「空飛ぶクルマ」についての3人談義の後編です。前編では空飛ぶクルマの開発を手掛ける株式会社SkyDriveの福澤知浩代表、小型ジェット旅客機「三菱スペースジェット(旧MRJ)」の開発に携わった航空機開発に詳しいPwCコンサルティング合同会社の宮川淳一顧問(Aerospace&Defense担当)、ドローンや空飛ぶクルマ関連の業務・技術支援に携わるPwCコンサルティング合同会社の岩花修平ディレクターが、空飛ぶクルマ開発のきっかけや想定されるユースケース、普及までの工程について意見を交換しました。後編では、普及に向けた課題、新型コロナウイルス感染症の影響、取り巻く市場のイメージなどについて議論を深めます。
岩花氏:空飛ぶクルマの実用化、普及に向けて乗り越えるべき大きな課題は何でしょうか。安全性が気になるところだと思いますが、それ以外でもヨーロッパなどで注目されているものとして、社会受容性があります。騒音、燃費、二酸化炭素排出などへの意識も必要になるかもしれません。
福澤氏:そうですね。極論を言うと、社会受容性ありきだと思っています。日本ではそれが比較的低いのが現状です。例えば、空飛ぶクルマという単語そのものは知っている人が多いと思います。ただ、それがあと3年ほどで実現する、ということになると、95%ぐらいの方がご存じないでしょう。社会受容性を上げるには、まず事実を知ってもらうこと、次にそれをポジティブに捉えてもらうことが必要です。
岩花氏:社会受容性の重要性を指摘する声も増え始めました。
福澤氏:そうですね。実際、規制にも影響します。例えば国土交通省が規制を所管するのは、住民が困らないようにするための備えです。つまり、もとよりこの技術に対する住民の方々の受容性が高ければ、規制が和らぐ可能性があるのです。開発抑止的であってはいけない、という声も出てくるかもしれません。そうなれば私たちも資金を集めやすくなりますし、大企業からの認知度も高まり、提携の話も進むかもしれない、といった好循環が生まれます。より多くの人々が技術をポジティブに捉えることが最も重要なのではないかと思います。
岩花氏:空飛ぶクルマやエアモビリティと、ドローンとでは、社会受容性に違いがありますか。
福澤氏:エアモビリティのほうが、みなさんが気にする点や知らないことが多いと思います。講演会やセミナーなどでお話しをすると質問が山ほど飛んできます。もちろん全てにお答えするのですが、1時間ほど質疑応答を続けると、ちゃんと考えているんだね、安心したと言われます。情報が入ってくれば、見方や思いも変わってくるはずです。日本は欧米と比べると航空機を気軽に利用する習慣がないので、理解を深めていただくまでには時間がかかるかもしれません。FAQをウェブサイトに公表したり、講演などで懸念要素をできるだけ網羅して話したり、情報公開には注力していきたいと思っています。デモフライト(2020年8月25日に愛知県豊田市で公開有人飛行試験を実施。今後も順次開催予定)をご覧いただくのもその一環です。
宮川氏:飛行機の歴史そのものが、社会的受容性の克服の歴史ですからね。歩いて移動するしか方法がなかった人間が、ある時、馬に乗るようになり、やがて、自動車に乗ることになった。その延長線上に飛行機があります。社会受容性は、メリットが懸念を克服していくプロセスを経て醸成されるものだと思うんです。福澤さんは理解者を増やすとおっしゃいましたが、これもメリットが懸念を克服していくことで増えていくはずです。ある程度の時間はかかるでしょうが、そのメリットを享受した人が増えていけば、社会全体が変わっていきます。一方で、アメリカは飛行機に対する社会受容性は高いですが、飲酒操縦やガス欠に起因する事故があると聞きます。
岩花氏:社会受容性のほかにも、想定されている課題はありますか。
福澤氏:今ご指摘いただいたことは全て課題です。新しい機体、という観点でケアすべき話と、航空機全体に関係する話とがあります。当然セキュリティも重要度が高い課題で、無人操縦を想定している以上、自動運転を進めていくうえで避けて通ることはできません。ただ、私たちが自社で対応するというよりも、業界全体で取り組むべき課題であるとも思います。
岩花氏:衝突回避や高度な運航管理システムなど安全を確保する機能の実装、実証実験の繰り返しによる信頼性の向上、騒音の低減などを通じた社会受容性の向上が、普及に向けたポイントになりますね。機体だけでなく、ポートなどの地上支援システム、運航管理システム、管制、オペレーター、法規制、セキュリティ、関連サービスなど、さまざまな関係者が一体となって進めることが重要だと感じます。
岩花氏:ところで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響はありますか。
福澤氏:部品の到着が遅れるといった影響はあります。また、取引先がテレワークを苦手としていて会議が滞りがちになっています。大企業でもインフラ系の方々はテレワーク環境がなかったり、セキュリティの制限があったりするんですね。とはいえ、私たちはスタートアップなので、この程度の問題は社内外で常に経験していて、COVID-19もそのうちの一つに過ぎません。ただもう少し広い視点で見ると、移動に関する概念は10年ほど進んだ気がします。移動しなくても済むなら移動するのをやめよう。その時間で別の価値を生み出そう。本当に移動すべき場合にはちゃんと行こう。そんな考え方が増えたと思います。それに伴って、移動するならどんなモビリティに乗るか、という話も出てきます。本当に行くべきところに行く時には、定期輸送よりも、タイムリーに移動することが求められる、つまりMaaSに近づいてくるのではないでしょうか。こうしたことを考えると、空飛ぶクルマは、コンパクトかつパーソナルに移動できるという意味で、比較的COVID-19発生後の要請に答えていると感じます。
岩花氏:私もどちらかといえばチャンスであると捉えています。非接触で物を届ける需要が出てきたことでドローンへの注目度が高まっていますが、空飛ぶクルマも一定のペイロードを運べ、災害時には物資輸送もできる。また、オフィスに出勤しなければいけないという習慣が見直され、生活や働き方のリフォームが進む中で、地方で完結できる仕事も出てきました。そうなると、都市部と違って地方の移動手段には既存の交通体系では足りていない部分がありますから、そこを充足できるツールの一つとして育っていくのではないでしょうか。
福澤氏:これからは地方空港の活用が、コンパクトな航空機の利用も含めて中長期的に増えていくと思っています。空路利用が活性化し、移動に支障がなくなりさえすれば、地方に住んで仕事をするという選択肢がより身近になりますね。
岩花氏:そうですね。空飛ぶクルマをきっかけに、地方の見直しが進むはずです。安全に飛ばすという観点でも、人や建物が密集していない地方の方が相性は良いですし、課題を背景とした社会受容性も高いと想像できます。これまでの電車やバスが数時間に1本という状況を考えれば、オンデマンドで移動したいときに移動できるメリットが受け入れられやすい。
福澤氏:インフラ前提の都市計画が変わりそうですね。IT事業であれば都市部でなくてもできる業務は多いですし、その上で移動にこうした新しいモビリティを活用できるとなれば、仕事ができる場所がさらに広がります。
