配送電事業の中部電力パワーグリッド株式会社と(名古屋市)と、自動化支援の株式会社センシンロボティクス(東京)は8月6日、鉄塔のボルト脱落や錆の検出などリアルタイムで異常を検出するAIを中電PGの送電設備点検に導入することを決めた。両者が同日発表した。両者が共同で開発を進めてきたAIの機能を拡充させ、導入にこぎつけた。両者はドローンを使った送電設備自動点検アプリケーション「POWER GRID Check」を2021年から運用している。このアプリに今回開発したAIを2024年度中に実装させ、ドローンで取得した画像から判定までを自動化する方針だ。
中電PGとセンシンが開発したAIには、ダンパやスペーサなどの電線付属品の異常や、鉄塔のボルト脱落、錆の発生などを検出する機能が追加された。鉄塔の種類や塗装ごとに学習しており複数の種類の鉄塔に対応する。錆については、発生度合いに応じたランク付け機能も持つ。
今後、変電設備の保守業務にも活用できるよう開発を継続する方針だ。
両者の発表は以下の通りだ。
株式会社センシンロボティクス(本社:東京都品川区、代表取締役社長 CEO:北村 卓也、以下「センシンロボティクス」)と中部電力パワーグリッド株式会社(本社:愛知県名古屋市、代表取締役 社長執行役員:清水 隆一、以下「中部電力パワーグリッド」)は、これまで共同で送電設備異常を自動で検出するAIを開発してまいりました。
このたび、新たにリアルタイム異常検出における対象範囲の拡大および鉄塔ボルト脱落・錆検出に関するAIを開発し、本日、中部電力パワーグリッドが保有する送電設備の点検での導入を決定いたしましたのでお知らせいたします。
センシンロボティクスと中部電力パワーグリッドは、ドローンを用いた送電設備自動点検技術を共同開発し、この技術を架空送電設備の保守業務に特化した業務アプリケーション『POWER GRID Check』に実装し、2021年から現場運用を開始しています。この技術により、高度な操縦スキルを必要とせず、自動かつ高品質な設備の点検、撮影が可能となりました。一方、取得した画像の確認は作業員の目視で実施しており、多大な労力を要するとともに、異常個所の判定は個々の作業員の経験に基づく判断に委ねられていました。
このため、画像解析による異常箇所を検出するAIを開発し『POWER GRID Check』に実装することにより、ドローンによる画像取得から異常判定までを自動で実施することが可能となりました。
【技術確立成果】
◾️リアルタイム異常検出AI
公衆保安確保の観点から、第三者に対し災害の発生する恐れのある異常は早急に発見する必要があります。これまで、手元のモバイルデバイスに伝送されるドローンのリアルタイム映像(ライブストリーム映像)をもとに、「電線」の素線切れ・溶損や、「がいし」の破損・欠けといった異常をリアルタイムに検出するAIを開発し、2023年度からすでに現場運用を開始しておりますが、今回、新たに電線付属品である「ダンパ」※1の重錘脱落や、「スペーサ」※2の把持部外れ等をリアルタイムに検出するAIを開発しました。
※1 電線の振動や着雪の成長を抑制するための装置
※2 電線相互を規定の間隔に保つための装置
◾️鉄塔ボルト脱落・錆検出AI
鉄塔に関する異常について、「ボルト」の脱落や「鉄塔錆」を検出するAIを新たに開発しました。鉄塔種別(アングル鉄塔、パイプ鉄塔の2種)と鉄塔塗装色(未塗装、防錆塗装(グレー)、航空標識塗装(赤白)環境塗装(茶色)の4種類)別に学習・評価を実施しているため、様々な種類の鉄塔の異常を検出することができます。
「鉄塔錆」検出については、錆の度合いに応じたランク分類も可能です。
【今後】
今回、新たに開発した「ダンパ」「スペーサ」「ボルト」「鉄塔錆」に関する異常検出AIは、2024年度中に『POWER GRID Check』への実装を行い、現場運用を開始します。異常検出結果は、『POWER GRID Check』上に強調表示され確認することができます。開発したAIモデルは今後も精度向上に向けた継続的な学習が必要となるため、ユーザーのフィードバックを元に、再学習やアルゴリズムの再選定を行い、AIを高性能化するスキームを構築します。
また、変電設備への業務適用も視野に共同研究開発を行っており、変電業務向けに確立した「計器指針検出AI技術」に関しても『POWER GRID Check』への実装を来年度以降で予定しています。送電設備だけでなく変電設備の保守・保全業務も担えるアプリケーションへと開発を進めていき、引き続き一般送配電事業全体への適用を目指してまいります。
『POWER GRID Check』とは
センシンロボティクスと中部電力パワーグリッドが共同研究にて開発した技術をベースとした、ドローンを活用した送電設備点検アプリケーションです。鉄塔(支持物・がいし)と送電線(架空地線・電力線)を一括で自動点検できることが特徴で、ドローンと設備の間の安全な離隔距離を確保したうえで、自動航行により均一したデータ取得を行い、ドローンに関する特別な知識を持たない作業員でも簡単に送電線点検業務を実施することが可能です。
GMOインターネットグループ(東京)は6月18日、100%子会社としてGMO AI&ロボティクス商事株式会社(GMO AIR=ジーエムオーエアー、東京)を設立した。GMOが高いシェアを持つインターネットのインフラサービス、金融、AI活用ノウハウをベースに導入や活用のコンサルティングなどのサービスを提供し、開発事業者とユーザーとをつなぐ。事業を通じて急速に進むと見込まれるAIとロボットの融合を支え日本経済で予見される課題解決を目指す。都内で開かれた発表会には株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク(JIW、東京)、イームズロボティクス株式会社(南相馬市<福島県>)など国内外の事業者が開発または運用する8基のロボット、ドローンも登場し発表に花を添えた。
