ドローン産業は空飛ぶクルマの研究、開発、運用をはじめとした活用の議論が熱を帯び、より広い産業、多くの層から注目されています。そこでドローン研究の第一人者で東京大学名誉教授・未来ビジョン研究センター特任教授の鈴木真二氏、小型ジェット旅客機「三菱スペースジェット(旧MRJ)」の開発に携わった航空機開発に詳しいPwCコンサルティング合同会社 顧問(Aerospace&Defense 担当)の宮川淳一氏が最新動向や産業利用拡大に向けた課題などについて対談しました。モデレーターはドローンや空飛ぶクルマ関連の業務・技術支援に携わるPwCコンサルティング合同会社ディレクターの岩花修平氏が務めました。今回は、今後のドローンの未来を切り開くのは、航空機業界以外の分野から参入したスタートアップ企業などの次世代リーダーである可能性を示し、従来の航空機産業を築き上げてきた先人たちとどう協力関係を築くべきかといった方向性について話し合った前半の様子をお届けします。(文中敬称略)
岩花氏 2015年4月の「首相官邸無人機落下事件」をきっかけとして、社会的な観点も踏まえて無人航空機の法規制に関してもさまざまな検討があると聞いています。
鈴木氏 首相官邸無人機落下事件が起こった2015年は、国内のドローンを取り巻く環境が大きく変化した年でした。同年に航空法が改正され、規制が強化されるなど制度化が進みました。一方で、ルールの制定により、正式に利用する際の根拠ができることになるため、事業者はむしろ歓迎しました。この改正は、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が、会員とともに安全ガイドラインを国土交通省、経済産業省のアドバイスを得ながら自主的に策定していたことが基礎になったという自負があります。3年後の2018年には、安倍晋三首相がドローンで物流ができるようにすると宣言し、産業化へ向けた動きが加速しました。
岩花氏 2022年に「目視外及び第三者上空等での飛行(レベル4)」に関する規制緩和が見込まれていますが、この動きによって大きく活用の拡大が見込めそうですか。
鈴木氏 第三者上空の目視外飛行というと、2022年に市街地を大型ドローンが飛び交うことを思い描かれる方がいらっしゃるかもしれませんが、現在の技術や安全レベルでは難しいと感じます。リスクを低く抑えられる状況から、段階的に進めていく必要があります。日本では、人口集中地区(DID)では許可なく飛行することが全面的に禁止されていますが、都市部の中でも相対的にリスクの少ない飛行はかなりあります。例えば川に沿った飛行や建物の点検のための飛行、空撮のための小さなドローンの飛行などです。安全が確保されれば、都市部でドローン飛行を許可するように規制を緩和する必要があります。そうしたところから、レベル4が始まると考えています。ただし、現実には、地方でのドローン飛行を重ねて、ステップを踏みながら次第に安全の確保が検証され、空域が広がっていくことになるのではないかと考えています。
岩花氏 小型無人機に関する関係府省庁連絡会議(官民協議会)では、「目視外及び第三者上空飛行」の実現に向けた検討が進められています。今後の論点や方向性、スケジュール感などについて教えてください。
宮川氏 小型ジェット旅客機「三菱スペースジェット(旧MRJ)」の開発で、2007年にプロジェクトマネージャーとなり、2008年には全日本空輸(ANA)にローンチカスタマーとなっていただき、開発がスタートしました。当時から型式証明(TC)の取得は極めて困難な作業だという認識で、今でも苦労していると聞きます。日本の航空業界では、航空法は「きっちり学んで、守るもの」という意識が強いように感じます。これに対し、ボーイングやエアバスなど海外の航空機メーカーの関係者と話していると、「航空法というのは参加してつくるもの」という発想が主流です。
岩花氏 「守る」だけでなく、つくることに参加する発想ですね。