岩花氏:COVID-19の中で移動の考え方には2通りがあるように思います。1つは移動を極力せずに済むようにする。これは移動マーケットが縮小することを意味します。それだけであれば、空飛ぶクルマにとっては乗り越えるべき課題となるかもしれません。もう1つが、移動は前提でなく付加価値であるという考え方。これをどう発揮するかが、空飛ぶクルマにとって重要になるのではないでしょうか。
福澤氏:移動が少なくなっている点については同意しますが、国によって違いがあるとも思います。発展途上国であれば人口が増加しているので、当面は移動せざるを得ない仕事が多く、移動はどんどん増える。そこでの焦点は、「移動のパイ」のどこを取るかです。私たちは移動市場の全部を独占するつもりはありません。移動手段には新幹線もあればキックボードもある。移動市場は縮小傾向にあるとしても、私たちはその中に空飛ぶクルマを使うことが適切と考える層が一定以上いると想定しているので、その層に最適なサービスを提供することがゴールであると考えています。
岩花氏:A地点からB地点に移動する際に、駅を経由し、乗り換えをして、そこから歩く、といった経由前提の移動ではなく、ピンポイントでAからBに行けることの価値は高いですね。
福澤氏:オンラインフードデリバリーサービスも、当初は配送料が高く需要に見合わないと考えられていましたが、今では結構みなさん利用されていますよね。600円のお弁当に200円を上乗せして届けてもらっています。これはこれまでになかった価値を提供することによる新市場の創出ですが、移動においても、このモビリティがなければ生まれなかったという新たな市場が出てくると思っています。
宮川氏:COVID-19の影響で確かに移動が減ってはいますが、リモートが進むからこそ、実際に人と会うことの価値、移動することの価値が高まるのではないでしょうか。インドネシアで空港の仕事をしていた時に、人はどういう理由で移動するのかというアンケートをとったことがあります。移動理由の第1位は、ビジネスでも観光でもなく、家族や親族に会いに行くことでした。移動の欲求は減ることがないと私には思えます。
福澤氏:移動の欲求は確かに増えるかもしれませんね。これは、新しい通信機器が発売されるたびに「もう移動はいらないんじゃないか」という話が出てくるのと似ています。電話やメールやSNSがあるからわざわざ相手のところまで行かなくていい、となるかというと、やはり行きますよね。別に「移動した方がいい」というキャンペーンをするつもりはありませんが、結局はニーズはなくならないのだと思います。
岩花氏:ビジネスの視点から、空飛ぶクルマの市場をどう考えていますか。
福澤氏:市場予測は難しいです。10の機関があれば10通りの全く違う予想をします。私たちが間違いなく言えるのは、ルールが整備され、社会受容性が高まり、本来使うべき人が使う流れができれば利用者数は増えるだろうし、バッテリーの品質が向上すれば航続距離は伸びるということです。計画を立てるときには、これらをもとにしています。
岩花氏:グローバル市場と日本市場では、社会課題や消費者意識、地理的な環境などによって、想定されるユースケースも異なりますね。グローバルでは利益を上げられる領域が、必ずしも日本でもうまくいくとは限りません。日本独自の課題やニーズを見極めて日本の市場として形成できることが重要でしょう。先ほどMaaSの話もありましたが、ビジネスの選択肢としては、機体の販売もあれば、その先の離着陸場所であるポートの運営や、運航管理システムの構築、さらに、スマートシティ、エネルギーマネジメントなど、派生する事業がさまざまあると思います。事業領域としては、SkyDriveはどこまでを視野に入れているのでしょうか。また、ここまでは自社で手がける、ここからは他社と連携して取り組むといった構想があればお聞かせください。
福澤氏:まずはサービスだと思っています。「空を、走ろう。」という当社のキャッチコピーが示すような世界を実現することが第一です。機体開発を中心として、お客さまに快適にお使いいただけるサービスの提供までを担います。また、エネルギーマネジメントも必要になってきます。現在はバッテリーが機体価格の1/3ほどを占めており、重さも1/3程度、あるいはそれを上回る可能性もあり、事実上バッテリーを飛ばす会社、などと言われてしまいそうなので。戦略として取り組むというよりは、必然的に手がけざるを得ない、ということになります。
岩花氏:機体を操縦するパイロット、航空管制を行うオペレーター、運航管理業務に従事する専門家など、モビリティの運航に必要な人材の育成はどうされるのでしょうか。
福澤氏:操縦もオペレーションも運航管理も、機体によってやり方がだいぶ変わってくると思います。官民協議会の議論の中で統一ルールにすべきだという発案はありましたが、実際は機体ごとにだいぶ違います。そのため、どんな機体でどんな運航をするのかというパターンができてから、必要な人材を考えていくのが良いと思っています。
岩花氏:宮川さん、航空機の世界では、人材育成はどうなっているのでしょうか。
宮川氏:パイロットでいえば、航空機では操縦士免許に加えて機種ごとの免許があります。機種ごとでもさらに型式に対応するための試験を受けないといけない場合もあります。操縦は機体ごとにまったく別物ですし、繊細な課題だと思います。
岩花氏:慎重な対応が必要になりそうですね。
宮川氏:SkyDriveが世界で勝負をしてどこで勝つかと考えると、勝てる面はいろいろとありますが、私はその一つが操縦だと思っています。航空機ではコントロールホイールやサイドスティックが使われますが、空飛ぶクルマの世界では人間の感性にぴったり合った操縦が可能になるでしょう。機体ごとに特性が違うのですが、今のフライトコントロールのソフトウェアの技術をもってすれば、そうした違いは克服できます。操縦が簡単になれば、パイロット免許も取得のハードルが低くなって、操縦できる人が増える。事故も少なくなるはずです。そうした優れた操縦方法を開発することが強みになると思いますし、それをSkyDriveが自社で担うのか、タイアップをして協業するのかについてもいくつかの選択肢がありそうです。
福澤氏:なるほど、ありがとうございます。
岩花氏:本日は、さまざまな角度からSkyDriveの事業についてお伺いし、今後が楽しみになってきました。PwCコンサルティングでは空飛ぶクルマの普及に向けて、物理的な安全の確保や社会受容性の向上に向けた取り組みを進めていますが、それだけでなく、大きなリスクとして懸念されるハッキングなどサイバーセキュリティへの対策や、空飛ぶクルマの運用・サービスで発生する多種多様なデータの分析など、従来の航空機やドローンの事業推進よりも高度なアプローチでチャレンジを行っているところです。最後に福澤さんからメッセージをお願いします。
福澤氏:これからデモフライトの実施や情報発信に注力していきますので、ぜひ注目していただければと思います。見て、知って、関心を寄せてもらえば、それが社会受容性を高めることにつながります。できるだけ多くの方に空飛ぶクルマのメリットや楽しさを享受してもらえるよう取り組んでいきます。
岩花氏:本日はありがとうございました。
