、ビジネスでうまくいくためのモデルであるとか、利用した企業や人々や社会が歓迎するためのスタンダードであるとか、そういったものが示せないか、と思うわけです。アフリカのルワンダで血液製剤などをドローンで運んでいるアメリカのジップライン(Zipline)という会社がありますよね。道路網の整備状況などから考えると、あの取り組みは「飛ぶ」を超えた価値があると思うのですが、そんな価値あるビジネスデルを、日本なら構築して提案できると思うのです。
――示したいのは、飛ぶことのその先、ということですか
はい。飛行そのものの質も当然ながら大事ですし、日本の強みになると思いますが、その先のことを示したいのです。ドローンや空飛ぶクルマによる生活スタイルや、ビジネススタイルの変革です。安全性と利便性のバランスをとりながら、ドローンでどのような価値を生み、どのように次の新しい生活スタイルになじませるのか。前回の大阪万博で日本が発信した技術は、マーケットを海外に占められました。しかし今の日本は当時と違います。もはや固定観念にとらわれる日本ではありません。振り返りますと、当時の日本には三公社五現業がありました。電話の事業も国の経営体制の中で運営されていました。その枠の中でもあれだけのことを発信しました。残念ながら普及に至らず、固定観念のない海外勢が普及させたわけですが、今の日本には当時の枠はありません。固定観念にとらわれない新しい発想も出てきています。ドローンが飛んで当たり前の社会を、グローバルスタンダードとして提示していければ、と思います。
――ドローンが当たり前の社会を実装するステップに?
はい。どれだけ示せるかはこれからですが。その前に、もしかしたらドローンを軍事用と感じておられる方がいらっしゃるかもしれませんので、生活の利便性を高めるものと認識して頂けるようにしたいです。良い面、悪い面がそれぞれあると思いますので、そのいい面を育てる。悪い面を減らす。AIを組み合わせることでそれができるかもしれません。普及のためには製品やサービスが普及しやすい価格になることも大事だと思います。万博会場やその周辺エリアでのサービスの中に取り込むことも考えられます。オリンピック・パラリンピックで、日本のおもてなしの心を示すことに取り組みましたが、万博でも日本の思いやりを届けられれば。行き届いていないところに手を差し伸べるようなことができれば。

――地方活性化であるデジタル田園都市国家構想にもつながりそうです
はい。デジタル田園都市国家構想は、地方も含めて全国で光ファイバーをめぐらせ、Wi-Fiが使えるように整備して利便性を高める政策です。地方の生活の中で、行き届いていない部分を満たしていく対策です。現状の生活で買い物が不便なのであれば、ドローンで宅配してもらえれば早くて便利かもしれません。その通信インフラを整えることが必要となりますので、デジタル田園都市国家とドローンは非常に相性が高いと私は思っています。私はよく街頭演説で「不便」や「不満」など「不の要素」を取り除く取り組みに価値があるのではないか、とお話します。日常生活もそうです。産業もそうです。不便なところがあればそれを取り除く。農業ではたとえば農業従事者の負担となる散布や生育状況の監視、養殖ではいけすの監視に使うことで、負担を取り除く。それを可能にすることに取り組むつもりです。
――それがグローバルスタンダードになればよいと
はい。「不の要素」を減らせば、そこで生まれたゆとりで新しい価値を生み出せます。ドローンも大きく寄与します。人々の時間の使い方や働き方も変わってくるでしょう。万博で新たな生活スタイルとかモデルを見せることで、デジタル田園都市国家構想の実現につながってくると思います。ノウハウを凝縮したものが国際ルールになれば知的財産になりますし、各国を魅了するモデルにできればクールジャパンになります。私は万博、デジタル田園都市国家とともに、クールジャパン、知的財産を担う特命大臣でもあります。それぞれがすべてつながるのです。万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」(Designing Future Society for Our Lives)をテーマに掲げております。それをふまえて、私は万博を未来社会の実験場にしたいと思っています。