宮川氏 米連邦航空局(FAA)の使命を謳ったミッションディスクリプションの中は、「米国の国土の空の安全を守る」としたうえで、「航空産業の育成に資する」というものもあると聞きます。ドローンの登場でパラダイムシフトが起こっているときに、どのようなレギュレーションを作っていくかを考えることは、日本にとっては絶好のチャンスです。スペースジェットが参入障壁で苦しんでいるように、従来の有人航空機に関わる航空法制は欧米主導で定められており、日本は学習・追従するしかありませんが、無人機について、人口密集地と過疎地を抱える日本が主導して、もしくは積極的に参加して国際協働で法制制定に関わっていくべきです。
鈴木氏 全くその通りです。有人航空機の世界では、欧米がはるか彼方を飛んでいます。一方で、無人航空機、特に小型のドローンは世界中で同時に始まったわけですから、日本もルール作りにコミットできるはずです。国際標準化機構(ISO)ではドローンの委員会が設置され、最近になって日本から多くの専門家が参加しています。また、ワーキングの「コンビナー」と呼ばれる座長も日本から出すなど、国際的な業界標準化にむけて日本も活躍しています。特に日本がリードしている分野はオペレーションやトレーニング、ドローン運航管理システム(UTM)です。ただ、機体製造に関しては中国が大きな力を持っています。
岩花氏 ISOの国際会議に日本から積極的に出席しているのは良い流れだと思います。その延長で、今後は法規制の整備なども国際協調の中で、日本が主導的な立場をとることが期待されます。
鈴木氏 標準化で主導的な立場を取ることは、産業化を考えると極めて重要です。例えば、電気自動車のバッテリーの充電システムは日本勢が標準化に後れを取り、そのうちに欧州市場などに参入障壁ができてしまったと聞いています。国内では、新しい分野ですので、官民合わせて制度作りや研究開発テーマの設定を協議する環境が2015年度からスタートし、毎年ロードマップを改定しています。これも一つの標準化です。縦割りの組織で、しかも会社間の競争の厳しい日本では、こうした例は珍しいと思います。他の分野でも、ドローンのモデルにならった官民協議会が作られています。例えば、「空の移動革命」を目指した官民協議会が2019年に設置されました。
岩花氏 政策として、ドローンの機体や操縦者の情報登録や「車検」のような許認可制度など、管理制度の導入によるメリットとしてどのようなことが考えられますか。
鈴木氏 欧米の場合は、ドローンがテロに使われることに対する恐怖心が強く、誰が何を所有しているかを把握しておくことは重要です。一方、日本は比較的に安全と考えられ、危機意識は高くありませんでした。しかし、最近、訪日外国人旅行者などが、日本の航空法をしっかり理解せずにドローンを飛ばす事態が起こっています。関西国際空港の滑走路付近でパイロットがドローンのようなものを目撃し、安全確認のため全ての航空機の離着陸を停止する事態になりました。しっかり管理しないと、自由な飛行にブレーキがかかってしまうので、管理された状態をつくることは必要であると思います。
岩花氏 管理された状態をつくるためにどのような取り組みがされているでしょうか。
鈴木氏 レベル4の実現に向けた官民の検討会において議論を開始し、先ごろ中間報告を出しました。リスクが高くなった場合、そのリスクに応じた機体の安全性や検査制度、操縦者の資格や、管理方法が求められるというのは各国共通の認識です。「リスクベースアプローチ」と呼ばれています。登録者制度は事故時に所有者を特定するというものですが、どちらかというと所有者の意識を高め、管理を容易にするとともに、不正利用を防止する(特にルールを知らない外国人旅行者)意味が大きいと考え、米国でも2015年に導入されています。
岩花氏 リモートIDの導入でリアルタイムに機体の飛行を管理することや、無登録のドローンを排除することも検討されています。
