大型物流ドローンの開発を手掛ける米Sabrewing Aircraft(セイバーウィング・エアクラフト社、カリフォルニア州)の大型eVTOL「レイガル」が、飛行の実現に向けてカウントダウンに入った。レイガルは2,500kgの貨物を積載して垂直離陸をする。飛行が実現すれば航空貨物が現在直面している課題の多くを解決し、空の物流に大きな発展をもたらすことが期待される。「レイガル」は空の物流をどう変えるのか。DRONE FUNDの投資先でもあり、セイバーウィング・エアクラフト社CEOのエド・デ・レイエス氏の寄稿を掲載する。原文は英語で、翻訳は株式会社アイ・ロボティクス取締役でセイバーウィング・エアクラフト社取締役の齋藤和紀氏が担当した。
米国の貨物ドローン企業「セイバーウィング・エアクラフト社」が
物流の諸問題を解決する
by Ed de Reyes
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とある年末の午前4時、霧に覆われるカリフォルニア州サンバーナーディーノの物流基地にMD-11貨物機が着陸した。本来はもっと早く到着するはずだったが、濃霧の影響でだいぶおくれての到着だ。ロサンゼルス近郊は一様に霧に覆われている。そのため、サンバーナーディーノの航空機の多くは離陸できていない。
地上クルーはMD-11からトラックや小型航空機に大急ぎで荷物を乗せ換えていく。クリスマス配達の大渋滞が始まる前に、できるだけ早く多くの荷物を捌かなければいけない。ロサンゼルス続く大動脈であるI-10はここ数日工事が行われており、大渋滞を巻き起こしている。迂回路であるI-15も濃霧の中ではスムーズに通れる期待はできない。
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実はこれ、世界中の物流拠点では「よくある問題」だ。しかし今、着陸したMD-11を、パイロットや天候に左右されない複数の小型航空機が待ち受けていたと仮定しよう。
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クルーは、総重量2,400キログラムになるLD-2サイズの標準コンテナ4つを、大きく開いた機首部分からスライドさせて小型機に積載すると、濃霧にもかかわらず速やかに離陸の準備を整える。小型航空機は次々と離陸し、30分後には近隣の空港に続々と到着。そこで待ち受けるクルー達は速やかに貨物を機体から下ろし、仕分けていく。そして、次の貨物が積み込みまれた小型航空機達は、今度はビバリーヒルズの集荷拠点へと向かう。
航空管制から離陸許可を得ると、航空機はヘリコプターのようにフワリと浮上する。地上クルーは2名程度、翼が折りたたまれた風変わりな機体は、近くの枝や送電線を問題にすることはなく駐車場から飛び立つ。たとえ、車両が着陸予定場所に停まっていても、障害物を認識し、地上クルーが障害物を除くまでの間、上空に浮かび待機する。そして、安全を確認したのち、着陸し、貨物を下ろし、新たな貨物を受け入れ、再び離陸許可を得て次の目的地へ飛び立つ。
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これらは小型の航空物流ドローンによるサプライチェーンのイメージだ。
航空機は濃い霧や雨という気象条件が苦手だ。また、今日では地上車両の故障ですら物流を麻痺させる原因となりえる。しかし、これらは全てドローン物流では問題ではなくなるかもしれない。たとえ荷下ろしのフォークリフトがぬかるんだ原っぱを横切れなかったとしても問題はない。地上作業員の一人が機体の機首を傾けてフックを外すだけで、貨物コンテナはウインチで安全に運び出すことができる。仕分け、積み込み、離陸というプロセスを南カリフォルニアの各空港で日に15回繰り返し、最終的に4,500kgの集荷積み荷を航空機に積み込んでサンバーナーディーノに戻る。給油は1日の終わりに1回行われるだけだ。