発表は東京・用賀のGMOインターネットTOWER(世田谷ビジネススクエア)で行われた。
新会社GMO AIRは、AI活用コンサルティング、AI人材育成、AI導入支援、ロボット・産業用ドローン導入・活用支援、メンテナンスなど技術、ノウハウ、金融のサービスを提供し、国内外のAI関連企業、ロボットメーカー、産業用ドローンメーカーとユーザーとをつなぐ。自社開発はせず、開発事業者の事業を支えることで日本のAI、ロボットの融合を促す。
キャッチコピーとして「AIとロボットをすべての人へ。」を掲げて活動する。資本金は1億円。年内をめどに売上高などKPIの策定を目指す。当面は「お客様の声に耳を傾けることに集中する」方針だ。事業は開発したプロダクトを市場に投入するプドダクトアウト型のスタイルではなく、需要に応じてプロダクトを開発して提供するいわゆるマーケットイン型をとる。同社の公式サイトも同日、公開された。
役員構成はGMOインターネットグループ株式会社でグループ代表を務める熊谷正寿氏が会長に、グループ常務執行役員の内田朋宏氏が代表取締役社長に就任するなど7人が役員をつとめる。また千葉工業大学未来ロボット技術研究センター所長の古田貴之氏、東京大学大学院教授の松尾豊氏ら4人が顧問、専門家4人がアドバイザーとして支える。AIをフル活用することで社員数は「必要最小の人数で運営」(内田社長)する方針だ。
新会社GMO AIRの果たす役割については、同社会長でグループ代表である熊谷正寿氏が「縁結び」と説明した。その中で熊谷氏は「AIとロボットは相思相愛です。今後は急速に融合します。AI産業はかつてテキストだけ、画像だけなど単一のデータ処理に特化していましたが、現在は、音声も動画も核種センサーのデータも取り込むなど複数のデータを統合して処理するマルチモーダルAIとして発展しています。ロボット産業もかつてはプログラムされた動作の繰り返しに特化してきましたが、今後はAIの搭載で自律学習し環境に適応して動き目標を達成することを目指しています。両産業の融合にはインターネットインフラと通信が必要です。われわれは30年間、接続、ドメイン、クラウド、SSL、決済、セキュリティ、データセンター、メンテナンスなどインターネットインフラに携わってまいりました。そこで私たちが両産業の縁結びをします」と述べた。
説明の中では、縁結び方法の一例として、ロボット、産業用ドローン、AI機材の購入者の立場を紹介した。高額機材は現金で一括購入するケースは考えにくいため、レンタル、ローン、リース、助成金活用などでGMOグループが金融サービスで培ったノウハウの活用場面が生まれる。また業務効率化についても、GMOが11年前から進めてきたAI活用で1カ月間で10万6000時間の業務削減した実績、年間18億円のコスト削減を達成した実績がノウハウとして付加価値になると見込んでいる。そのうえで、「インターネットのインフラ商材、インターネットの金融サービス、AI活用ノウハウの3つの付加価値を自社グループのサービスとして提供できる」ことを、差別化ポイントに掲げた。
中長期的にインタラクションデータのプラットフォーム構築を目指すことも表明した。ロボットに搭載されたAIが、学習していない作業に直面しても解決策を見出だせるAGI(汎用人工知能)、人間の知能を超えたレベルの知能を持つASI(人工超知能)に進化することを展望し、「そうなればユーザーはロボットを購入するのではなく必要な時にロボットの機能を利用するようになる。ビジネスはロボットの物販ではなく人材派遣と同じビジネスモデルに変化します」(熊谷グループ代表)と見通した。
発表会には脚型ロボットを含む8基が「応援のため」に会場にかけつけステージを彩り、一部はデモンストレーションを披露した。
JIWはアームを備えて移動するアバターロボットとAIドローンSkydioの機体を融合させた「ugo+drone(ユーゴープラスドローン)をデモンストレーションし、ドローンの離着陸も実演した。JIWはGMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社(東京)が提供するAIによる画像認識サービス「hakaru.ai」(ハカルエーアイ)を利用していることも紹介された。イームズロボティクスは第⼀種型式認証を取得した「イームズ式E600-100型」を持ちこみ、ステージ上で展示した。
また顧問に就任した千葉工業大学未来ロボット技術研究センター所長の古田貴之氏も、開発した脚型ロボットを実演。目隠しされた状態と同じ状況で、「前進」の指示で段差をのぼったり、落ちても態勢を立て直したりしてみせた。古田氏は「これからのロボットの考え方ですが、ロボットに AI を与えるのではなく、育てたAIにボディを与えることが重要。パソコン開発の主役がハードウェアの作り手からソフトウェア開発者やクリエイターに移ったように ロボットの普及には、搭載するAIを含むソフトウェアベンダー、サービスプロバイダーに移ります。GMO AIRはそれを担う唯一無二の会社です。この会社の設立は時代の転換点です」と述べた。
会見に先立ち投影されたプロモーション動画もすべてAIで作られ、エンドロールには、脚本、映像、ナレーション、ディレクションがすべてAIと映し出された。最後に「Produced by Humans」と映し出し、人の意志をAIがサポートする様子を象徴した。
また、顧問に就任した東京大学大学院の松尾豊教授もビデオメッセージを寄せ、「AIロボットに関して、技術データとお金の流れをつなぐ商社機能が大変重要であると以前から思っておりました。日本ではこうした機能が十分でないと思っていたのですが今回新しい会社がまさにその部分を実現されようとしているということで大変楽しみにしております」と期待を寄せた。
(GMOによる設立案内は以下の通り)。
GMO AI&ロボティクス商事株式会社設立
AIとロボットをすべての人へ。