鈴木氏 ドローンへの対処に関しては、特にテロの危険性が高い諸国で早期に検討が始まりました。日本ではその認識も薄かったのですが、先ほど述べた通り、関西国際空港で不審なドローンらしきものが見つかり、1時間ほど航空機の飛行が停止された事案もありました。また、2020年は東京オリンピック・パラリンピック競技大会も開催されますので、他人事ではなくなっています。警察や自衛隊、国土交通省もそのための予算を計上し、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)もリモートIDの研究に着手しました。リモートIDはドローンが自らのIDと位置情報などを周囲に発信しながら飛行するもので、米国では2020年早々に法案が、欧州では2020年からその装着を義務づけようとしています。登録しても番号を機体につけるだけですので、遠くからは全く見えません。そのために、WifiやBluetooth、LTEなどの方式で電波を周囲に発信しながら飛ばそうというものです。運航管理の在り方を検討する日本無人機運行管理コンソーシアム(JUTM)では福島ロボットテストフィールド(福島RTF)を使ったリモートIDの実証実験を行ったところです。これらは本当にドローンなのか、正規に登録されて飛行するドローンなのか、不正なドローンなのかを判定するためにUTMと連携して使用することが想定されています。テロ行為を行おうとするドローンへの対処は警察や自衛隊の課題ですが、さまざまな方式が提案されています。
岩花氏 日本ではJUIDAを代表とした操縦者、運航管理者向けの資格が既に存在し、一定の知名度と資格者を輩出していますが、今後、運航管理システムや目視外飛行、自律航行が進むと新たな操縦者、運航管理者要件が出てくると想定されますが、資格制度にどのような変化が見られそうでしょうか。
鈴木氏 レベル3においては、資格があれば飛行申請の許可が簡単におりそうです。レベル4および明確な規定のなかった25キログラム以上の大型ドローンに関しては、より高いレベルの資格が要求されるというのも国際的な共通認識です。JUIDAでは個人向けに「無人航空機安全運航管理者」という資格を出していますが、UTMが普及するとそのための管制官に相当する資格も必要になり、運航事業者に対する承認制度も必要になると思います。
岩花氏 「目視外及び第三者上空飛行」の実現に向けて空域の管理や飛行機体の管理のためにUTMが必須の仕組みになると想定していますが、今後の普及に向けたスケジュールや関連する法規制、海外との連携、カウンタードローンとの連携の可能性などについてご意見をいただけますでしょうか。
鈴木氏 UTMに関しては、小規模なものは商品化され既に利用されていますが、広域においてそれぞれのUTMを統括するスパーバイザーとしてのUTMをどう設計し、どのように運用し、だれが管理するのかという大きな課題があり、国際的にも未踏の分野です。現在では、長距離を飛行するドローンもなく、高密度の利用もないわけですから、将来に向けた投資にもなりますが、個人的には、高度なセキュリティーが要求される空港や原発、大使館などの周囲では、UTMが今すぐにでも必要と感じています。ただ、まだUTMの基本方針も明らかになっていませんので、スケジュールも明確ではありません。将来、長距離飛行のドローンや、高密度運航にも対応できるアーキテクチャーを早期に固める必要があります。ISOの標準化作業も始まったばかりです。
岩花氏 PwCコンサルティングにおいてもドローンを利用したビジネスを海外でも展開したいというクライアントの声が多く聞かれるため、規格などの標準化の取り組みも重要だと考えています。海外における無人航空機の標準化や法規制、知財、利活用の動向なども調査していますが、グローバル展開する企業にとって海外の技術開発動向、法規制と足並みを合わせることが重要と感じています。海外の技術開発、法規制と歩調を合わせるために、日本として何か取り組んでいることなどはありますか。
宮川氏 無人機に関わる標準化は、モビリティ専門家を会員とする米国の非営利団体であるSAE(Society of Automotive Engineers)などがすでに委員会を構成して議論を進めており、日本は出遅れ感が強いと言えます。標準化も従来は学習・追従と捉えてきた日本の産業界に、少なくとも参加を促すことが必要になります。