このようなアーバンエアモビリティは決してSFでは無い。電動化と自律航行のテクノロジーの進歩に裏付けされた、実用的なプロジェクトとして進めているのだ。例えば、エアバス社は、彼らがヴァハナと呼ぶ機体のテスト完了を公表した。ヴァハナは、都市や町の中や町の間を低空飛行することを目的とした電動垂直離着陸機(eVTOL)だ。また、グーグル社の野心家たちはコーラという機体を生み出したが、こちらも近距離や低空飛行のみを目的としている。ところで、これらの2つの航空機はどちらもまだ人が操縦することを想定している。つまり、特に悪天候の場合には飛べず、多くの貨物を運ぶことはできないのが難点だ。
仮に、人が操縦せずに貨物を移動させる方法があれば、どれほど楽になるか考えてみてほしい。乗客を乗せなければ、安全を確保するための重くてかさばる機材は要らない。パイロットが搭乗しなければ、目視用の計器や、機内防音や窓、床梁、隔壁、そしてそれらを支える部材も不要になる。場合にもよるが、航空機の重量は人が乗ることを想定するだけで25%も重くなる。
滑走路の確保ができない?ノープロブレム! カリフォルニア州カマリロにあるセイバーウィング・エアクラフト社は、無人貨物機の利点をフル活用するために設立された。最初から貨物のみを運ぶコンセプトで、ゼロから機体を設計している。そのため飛行中の「生命の危険」を考慮する必要はないし、だからこそ今まで行けなかった場所に安全に到達できるようになる。
セイバーウィングの開発中の機体の名称は「レイガル」だ。
2,500kgの貨物を積んであたかもヘリコプターのように垂直に飛び上がることができ、もし短い滑走路があれば、4,500kgもの貨物を積んで離陸することができる。これは、現在メジャーなセスナ社製408スカイクーリエが扱える以上の重量であり、より速く、より高く飛ぶことができるのだ。フォークリフトやパレットジャッキ、その他の専用機器の助けを借りずに積み下ろしができるよう貨物運用を考慮した設計も特徴だ。
レイガルは、駐機場でも砂丘でも、地面すれすれに機種を下げて開口することでコンテナ貨物やバルク貨物を素早く積み込むことができる。高浮力タイヤと4本柱のランディングギアを効率的に配置し、泥、雪、砂、湿地、深い水たまりにも着陸することができる。
レイガルは、米国連邦航空局(FAA)の規則「パート23」という、最大総重量600kg(1,320ポンド)を超えるカテゴリーに該当し、遠隔からであっても常時監視・制御と、航空管制とのコンタクトを維持することが義務付けられている。そのため、数百マイルから数千マイル離れた地上にいるオペレーターは、衛星通信を介して航空機を制御することになる。航空管制官は、あたかもコックピットに座っているパイロットと会話するのと同じように、航空機を通して地上にいるオペレーターに話しかけることができる。
また、航空管制から提供された正確な飛行計画を離陸前にコンピュータに読み込んでいるので、仮にオペレーターや航空管制官との通信が途絶えても機体が自ら帰路を確保することができる。
FAAは、航空機パイロットに対して航路上の他の航空機を目視して回避しなければならないと定めている。レイガルはこの作業をオペレーターではなく自ら行わなければならない。衝突回避(DAA:Detect and Avoid)システムとして知られるこのシステムは、衝突予防レーダー(ガーミン社製)と航空機を検知して自動で回避指令を出すカメラ・システム(アイリス・オートメーション社製)、ライダー(レーザー照射システム)を組み合わせた複合的なものだ。また、DAAシステムは、ADS-B(Automatic dependent surveillance-broadcast)と呼ばれる衛星航法システムも使用している。ADS-Bは、現在ではFAA管理空域内のあらゆる規模の航空機に搭載が義務付けてられており、空域内のすべてのフライトを追跡しているため、従来の地上レーダーよりもはるかに柔軟な航路設定を可能にする。
とはいえ、問題がすべて空中にあるわけではなく、時には地上にある事もある。例えば、駐車場に離着陸する場合、指定された場所に車両が停まっていたりすることもある。レイガルは、人工知能による着陸システムを使用して、車両、人、岩、凹凸のある路面などの障害物を上空から発見する。この人工知能による着陸システムは、船上のランディングパッドやあらゆる障害物を認識することができる。