――「大阪・関西万博」の「関西」への広がりをどうお考えですか
大事なことです。大阪の盛り上がりを関西全域に広げたい。ちょうど関西広域連合の8府県が大阪を囲むようにあり、それぞれ個性豊かな風土と文化を持っています。ドローンという切り口に限りませんが、関西広域連合やそこに参加する府、県、市の持つ役割にも照らして、より盛り上げられる施策につなげられればよいと考えております。万博には約2,800万人の来場を見込んでおります。特に海外からご来場の方には会場を囲む関西エリアに足を運んで頂き、たとえば京都や奈良などの古都の風情や個性や魅力を味わって頂きたいです。大阪で議論が盛り上がっておりますが、これからそれ以外の地域での議論も活発化していくと期待しています。
――経済効果も見込まれますね
インバウンドの効果も高いと思います。海外からお見えの方は年々増えておりまして、新型コロナウイルスの影響を受ける前の2018年、2019年は年間で3000万人を超えました。約5兆4000億円の経済効果がありました。これは消費税の税収の2%にあたります。しかも海外の型がご自身の国にお帰りになったあとにもお買い上げいただいたり、PRして頂いたりと波及効果もあります。関西に限らず全国で、万博を地域の魅力をアピールする場にして頂いてはいかがかなと思っております。とくに関西エリアでの盛り上がりと積極的な参加を期待しています。
――デジタル田園都市国家構想に沿ったインフラ整備が進むと地域の利便性はますます高まりそうです
そうです。日本の「田舎」と呼ばれる地方都市の温泉や風景や土地の言葉や食べ物に触れて頂くことがより便利になると思います。日本にお越しのみなさまにはぜひ「田舎」にも赴いて頂き、楽しんで頂き、それを発信して頂ければと思います。発信するために必要なインフラは整えて参ります。北海道のニセコのように、海外で先に人気に火が付く、ということが各地で起こる可能性があります。地方でこそ作れるビジネスモデルに期待しているのはそこのところです。一極集中の打開につながる期待もあります。

――デジタル田園都市国家が進んで地域の利便性が高まった場合、その利便性を生かす人材の育成は
大変、重要です。地方には、自分の生活スタイルを変えたくない、住んでいる場所も変えたくない、友達が少なく交流も限定的ながらそのままでいい、買い物もここ、と決まった生活スタイルで過ごしておられて、別に新しいことを必要としていない、とおっしゃる方、刺激的なことなどいらない、とおっしゃる方がいらっしゃると思います。そこで私が思っていますことが、それぞれの自治体や地区に、よりどころになる寄り合いの進化版のようなものを作ることです。昔からあったところなら、それを少しおしゃれにして、必要で欲しい情報がそこに行き届くようにして、その土地を訪れた方も気兼ねなくは入れて交流ができるようにして。海外の方も入れるようにして。そこでは地域同士の交流の場でもあり、別の地域の人からの交流も気兼ねなくできる。訪れると地元の人から地域の名産の農作物の話や見どころの話が聞ける。豚汁をふるまってもらうこともあるかもしれません。そこが楽しいと、それまで新しい刺激はいらない、と思っていた人の中にも、楽しんでくださる方が出てくるのではないかと思うのです。そこで重要になるのが、そういうことを仕掛けるコーディネートする方です。それまで東京に造っていたアンテナショップを地元につくることで地元に訪れる方を増やしたり、定住者を増やすための医療、教育、仕事の確保をしたり。それができる機能的な設備もあればよいと思います。そうなると、買い物サービスや肉体労働の手段としてドローンは不可欠になりそうです。
――ところで若宮大臣は未来のドローンとか空飛ぶクルマといったら、どんなものを想像しますか?
