楽天グループ株式会社(東京都世田谷区)と日本郵便株式会社(東京都千代田区)の合弁企業、JP楽天ロジスティクス株式会社(東京都千代田区)が9月末に配信したプレスリリースがドローンの関係者の間で話題になった。標題は「山岳エリアにおける配送の実用化に向けた実証実験を実施」で強調された表現はない。しかし本文を読むと、山間地の離陸地点から標高が約1600m高い目的地まで、地元事業者を中心に2人体制で、7㎏の荷物をドローンで運び、しかも自動で届けたあと離陸点までドローンを帰還させている。難易度は低くない。登山者を受け入れる山小屋が飲み水や食料などを調達することは、必要な作業だが大変な重労働だ。担い手の確保も難しい。ドローンの取り組みはこの難題の解決に道を開きそうに見える。JP楽天ロジスティクスドローン・UGV事業部の向井秀明ジェネラルマネージャーにインタビューをすると、主に4点の成果があったことと、この取り組みに使った機体が、台湾大手の機体をカスタマイズして使ったことが分かった。向井氏は「今回の取り組みでインフラ化の『やり方の型』を見つけた」と話す。
JP楽天ロジスティクスが参加した実験は、2021年8月から9月までの2か月間、長野県白馬村の山岳エリアで行われた。実施主体はJP楽天ロジスティクスを含めて11の企業、団体、自治体で構成する「白馬村山岳ドローン物流実用化協議会」だ。構成する企業・団体は、JP楽天ロジスティクスのほか、株式会社白馬館、一般財団法人白馬村振興公社、株式会社からまつ、白馬村、株式会社MountLibra、株式会社eロボティクス、株式会社丸和運輸機関、株式会社カナモト、有限会社KELEK、株式会社先端力学シミュレーション研究所だ。
実験は、山岳エリアでの物資輸送の課題を、ドローンを活用して解決を目指す取り組みで、JP楽天ロジスティクスが配送ソリューションの提供を担った。
実験は、白馬岳の標高1250mの登山口にある宿舎「猿倉荘」から、標高2730mの白馬岳頂上宿舎や、標高2832mの「白馬山荘」までの、生鮮食品や飲料、医療物資などの運搬。往復10㎞、標高差は最大1582m、積み荷は最大7㎏。パイロット任務や運航管理を地元事業者が主体で担う体制にした。また2020年8月に白馬村で行った前回の実験では7人の補助員を配置するなど10人以上の体制で運用していたが、今回は補助員の配置をせずに2人体制で運用に臨み、それを成功させた。
このドローン配送の成功は、運用体制の省人化、大幅なコスト削減の実現にめどをつけた。また発表では、「新機体を用い」たことも明かしている。さらに許可承認を受けたうえで、対地高度1m以下の高さから積み荷を切り離して落下させる物件投下による配送も実施した。補助者を配置しない目視外飛行での物件投下による往復配送の実現は、本実証実験が国内で初の事例とも伝えている。




この実験をどう見ているのか。JP楽天ロジスティクスドローン・UGV事業部の向井秀明ジェネラルマネージャーに聞いた。
――この発表には複数の見るべき要素が詰まっていると感じた。実験の成果を整理すると?