”すべての人にインターネット”をコーポレートキャッチに、インターネットインフラ、広告、金融、暗号資産事業を展開するGMOインターネットグループ(グループ代表:熊谷 正寿)は、2024年6月18日(火)に、GMO AI&ロボティクス商事株式会社(以下 GMO AIR)を設立しました。これにより、AIとロボット・ドローンの導入・活用支援を軸とした新たな事業を開始します。
GMO AIRは、「AIとロボットをすべての人へ。」を掲げ、AIおよびロボットの普及・拡大を図り、社会課題を解決することですべての人の笑顔と感動を創出してまいります。
・【事業概要】
GMO AIRは、世界中のネットワークを駆使して国内外からロボットを調達するだけでなく、GMOインターネットグループが30年来培ってきた インターネットインフラ商材 (ネット接続、ドメイン、クラウド、SSL、決済、セキュリティ、データセンター、メンテナンスなど)をあわせて提供します。また、 金融事業 の強みを活かし、レンタル、リース、ローン、保険、助成金の活用支援などのサービスも展開します。さらに、2013年から進めているAIの研究・活用を基に、月間10万6千時間の業務削減や年間18億円のコスト削減を実現する AI活用ノウハウもお客様に提供します。
GMO AIRは、これらの商材とサービスを通じて、お客様に包括的なソリューションを提案する AIとロボットの総合商社 を目指します。
1.AI導入・活用支援
お客様の業務に最適なAIソリューションを提供し、業務効率の向上と生産性の最大化を実現します。
・コンサルティング&ソリューション
GMOインターネットグループのエキスパートにより、AIの導入から活用までをトータルでサポートします。それぞれの課題解決に向けたコンサルティングと最適なソリューションをご提案します。
1. AI導入コンサルティング
2. データ分析・予測サービス
3. 業務自動化ソリューション
4. AIシステム開発
5. AIセキュリティ
・製品販売&インテグレーション
クラウドベースのAIプラットフォームの提供や、AI搭載ソフトウェア・サービス、AIの処理に最適化されたハードウェアの販売やレンタル、ロボットシステムのインテグレーションを提供します。
1. AIプラットフォーム提供
2. AI搭載ソフトウェア・サービス
3. AIハードウェア販売・レンタル
4. ロボットシステムインテグレーション
・教育&リサーチ
GMOインターネットグループは、これまで約7,800人のパートナー(従業員)に対しAI活用を促進し、非エンジニアに対するリスキリングを推進することなどを通して、月間で10万6千時間の業務時間削減を実現し、2024年度は18億円のコスト削減を見込んでいます。このような、これまで培ったAI活用のノウハウを皆様にご提供し、AI人財の育成のお手伝いをいたします。また、GMOリサーチ&AI株式会社による最新のAI動向のリサーチなども可能です。
1. AI人材育成
2. AIリサーチ・情報提供
・スタートアップ支援&エコシステム形成
GMOインターネットグループで投資事業を展開する、GMO VenturePartners株式会社や、GMO AI&Web3株式会社を通じ、世界中のAI、ロボット企業への出資・支援を実施し、AIのエコシステム形成も進めてまいります。
1. AIスタートアップ支援
2. AIエコシステム形成
2.ロボット、ドローン導入・活用支援
ロボットやドローンの導入から活用までをトータルでサポートし最適な機器選定、設置、運用を支援します。
・提案するロボットの例
・ アーム型 :組み立て、溶接、塗装、搬送、ピッキング、検査 等
・ 人間型(ヒューマノイド) :接客、案内、介護、災害援助、エンターテイメント 等
・ 多脚型(クローラ型含む) :警備、パトロール、災害救助、測量、農業 等
・ 車輪型: 移動、搬送、案内、警備、点検 等
・ クローラ型: 建設現場、災害現場、農業、プラント設備点検 等
・ ドローン・飛行型: 空撮、監視、検査、物流、農薬散布、災害対応 等
詳細:URL:公式サイト https://ai-robotics.gmo/
■GMO AIRのビジネスモデル図
・【将来ビジョン】
「インタラクションデータプラットフォーム」の構築と、「金融サービス・LaaS合弁設立(融資、IPO支援、助成金活用支援・Labor as a Service コンサル)」を国内外のロボットメーカー、産業用ドローンメーカーに提供することを目指しています。ロボットやドローンから得られる行動や観測のデータ(インタラクションデータ)を、高精度で安全性、信頼性の高い全体データとしてまとめ、国内外のロボット・産業用ドローンメーカー、AI関連企業にフィードバックします。これは、AIとロボット産業発展の大きな基盤になると考えています。
【新会社設立の意義】
AIロボット市場はCAGR(年平均成長率)で38.6%の増加が見込まれ、2021年の69億米ドルから、2026年には353億米ドルの規模に成長すると予測されています。(※1)これはGPUの進化などによるAIの加速度的進化に伴い、AIと親和性が高いといえるロボットの開発も急速進んでいくことを表しています。
GMOインターネットグループは、約55年周期で産業革命が進行していると考えています。1995年をインターネット革命の始まりと捉えると、29年経過した2024年はインターネット革命の後半戦に入っていると言え、ここでの主人公は「AIとロボット」になると確信しています。
そのような中、生成AIの利用に慎重な人はいまだ多いというデータもある一方(※2)、今後の日本は2040年には働き手が1,100万人不足(※3)するとの予測も出ています。このようなデータから予見される近未来の状況を打破し日本経済の成長を促すため、AIとロボット、産業用ドローンの国内普及を後押しする目的でGMO AIRを設立するに至りました。
(※1)人工知能ロボットの市場規模、シェア、業界の成長、動向、分析(2030年)
(※2)勤務先での生成AI活用に対して肯定的な人は否定的な人の2倍以上 | GMOリサーチ&AI調べ