『007/私を愛したスパイ』という映画で水中にもぐるクルマを思い出します。普段は道路を走り、必要なときに海や川を潜る潜水艦仕様になって、いざとなれば空も飛ぶ、みたいなものにあこがれますね。あれば映画の中ですが、普段の生活にも使えて、災害のときには別の姿で活躍できる機体があればいいなと思いますね。
――ありがとうございました。
■わかみや・けんじ
国際博覧会担当大臣、共生社会担当大臣、デジタル田園都市国家構想担当大臣、内閣府特命担当大臣。
1961年9月2日、東京都千代田区生まれ。永田町小学校(現麹町小学校)、慶應義塾中等部、慶應義塾高等学校、慶應義塾大学商学部卒業。大学卒業後セゾングループに入社。グループ代表の堤清二氏の秘書等を務めたのち、2005年9月の衆院選に自由民主党公認で出馬し初当選。これまでに外務副大臣、防衛副大臣兼内閣府副大臣、防衛大臣政務官、衆議院外務委員長、衆議院安全保障委員長などを歴任。60歳。
万博相就任時以来、消費者を取り巻く環境の変化に対応できる制度の構築、食品安全の確保、日本の産業競争力の強化や新型コロナにより打撃を受けたクールジャパン関連産業の存続と発展に努めること、万博相として日本の魅力を世界に発信し、日本の子供に夢、希望、驚きを与える取り組みを掲げている。担務が多いが「所管する担務が多岐に及んでおりますが、すべての課題にスピード感を持って対応してまいります」と話す。
安全保障政策に強く、「日本の、経済だけ仲良くしてほしい、というスタイルは、安全保障の連携の面では限界があった」と断言する。関係各国との多面的な信頼関係の構築が、新型コロナウイルス感染症対策ワクチン確保にもつながった。
政策では、「安心した暮らし、安全な生活を守る」「次世代教育と豊かな働き方による、経済発展」「現場を重視した効率的な予算を」「自然災害への備えと環境保全」「自由で開かれたインド太平洋地域の安定と発展へ」などを掲げる。
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【JapanDrone関西】台湾ウィストロンとGEOSATが初出展 ブルーイノベーション株式会社(東京)の熊田貴之社長がドローントリビューンのインタビューに応じ、「お客様」との向き合い方について語った。同社は複数のドローンやロボット、センサーなどを統合管理するデバイス統合プラットフォーム「Blue Earth Platform(BEP)」や、球体ドローン「ELIOS」シリーズ、ドローンポートなどの事業を展開していて、取引先、顧客との関係について模索を続けている。
ブルーイノベーションはBEP技術を軸に、「点検」、「ドローンポート」、「教育」、「ネクスト」の4つに分類したソリューションを提供している。11月14日に発表した2025年12月期第3四半期決算によると売上高は、7億7000万円で、1年前の第三四半期から4.3%増加した。売上高を構成する4ソリューションのうち「点検ソリューション」の構成比が46%と半分近くを占めた。
熊田貴之社長 「わたしたちはソリューションを提供している会社ですが、ソリューションはお客さまの声をしっかり聞くことなしに作れません。ドローンの機体を開発する、販売する、ということにだけ集中してしまうとプロダクトアウトになり、お客さまの要求に必ずしも合致せずにソリューションにならない、あるいは十分ではないということが起こりえます。ソリューションを提供するには、機体をお客さまの求める作業や動作ができるようアプリケーションが必要になるかもしれません。場合によってはドローンでない方がソリューションとしてふさわしいかもしれません。ソリューションはお客さまのご要望を伺うところから始まります。わたしたちはお客さまとメーカーとをつなぐ部分を担う面があるのかもしれません」
――持ち味はドローンやロボットなどの統合管理プラットフォーム「BEP」だ
熊田社長「はい。主な対象はドローンですが、お客さまとは無人搬送車の運用の話もしています。無人搬送車の複数制御。これにドローンが組み合わされることになれば、走る、飛ぶが統合されて、制御系に対するニーズにつながるのだと思います。それまでお客さまのご要望を伺いながら試行錯誤をしてまいります。プラットフォーマーになることは、その技術がみんなの共有財産になるということだと思っています」
――お話の随所に「お客さま」が登場し、強い意識を感じる
熊田社長「一般論ですが、ドローンに関連する産業が実証実験の段階から商売やビジネスなどの事業の段階に移りつつあることと関係しているかもしれません。実験は提供期間が実験の期間に限られます。それに対して商品を提供する事業段階になると、購入頂いた先での満足度の重要性が高まります。わたしたちも社内でカスタマーサポートの重要性に対する認識が日々高まっています」
――たとえば