<3人談義の参加者> ■福澤 知浩氏 株式会社SkyDrive 代表取締役 東京大学工学部卒業。トヨタ自動車株式会社にて自動車部品のグローバル調達に従事。同時に多くの現場でトヨタ生産方式を用いたカイゼンをし、原価改善賞受賞。2014年に有志団体CARTIVTORに参画し、共同代表に。2017年に独立し、製造業の経営コンサルティング会社を設立。20社以上の経営改善実施。2018年に株式会社SkyDriveを創業、代表に就任し現職。 ■宮川 淳一氏 PwCコンサルティング合同会社 顧問 40年以上にわたり、主に航空機開発に従事。B7J7(後のB777)主翼空力設計、JRリニア先頭車両形状設計、防衛省先進技術実証機基礎設計等の先端技術開発・製品開発や、民間航空機開発では50年ぶりとなるMRJ(SpaceJet)の事業化、基本設計、海外セールス取りまとめなどで責任者を歴任。三菱重工業執行役員フェローを経て現職。 ■岩花 修平氏 PwCコンサルティング合同会社 ディレクター 大手監査法人系コンサルティング会社、外資系統計解析ソフトウェアベンダーを経て現職。前職では、主に電力を中心としたエネルギー、自動車を中心とした製造業の企業に対する統計解析技術、アナリティクスを活用したソリューションの提供やIoTアナリティクスチームの立ち上げなどに携わる。現在は、デジタルテクノロジーを活用した新規事業の推進や企業の業務改善を支援しており、主にドローンや「空飛ぶクルマ」など無人航空機に関連するビジネスやMaaS(Mobility as a Service)などモビリティ関連ビジネス、IoTや人工知能(AI)、データサイエンスなどの領域を中心に従事。 (※法人名、役職、インタビューの内容などは掲載当時のものです。9




<PWCコンサルティングのサイト> 空飛ぶクルマの未来展望(後編) https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/column/disruptive-technology-insights/flying-car02.html エマージングテクノロジー コラム・対談 https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/column/disruptive-technology-insights.html エマージングテクノロジー https://www.pwc.com/jp/ja/services/consulting/disruptive-technology.html ドローンテクノロジー/ソリューション https://www.pwc.com/jp/ja/services/consulting/disruptive-technology/drone-powered-solutions.html モビリティ(MaaS・自動運転) https://www.pwc.com/jp/ja/industries/mobility.html トピック解説/コラム/対談 https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/column.html ナレッジ https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge.html PwC Japanトップ https://www.pwc.com/jp/ja.html
ドローン上場4社が株式言市場で ストップ高相次ぐ
【JapanDrone2026】初日開場午後1時に繰り下げ 講演など一部取りやめ 台風6号の影響で
JDRONE社長に野口克也氏 WLCグループ入り
【JapanDrone2026】機体もモジュールも 国産いろいろ、海外勢と比較の好機
NEXT DELIVERY、新物流機「PD4B-M LogiAir」公開 運輸安全・物流DX EXPO で
ブルー、送電線追従モジュールの軽量版発表 200gの新製品「BEPラインmini」5月中にも導入
エアロネクスト、新技術「ActiveWing」搭載機をJapanDroneで公開へ 特徴は可動式補助翼
遠隔操縦の伝送カクつき抑制技術をNTTなど開発 ゆらぎ発生時間が12%→5%に半減
【追加あり】ブルー、ELIOS 3に飛行を自動再現する「リピートフライト機能」追加
Japan Drone 2026を主催する一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は6月1日午後6時20分、千葉・幕張メッセで6月3日に開幕するJapan Drone 2026の開催初日の予定の変更を決め、関係者への通知を始めた。同日に台風6号の接近が予想されるためで、6月3日の初日は、当初午前10時を予定していた開場時刻を、午後1時に繰り下げる。これに伴い、同日午前中に予定していた開会式、講演、ワークショップなど催事の一部を取りやめる。台風の状況次第で変更が生じる可能性もあると伝えている。
6月1日夜の時点で関係者に通知した変更点は以下の通り(追加:JUIDAは6月2日午前9時、公式サイトで変更を案内した)
6月3日午前9:30(開場時刻前)から午前10:00にかけて予定されていた開会式をとりやめる。
講演やパネルディスカッションなどの「国際コンファレンス」は6月3日開催分の一部を中止とする。中止となるのは
■鈴木真二・JUIDA代表理事によるWelcome Speech「ドローン、空飛ぶクルマの社会実装を目指して」(当初6月3日、10:30~10:50を予定)
■古市茂・経済産業省次世代空モビリティ政策室室長による特別講演「次世代空モビリティの社会実装に向けて」(同11:00~11:30を予定)
■Manal Habib・MightyFly | CEO & Founder基調講演「自律型eVTOL機による物流の再定義(同11:30~12:00を予定)
■江口真・国土交通省航空局安全部無人航空機安全課課長による特別講演「ドローン・空飛ぶクルマの利活用に向けた航空局の取組」(同11:50~12:20を予定)
■白井一弘・株式会社日本エアモビリティ総合研究所COOによる基調講演「エアモビリティ人材の育成と課題」(同12:30~13:00を予定)
■山野哲也・総務省総合通信基盤局電波部基幹・衛星移動通信課課長による特別講演「ドローンの活用拡大に向けた総務省の取組について」(同12:40 – 13:10)
の6本で、以降の講演の開催可否や代替講演の有無などについては改めて判断し公式サイトで公表する。
展示会場の開場時刻は、当初6月3日午前10時を予定していたが、午後1時(13:00)に繰り下げる。
「出展者ワークショップ」も6月3日、10:20~12:40は中止とする
さらに変更が生じる場合は、公式サイト(https://ssl.japan-drone.com/)で公表すると伝えている。
なお、出展者によっては、開催初日の午前中に自社ブースで発表を予定しているケースもあり、変更の対応を迫られることになりそうだ。Japan Droneの開催時刻が台風の影響で変更になるのは初めて。事務局は「ご来場を予定されていた皆様には多大なご迷惑をおかけいたしますことを深くお詫び申し上げます」とコメントしている。