鈴木氏 大型ドローンや電動航空機に関してはそうですが、小型ドローンに関しては、特に電波法や法規制が国によって異なるという課題があります。機体はドローン最大手のDJIがほとんどですので、国によって異なる制度が現時点での大きな課題です。ISOの国際標準化が進めば機体や運用などに関しては世界で共有化が進むと思います。各国で電源のコンセントが違ったり、昔の話ですが携帯電話の方式に違いがあったりしたこともあり、その際は本当に苦労しました。
岩花氏 人が乗ることも想定する空飛ぶクルマの実現に向けた検討も進めていると思います。これは無人航空機の延長としてとらえるのか、それとも技術的にも法規制面でも全く別のものと定義されるのか、どちらになるでしょうか。
鈴木氏 技術はドローンをベースに電動のマルチコプターで進むと思いますが、法制度などは有人機の超小型版と位置付けられるので、小型航空機のルールを参考にして決められていきそうです。そうなると日本にとっては不利となりますので、早急な整備が求められます。
宮川氏 空飛ぶクルマは従来の航空製造事業「上」から降りてきた人たちと、ホビー用を代表とする新規の航空デバイス製造業「下」から昇ってきた人たちに分かれます。昔は、ドローンは鳥や凧と同じ扱いでしたが、今や、下から上がってくる「ディファレントスピーシーズ(異なる人種)」が出てきて、どのように折り合いをつけるべきか戸惑っている段階だと思います。これは私見ですが、この世界を発展させる人たちは、下から上がっている新しい人種ではないでしょうか。最近はロケットをつくっているスタートアップ企業が多いですが、こうした新しい人種が、新しい技術を引っ張っていくという気がします。私も含め、上からの人たちは極めて保守的な考え方が多い。飛行機の場合は、落ちることが許されません。もし、不具合が見つかれば臨時対策、恒久対策と完璧を期す必要があります。
鈴木氏 確かにドローンを進めてきた人たちは航空機とは別の世界の人たちです。違う人種の人たちが進めてきたから、うまく進んできた側面もあります。しかし、空飛ぶクルマが人を乗せて飛ぶとなると、確実に安全を担保しなければなりません。これは上の世界の人たちの領域です。今後は、上の人たちと下の人たちをどうつないでいくのか、まさに今、大激論が交わされています。
宮川氏 私が三菱重工時代に有人機でやってきたのはシステムインテグレーションです。無人機を安全に飛ばすには、機体のシステムだけを見ていては不十分です。すぐに思いつくだけでも、無人機を最終的に確保するには、地上装置や通信インフラ、管制インフラ、法制、社会的受容性をどう調整するか、物理的な攻撃とサイバーの面でのセキュリティー、パイロット育成などの運用支援など、数々あります。もっと広い視野で、システムで支えていく必要があるのではないでしょうか。極論すると、機体が落下することを予め想定して、どのように安全安心をつくり、価値を享受していくのかという発想が重要になってきます。
鈴木氏 米国FAAでは小型航空機の型式証明の方式が最近大きく変化しました。コックピットの液晶パネルのような新しい技術を積極的に利用したいという理由からです。そこではパフォーマンスベースのルールが採用され、その性能の認証に、業界団体のコンセンサスで提案されたものが採用されるという劇的な変化が起きています。空飛ぶクルマの認証を従来の方法で行っていては非常に時間とコストがかかってしまいますので朗報とはいえますが、日本にそのノウハウがほとんど入ってないのが問題です。(後編に続く。PwCはドローンによる課題解決に力をいれていて「ドローン・パワード・ソリューション」のWEBページで情報を提供しています。ページ内でも本対談を御覧頂けます)