https://www.gmo.jp/news/article/9016/
(※3)書籍「「働き手不足1100万人」の衝撃」(古屋星斗 著/リクルートワークス研究所 著)
(GMOが発表した記者会見レポートは以下の通り)
GMO AI&ロボティクス商事株式会社 設立記者会見を実施
~グループ代表熊谷による挨拶のほか、最新の人型ロボット等8体も集結!~
”すべての人にインターネット”をコーポレートキャッチに、インターネットインフラ、広告、金融、暗号資産事業を展開するGMOインターネットグループ(グループ代表:熊谷 正寿)は、2024年6月18日(火)に、GMO AI&ロボティクス商事株式会社(URL: https://ai-robotics.gmo/ 以下 GMO AIR)の設立記者会見を実施しました。当日は、全8体のロボットやドローンが集結したこれまでにない記者会見となりました。
オープニングではすべてAIによって制作された映像を放映し、GMOインターネットグループが考える、AIとロボットが活躍する近未来のイメージを、ご来場いただいた皆様にご覧いただきました。(URL)
そして、グループ代表の熊谷 正寿からのご挨拶と今後の展望、GMO AIRの代表取締役社長に就任した内田 朋宏から新会社の概要説明が行われました。
また、東京大学大学院の松尾 豊教授から、新事業に対してのビデオメッセージを頂戴し、千葉工業大学未来ロボット技術研究センター所長の古田 貴之氏による、AIを搭載したロボットのデモンストレーションが行われました。
GMO AIRは、「AIとロボットをすべての人へ。」を掲げ、AIおよびロボットの普及・拡大を図り、社会課題を解決することですべての人の笑顔と感動を創出してまいります。
【GMOインターネットグループ グループ代表 熊谷 正寿】
GMOインターネットグループは、AI関連企業、ロボットメーカー、産業用ドローンメーカーとお客様をつなぐ商社「GMO AI&ロボティクス商事株式会社(GMO AIR)」を設立しました。
日本社会が2040年には働き手が1100万人不足し、生活維持サービスの崩壊が懸念される中、AIとロボットの普及が解決策の一つとされています。AIとロボットは相思相愛です。GMO AIRは、AI産業とロボット産業の融合を見据え、インターネットインフラ商材、金融サービス、AI活用ノウハウの3つの強みを活かし、包括的なソリューションを提案する「AIとロボットの総合商社」を目指します。将来的には、ロボットの行動・観測データを活用した「インタラクションデータプラットフォーム」の構築や、ロボットの販売方法が「物販型」から「人材派遣型(LaaS/RaaS)」に変化することを見据えています。
GMOインターネットグループは、GMO AIRを通じて、AIとロボット、産業用ドローンの国内普及を後押しし、日本経済の成長に貢献していきます。
【GMO AI&ロボティクス商事株式会社 代表取締役社長 内田 朋宏】
本日、新会社「GMO AIR」を設立しました。株主はGMOインターネットグループ100%で、AI・ロボット導入支援サービスを提供します。
役員には、グループ代表の熊谷をはじめとする7名が就任し、ロボット・AI・法律の専門家も顧問として迎えています。サービスメニューは「AI導入・活用支援」と「ロボット・ドローン導入・活用支援」の2つで、お客様の課題をお聞きし、最適なソリューションを提案します。 特に、AIの活用方法がわからない企業への提案や、グループ内での実績を活かしたAI人材育成などのニーズが高いと考えています。
このようにGMOインターネットグループの総合力を駆使して、お客様・AIロボット産業に対する付加価値貢献を、GMO AIRで加速してまいります。
【千葉工業大学 未来ロボット技術研修センター所長 古田 貴之氏】
今日は、AIとロボットが作る未来についてお話します。私たちは長年、AIとロボットの融合を研究開発してきました。しかし、今日お話しするのは、ロボットそのものではなく、AIについてです。これから重要なのは、ロボットにAIを与えるのではなく、育てたAIにボディを与えるということです。
私は、今日を時代の転換点だと考えています。これまで、ロボット研究者やメーカーがロボットを作ってきました。しかし、それではロボットは真に普及しません。主役はソフトウェアクリエーターやサービスベンダーになります。彼らによって、ロボットは真にビジネスとして普及していくと信じています。ロボットはAIにボディを与えるための存在となり、AIが実社会で活動するためのインターフェースとなるのです。
さらに、自動運転などにおけるネットワークのハッキングは大きな問題です。ネットワークの問題、そしてリースや保険といった現実的な問題をクリアしてこそ、ロボットは社会に普及します。
今日という日は、多くのロボットが世に送り出され、大きな発展を遂げる、まさに時代の転換点となるでしょう。
【東京大学院教授 松尾 豊氏】(ビデオメッセージ)
今回新たにGMO AI&ロボティクス商事株式会社の顧問も担当することになりました。技術データとお金の流れをつなぐ”商社の機能”はとても重要ですが、日本では不足していると感じていました。この新会社がその部分を実現しようとしていることに非常に期待しています。生成AIの進展により、AIロボットの領域は急成長するでしょう。そして、実世界のインタラクションデータを共有するプラットフォームの意義も大きいです。この取り組みが日本や世界全体の発展に寄与することを期待しております。
【登壇ロボットの紹介】
記者会見の会場には、8体のロボットが集まり、それぞれをご紹介いたしました
ドローンで精密農業を推進するドローン・ジャパン株式会社(東京都千代田区 勝俣喜一朗代表取締役)は4月14日、「ドローンワインプロジェクト」の説明会を開き、プロジェクトの開始を宣言した。説明会では勝俣社長、春原久徳会長が概要や経緯を説明したほか、技術開発で協力している郭威東京大学特任准教授、ワイン輸入を手掛ける株式会社フィラディス(横浜市)や賛同する南仏のワイン生産者が登場し、プロジェクトで開発した新技術や、賛同生産者のブドウを使って生産したワインの発売を発表した。