ドローンの大規模展示会Japan Drone 2026が6月3日、千葉・幕張メッセで開幕する。海外依存リスクなどから経済安全保障への関心とともに日本国内の技術への注目度が再び高まる中、日本の開発力、技術、製品、サービスなどの量と質を再確認する好機となる。日本生まれのフライトコントローラを初出展するAutonomy Dynamics、鳥獣害対応のドローンを開発したNTT e-Drone Technologyなど多くの出展者が「日本製」「国産」を打ち出し来場者の評価を仰ぐことになる。一方、ドローン市場は国境にとらわれず拡大しており、今回も数多く出展する海外勢の技術からも目が離せない。
日本のメーカーとしては、イームズロボティクス株式会社、株式会社amuse oneself、株式会社石川エナジーリサーチ、株式会社NTT e-Drone Technology、エアロセンス株式会社、双葉電子工業株式会社、株式会社ロボデックスなどが出展する。
このうちAmuse Oneselfは日本国内で開発、生産した産業用ドローン「GLOW.Rev2.0シリーズ」を展示する。シリーズのひとつ「L」(=GLOW.L Rev.2.0)は5kgのペイロードに対応し、搭載する計測機器、撮影機材の選定の自由度を高めた機体だ。また「H」(= GLOW.H Rev.2.0)は、レンジエクステンダー方式を採用のハイブリッドドローンで最大3時間の長時間飛行に対応するため、広域測量や長時間ミッションをこなす。
またNTT e-Drone Technologyは、問い合わせが相次いでいる鳥獣害対策ドローン「BB102」を展示し、6月4日にはデモンストレーションも実施する。同社は自社開発機のほか、米Performance Drone Works社が安全保障分野での活用を念頭に開発したC100、米Ascent AeroSystems社が開発した円筒形ボディの上下に2枚のプロペラ取り付けられた同軸反転方式の「Spirit」、仏Parrot社が防衛任務向けに開発したウクライナ(UKR)の名をかぶせた「ANAFI UKR GOV」なども展示する。双葉電子工業はFMC―01などの機体や産業用送信機の展示が見込まれる。
出展者に名前はないが、エアロネクストの初公開となる機体も公開前から話題だ。可動式補助翼を回転翼機に融合させて効率を高め、航続距離拡大を図る新技術「ActiveWing」を搭載した物流用ドローンでイームズロボティクス株式会社と共同開発した。試作機を作った株式会社トピアのブースで展示するほか、イームズロボティクスも2分の1のサイズのモデルを展示する。
DJI社の正規代理店、株式会社セキドや、株式会社WINGGATE、株式会社エクセディ、株式会社WorldLink & Company、日鉄物産株式会社も、話題性の高い海外のメーカーの機体を中心に展示する。
このうち日鉄物産はカナダのスカイゲージ社(Skygauge Robotics社)の非破壊検査用ドローンの機体と、新規開発中の最新機体を展示することを公表している。
スカイゲージの機体は、壁や天井にセンサーを押し付ける点検用の機体で、4本のアームに上下ペアに重なるようにとりつけられた8つのモータユニットが、サーボモーターで独立してチルトする機構が特徴だ。壁の厚さなどを調べる際には機体にとりつけられたセンサーを壁に1.5㎏の力でぐいっと押し当てて壁の肉厚を安定して測定する。日鉄物産はスカイゲージの開発中の新機体の公開も予定していて、来場者の関心をかきたてそうだ。
非破壊検査用途としては、ブルーイノベーション株式会社が取り扱い、今回のJapanDroneでも出展が見込まれるスイス、Flyability社の屋内点検用球体ガード付きドローン、ELIOS3も対応している。今回のJapanDroneではスカイゲージの機体との比較もできそうだ。なおブルーイノベーションは例年、開催期間中に新たな取り組みを公表している。今回も新規の取り組みの公開が期待される。
またWINGGATEは、ラトビアのドローンメーカーATLAS社の製品を展示する。3本のアームが特徴的なトライコプター機Atlas PROのほか、可視光カメラと赤外線カメラを一体化させたモジュール式カメラAtlas ORTUS、給電システムのAtlas TETHERが展示される予定だ。給電システムAtlas TETHERは展示会としては今回が初披露となる。
エクセディは自社開発の消防用放水ドローンと定点監視有線ドローン HOVER EYE(ホバーアイ)を展示、子会社のWorldLink & Companyも多様な産業用ドローンを展示する。
機体に搭載されるパーツやモジュールについても、国産勢への関心が高まっている。
ドローンの頭脳と言われるフライトコントローラでは、日本国内で開発しているAutonomy Dynamicsと東京大学発のスタートアップ、株式会社Tobasなどが出展する。Autonomy Dynamicsは高品質、高耐久を目指した開発で知られ、国内外の関係者か高い関心を寄せている。同社の舘良太代表取締役社長が登壇する開催2日目の6月4日午後の講演会、「世界最高レベルのオリジナル産業用フライトコントローラ」は関心層に注目されそうだ。また株式会社Tobasもさまざまなドローンに対応する独自開発のフライトコントローラが関係者の間で話題になっている。
モータでは、AAM、ドローンなどに多く採用されている株式会社ニデック、コイルやモータの開発技術に強みを持つ株式会社アスターなどがブースを出展する。また樹脂、金属などの加工が得意な株式会社アーク(ARRK、大阪市)はドローン用のブレードの射出成形で定評があり、これまでの展示会でも日本国内のドローンメーカーの機体とともにブレードを提案しており、今回も出展する。各社ともJapanDrone来場者に日本の技術を提案する。
今回のJapan Droneには米国、欧州、中国、台湾など多くの海外勢の出展も予定されていて、出展内容の確認や日本技術との比較の好機となっている。
航空宇宙・防衛・ドローン関連の最先端技術を扱う輸入商社米エアフレーム(AIR FRAME)も今回出展事業者のひとつで、選び抜いた先端技術を紹介する。同社は米Firestorm Labs社の3Dプリンターで作るアトリタブル(損耗許容型)UAS や、米Skyfront社のハイブリッド式マルチコプター「Perimeter 8 UAS」、uAvionix社の衝突回避用小型3Dレーダーなどを取り扱っていることから今回も現地で会場で確認できる可能性がある。ディフェンステック系スタートアップのFirestorm Labsや航空管制・通信機器のニッチトップのuAvionixなど急速に知名度を高めている企業のプロダクトが展示される可能性が高く来場者のチェックリストに入りそうだ。
またアキュバー(Accuver)株式会社は、韓国の移動体通信技術企業、LIG Accuverの日本法人で、LIG Accuverが独自開発したXCALシリーズ、XCAPシリーズなどの無線ネットワーク最適化ツールや、非GNSS環境下でも自立飛行を可能にするマルチセンサーフュージョンSLAM技術を備えた構造物点検DXソリューション、SIVIONが各国で活用されている。日本でも国土交通省の「点検支援技術性能カタログ」に掲載(技術番号:BR010085-V0025)されていて、JapanDroneでも点検ソリューションとして提案することになりそうだ。