熊田社長「ドローンポートは、購入頂いたお客さまのもとにずっと置いてあるわけです。そうするとお客さまからのご意見も寄せられます。問い合わせ、不安、クレーム、トラブル連絡など含めて、お客さまの声に向き合う期間が長くなります。わたしたちも十何年ドローン関連の事業に取り組んでおりますが、お客さまを担当する担当者が現場で親身に対応するフェーズから、組織として対応するフェーズに変わってまいりました。お客さまと向き合うサービスのフェーズに入ってきた、と言い換えてもいいかもしれません。ほかの会社ではすでにできているところもあるのだと思いますが、わたしたちは今年、社内にその体制をつくりました」
――トラブルを現場まかせにしない
熊田社長「はい。経営会議でも話をします。それはそのお客さまの中でわたしたちのサービスが浸透し始めている裏返しでもあると思っています。産業全体でもドローンがサービスのフェーズに入りつつあることを示しているかもしれません。いまではわれわれの提供しているプロダクトやサービスなどを通じて、LTV(Life Time Value)をしっかり提供できているか、本当の意味で長くお客さまに価値を提供するか、より強く意識するようになりました。LTVがKPIにもなりました」
――「お客さま」重視のサービスの会社だと
熊田社長「それを目指していますが、正直なところ、まだ全然です。ようやくそのフェーズに入ったという感じです。サービスがお客さまに浸透していくプロセスを体験している段階かもしれません。カスタマーサポートには大きなコストがかかる面もありまし、決して華やかなことばかりではないです。注目もされないし記事にもなりません。それを繰り返していくことが大事なのだろうと思っています。いま巨大企業になっているメーカーもそこからはじまって、やがて強いブランドになっています。わたしたちもそこを通っていかなければいけないと感じています。社内でもお客さまからの声に、現現も組織も対応する。会社としてちゃんと向き合おうという話をしています。営業、開発、保守などすべてです」
――ありがとうございました。

「Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2025 in 関西」は11月27日閉幕し、二日間の合計で3006人が会場を訪れた。事前に公開していた来場者目標の3200人には届かなかったが、期間中は来場者、出展者の笑顔がはじけた。機体メーカーなど主要プレイヤーの出展の上積みなどが、来場者拡大のカギとなりそうだ。
Japan Drone関西は一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の主催、株式会社コングレの共催で11月26、27日の2日間、JR大阪駅直結の「ナレッジキャピタルコングレコンベンションセンター」を会場に開催され、26日に1604人、27日に1402人が足を運んだ。講演、パネルディスカッションなどのステージには2日間で1131人が参加した。来場者の中には出展者ではないドローン事業の経営者、関係者も見られ、会場内で知人を見つけてはあいさつをかわす光景や談笑する様子が多くみられた。
関係者や愛好家の間で話題になったのは初出展、初公開プロダクトだ。360度カメラの開発で知られる中国のテクノロジー企業Insta360がパートナー企業と設立したドローンブランド「Antigravity」が、日本の展示会に初出展し、機体やコントローラー、ゴーグルを紹介した。日本での発売計画は未確定だが、来場者の多くが足を止め、製品の仕様や今後の計画を担当者にたずねていた。
台湾の電気機器メーカーWistronも、系列のドローンメーカーGEOSATとブースを共同出展し、GEOSATの機体3種が初公開された。イタリアのモニタリングソリューションを展開するTAKE OVERも老朽インフラの課題と向き合う日本市場の調査をかねて初出展し、来場者と意見交換をしていた。米Skydioが9月に発表したふたつの新型ドローンについて、日本市場向けの公式アナウンスが出ていない中、JapanDrone関西に出展したジャパン・インフラ・ウェイマークは、二機種のうちの屋内向けドローン「R10」について独自のポスターを張り出したほか、チラシも用意し来場者に配布するなど関心を集めた。
会場では多くのブースで来場者と出展者が意見交換をしたり、説明を求めたりしている様子がみられ、あちこちで笑顔がはじけていた。ジュンテクノサービスやMizubiyoriは会場内に設置されたプールで水中ドローンを実演し、来場者に囲まれていた。
自治体の取り組みなどを紹介するパネルも多く設置され、じっくりと観察する来場者がいた一方、説明員のいるところは限られ、見学者が途切れる時間帯もあった。自治体の取り組みについては、「主催者テーマ展示ゾーン」と「ドローン×地方創生:自治自治体PRゾーン」とに分かれて展示されていて、来場者の利便性に合致していたかどうかの検討が加えられる可能性がある。