「ドローンワインプロジェクト」は、ドローン・ジャパンがコメづくりなどで培ってきた、肥料や農薬に依存しない精密農業技術を、ワインブドウの栽培やワインの生産に応用する取り組みだ。うまくいけば施肥の最適化などが実現するが、実際には、雑草とブドウとの区別を画像で見分けにくいなどの課題が横たわる。この日の説明会では、AIとドローンを使った精密農業の技術の一環として、新たに雑草とブドウを見分ける技術を開発したことが発表された。東大の郭特任准教授は「3次元の圃場データで地面とワインブドウとを区別できるようになりました」と技術を解説した。生産者からは、「ブドウ樹と雑草との区別分布」、「ブドウ畑の地力分布」などへの期待が表明され、農薬や肥料に頼らない農業で生産されたブドウを原料にしたワインの生産への道筋を示した。
ドローン・ジャパンの勝俣喜一朗代表は、「この技術を活用してひとりでも多くのワイン用ブドウの有機栽培生産者を増やせればいいと思い、このプロジェクトをたちあげました」と、プロジェクトへの思いと目標を述べた。
プロジェクトに賛同する南仏の生産者の畑から収穫されたブドウの一部を原料にしたワインの発売も発表された。発売されたのは2020年のヴィンテージワイン、「ビコーズ, アイム シャルドネ フロム サザンフランス」(オープン価格。ただし参考実勢価格は1500円)と、「アッサンブラージュ ブラン 2020」(1529円税込、成城石井HP)。年間でビコーズは3万5千、アッサンブラージュは3万本の出荷を予定しているという。
アッサンブラージュの生産農家、フィリップ・フェザス氏は説明会で生産の概要や大学との共同研究などに言及したうえで「これまでの25年間の変革が正しかったのか確認をする時期にきている」と自信の生産活動が節目を迎えていると述べ、「ブドウ畑のうち自分の目で確認できるのは5%ぐらいですが、ドローンを使うと100%確認できます。日本の食卓にあうものを生産することを心掛けていますが、ドローン・ジャパンの技術は、さらに高みをめざせるという点で有意義です」などと述べた。
またビコーズの生産農家、ベルナルド・カマン氏も「生産には与える水の量、時期などの最適化を判断します。さまざまな実験をする中でドローンは最終的な決断をするのに有効でした。また新技術の解析結果は、栽培方法を選択するうえで役立つ大発見でした。ドローンは小型で、安価で、短時間を実現します。半日の飛行で緻密なデータを提供してくれます。今後、最適化ができると期待しています」などと話した。
ビコーズを輸入している株式会社フィラディスの石田大八朗代表取締役も「おいしいワインづくりには(畑の)地の力を最大限に使うことが必要不可欠です。今回の新技術は有機農業の発展と生産の低コスト化に大きく貢献すると思います」と期待した。
ドローン・ジャパンは今後、このプロジェクトを進めるためのパートナーを募集するとしている。
ドローン・ジャパンが説明会の当日に公表したプレスリリースは以下の通り。
(以下、引用)
2022年4月14日
ドローン・ジャパン株式会社
「ドローンワインプロジェクト」開始
〜「ドローン&AI」を活用した“農薬・化学肥料に頼らない栽培支援技術”を開発。
その技術を発展させ、「ひとりでも多くのワイン用ブドウの有機栽培生産者を増やす」ことを目指す活動〜
ドローンに装着する様々なカメラで「農作物」を上空からから撮影、その撮影画像を AI 解析することで「その作物の生育状況」を判断し農業に役立たせる技術が今世界で広がりつつあります。
ドローン・ジャパン株式会社(*1)(所在地:東京都千代田区 代表取締役:勝俣喜一朗)は、2020 年より南仏のワインの生産者の協力を得ながら「ドローン&AI」を活用し、“農薬・化学肥料に頼らない栽培支援技術”として、テロワール(ワインぶどう畑)の見える化を「ブドウ樹と雑草との区別分布」、「ブドウ畑の地力分布」にして表現する技術を開発しました。
そして、その技術を活用・発展させ、「ひとりでも多くのワイン用ブドウの有機栽培生産者を増やす」ことを目指す活動をこの度「ドローンワインプロジェクト」と称し開始します。
また、協力生産者の畑から収穫されたブドウの一部を原料にした、2020 年のヴィンテージワイン、「ビコーズ, アイム シャルドネ フロム サザンフランス」(株式会社フィラディス輸入(*2)(所在地:神奈川県横浜市 代表取締役:石田大八朗)と、「アッサンブラージュ ブラン 2020」(株式会社成城石井輸入(*3) (所在地:神奈川県横浜市 代表取締役:原昭彦)が、それぞれ本日、販売開始されます。
ドローンワインプロジェクト:Landing Page: https://www.dronewine.net/
紹介 VIDEO: https://youtu.be/SW1jZaXhUzw
1. ドローンワインプロジェクトとは(=SDGs 15 陸の豊かさ)
気候変動に影響を及ぼしているとされる「農薬と化学肥料の過剰な使用」を食い止め減少させてゆくことは、
SDGs の観点から農業分野が取り組むべき緊急かつ大きな課題です。その課題解決策として、農薬と化学肥料を最小限もしくは使用しない農業のための“技術開発”が求められています。
(参照:農林水産省 「みどりの食料システム戦略」 https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/midori/index.html)
そこで、ドローン・ジャパン社はフィラディス社と成城石井社が既に輸入・販売しているフランスのワインの生産者の協力のもと「ドローン&AI」を活用した農薬・化学肥料に頼らない“栽培支援技術”(栽培の有機化を支援する技術)を開発しました。
・なぜフランス?