このほか、JapanDrone2026のトップスポンサーであるGMOインターネットグループ、かつてドローンの機体メーカーでもあったソニー、半導体商社でシリコンテクノロジー株式会社なども出展する。AeroVXR合同会社、株式会社SClabAir、株式会社Suzakはコンサルティングでドローンの導入や運用を支援する。
Japan Drone 2026は千葉・幕張メッセで6月3日に開幕する。期間は6月5日まで。
※なお6月3日の開場時刻は台風6号の接近に伴い、当初の午前10時から午後1時に変更され、これに伴いいくつかの催事が取りやめになるなどの変更が関係者にアナウンスされている。6月2日午前8時現在、公式サイトには告知がないが、今後の公表に注意を払っておきたい。(続報)公式サイトは6月2日午前9時に内容を更新し、予定変更を案内した。その後、セミナー内容の変更など随時更新している。




株式会社エアロネクスト(東京都渋谷区)は、回転翼機に可動式補助翼を取り入れる新技術「ActiveWing」を搭載した物流用ドローンを6月3日に千葉・幕張メッセで開幕するJapanDrone2026で初公開する。可動式補助翼で飛行時の揚力を補い飛行距離の拡大を図る。JapanDroneでは試作機を作った株式会社トピアが機体を展示する。また今後機体を共同で研究開発するイームズロボティクス株式会社もブースで2分の1のサイズのモデルを展示する。
ActiveWingはエアロネクストが開発した補助翼が飛行時の揚力を補助する技術で、マルチコプターの航続距離の拡大を支えエネルギー効率を向上させる。エアロネクストが今年(2026年)3月にこの技術の開発と試作機を公表し、イームズロボティクス株式会社と共同開発を進めることを明らかにしていた。
今回JapanDroneで公開されることになったActiveWing搭載機は、エアロネクストが独自開発した重心制御技術、4D GRAVITYも搭載している。機体サイズは2807mm×3203mmで、アームを折りたたむと1200mm×1615mmとなる。機体重量はバッテリーを含めて26kgで、飛行距離10㎏の荷物を積んだ場合で20km。巡航速度は秒速15m(時速54㎞)。LTE通信機能を搭載している。
エアロネクストは「安定性・効率性・機動性を向上。物流用途を中心に、監視、点検、空撮など幅広い用途での活用を見据えています」とコメントしている。
なおエアロネクストの子会社で物流事業を手掛ける株式会社NEXT DELIVERYは、6月26日に静岡県川根本町で、今回のActiveWing搭載機を含めた、日本企業との共同開発機3機のデモフライト見学会を計画している。
ActiveWing搭載機の公開に関するエアロネクストのプレスリリースは以下の通り
~ 可動式補助翼により安定した長距離飛行を実現 ~
株式会社エアロネクスト(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長 グループCEO:田路圭輔、以下 エアロネクスト)は、2026年6月3日(水)から6月5日(金)まで幕張メッセで開催される「Japan Drone 2026」において、新技術「ActiveWing(R)*1」を搭載した新型国産物流ドローン(以下 本機体)を初公開します。
本機体は、可動式の補助翼により飛行時の揚力を補助することで、従来のマルチコプター型ドローンと比較して、より長距離かつ高効率な飛行を実現します。
さらに、エアロネクスト独自の機体構造設計技術4D GRAVITY(R)*2を採用し、安定性・効率性・機動性を向上。物流用途を中心に、監視、点検、空撮など幅広い用途での活用を見据えています。
マルチコプター型ドローンの課題の一つである航続距離の向上に向け、エアロネクスト独自技術「ActiveWing(R)」の研究開発を進めており、本機体はこの技術が搭載された初の機体となります。
なお、本機体の試作機製作はカーボン部品の製造を得意とする株式会社トピア(本社:三重県鈴鹿市、以下トピア)が担当しました。今後、イームズロボティクス株式会社と共同で研究開発を進め、2026年秋頃より、エアロネクストの子会社である株式会社NEXT DELIVERYが国内複数地域で推進する新スマート物流 SkyHub(R)*3の実装地域や各地の実証実験など、ドローン物流の現場に順次投入していく予定です。
【Japan Drone 2026 開催概要】
■テーマ:ドローンによるインフラ革命 ~地域創生と街づくり~
■会期:2026年6月3日(水)から6月5日(金) 10:00~17:00
■会場:幕張メッセ
■主催:一般社団法人 日本UAS産業振興協議会(JUIDA)
■公式サイト:https://ssl.japan-drone.com/index.html
【展示概要】
以下の2カ所で展示いたします。
| イームズロボティクス ブース | トピアブース | |
| 展示内容 | 1/2スケールモデル | 実機(1/1モデル) |
| ブース小間番号 | AL-23 | AL-18 |
【新型物流ドローンの主な特長】
■ 新技術「ActiveWing(R)」による長距離・高効率飛行
補助翼が飛行時の揚力を補助することで、エネルギー効率を向上
■ 4D GRAVITY(R)による高い安定性と運搬性能
空力特性を最適化し、物流用途に求められる安定飛行を実現
■ 実運用を見据えた物流向け機体設計
長距離輸送に対応する機体設計とLTE通信機能を搭載

| 資料 |
| *1 新技術ActiveWing(R) |
| 4D GRAVITY(R)︎の技術的思想に基づき発明されたマルチコプター機体に取り付けられた補助翼を独立変位させて空力特性を最適化する構造技術。補助翼による揚力でプロペラ推力を補助することで、機体の操作性を損なうことなく航続距離を延伸。巡行中も姿勢制御に必要なプロペラ回転数を維持するため、プロペラと補助翼による効率性と安定性を両立させる独自開発のハイブリッド構造。 |
| *2 機体構造設計技術4D GRAVITY(R)︎ |
| 飛行中の姿勢、状態、動作によらないモーターの回転数の均一化や機体の形状・構造に基づく揚力・抗力・機体重心のコントロールなどにより空力特性を最適化することで、安定性・効率性・機動性といった産業用ドローンの基本性能や物流専用ドローンの運搬性能を向上させるエアロネクストが開発した機体構造設計技術。エアロネクストは、この技術を特許化し4D GRAVITY(R)特許ポートフォリオとして管理している。4D GRAVITY(R)による基本性能の向上により産業用ドローンの新たな市場、用途での利活用の可能性も広がる。 |
| *3 新スマート物流SkyHub(R)︎ |
| エアロネクストとセイノーHDが共同で開発し展開する、既存の陸上輸送とドローン物流を繋ぎこみ、地上と空のインフラが接続されることで、いつでもどこでもモノが届く新スマート物流のしくみ。ドローン配送が組み込まれた、オープンかつ標準化したプラットフォームで、ドローンデポ(R)︎を拠点に、車とドローンを配送手段として異なる物流会社の荷物を一括して配送する共同配送、買物代行、フードデリバリー、医薬品配送など、地域の課題やニーズに合わせたサービスを展開、提供する。 |