Japan Drone関西はJUIDAが10年前から毎年、千葉・幕張メッセで開催しているドローンの大規模展示会「Japan Drone」の地方開催版で、大阪で開催するのは2度目。一度開催した地域で二度目を開催したのは今回が初めてだ。JUIDAの鈴木真二理事長は初日の講演の中で、「アンケートで大阪での開催を求める声が大きかったことが今回の開催につながりました」と話している。今後も来場者の声が開催方針に反映されることになりそうだ。








11月26日に開幕した「第2回 Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2025 in 関西」では初公開、初出展を含め、多くの取り組みが披露されている。イタリアの保守、モニタリングソリューションを提供するTake Over社はFranz Lami CEO自身が来日して初出展。株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク(東京)は、日本市場向けには公式発表がない米Skydioの屋内用ドローン「Skydio R10」について独自のポスターを作成し公開している。セントラル警備保障は不審ドローン対策ソリューションを提案している。
イタリアのTake Over社は日本の老朽インフラが抱える課題に対しイタリア仕込みのソリューションを提案している。同社はイタリア国内で橋梁、鉄道、高速道路、ダムなどの保守点検などで実績を積んでいる。イタリアは歴史的な建造物から近代的な道路まで公共構造物の時代背景が幅広く、その知見が老朽インフラを多く抱える日本での需要を見込む。
来日し会場のブースにも立ったFranz Lami CEOによると、イタリアのインフラは近代のコンクリートと中世からの石でできたものなどとがある。課題の緊急性が高いのは重量のあるトラックなどを支える道路などコンクリート製のインフラで、内部の亀裂などをいち早く察知し対処する必要がある。同社はその点検やモニタリングなどで実績を積んできた。
データ取得のためDJIを中心としたドローン、3Dレーザースキャナ、モバイルマッピングシステムなどを機材として使っている。JapanDroneのブースではFranz Lami CEO自身が来場者に実績、技術などをアピールし、情報収集、市場調査を進める。来場者には。同社のロゴの入ったキャップを渡している。最近東京に開設したオフィスの人員の増強にもつとめていて、リクルートにも積極的だ。
JIW、日本向けアナウンスがされていないSkydio「R10」のポスター独自作成
ジャパン・インフラ・ウェイマークは米SkydioのAIドローン「Skydio X10」や、専用の格納庫「Dock for X10」など点検ソリューションを展示しているが、ブースにはもうひとつ、日本市場向けには正式なアナウンスがない機体のポスターがある。屋内向けドローン「Skydio R10」だ。
9月17日と18日に米国で開催されたSkydioの毎年恒例の発表会「Skydio Ascend 2025」では、「Skydio R10」が屋内向けドローンとして発表された。もうひとつ。長距離飛行に対応した固定翼ドローンのプロトタイプ「Skydio F10」も発表されているが、いずれも日本市場向けには公式の見解はない。
屋内の点検ソリューションを展開するJIWはR10について独自にチラシを作成し、ブースではポスターとして来場者に見せている。それによると、R10は785gでX10の2140gから大幅な軽量化が図られる。暗所飛行用の補助ライトを備え、自律飛行し、ライブ映像を配信し、点検を支援するという。市場導入の時期は公式発表を待つ必要があるが、関係者や愛好家の間で関心を喚起しそうだ。
セントラル警備保障が不審ドローン対策展示
セントラル警備保障株式会社(東京)は、不審ドローン対応のためのソリューションなどを展示している。会場にはカウンタードローンシステムのほかいくつもの緊急対応機能を備えた移動指揮所車両「CSP Drone Base Car」を車両ごと持ちこみ、中に搭載している映像監視システムや、電源機能、車内で指揮がとれる機能などを公開している。屋根にはドローンポートを備え、ここから離陸させることもできる。
また、不審ドローンを検知するためのソリューション「DS_005D」も展示してある。ブースではその機能や上位モデルの説明を求めて来場者が足を止めていた。
レッドクリフ、ジュンテクノ、ROBOZが存在感
このほか、開場では大阪・関西万博の協会企画催事プラチナパートナーとして連日ドローンショーを繰り広げた株式会社レッドクリフ(東京)が前面を赤、黒でペイントしたブースで来場者にドローンショーの特徴や効果を説明していた。また屋内ドローンショーを手がける株式会社ROBOZ(名古屋市)は、ドローンショーに使う機体の特徴や通信、飛行の安定性などについて石田宏樹代表取締役が率先して説明していた。会場の隣室でデモンストレーションも行い、手軽に運用できることを実践した。