2,000 万 ha にも及ぶ農地を誇る農業大国フランス。現在、フランスの有機栽培農地の割合は全体の 10%であるのに対し日本国内はまだ 0.5%ほど。フランスでの化学肥料の年間使用量は農地規模比率で日本より 40%少ないとされています。(参照:総務省「世界の統計 2021」https://www.stat.go.jp/data/sekai/pdf/2021al.pdf)
日本の政府目標である“2050 年に有機栽培農地比率 25%(現在から 50 倍)”に向けた取り組みにおいてフランス農業は日本が目指すべきロールモデルとなり得えます。
・なぜワイン用ブドウ?
フランスにおいて全農地のうち最大の面積を占めるのがワイン用ブドウ畑。その有機栽培支援技術を「ドローン&AI」でダイナミックに研究・実証・開発してゆくことが、今後日本の農地、ひいては世界の有機栽培比率を上げる大きなヒントとなると考えます。
・ドローンワインプロジェクトとは、
「ひとりでも多くのワイン用ブドウの有機栽培生産者を増やす」ことで「SDGs 15 陸の豊かさ」を推進するプロジェクトです。
2.現時点において当プロジェクトで開発した「ドローン&AI」技術について
ドローンの「自律航行方法」「カメラの種類と設定」から「解析手法」まで様々なパターンを試行し、その解析結果を生産者に実際のワイン用ブドウの生育状況と比較検証してもらいながら、テロワール(ワインブドウ畑)の見える化を実現しました。特に、下記2点の技術については生産者からも高い評価を得られています。
ドローンで撮影した画像を色とあわせ 3 次元情報を加えることで、「ブドウの葉と雑草の区別分布」を可能にする新たな AI 画像解析技術。この分布図は雑草と“共生”するワイン用ブドウの栽培に活用でき、農薬・化学肥料を少なくすることに役立ちます。
ワイン用ブドウの樹勢の生育期ごと「形・色・大きさ」を学習、AI 画像解析することで地力分布図をつくる技術。この地力分布図から精密な肥料設計・計画が可能となり、化学肥料を少なくすることに役立ちます。
3. 生産者(南仏)のその具体的な活用
―フィリップ フェザス氏:ガスコーニュ地方、成城石井社取り扱い生産者
「ブドウ樹と雑草との区別分布」を農薬・化学肥料を少なくする雑草と共生する栽培に活用
(インタビュー動画 https://youtu.be/RPnIuZpebMA)
―ベルナルド カマン氏:ラングドック地方、フィラディス社取り扱い生産者
「ブドウ畑の地力分布」を参考とした「精密施肥」で化学肥料を少なくする栽培に活用
(インタビュー動画 https://youtu.be/AOolkyb4ybM)
4.ドローンワインプロジェクトの協賛パートナー フィラディス社 社長 石田大八朗のメッセージ
(インタビュー動画 https://youtu.be/BNnfAedBf8w)
5.今後の目標と取り組み
2050 年に日本国内の有機栽培面積を 25%に飛躍拡大させていくことを支援する「ドローンによる AI 画像解析技術」を開発・発展させていきます。また、「ドローンワインプロジェクト」を拡大させるために応援いただく方々を募り、この技術を活用するワイン用ブドウの有機生産者・有機圃場を増やしていくことに取り組んでまいります。
<*(1)~(3) の説明>
*(1)ドローン・ジャパン株式会社 http://www.drone-j.com/
ドローンワインプロジェクト Page にて詳細 https://www.dronewine.net/
*(2)株式会社フィラディス
プレスリリース https://firadis.co.jp/news-release_dronewine/
*(3)株式会社 成城石井
アッサンブラージュ ブラン 2020 https://www.seijoishii.com/d/83492
九州電力株式会社(福岡市)とIT事業の株式会社オプティム(佐賀市)は4月5日、ドローンとAI解析技術を組み合わせた点検技術を、九州電力のダム遮水壁点検業務に活用し、点検時間の短縮、劣化判断基準の均一化、損傷の見落とし防止などの効果を確認したと発表した。今後、このサービスの事業化も視野に、知見の蓄積を進める。
九州電力株式会社と株式会社オプティムの発表は以下の通り。
九州電力株式会社と株式会社オプティムは、ドローンとAI解析技術を活用したインフラ点検DXにより、九州電力のダム遮水壁点検業務において高度化・効率化を図り、高精度な設備異常検知及び大幅なコスト削減を実現しました。
これは、九州電力がドローン測量で使用している独自の自動操縦プログラム(特許第6902763号)を傾斜のあるダム遮水壁の壁面撮影に活用し、オプティムが開発したAIによる画像解析を組み合わせることによって、1センチメートル単位でダム遮水壁のひび、表面保護層の塗布の剥がれ等の損傷を確認できる高精度な設備異常検知を可能にしたものです。
これにより、点検時間の短縮化、劣化判断基準の均一化が可能となり、さらには経年劣化状況の可視化機能により損傷の見落としを防ぐことで、点検業務の高度化・効率化を実現し、点検業務に掛かるコストを約40%削減することができました。