「どちらかと言えば、一見、地味な発表だと思います。ふだん山に行かない方も多いと思います。ただ、業界や実情をご存知の方には『実用化が見え始めたのではないか』と思って頂けそうなことを詰め込みました」
――どんな性格を持った実験だったのでしょう
「実施したのは標高2832mの高地に向けて荷物を運ぶミッションです。ヘリを使うか、歩いて7時間かけて運ぶか、という選択肢しかないところで、ドローンという新たな選択肢を試した重要なイベントでした。新たな配送インフラとなるかどうかという大きな意味を持っています。高低差約1600mを往復飛行させたのですが、従来はドローンで7㎏運び終えたあと、離陸地点まで飛んで戻るのは難しかった。それを成功させた意味でも重要だったと思っています」
――改めて取り組みの意義を教えてください
「大きく4つありました。一つ目が省人化です。ドローンの取り組みはさまざま行われていますが、それを見た人は『こんなに人が必要なんですね』と口にします。必要な人員が多いと1配送のコストが高くなります。インフラ化したいのに人手をかけていてはなり立ちません。いかに少人数にするかが重要です。現時点では1人体制は難しい。最低2人は必要です。それであればこの2人でどう実現するか。それをこの1年間、チームで考え抜きました。白馬で10人以上の人手をかけ運んでいたところを、目視外・補助者なし飛行のレベル3の承認を受けて、さらにドローンの機体性能や、遠隔監視システムなども大幅に向上させて、今回ついに、2人運用体制で配送を成功させることができたわけです。事情をご存知の方が見ると、2人で運用できるのならコストが見合うのではないか、などと思って頂けると思います」
――地元の事業者が主体で運用させた、というお話でした
「そこが二つ目の意義です。現時点であれば楽天のメンバーが現地に赴いて運用すればよいのですが、今後インフラ化するにあたっては、毎回楽天が出張して運用する体制にするわけにはいきませんし、専門家しか使えないソリューションであってもいけません。地元のドローン事業者、将来的には未経験の山小屋のスタッフさんや、地元の運送業者が導入できるようにすることにこそ意味があります。今回は、地元の事業者さんに適切なトレーニングを提供し、運用できるかどうかを試しました。それに成功したことが今回の大きな成果でした」
――「地元で」「2人で」可能なソリューションであれば導入のハードルが下がりそうです
「その『2人で』を実現させるには、往復飛行ができることが大事なのです。それが三つ目の意義です。それまでは離陸場所、着陸場所のそれぞれに人を配置していました。なぜなら着陸場所でドローンのバッテリーを交換しなければならなかったからです。しかしバッテリー交換なしで往復飛行できるようになったことで、標高2800mの目的地に人を配置する必要がなくなりました。ドローンの専門家は離陸側にさえいればいい。それを今回はしっかり実現できました。実はこれを実現させるために、長距離を飛べて、重い物が運べる信頼性の高いドローンの開発を進めてきました。その開発が進み、本実証における飛行に成功したということも、このリリースに隠れている事実です」

――発表には「新機体」とだけ、あっさりと表現されていました
「『新機体』の正体は、台湾のCIRC(コアトロビック・インテリジェント・ロボティクス・コーポレーション、中光電智能機器人、https://www.coretronic-robotics.com/)製のドローンがベースです。台湾では非常に有名なメーカーで量産機器も作っています。生産品質が量産品質ですので今回採用しました。過酷な飛ばし方をさせるので、そのままで使うのではなく共同開発をしたドローンです」
――さて、3つの大きな成果を教えて頂きました
「もうひとつありまして、それが往復飛行を実現できた大きな要素です。3月の法改正です。従来は目視外・補助者無しの飛行では、物件を投下してはならない、となっていましたが、物流をするうえでは障害になります。なぜなら着陸場所に草があったり、石があったりして、着陸をすることが危険になるケースがあるからです。またドローンは『地面効果』の影響で着陸直前にもっとも不安定になります。法改正により1メートル以下からの物件投下が許可されたことで、ドローンが安定している中で、安全に荷物を下ろすことができるようになりました。さらにバッテリーの消費も節約できます。これが可能になったことで、十分にバッテリーを残せるようになりました」
――4つの成果を得られるまでを振り返ってどんな感想をお持ちですか
「今回の取り組みで、実証実験から実用化に向けて大きくギアが切り替わったとわれわれは感じています。取り組みの間は、ずっと実用化の扉を開くために必ず成功させよう、と声をかけあってきた経緯もあります。われわれとしての本丸はラストワンマイル配送です。第三者上空飛行の解禁スケジュールもある程度みえはじめていますが、それまで十二分なノウハウを蓄えておきたい。そのノウハウを蓄えるために、山小屋で実用化を展望できる取り組みが進められたことは大きいと思っています。山小屋のサービスクオリティーが向上し、登山客が増え、登山道の整備が進む、雇用も生まれる、という形で地方創生が進むことを願っていますし、たとえばヘリからドローンへの代替が進むことでカーボンニュートラルが進むことにも期待します。われわれは今回の取り組みで、インフラ化するための『やり方の型』を見つけましたので、料金を頂戴して運用する実用化につながることを目指します。そこが見えたことこそが、今年の実証の非常に大きな成果だと思っています。それと、白馬の登山シーズンには当たり前のようにドローンが飛んでいるようになればいいですね」