センサーから送られた全てのデータは、インターフェース・コンピュータによって統合され、近隣を航行する他の航空機との安全な距離を保つ。その際に、コンピュータは地上に状況を報告し、オペレーターは飛行経路を変更するかどうか決定する。たとえオペレーターが何もしなくても、コンピュータは必要な処置を自ら行う。また、航空機がどこへ行こうとも、コンピュータは前方の天候を検知し、そのデータをオペレーターに提供し続ける。オペレーターは管制官とコミュニケーションをとりながら暴風雨等の障害を適宜回避することができる。
さらに、レイガルは半自律型であるため、たとえ操縦士や航空管制官との通信が途絶えても問題は少ない。あらかじめ計画された飛行ルートをたどって、途中でトラフィックを検知して回避し、離れた場所に着陸するだけだ。
レイガルの複合素材による機体は、現場で簡単に修理・交換が可能なセクションに分割して作られている。このモジュール式設計により、これまでは数週間、あるいは数ヶ月かけて航空機を着陸させて行っていた検査工程が、わずか数時間で可能になった。
レイガルは防衛や災害救助用途にも適している。地上からの火災を避けて高く高速で飛行したり、レーダーを避けて低く飛行したりすることができるため、孤立した部隊に重要な物資を運ぶことができるだろう。負傷発生後の「ゴールデンアワー」内に最大4人の負傷者と2人の衛生兵を移動式病院に急行させるのに十分な汎用性があり、負傷者の生存の可能性を大幅に高める。さらに、レイガルは独自のシステムにより仮に推進システムが損傷しても安全に着陸できるよう冗長化されている。ホバリング中にユニット全体の推力を失っても安全な地点まで滑空して着陸することができるのだ。
レイガルは、基本的にはジェットエンジンで推力を発生させるのではなく、特別に設計されたターボシャフトエンジンから電気モーターに電力を送ってローターの羽根を回転させる。これはプロペラのようなものだが、オープンローターよりも推力を出すことができる。またダクト型のカバーは、茂みや木の近くに着陸する際に地面にいる人やブレード自体を保護する目的もある。このドライブトレインは、巡航飛行では高効率を実現し、離陸・着陸時には高出力を実現することできるよう設計されている。この効率の向上により、セスナ製408スカイクーリエと比較して推定70%の二酸化炭素排出量を削減しながら、2倍の荷重で4倍の距離を運ぶことが可能になった。また、バイオ燃料を使用することで、さらに「環境に優しい」機体にすることができると考えている。
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数値で見るレイガル 翼幅:18m 全長:18m 全高:3.7m 航行スピード:180ノット 航行レンジ:1,850km(1,000海里) 最高高度:6,700m 垂直離陸時ペイロード:2,450kg 滑走路離陸時ペイロード:4,540 kg
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初代レイガルの機体は2020年3月に完成しており、この記事が掲載される頃には飛行テストが始まっているだろう。セイバーウィング・エアクラフト社は2017年からFAAと協議を続けており、新しい航空機の安全性を保証する「型式認証を開始する許可」が間もなく下りる可能性が高い。
航空機開発にとって認証はとてつもなく大きなウェートを占める。小型の自家用飛行機であっても型式認証には簡単に5000万ドルから1億ドルの費用がかかるが、(人の搭乗を前提としない)貨物用ドローンは認証にかかる費用は相対的に小さくなると考える。そして、レイガルは、他の他社のeVTOL輸送機に先行して認証プロセスを進めることができている事を申し添えておきたい。
「近い将来、世界中の子供たちへのクリスマスギフトは空から届けられるようになるでしょう!皆さん、頭上に浮いているレイガルを見ても驚かないでくださいね。」
“Originally published in English by IEEE Spectrum Magazine, June 1, 2020”(英文原文記事)