AAM(アドヴァンスト・エア・モビリティ)運航事業を手掛け、大阪・関西万博の運航事業者にも名を連ねる株式会社Soracle(ソラクル、東京)が、2027年中にも大阪・関西エリアで旅客運航を目指す計画を明らかにした。9月10日に大阪府、大阪市と連携協定を結んでおり、その席で計画を明らかにした。米Archer Aviation(アーチャー・アヴィエーション)のパイロット1人を含めた5人乗りのeVTOL型AAM、Midnight(ミッドナイト)を使うことを想定しているという。
Soracleは2026年にも大阪府内で実証飛行を実施し、必要な審査をふまえ27年にも大阪ベイエリアでの遊覧飛行などを始める。周回して出発点に戻る運航のほか、離陸地点から別の場所に移動する二地点間飛行も想定する。
大阪府と大阪市との連携協定は、ソラクルの事業環境を整えることや、運航網整備に必要なインフラ整備に向けた調査、制度の整備、関連ビジネスの展開支援などの事業環境整備に向けた取り組みを進める。締結式では太田幸宏CEOが、大阪に来れば全国に先駆けて空飛ぶクルマに乗ることができる未来を実現し、中長期的には関西・瀬戸内海地点を結ぶ観光体験を創ると抱負を述べた。
吉村洋文知事は「さまざまな課題はあろうかと思いますが、Soracleさんと協力し、大阪府・市も全面的に当事者として取り組むことで、2027年に商用運航を、そして大阪に来れば空飛ぶクルマに乗ることができるということをめざしていきたいと思います。大阪・関西から、空の移動革命を実現していきましょう」と述べた。
Soracleの公式発表はこちらにあります
スウェーデン航空ベンチャーJetsonは、同社が開発した1人乗り用のパーソナルeVTOL型AAM「Jetson ONE」を米カリフォルニア州で購入者に初めて納入したと公表した。引き渡しを受けたのは経験豊富な航空愛好家パーマー・ラッキー氏で、50分ほどの地上訓練を受けたのちその場で飛行に挑み、低高度での飛行を楽しんだ。同社が公開した動画にその様子が納められている。納品時にはJetson創業者兼CTOのトマシュ・パタン氏(Tomasz Patan)とCEOのステファン・デアン氏(Stephan D’haene)が開封と飛行前点検を手伝った。
Jetson ONEは機体重量が86㎏で、飛行そのものについて航空当局のライセンスの有無の制約を受けず、機体のトレーニングを受ければ引き渡しを受けられるウルトラライトクラスに当たる。同クラスのパーソナルAAMには、米LIFT Aircraft社の「HEXA」や米Pivotal社の「Helix」がある。
日本ではこのうちHEXAが2年半前の2023年3月に、大阪城公園でデモフライトを行っている。このさいAAMの普及に力を入れているGMOインターターネットグループ株式会社(東京)の熊谷正寿代表が、日本国内で日本の民間人とし初めて搭乗し、披露の様子を公開した。現在開催中の大阪・関西万博では「空飛ぶクルマ」のひとつとして飛行が披露された。
なお日本でのAAMの議論の中心は操縦士が搭乗して旅客運航する「商用運航」などが中心で、個人用AAMの導入環境に関する議論は大きな進展を見せていない。一方で米国で飛行経験を積むことはいまでも可能だ。
今回、米国で購入者に納品されたJetson ONEは、アルミとカーボンファイバーのフレームに8つのローターを備え、ジョイスティックで操作するタイプの機体で、最高速度102㎞で20分まで飛行できる性能が公表されている。主に個人利用向けの機体だが、救助訓練に参加した経験も持つ。ポーランドとスロバキアの国境にまたがるタトラ山脈では、ポーランド山岳救助隊(GOPR)と連携して緊急時を想定した訓練に2機のJetson ONEが2機用いられたことが今年7月に公表されている。ルバニ山(標高1211m)頂上など遠隔地への迅速対応ミッションを含む訓練で、目的地まで4分未満で到着するなど、現場に迅速に到着し、応急対応を実施したり、状況を把握したりする「ファーストレスポンダー」としての役割を果たす可能性を示した。
Jetson ONEは税抜きで12万8000ドルで注文を受け付けているが、2025年、2026年分の注文はすでにいっぱいになっている。
参考:GMO熊谷氏、HEXA搭乗し飛行を公開