| SkyHub(R)︎は、人口減少、少子高齢化による労働者不足、特定過疎地の交通問題、医療問題、災害対策、物流弱者対策、公共交通の維持等、地域課題解決を図ることができるよう、物流網を再構築するソリューションであり、住民の利便性や生活クオリティの向上による地域活性化の推進や、持続的な地域コミュニティづくりのうえでも有意義なものといえる。 |
| 【株式会社エアロネクストとは】 |
| エアロネクストは、「人生100年時代の新しい社会インフラで、豊かさが隅々まで行き渡る世界へ。」をミッションに掲げ、低空域を活用した今までにない新たな価値創造を推進しています。重力、空力特性を最適化することで、産業用ドローンの基本性能や物流専用ドローンの運搬性能を向上させる独自の機体構造設計技術4D GRAVITY(R)を提供する技術ライセンス事業、ドローン関連技術の共同開発や開発受託を行う共同開発事業を展開しています。また、戦略子会社株式会社NEXT DELIVERYを通じて、地域の物流を集約化、効率化していく新スマート物流SkyHub(R)事業、日本有数のノウハウと実績を持つチームが最先端の技術とスキルで推進するドローン運航事業を展開しています。SkyHub(R)事業は、すでに国内の複数地域で社会実装され、多くの課題を抱える地域物流の課題解決の貢献を推進しています。 |
| *会社概要は https://aeronext.co.jp/about/company/をご覧下さい。 |
| *エアロネクストおよびエアロネクストのロゴ、NEXT DELIVERY、並びに「4D GRAVITY(R)」「SkyHub(R)」は、株式会社エアロネクストの商標です。 |
| *その他、このプレスリリースに記載されている会社名および製品・サービス名は、各社の登録商標または商標です。 |



ブルーイノベーション株式会社(東京都文京区)は5月28日、同社が代理店として取り扱うスイスFlyability 社が開発した屋内点検用ドローン、ELIOS 3(エリオススリー)について、点検などでの飛行や撮影などを自動で再現する「リピートフライト機能」を追加したと発表した。定期点検や定点観測などで繰り返し同一のルートを飛行させる場合、2度目以降は自動で初回のパイロットによる手動操縦を再現する。同社は6月3日に千葉・幕張メッセで開幕するドローンの展示会、JapanDrone2026で新機能を紹介する予定だ。
「リピートフライト機能」は初回の手動飛行を再現する機能だ。パイロットによる手動の飛行や撮影などの作業を記録し、2度目以降は初回と同じルートを、同じ速度で飛行し、カメラの向き、画角、露出、ライトの向きなども同じ条件で行う。初回と同じ作業でデータを取得するため、サビやクラックなどの劣化の比較が可能になる。2度目以降はお手本の飛行を行ったパイロットに頼らなくてすむため、別のスタッフがボタンを押すことで同一の作業を再現できる。点検品質の均一化確保に役立つうえ、操縦人材の確保が困難な場合の対策にもなりうる。
【追加部分】この機能はソフトウェアのアップデートで導入される。追加モジュールなどは不要だ。このため、機体の外観や重量に変更はない。ブルーイノベーションは新機能を利用するための有料の追加サービスを設けており、アップデート希望者は追加サービスを申し込むことで利用できる。なお、リピートフライト機能について、点検対象の設備が増設などの変更が加わった場合、変更ルートだけを手動に切り替えて飛行させることができる。変更箇所を含めて全ルートを自動再現させたい場合には、変更後のルートを再度手動で飛行させることを推奨している。【追加部分は以上】
ブルーイノベーションは「本機能は、単なる自動飛行ではなく、『点検品質の標準化』を実現する技術です」とコメントしている。
このほか、ビジョンセンサーやLiDAR が取得した点群データに、カメラ映像の色情報を加え、カラー点群として表示する機能や、取得した点検データをクラウド上で一元管理できる「Inspector Online」に対応する機能も追加した。取得データの組織内共有で「点検業務を記録作業から経営判断データへと進化させ」るという。
ブルーイノベーションの熊田貴之社長は「今回の進化は、『ドローンを使う』段階から『ドローンに任せる』段階への転換です。これまで人に依存していた点検業務を、自動化されたインフラ運用へと進化させるものです。私たちは、点検現場における“人への依存構造”を変革し、データに基づく持続可能なインフラ管理の実現に貢献していきます。本技術は、下水道やプラントをはじめとした社会インフラの DX を加速させる基盤になると確信しています」とコメントしている。
なお、再現飛行の時に手動飛行のときと環境が変化している場合などを想定して注意も促している。 LiDAR で検知しにくい障害物が再現飛行のときに飛行ルート上に現れた場合には機体が接触する可能性があるため、再現飛行時の監視の必要性を訴えている。
もっともELIOS 3は障害物に接触しても機体姿勢を制御する機能や、見つけた障害物は回避を試みる機能を備えている。
リリース全文は以下の通り
~ELIOS 3 が実現する「省人化×定点観測 DX」~
ブルーイノベーション株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:熊田貴之、以下ブルーイノベーション)は、屋内点検用ドローン「ELIOS 3(Flyability 社製)」において、点検業務の完全自動化を実現する「リピートフライト機能」とクラウド連携機能の提供を開始しました。
老朽化が進む発電所や下水道、各種プラント設備において、点検の高度化と省人化は喫緊の社会課題となっています。これまでブルーイノベーションは「高い安定性と操作性」を備える ELIOS 3 を活用したドローン点検を提供し、多くの企業で導入されてきました。
一方で、設備の経年変化を継続的に把握する定期点検には“定点観測”の再現性が重要視されており、より効率的かつパイロットの操縦技能に依存しない標準化された運用へのニーズが高まっていました。
今回のアップデートにより、ELIOS 3 は「完全自動飛行」による定期点検を実現。操縦経験の少ない現場担当者でもボタン一つで実施可能へと転換させます。誰でも同一条件での“定点観測”を可能にすることで、点検業務の実質的な自動化・省人化を実現します。
本技術は、以下の分野における DX を加速します。
なお、2026年6月3日より幕張メッセで開催される「Japan Drone 2026」にて、新機能の活用イメージをいち早くご紹介します。

■背景と課題:手動操縦の限界と「定点観測」の難しさ
近年、老朽化が進む発電所や下水道などのインフラ設備において、ドローンを用いた内部点検のニーズが急拡大しています。しかし、GPS の届かない屋内や狭暗所でのドローン操縦は難易度が高く、「パイロットの育成や確保が困難」という課題がありました。さらに、設備の経年劣化を見極める定期点検では、前回と全く同じ位置・角度で撮影することが重要になります。しかし手動操縦では再現性に限界があり、サビやクラックなどの微小な変化(差分)を正確に比較することが難しいという課題も指摘されています。
こうした課題は、国土強靭化やインフラ長寿命化計画においても重要視されており、点検の高度化と省人化は国家レベルでの対応が求められています。
■本アップデートによる3つの解決策
1.点検品質を標準化する「リピートフライト機能」