著者:エド・デ・レイエス セイバーウィング・エアクラフト社最高経営責任者 元米空軍テストパイロット
翻訳:齋藤和紀 株式会社アイ・ロボティクス取締役 セイバーウィング・エアクラフト社取締役
AAM(アドヴァンスト・エア・モビリティ)運航事業を手掛け、大阪・関西万博の運航事業者にも名を連ねる株式会社Soracle(ソラクル、東京)が、2027年中にも大阪・関西エリアで旅客運航を目指す計画を明らかにした。9月10日に大阪府、大阪市と連携協定を結んでおり、その席で計画を明らかにした。米Archer Aviation(アーチャー・アヴィエーション)のパイロット1人を含めた5人乗りのeVTOL型AAM、Midnight(ミッドナイト)を使うことを想定しているという。
Soracleは2026年にも大阪府内で実証飛行を実施し、必要な審査をふまえ27年にも大阪ベイエリアでの遊覧飛行などを始める。周回して出発点に戻る運航のほか、離陸地点から別の場所に移動する二地点間飛行も想定する。
大阪府と大阪市との連携協定は、ソラクルの事業環境を整えることや、運航網整備に必要なインフラ整備に向けた調査、制度の整備、関連ビジネスの展開支援などの事業環境整備に向けた取り組みを進める。締結式では太田幸宏CEOが、大阪に来れば全国に先駆けて空飛ぶクルマに乗ることができる未来を実現し、中長期的には関西・瀬戸内海地点を結ぶ観光体験を創ると抱負を述べた。
吉村洋文知事は「さまざまな課題はあろうかと思いますが、Soracleさんと協力し、大阪府・市も全面的に当事者として取り組むことで、2027年に商用運航を、そして大阪に来れば空飛ぶクルマに乗ることができるということをめざしていきたいと思います。大阪・関西から、空の移動革命を実現していきましょう」と述べた。
Soracleの公式発表はこちらにあります
スウェーデン航空ベンチャーJetsonは、同社が開発した1人乗り用のパーソナルeVTOL型AAM「Jetson ONE」を米カリフォルニア州で購入者に初めて納入したと公表した。引き渡しを受けたのは経験豊富な航空愛好家パーマー・ラッキー氏で、50分ほどの地上訓練を受けたのちその場で飛行に挑み、低高度での飛行を楽しんだ。同社が公開した動画にその様子が納められている。納品時にはJetson創業者兼CTOのトマシュ・パタン氏(Tomasz Patan)とCEOのステファン・デアン氏(Stephan D’haene)が開封と飛行前点検を手伝った。
Jetson ONEは機体重量が86㎏で、飛行そのものについて航空当局のライセンスの有無の制約を受けず、機体のトレーニングを受ければ引き渡しを受けられるウルトラライトクラスに当たる。同クラスのパーソナルAAMには、米LIFT Aircraft社の「HEXA」や米Pivotal社の「Helix」がある。
日本ではこのうちHEXAが2年半前の2023年3月に、大阪城公園でデモフライトを行っている。このさいAAMの普及に力を入れているGMOインターターネットグループ株式会社(東京)の熊谷正寿代表が、日本国内で日本の民間人とし初めて搭乗し、披露の様子を公開した。現在開催中の大阪・関西万博では「空飛ぶクルマ」のひとつとして飛行が披露された。
なお日本でのAAMの議論の中心は操縦士が搭乗して旅客運航する「商用運航」などが中心で、個人用AAMの導入環境に関する議論は大きな進展を見せていない。一方で米国で飛行経験を積むことはいまでも可能だ。
今回、米国で購入者に納品されたJetson ONEは、アルミとカーボンファイバーのフレームに8つのローターを備え、ジョイスティックで操作するタイプの機体で、最高速度102㎞で20分まで飛行できる性能が公表されている。主に個人利用向けの機体だが、救助訓練に参加した経験も持つ。ポーランドとスロバキアの国境にまたがるタトラ山脈では、ポーランド山岳救助隊(GOPR)と連携して緊急時を想定した訓練に2機のJetson ONEが2機用いられたことが今年7月に公表されている。ルバニ山(標高1211m)頂上など遠隔地への迅速対応ミッションを含む訓練で、目的地まで4分未満で到着するなど、現場に迅速に到着し、応急対応を実施したり、状況を把握したりする「ファーストレスポンダー」としての役割を果たす可能性を示した。