参考:GMO熊谷氏にHEXA公開搭乗の理由を聞く
参考:米Pivotal、パーソナルAAM発売開始
ドローンショーの株式会社レッドクリフ(東京)が、フィンテックのフリー株式会社(freee株式会社)の活用事例に登場した。レッドクリフが搭乗したのはfreeeが提供しているプロダクト「freee販売」の活用事例で、ビジネスの急拡大に伴う業務管理の効率化に役立てていることが紹介されている。取引先の業務効率化をアピールすることが多いドローン事業者にとって、freeeの活用事例はモデルになりそうだ。またドローン事業者が他の事業者の活用事例に取り上げられることも今後、増えそうだ。
フリーが公表したレッドクリフの活用事例はこちらからみられる。
それによると、事業の急拡大で案件別の収支管理や、全体の把握、属人依存の管理に限界が見えてきた中で、それまでスプレッドシートに頼ってきた業務フローを見直しに着手した。freee販売の導入で、受発注データと原価情報を集約し案件ごとの収支把握が容易になり、部門を越えたデータ共有や、各部門がそれぞれの業務に集中できる態勢が整ったという。チェック漏れリスクの軽減と業務負担の軽減が同時に果たせ、人件費、立替経費、ドローンの減価償却費を案件単位で管理できるようになり、より正確な原価管理と利益把握が実現し、経営判断の精度向上にも繋がっている。
結果として、IPO準備に不可欠な「事業計画の妥当性」や「来期の成長性の蓋然性」をデータに基づいて説明できる環境ができたという。
ドローンの事業者も、取引先の効率化をソリューションとしてアピールする事例が多く、活用事例でも導入先の作業の時間短縮効果などが掲載されることが多い。一方で、導入先にとっては、その事例が解決したい課題の一部にすぎないことや、導入による新たな負担などが発生するケースもあり、活用事例のアピールの方法について、各者が試行錯誤している。
freee販売の活用事例では、汎用性の高い困りごとを取り上げていて、freee販売の商品性のアピールになるとともに、多くの企業にそのアピールの手法そのものが参考になりそうだ。
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が、ドローンによるマンション外壁点検の仕事を請け負うための力を養う講座「ドローン点検スペシャリスト育成コース<マンション外壁編>」の内容を解説する「講座ご案内ウェビナー」をJUIDAの公式ページ上で公開した。ウェビナーは7月に視聴者を募って行われ、講座は8月に開講した。現在も受講生を募集している。
「ドローン点検スペシャリスト育成コース<マンション外壁編>」は、JUIDA、マンション管理など不動産管理大手の株式会社東急コミュニティー、ドローンスクール運営の株式会社ハミングバードの3者が作った講座で、5月に公表し、6月に開催された展示会「JapanDrone」で3者そろって発表会に臨んでいた。3者は新たな講座のマンション外壁点検の現場で求められる実務を盛り込んだことと位置付けている。
マンション外壁点検でのドローン導入期待は高いものの、外壁点検の現場や実務を知るドローン事業者は多くない。マンションの管理組合などから点検業務を請け負うマンション管理事業者側にとっては、現場知識の乏しいドローン事業者にドローンでの点検を依頼すると、ドローン事業者が担うべき実務を一から伝えなければならず、手間、時間、コストの負担が大きい。これがドローンの導入を阻む要因になっていると言われている。このため講座を通じてマンション外壁点検に求められる実務の知識を習得することで、マンションの外壁点検現場へのドローン導入を後押ししようとする狙いがある。
公開された動画は、全体で50分弱。事務局のあいさつ、カリキュラム概要、受講料、受講会場など講座に関わる説明が27分ごろまで行われる。この中では、点検作業後に作成し、依頼主に納める報告書の重要性が強調されている。ドローン作業者には、報告書の重要性や、報告書に掲載するための画像の要件が講座で解説されることなどが伝えられている。