――白馬の風景にドローンが溶け込む日が来そうですね。楽しみです。ありがとうございました

■JP楽天ロジスティクスの実証実験の概要 ・実施期間 : 2021年8月から9月までの約2カ月間 ・配送ルート: 「猿倉荘」(標高1250m)から離陸し、 白馬岳頂上宿舎(標高2730m)および「白馬山荘」(標高2832m)に配送 ・飛行距離 : 往復約10km、高低差約1600mの配送 ・配送物資 : 生鮮食品、飲料、医療物資他(最大7kg) ・運営主体 : 白馬村山岳ドローン物流実用化協議会 ・ソリューション提供 : JP楽天ロジスティクス株式会社 ・実行 : 地元事業者
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【JapanDrone関西】台湾ウィストロンとGEOSATが初出展 ブルーイノベーション株式会社(東京)の熊田貴之社長がドローントリビューンのインタビューに応じ、「お客様」との向き合い方について語った。同社は複数のドローンやロボット、センサーなどを統合管理するデバイス統合プラットフォーム「Blue Earth Platform(BEP)」や、球体ドローン「ELIOS」シリーズ、ドローンポートなどの事業を展開していて、取引先、顧客との関係について模索を続けている。
ブルーイノベーションはBEP技術を軸に、「点検」、「ドローンポート」、「教育」、「ネクスト」の4つに分類したソリューションを提供している。11月14日に発表した2025年12月期第3四半期決算によると売上高は、7億7000万円で、1年前の第三四半期から4.3%増加した。売上高を構成する4ソリューションのうち「点検ソリューション」の構成比が46%と半分近くを占めた。
熊田貴之社長 「わたしたちはソリューションを提供している会社ですが、ソリューションはお客さまの声をしっかり聞くことなしに作れません。ドローンの機体を開発する、販売する、ということにだけ集中してしまうとプロダクトアウトになり、お客さまの要求に必ずしも合致せずにソリューションにならない、あるいは十分ではないということが起こりえます。ソリューションを提供するには、機体をお客さまの求める作業や動作ができるようアプリケーションが必要になるかもしれません。場合によってはドローンでない方がソリューションとしてふさわしいかもしれません。ソリューションはお客さまのご要望を伺うところから始まります。わたしたちはお客さまとメーカーとをつなぐ部分を担う面があるのかもしれません」
――持ち味はドローンやロボットなどの統合管理プラットフォーム「BEP」だ
熊田社長「はい。主な対象はドローンですが、お客さまとは無人搬送車の運用の話もしています。無人搬送車の複数制御。これにドローンが組み合わされることになれば、走る、飛ぶが統合されて、制御系に対するニーズにつながるのだと思います。それまでお客さまのご要望を伺いながら試行錯誤をしてまいります。プラットフォーマーになることは、その技術がみんなの共有財産になるということだと思っています」
――お話の随所に「お客さま」が登場し、強い意識を感じる
熊田社長「一般論ですが、ドローンに関連する産業が実証実験の段階から商売やビジネスなどの事業の段階に移りつつあることと関係しているかもしれません。実験は提供期間が実験の期間に限られます。それに対して商品を提供する事業段階になると、購入頂いた先での満足度の重要性が高まります。わたしたちも社内でカスタマーサポートの重要性に対する認識が日々高まっています」
――たとえば
熊田社長「ドローンポートは、購入頂いたお客さまのもとにずっと置いてあるわけです。そうするとお客さまからのご意見も寄せられます。問い合わせ、不安、クレーム、トラブル連絡など含めて、お客さまの声に向き合う期間が長くなります。わたしたちも十何年ドローン関連の事業に取り組んでおりますが、お客さまを担当する担当者が現場で親身に対応するフェーズから、組織として対応するフェーズに変わってまいりました。お客さまと向き合うサービスのフェーズに入ってきた、と言い換えてもいいかもしれません。ほかの会社ではすでにできているところもあるのだと思いますが、わたしたちは今年、社内にその体制をつくりました」
――トラブルを現場まかせにしない
熊田社長「はい。経営会議でも話をします。それはそのお客さまの中でわたしたちのサービスが浸透し始めている裏返しでもあると思っています。産業全体でもドローンがサービスのフェーズに入りつつあることを示しているかもしれません。いまではわれわれの提供しているプロダクトやサービスなどを通じて、LTV(Life Time Value)をしっかり提供できているか、本当の意味で長くお客さまに価値を提供するか、より強く意識するようになりました。LTVがKPIにもなりました」