今後は、社外へのサービス展開も視野に入れ、本点検データを蓄積することで、過去の点検データとの比較により将来的な経年劣化を予測する技術を開発し、AIによる最適な保修スケジュール作成管理機能の実装を目指します。
(1)九州電力
商号: 九州電力株式会社
URL: https://www.kyuden.co.jp/
本社: 福岡市中央区渡辺通二丁目1番82号
代表者: 代表取締役社長執行役員 池辺 和弘
設立: 1951年5月1日
資本金: 2,373億円
事業内容: 電気事業、エネルギー関連事業、情報通信事業、その他の事業
(2)オプティム
商号: 株式会社オプティム
URL: https://www.optim.co.jp/
佐賀本店: 佐賀県佐賀市本庄町1番地 オプティム・ヘッドクォータービル
東京本社: 東京都港区海岸一丁目2番20号 汐留ビルディング18階
代表者: 代表取締役社長 菅谷 俊二
設立: 2000年6月8日
資本金: 444百万円
事業内容:(IoTプラットフォームサービス、リモートマネジメントサービス、
サポートサービス、その他サービス)
ドローン関連技術の研究開発を手掛ける株式会社ロックガレッジ(茨城県古河市)は、ドローン、AI、MRを組み合わせ、災害時の捜索活動で迅速、確実な遭難者発見を支援する技術を開発し、1月8日、福島県南相馬市の福島ロボットテストフィールドで実証実験を行った。実験では自動飛行したドローンが人影を検知すると、参加者が装着するウェアラブルディスプレイに人の形をした半透明の3Dオブジェクトの映像で浮かび上がる様子が披露され実験の見学者、参加者をうならせた。映像は複数のディスプレイに同時に投影することが可能で、複数の捜索隊員がディスプレイを装着すれば、見過ごしや伝言ミスなどの見逃しリスクの解消にも期待が高まる。
実験は、福島ロボットテストフィールドの市街地を再現した「市街地フィールド」で行われた。想定したのは、津波などで周囲に水があふれ、住民1人がビル屋上に避難し救助を待っている状況だ。ビルの外から屋上の避難者は確認できない。
実験開始後、ドローンがビルから離れた場所で離陸し自動飛行でビルに向かった。ドローンのカメラがとらえた映像はサーバーに送られAIで解析される。参加者とスタッフがウェアラブルディスプレイを装着しドローンを目視で追った。ドローンがビル上空にたどり着くとしばらくして、ドローンを見上げていた視界に、ドローンがとらえた画像と、人の形をしたオブジェクトが浮かび上がった。画像は枠で囲まれ、そこから延びる引き出し線が、ビルに伸び検知した場所を示した。また、表示には「倒れている」と検知した人の様子を文字でも表示した。情報は、ディスプレイ装着者全員が共有しており、隊員同士では「出ましたね」で通じる。視野を共有できれば捜索現場で「今、人影を検知しました」「あのビルのあそこです」など言葉で伝達する手間と誤解リスクを省ける。視野が共有できる安心感を体感できた。
試験は昼間に3フライト、日没後に2フライト行われた。日没後もドローンは自動飛行し、AIは人影を検知し、MRは検知結果を映像としてディスプレイに表示した。
ロックガレッジの岩倉大輔社長は今回の実験した技術について「コンセプトは“未来の捜索”です。未来の捜索では、捜索隊がウェアラブルデバイスを装着し、要救助者を肉眼で直接確認することができなくても、そこにいることを把握できるものと考えています」と説明した。
この技術が求められる背景について、岩倉氏は大規模自然災害では、足場が悪いなど捜索隊の現場入りが困難だったり、現場入りする捜索隊の安全を確保が難しくなったりすることがあることや、捜索を始めるとすぐに夜になり活動の中断を余儀なくされもどかしさを感じる声があること、ドローンが取得した情報を分かりやすく共有する必要があることなどを挙げ、「生存率が下がってしまう被災後72時間の壁があります。一人でも多く、一秒でも早く被災者を把握する手段としてこのシステムを提案しています」と説明した。
さらに、最近広がりを見せている捜索活動でのドローンの活用でも、「タブレットの映像を確認した人が、救難に向かわせる人や向かう人、責任者などに確認情報を伝える時点で情報のロスが発生する恐れがありますし、そもそも伝える手間も効率化できたほうがいい」と指摘する。
今回実験した技術について岩倉氏は「まだ発展途上」という。「近いうちにディスプレイが産業利用されたることが当たり前になり、それがレスキューにもつかわれると思っています。言葉による伝達をしなくても人間の視覚の拡張で、担当者全員が共有できるようになることが当たり前になっていくと思っています」と述べ、今後も研究を続ける。また、MR技術の現場利用についてトライアルや研究開発協力も募っていく方針だ。
株式会社ロックガレッジ:https://www.rockgarage.tech/
(以下、更新情報)
(更新情報1)株式会社ロックガレッジは1月12日、実験した技術開発を周知するプレスリリースを発表した。システムの名称は「3rd eyeドローンシステム」。プレスリリースはこちら。