Jetson ONEは税抜きで12万8000ドルで注文を受け付けているが、2025年、2026年分の注文はすでにいっぱいになっている。
参考:GMO熊谷氏、HEXA搭乗し飛行を公開
参考:GMO熊谷氏にHEXA公開搭乗の理由を聞く
参考:米Pivotal、パーソナルAAM発売開始
ドローンショーの株式会社レッドクリフ(東京)が、フィンテックのフリー株式会社(freee株式会社)の活用事例に登場した。レッドクリフが搭乗したのはfreeeが提供しているプロダクト「freee販売」の活用事例で、ビジネスの急拡大に伴う業務管理の効率化に役立てていることが紹介されている。取引先の業務効率化をアピールすることが多いドローン事業者にとって、freeeの活用事例はモデルになりそうだ。またドローン事業者が他の事業者の活用事例に取り上げられることも今後、増えそうだ。
フリーが公表したレッドクリフの活用事例はこちらからみられる。
それによると、事業の急拡大で案件別の収支管理や、全体の把握、属人依存の管理に限界が見えてきた中で、それまでスプレッドシートに頼ってきた業務フローを見直しに着手した。freee販売の導入で、受発注データと原価情報を集約し案件ごとの収支把握が容易になり、部門を越えたデータ共有や、各部門がそれぞれの業務に集中できる態勢が整ったという。チェック漏れリスクの軽減と業務負担の軽減が同時に果たせ、人件費、立替経費、ドローンの減価償却費を案件単位で管理できるようになり、より正確な原価管理と利益把握が実現し、経営判断の精度向上にも繋がっている。
結果として、IPO準備に不可欠な「事業計画の妥当性」や「来期の成長性の蓋然性」をデータに基づいて説明できる環境ができたという。
ドローンの事業者も、取引先の効率化をソリューションとしてアピールする事例が多く、活用事例でも導入先の作業の時間短縮効果などが掲載されることが多い。一方で、導入先にとっては、その事例が解決したい課題の一部にすぎないことや、導入による新たな負担などが発生するケースもあり、活用事例のアピールの方法について、各者が試行錯誤している。
freee販売の活用事例では、汎用性の高い困りごとを取り上げていて、freee販売の商品性のアピールになるとともに、多くの企業にそのアピールの手法そのものが参考になりそうだ。
一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が、ドローンによるマンション外壁点検の仕事を請け負うための力を養う講座「ドローン点検スペシャリスト育成コース<マンション外壁編>」の内容を解説する「講座ご案内ウェビナー」をJUIDAの公式ページ上で公開した。ウェビナーは7月に視聴者を募って行われ、講座は8月に開講した。現在も受講生を募集している。
「ドローン点検スペシャリスト育成コース<マンション外壁編>」は、JUIDA、マンション管理など不動産管理大手の株式会社東急コミュニティー、ドローンスクール運営の株式会社ハミングバードの3者が作った講座で、5月に公表し、6月に開催された展示会「JapanDrone」で3者そろって発表会に臨んでいた。3者は新たな講座のマンション外壁点検の現場で求められる実務を盛り込んだことと位置付けている。
マンション外壁点検でのドローン導入期待は高いものの、外壁点検の現場や実務を知るドローン事業者は多くない。マンションの管理組合などから点検業務を請け負うマンション管理事業者側にとっては、現場知識の乏しいドローン事業者にドローンでの点検を依頼すると、ドローン事業者が担うべき実務を一から伝えなければならず、手間、時間、コストの負担が大きい。これがドローンの導入を阻む要因になっていると言われている。このため講座を通じてマンション外壁点検に求められる実務の知識を習得することで、マンションの外壁点検現場へのドローン導入を後押ししようとする狙いがある。
公開された動画は、全体で50分弱。事務局のあいさつ、カリキュラム概要、受講料、受講会場など講座に関わる説明が27分ごろまで行われる。この中では、点検作業後に作成し、依頼主に納める報告書の重要性が強調されている。ドローン作業者には、報告書の重要性や、報告書に掲載するための画像の要件が講座で解説されることなどが伝えられている。