その後、事務局が設定した想定質問に、担当者が回答する一問一答が行われる。一問一答の中では、講座の修了生には必ず外壁点検の仕事があっせんされるのか、タワーマンションにも対応可能なのか、など受講判断に関わりそうな質問がいくつも盛り込まれていて、担当者の回答は、受講を検討者の参考になりそうだ。
高校生FPVドローンレーサー・山本悠貴選手が、9月13日にドイツで開幕する国際レース出場に向けてクラウドファンディングを実施中だ。山本選手をスポンサーとして応援している株式会社ドローンショー・ジャパン(金沢市)がプレスリリースで山本選手の活躍を紹介している。
山本選手は今年7月12日~13日にイタリア・アルビッツァーテで開催された「World Drone Cup Italy 2025」で予選を総合3位で通過してジュニア部門の決勝に進出した。山本選手としては初の決勝進出で、決勝でも4位入賞に食い込む活躍を見せた。なお、ジュニア部門ではすでに数々の大会で優勝経験を持つ日本の橋本勇希選手が優勝している。
山本選手は、2024年10月30日から11月3日まで中国杭州市のShangcheng Sports Centre Stadiumで開催されたドローンレースの世界戦主権「2024 FAI World Drone Racing Championship(WDRC)」で、橋本選手とともに日本からの5人の選手の一人として出場し、各選手の成績を集計した国別順位で日本代表チームが3位に導く立役者の一人となっている。 なお、イタリア大会で優勝した橋本選手は、中国杭州市の大会でも個人総合、ジュニア部門の2部門で優勝している。
ドローンショー・ジャパンのプレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000131.000080729.html?fbclid
イタリア大会結果詳細: https://fpvscores.com/events/0DNj73gpMX/results
山本選手の動画:https://youtu.be/1auUXebjYTc
<参考>中国大会で日本総合3位、橋本選手は個人総合、ジュニア部門の二冠:https://dronetribune.jp/articles/24276/
山本選手のクラウドファンディング:https://camp-fire.jp/projects/876711/view?utm_campaign=cp_share_c_msg_projects_show
ブルーイノベーション株式会社は9月3日、沿岸防災ドローンとして注目されている「BEPポート|防災システム」の解説動画を公開した。仙台市と千葉・一宮町に配備されたシステムは津波警報のさいに初出動したことをきっかけに、自治体からの注目度がさらに高まっている。
動画は7分弱。「BEPポート|防災システム」について、「災害発生時の初動を支援する次世代型ソリューション」と説明していて、主に自治体の防災担当者や関係者、協力事業者らを対象としているとみられる。
開発したブルーイノベーションの紹介、災害時の初動対応に求められる3要素などの説明があり、それらの説明をうけて、2分50秒ごろから具体的な説明に入る。Jアラートを受けてBEPポートが自動的にドローンに離陸を指示する仕組みなどが説明されている。
また終盤の5分ごろからは、7月30日の津波注意報、津波警報を受けて一宮町<千葉県>のシステムが初出動した模様を紹介している。
システムは一宮町と仙台市<宮城県>に設置していて、7月30日の津波注意報、津波警報を受けてそれぞれ出動した。
なおブルーイノベーションは、東京都立産業技術研究センターの「クラウドと連携した5G・IoT・ロボット製品開発等支援事業 公募型共同研究」に、同社が「BEPポート|防災システム」の活用を前提に提案した「自動離発着型ドローン多目的災害支援システムの研究開発」が採択されたことを9月1日付で発表している。孤立地域の状況調査、倒壊家屋の監視など災害現場で求められる機能を新規開発する計画だという。