(更新情報2)ソフトウェア開発などを手掛ける株式会社mofmof(東京都渋谷区)も1月12日、「3rd eyeドローンシステム」でMR技術開発に協力したことを発表した。株式会社mofmofのサイトはこちら。プレスリリースはこちら。
AIドローンを手がけるSkydio Japan合同会社(東京)は11月16日、東京オフィス設立を報告する説明会を都内で開催した。米Skydioにとって初の海外現地法人で日本での営業、マーケティングなどを担う。説明会では2021年度中に、産業用の新モデル「Skydio X2」や、機体をスマートに格納するボックス型の専用ドック「Skydio 2 Dock」、新開発の自動点検ソフトウェアを投入する計画を明らかにした。当面は企業、自治体、政府など法人向けに特化し、個人向けの機体販売などは行わない。トム・モスCEOは「技術で選ばれる会社になりお役に立ちたい」と抱負を述べた。
Skydio Japanは、米Skydioが開発した機体などのプロダクトについて、日本国内での普及を担う。港区内にオフィスを構え、株式会社NTTドコモ、株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク(JIW)、株式会社FLIGHTSをパートナーに、市場を開拓する。日本法人としての体制強化も進める。日本国内の有望市場などについては米本社に報告し、新モデルの開発に役立てる。日本市場での提供方法については、JIWなどと検討していく。
モスCEOはアジア太平洋地域全体の統括も務める。Skydio製品は世界で需要が拡大しており、アジア太平洋地域での事業拡大も視野に入れる。
Skydioは2014年にシリコンバレーで発足したAI搭載ドローンのメーカーだ。機体周囲を3Dでリアルタイムに認識し、環境変化を予測して判断することができる「Skydio Autonomy」と呼ぶ技術を搭載していることが特徴で、ドローンは航路を探して自律航行する。
Skydioの最初の機体は、林の中をかける自転車を障害物避けながら追尾する映像で愛好家の間であっという間に話題となり、「熟練パイロット並の動きを自動で実現する」と世界中に拡散された。
2代目のSkydio2は、障害物を避けるために搭載したカメラの個数が12個から6個に半減するなど、小型化、軽量化、低価格化を実現した。日本でも点検現場向けにカスタマイズされ「ぶつからないドローン」として投入されている。
新モデル「X2」はSkydio2の性能を引き継いだうえで、自律ソフトウェア、赤外線カメラを搭載し、折り畳んで持ち運びが可能な手軽さを備え、航続時間を最大35分間にまで拡大させた、点検などの産業用途に特化した機体だ。カメラから得られる情報を頼りに飛行するが、暗い場所での飛行が可能になる。2020年度中に市場投入され、日本には2021年度中の投入を目指す。
Skydio JapanのモスCEOは説明会の中で、「統計によると、企業がドローンを導入するさいに最も心配している事はクラッシュです。クラッシュは操作ミスで起こります。しかしSkydioのドローンは操作が不要で障害物を避けて飛行します。ドローンの導入が進み、より安全で生産性の高い社会のためのお手伝いをしたいと思っています」と話した。
さらにモスCEOは経済性についても言及。「産業の現場ではドローンはほぼマニュアルで運用されています。運用には、パイロットと補助者の2人で行われることが多く、そのため、ドローン導入料金の8割は人件費です。Skydioのドローンは、自律航行をするのでマニュアル操作の必要がなくその分コストを抑制できます。費用が抑制できれば、別の現場にドローンを導入することにもつながります」と、自律航行が人件費抑制にも効果的だと説明した。説明の中で取引先の言葉として、「ある会社は、ドローンの運用を拡大するため今年は100人のパイロットを育成し、来年は200年育成する。でもその次の年はゼロだ、と言っていました」と紹介した。
説明会ではパートナーであるNTTドコモ執行役員の坪谷寿一5G・IoTビジネス部長が、同社が提供しているドローンプラットフォーム「docomo sky」や、奥多摩などでの災害対応運用などを紹介。「2016年に中期戦略を発表して以来、常にドローンを意識してきました。通信環境、AI、運航管理などでともに取り組んでいきたいと考えています」とあいさつした。
説明会ではSkydio2のデモ飛行も実施した。コントローラーのタップで、画面で設定した「A地点」「B地点」に向かったり、目的地までのルートを、邪魔するようについたてを立てても、機体が迂回して目的地を目指したりする様子を披露した。途中、ついたてがわりにモスCEOが立ちはだかって、ドローンがモスCEOを避けて飛ぶ様子も見せた。
日本では海外で開発された機体も含め、多くのドローンが活躍を模索している。モスCEOは、「どこの国の会社であるかなど、選択基準はいろいろあると思いますが、われわれは技術で選ばれる会社でありたいと思っています」と話した。