その後、事務局が設定した想定質問に、担当者が回答する一問一答が行われる。一問一答の中では、講座の修了生には必ず外壁点検の仕事があっせんされるのか、タワーマンションにも対応可能なのか、など受講判断に関わりそうな質問がいくつも盛り込まれていて、担当者の回答は、受講を検討者の参考になりそうだ。
高校生FPVドローンレーサー・山本悠貴選手が、9月13日にドイツで開幕する国際レース出場に向けてクラウドファンディングを実施中だ。山本選手をスポンサーとして応援している株式会社ドローンショー・ジャパン(金沢市)がプレスリリースで山本選手の活躍を紹介している。
山本選手は今年7月12日~13日にイタリア・アルビッツァーテで開催された「World Drone Cup Italy 2025」で予選を総合3位で通過してジュニア部門の決勝に進出した。山本選手としては初の決勝進出で、決勝でも4位入賞に食い込む活躍を見せた。なお、ジュニア部門ではすでに数々の大会で優勝経験を持つ日本の橋本勇希選手が優勝している。
山本選手は、2024年10月30日から11月3日まで中国杭州市のShangcheng Sports Centre Stadiumで開催されたドローンレースの世界戦主権「2024 FAI World Drone Racing Championship(WDRC)」で、橋本選手とともに日本からの5人の選手の一人として出場し、各選手の成績を集計した国別順位で日本代表チームが3位に導く立役者の一人となっている。 なお、イタリア大会で優勝した橋本選手は、中国杭州市の大会でも個人総合、ジュニア部門の2部門で優勝している。
ドローンショー・ジャパンのプレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000131.000080729.html?fbclid
イタリア大会結果詳細: https://fpvscores.com/events/0DNj73gpMX/results
山本選手の動画:https://youtu.be/1auUXebjYTc
<参考>中国大会で日本総合3位、橋本選手は個人総合、ジュニア部門の二冠:https://dronetribune.jp/articles/24276/
山本選手のクラウドファンディング:https://camp-fire.jp/projects/876711/view?utm_campaign=cp_share_c_msg_projects_show
ブルーイノベーション株式会社は9月3日、沿岸防災ドローンとして注目されている「BEPポート|防災システム」の解説動画を公開した。仙台市と千葉・一宮町に配備されたシステムは津波警報のさいに初出動したことをきっかけに、自治体からの注目度がさらに高まっている。
動画は7分弱。「BEPポート|防災システム」について、「災害発生時の初動を支援する次世代型ソリューション」と説明していて、主に自治体の防災担当者や関係者、協力事業者らを対象としているとみられる。
開発したブルーイノベーションの紹介、災害時の初動対応に求められる3要素などの説明があり、それらの説明をうけて、2分50秒ごろから具体的な説明に入る。Jアラートを受けてBEPポートが自動的にドローンに離陸を指示する仕組みなどが説明されている。
また終盤の5分ごろからは、7月30日の津波注意報、津波警報を受けて一宮町<千葉県>のシステムが初出動した模様を紹介している。
システムは一宮町と仙台市<宮城県>に設置していて、7月30日の津波注意報、津波警報を受けてそれぞれ出動した。
なおブルーイノベーションは、東京都立産業技術研究センターの「クラウドと連携した5G・IoT・ロボット製品開発等支援事業 公募型共同研究」に、同社が「BEPポート|防災システム」の活用を前提に提案した「自動離発着型ドローン多目的災害支援システムの研究開発」が採択されたことを9月1日付で発表している。孤立地域の状況調査、倒壊家屋の監視など災害現場で求められる機能を新規開発する計画だという。