本機能は、単なる自動飛行ではなく、「点検品質の標準化」を実現する技術です。
初回の手動飛行によって取得した点検ルートを記録し、次回以降は同じ経路を自動で飛行します。飛行ルートだけでなく、飛行速度やカメラの向き(チルト)、画角、露出設定、ライトの向きや強弱などの設定も記録されるため、毎回同じ条件で設備を点検することが可能になります。この「完全な再現性」は、サビやクラックといった経年劣化の『差分検知の精度向上』に直結し、より精緻な予防保全を可能にします。
また、自動飛行中に障害物を検知した場合の回避機能や、必要に応じて任意のタイミングで手動操作へ切り替える機能など、安全性にも配慮した設計となっています。
初回のルート設定を当社や熟練パイロットが行えば、2 回目以降は操縦経験の少ない現場担当者でも「ボタン一つ」で同一条件のデータ取得が可能になります。これにより、「特定の人にしかできなかった作業」を「誰が実施しても同一品質の点検」へと進化させ、点検業務の“属人性”を構造的に排除します。
(リピートフライト機能を動画で見る: https://youtu.be/AguAXJdl2Gs)
2.直感的に異常を把握できる「カラー点群化機能」

ELIOS 3 に搭載されたビジョンセンサーや LiDAR が取得した点群データに、カメラ映像の色情報を付与することで、カラー点群として表示します。これにより、従来の点群では判別しにくかった設備の腐食や汚れなどを視覚的に把握しやすくなり、点検結果の解析や報告書作成の効率向上に貢献します。
3.データを組織で共有・活用する「Inspector Online」

ELIOS 3 で取得した点検データをクラウド上で一元管理できる 「Inspector Online」 に対応しました。現場で取得したデータをチーム内や遠隔地の拠点と即座に共有でき、点検データを「蓄積・比較・意思決定」に活用する基盤を提供し、点検業務を“記録作業”から“経営判断データ”へと進化させます。
■ブルーイノベーション株式会社 代表取締役社長 熊田 貴之 コメント
今回の進化は、『ドローンを使う』段階から『ドローンに任せる』段階への転換です。これまで人に依存していた点検業務を、自動化されたインフラ運用へと進化させるものです。
私たちは、点検現場における“人への依存構造”を変革し、データに基づく持続可能なインフラ管理の実現に貢献していきます。本技術は、下水道やプラントをはじめとした社会インフラの DX を加速させる基盤になると確信しています。
■ ELIOS 3について
ELIOS 3 は、Flyability SA(本社:スイス、以下Flyability社)が開発した非GNSS環境下の屋内空間などの飛行特性に優れた屋内用ドローンELIOSシリーズの最新機種です。世界初の3Dマッピング用LiDARセンサーを搭載。点検・施設情報をリアルタイムで3Dデータ化し、位置特定が可能です。また、最新のSLAM技術により操作性・安定性も大幅に向上し、操縦者の負担軽減と飛行時間の短縮を実現しています。ブルーイノベーションは 2018年に日本おける独占販売契約をFlyability社と締結し、ELIOSシリーズを活用した屋内点検ソリューションの提供を開始しました。ブルーイノベーションは、2025年現在、我が国ではプラントや発電所、下水道などを中心に400ヶ所を超える現場でELIOSシリーズの導入実績があり、わが国では屋内点検のDXソリューションのパイオニアとしてリードしてきました。
■ 安全上の注意
リピートフライト機能による自動飛行は、手動飛行中に LiDAR により記録された周辺環境の 3D マップをもとに飛行します。そのため、手動飛行の時にはなかった、ガラスなどの透明な物体や、細いワイヤーといった LiDAR で検知しにくい障害物が経路上に存在する場合、機体がそれらに接触する可能性があります。ELIOS 3は障害物接触時にも姿勢制御を維持し、回避動作を試みるなど安全性に配慮した設計となっていますが、自動飛行中であっても操縦者は常に飛行状況を監視し、安全を確認しながら運用する必要があります。
(以下、会社概要など省略)
株式会社NEXT DELIVERY(小菅村<山梨県>)は5月27日、株式会社プロドローン(名古屋市<愛知県>)と共同開発した運搬用の機体「PD4B-M LogiAir」を東京ビッグサイトで開催中の「運輸安全・物流DX EXPO 2026」で初公開した。NEXT DELIVERYの親会社、株式会社エアロネクストが開発した重心制御技術、4D GRAVITYを搭載していて、7.14㎏までの荷物を積める。6月には飛行の実演も予定している。
PD4B-M LogiAirは、プロドローンの汎用機体のPD4B-Mに4D GRAVITY搭載の荷物運搬用の新開発コンテナを取り付けた機体。荷物は機体の上から納めることができ、機体の下から降ろすことができ、自動置き配が可能だ。荷物を積んでいないときにはアームをスライド収納できるため、持ち運びのさいにコンパクトにできる。
プロドローンはNEXT DELIVERYの親会社であるエアロネクストと2024年2月に、エアロネクストが開発した重心制御技術、4D GRAVITYのテクノロジーライセンス契約を締結している。これ以降、開発を積み重ねており、2025年9月に名古屋市で開催された展示会、ドローンサミットでは3kgの荷物を搭載可能な「PD4B-M-AN」を公開していた。今回の「PD4B-M LogiAir」は7.14㎏の搭載が可能だ。
「運輸安全・物流DX EXPO 2026」は5月29日(金)まで東京ビッグサイトで開催されている。
公表されている仕様は以下の通りだ。
| 製品名 | PD4B-M LogiAir |
| サイズ(展開時) | 1640mm × 1640mm |
| 高さ | 640mm |
| 機体重量 | 11.9kg (バッテリーなし) |
| バッテリー重量 | 10.96kg(4本) |
| 最大離陸重量 | 30kg |
| ペイロード | 7.14㎏ |
| 最大飛行時間 | 30 分(離陸重量 26.16kg 時 ぺイロード3.3kg含む) |
| SKU(箱サイズ:外寸)80サイズ | 長320×幅260×深195mm |
| その他 | ・国産GCSによる遠隔運航対応 |
| ・最大通信距離 LTE電波圏内において制限なし | |
| ・防塵・防水性能は IP55 相当 | |
| ・推奨動作環境温度は 0℃~+40℃ |







遠隔操縦などで運航者を悩ませる映像の遅延やカクつきなどを減らす技術を、NTTなどが開発したと発表した。無線アクセス網のローカル5Gと有線コアネットワークのフレッツVPNを接続して60㎞の遠隔操縦し、無線区間で生じるゆらぎを整える新技術の効果を検証した。実験は60㎞離れた環境で遠隔操縦し、揺らぎの発生時間を半分以下に抑え映像品質を安定化させたという。点検業務でのドローンの遠隔操縦導入にはずみをつける可能性がある。
新技術を開発したのはNTT株式会社、株式会社エヌ・ティ・ティ エムイー(NTT-ME)、株式会社NTT e-Drone Technology。遠隔操縦時にドローンから操縦者に送られる映像が無線区間で不揃いになる事態を、有線区間で先回りしてガタつきを整え、操縦者の手もとの映像のゆらぎを抑制する。ローカル5GとフレッツVPNを接続させることで機能する。