ジュンテクノサービス(埼玉県川越市)も水中ドローンを中心に展示。ダム堤体、取水口、吐口撮影からポンプ場撮影、流域下水道点検など多くの現場での点検実績などのノウハウをブースで展示しているほか、会場内のプールでデモンストレーションも実施し、来場者がその様子をみるために取り囲む様子もみられた。











アメリカのドローンメーカー、Inspired Flight Technologies社の産業用ドローン「IF800 TOMCAT」「IF1200」が、「第2回 Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2025 in 関西」で公開されている。展示したのは株式会社栄光エンジニアリング(茨城県つくば市)だ。リスクを回避するオペレーターへの提案として出展した。いずれのモデルも日本のドローンの展示会での出展は初めてだ。
栄光エンジニアリングが展示しているのはアメリカInspired Flight Technologies社のクワッドコプター「IF800 TOMCAT」とヘキサコプター「IF1200」だ。
IF800 TOMCATはバッテリーなし重量が4.2㎏、バッテリー搭載時で8.5㎏で、最大54分飛行する。インフラ点検、LiDAR調査などの用途を想定している。また「IF1200」は最大43分飛行、最大積載量8.6㎏だ。栄光エンジニアリングの大島健一社長は、取引先からよりリスクの低い機体を求める声を聞き、Inspired Flight社にゆきあたった。「IF800 TOMCAT」「IF1200」とも米国防省のサイバーセキュリティやサプライチェーンの健全性基準を見た居た場合に認定を与えるプログラム「Blue UAS」に認定されている。栄光は現在、Inspired Flight社の日本国内代理店だ。
ブースでは大島社長らが機体の特徴などを来場者に説明していた。ブースではそのほかExyn Technologies社の自律飛行型3Dマッピングシステム「Nexys」「Nexys Pro」、Teledyne Optech社の軽量LiDARシステム「EchoONE」も展示している。




台湾の電子機器大手ウィストロン(Wistron)は、同社系のドローンメーカー、GEOSAT Aerospace & Technology Inc.(経緯航太科技)と共同でブースを構えた。GEOSATのドローンが日本の展示会で一般公開されるのは初めてだ。
初公開されたGEOSATのドローンは3機で、日本での展開は今回の反応をふまえるなどして今後検討するという。3機はいずれもスタイリッシュで、「スタイルは重視して作った」という。
ブースにはウィストロンでドローン部門を統括するAnn Liu氏も訪れ、来場者の反応などを確認していた。
展示会で製品を見る機会はそう多くなく、ブースを訪れた来場者の中にはこのブースに立ち寄ることを来場理由にあげる人もいた。
ブースの壁面にかけられていた薄型ディスプレイはウィストロンの製品で、その薄さに来場者が指をさしている様子もみられた。ディスプレイは投影する映像の切り替えや明るさの調整は遠隔で可能だという。




中国Insta360系のANTIGRAVITYが「第2回 Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2025 in 関西」に出展している。同社は8月に8Kで360度の映像が撮影できるドローン「Antigravity A1」の発表をし、話題を集めた。日本の展示会に出展するのは今回が初めてで、ブースのAntigravity A1にも多くの来場者が見入っている。
Antigravity 社は日本の展示会の出展は今回が初めてだ。出入口に近い場所に構えたブースにはひっきりなしに来場者が訪れた。8K360度全景ドローン「Antigravity A1」が今年8月に初の製品として発表され、ドローン愛好家や関係者に間で一気に話題が広がった。
全方位を捉える「デュアルレンズ設計」でドローン周囲のすべてを360度で記録し、ライブ映像や最終映像からはドローン本体を消すことができる。操作はレバー状のコントローラーで直感的な操作が特徴だ。
ブースでは機体重量がバッテリー含めて249gであることや、2026年1月に世界同時発売を目指していることなどが説明されていた。ただし日本での発売は、諸手続きの進み具合にもよるため未定で、今後正式に公表される見込みだ。
操作はゴーグルを装着して行うため、いわゆる目視外飛行の扱いとなる。価格は今後決まるが、現時点では標準型のセットで30万円台、最も基本的なセットで20万円台を想定しているという。
JapanDrone関西ではデモフライトを実施。開催2日目も行う予定だ。