技術の効果を検証する実験では、郡山市(福島県)の操縦者が、直線距離で約60㎞離れた南相馬市(福島県)にある福島ロボットテストフィールドに待機させたドローンを遠隔操縦した。拠点間はフレッツVPNを接続させ、無線区間にはローカル5Gを使った。遠隔操縦はドローンから送られる映像で見ながら行うことにした。
検証の結果、ドローンは遠隔操縦で飛行し、映像の揺らぎの発生時間はこの技術を用いる前には12%だったものが、5%に減った。
遠隔操縦は、インフラや設備の点検、警備などで現地に作業員を配置せずにすむことが利点だが、映像のゆらぎによる操縦精度の低下を不安視する声がある。今回の実験で、ゆらぎを抑制する技術の導入に道を開いたことになり、NTTなどは「危険な場所における点検業務を現地派遣なく精密に実施可能となります」とコメントしている。
同社が発表したプレスリリースはこちら。
また全文は以下の通り。
~リアルタイムな遠隔点検を実現し、安全性向上と省人化に貢献~
2026年5月14日
NTT株式会社
株式会社エヌ・ティ・ティ エムイー
株式会社NTT e-Drone Technology
■発表のポイント:
・ドローンが撮影する映像を操縦者に伝送する際、無線区間で発生する遅延揺らぎを低減し、映像品質を安定化する技術を開発しました。
・ローカル5GとフレッツVPNで接続して、約60km離れた遠隔地からドローン操縦環境を構築し、本技術の有効性を実証しました。
・安定した映像伝送により、ドローン遠隔操縦を精密に行え、点検業務を現地派遣なく実施可能であることを確認しました。
NTT株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明、以下「NTT」)、株式会社エヌ・ティ・ティ エムイー(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:池田 敬、以下「NTT-ME」)、株式会社NTT e-Drone Technology(代表取締役社長:滝澤 正宏、以下「NTTイードローン」)は、無線区間で発生する遅延揺らぎを低減する技術を開発し、約60km離れた拠点間における遠隔ドローン操縦環境を構築して実証しました。本実証実験では、ローカル5G※1とフレッツVPN※2を介して、操縦者へ安定して映像伝送が行え、遠隔からドローン操縦が可能であることを確認しました。これにより、危険な場所における点検業務を現地派遣なく精密に実施可能となります。
なお、本技術については2026年5月27日(水)、28日(木)に開催される「つくばフォーラム2026※3」に展示予定です。
1.背景
日本においては労働力不足が深刻化しており、インフラや設備の点検業務においても人手確保が課題となっています。そのため、ドローンを用いた遠隔点検に対する期待が高まっており、現地派遣なく点検作業を実施する手段として注目されています。
点検箇所が固定的かつ比較的広いエリアであれば、自動飛行による点検が適しています。一方で建設現場や工場内点検といった、点検箇所が日によって変わる場合や比較的狭い空間においては、ドローンを精密かつ安全に、リアルタイムに遠隔操縦することが求められます。このためには、通信が途切れないだけでなく、映像乱れの無い安定的な映像伝送が必要不可欠です。
パケットの遅延に揺らぎが発生すると映像乱れが生じ、操縦精度の低下につながるという課題がありました。無線区間では上り通信と下り通信が同じ周波数帯域を共有していること、および無線品質が低下した際に再送制御が発生することに起因し、揺らぎが発生します。こうした課題に対応するため、操縦者が遠隔から安心してドローン操縦できることをめざし、無線区間で発生する遅延揺らぎを低減して映像品質を安定化する技術の実証に取り組みました。
2.研究の成果
本実証では、ドローン操縦者がネットワークを通じて伝送されたカメラ映像を見ながら、ドローンを遠隔操縦する環境を構築しました。システム構成として、福島県南相馬市のロボットテストフィールドにドローンを配置し、福島県郡山市から操縦を行いました。直線距離で約60km離れた2拠点をフレッツVPNで接続し、無線区間にはローカル5Gを用いています。この環境で、ドローンを遠隔操縦できることを確認しました。
また本システムに、無線区間で発生する遅延揺らぎを補正する機能を実装しました。高負荷な映像伝送を行うと、伝送時間全体に対し12%の時間で映像乱れが検出されましたが、本技術を適用することで、映像が乱れる時間を5%に低減できました。また映像乱れが大きいと、操縦者が操縦を中断して目的地まで到達するのに多くの時間を要するため、移動時間も評価しました。目視操作(南相馬でのドローン操作)で平均35秒要する移動を、郡山からの遠隔操作で実施したところ操縦を中断することなく平均32秒と、同程度の時間で移動完了できたため、操縦に影響のない映像品質を実現できていることが確認できました。

3.技術のポイント
無線区間では、再送制御等で遅延揺らぎが生じ、映像フレームが揺らぐことで映像乱れにつながります。本技術では、無線基地局から収集したトラヒック情報をもとに映像レートをコントローラで分析し、映像レートに合わせてフレーム間隔を光ネットワーク装置で補正することで、無線区間で発生した遅延揺らぎを低減することが可能です(図2)。無線基地局単体では、無線区間の遅延揺らぎに対処することは困難ですが、無線区間と光区間を含めた光無線連携制御により遅延揺らぎを低減し、映像品質の安定化を実現しています。
本技術は、以下3ステップから構成されます。
① 収集:無線基地局から随時収集することで、映像レート変化に追従
② 分析:トラヒック情報から正確な映像レートを算出
③ 制御:映像レートに合わせたシェーピング制御により、フレーム間隔を補正

映像フレーム間隔の分布が理想的な値に近いほど、映像品質が安定しているといえます。本技術適用前は、無線区間で遅延揺らぎがあるため、映像フレーム間隔のバラツキが大きく映像が乱れます(図3)。本技術を適用することで、遅延揺らぎを低減して映像フレーム間隔を理想的な値に近づけられるため、映像の乱れも解消されます。

4.各社の役割
・NTT: 映像品質安定化技術の実装と、遠隔操縦における本技術の有用性検証
・NTT-ME: 実証におけるローカル5Gの設計・構築・運用
・NTTイードローン: 実証におけるドローンおよび操縦環境の提供と、目視外操縦性の確認
5.今後の展開
本技術により、遠隔操縦者へ映像品質を安定して届けることができます。ドローンに限らず、無人航空機・ロボットの操縦等への幅広い適用をめざして、この技術の実用化を推進していきます。
また本技術は、点検以外の遠隔業務でも活用できます。様々な分野での遠隔オペレーション業務を推進し、人手不足の解消に向けて取り組んでまいります。
【用語解説】
※1.ローカル5Gについて URL:https://business.ntt-east.co.jp/solution/local5g/
※2.フレッツVPN URL:https://business.ntt-east.co.jp/service/vpnprio/
※3.つくばフォーラム2026 URL:https://www.rd.ntt/as/tforum/
(以下会社概要など省略)