――「お客さま」重視のサービスの会社だと
熊田社長「それを目指していますが、正直なところ、まだ全然です。ようやくそのフェーズに入ったという感じです。サービスがお客さまに浸透していくプロセスを体験している段階かもしれません。カスタマーサポートには大きなコストがかかる面もありまし、決して華やかなことばかりではないです。注目もされないし記事にもなりません。それを繰り返していくことが大事なのだろうと思っています。いま巨大企業になっているメーカーもそこからはじまって、やがて強いブランドになっています。わたしたちもそこを通っていかなければいけないと感じています。社内でもお客さまからの声に、現現も組織も対応する。会社としてちゃんと向き合おうという話をしています。営業、開発、保守などすべてです」
――ありがとうございました。

「Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2025 in 関西」は11月27日閉幕し、二日間の合計で3006人が会場を訪れた。事前に公開していた来場者目標の3200人には届かなかったが、期間中は来場者、出展者の笑顔がはじけた。機体メーカーなど主要プレイヤーの出展の上積みなどが、来場者拡大のカギとなりそうだ。
Japan Drone関西は一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)の主催、株式会社コングレの共催で11月26、27日の2日間、JR大阪駅直結の「ナレッジキャピタルコングレコンベンションセンター」を会場に開催され、26日に1604人、27日に1402人が足を運んだ。講演、パネルディスカッションなどのステージには2日間で1131人が参加した。来場者の中には出展者ではないドローン事業の経営者、関係者も見られ、会場内で知人を見つけてはあいさつをかわす光景や談笑する様子が多くみられた。
関係者や愛好家の間で話題になったのは初出展、初公開プロダクトだ。360度カメラの開発で知られる中国のテクノロジー企業Insta360がパートナー企業と設立したドローンブランド「Antigravity」が、日本の展示会に初出展し、機体やコントローラー、ゴーグルを紹介した。日本での発売計画は未確定だが、来場者の多くが足を止め、製品の仕様や今後の計画を担当者にたずねていた。
台湾の電気機器メーカーWistronも、系列のドローンメーカーGEOSATとブースを共同出展し、GEOSATの機体3種が初公開された。イタリアのモニタリングソリューションを展開するTAKE OVERも老朽インフラの課題と向き合う日本市場の調査をかねて初出展し、来場者と意見交換をしていた。米Skydioが9月に発表したふたつの新型ドローンについて、日本市場向けの公式アナウンスが出ていない中、JapanDrone関西に出展したジャパン・インフラ・ウェイマークは、二機種のうちの屋内向けドローン「R10」について独自のポスターを張り出したほか、チラシも用意し来場者に配布するなど関心を集めた。
会場では多くのブースで来場者と出展者が意見交換をしたり、説明を求めたりしている様子がみられ、あちこちで笑顔がはじけていた。ジュンテクノサービスやMizubiyoriは会場内に設置されたプールで水中ドローンを実演し、来場者に囲まれていた。
自治体の取り組みなどを紹介するパネルも多く設置され、じっくりと観察する来場者がいた一方、説明員のいるところは限られ、見学者が途切れる時間帯もあった。自治体の取り組みについては、「主催者テーマ展示ゾーン」と「ドローン×地方創生:自治自治体PRゾーン」とに分かれて展示されていて、来場者の利便性に合致していたかどうかの検討が加えられる可能性がある。
Japan Drone関西はJUIDAが10年前から毎年、千葉・幕張メッセで開催しているドローンの大規模展示会「Japan Drone」の地方開催版で、大阪で開催するのは2度目。一度開催した地域で二度目を開催したのは今回が初めてだ。JUIDAの鈴木真二理事長は初日の講演の中で、「アンケートで大阪での開催を求める声が大きかったことが今回の開催につながりました」と話している。今後も来場者の声が開催方針に反映されることになりそうだ。








11月26日に開幕した「第2回 Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2025 in 関西」では初公開、初出展を含め、多くの取り組みが披露されている。イタリアの保守、モニタリングソリューションを提供するTake Over社はFranz Lami CEO自身が来日して初出展。株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク(東京)は、日本市場向けには公式発表がない米Skydioの屋内用ドローン「Skydio R10」について独自のポスターを作成し公開している。セントラル警備保障は不審ドローン対策ソリューションを提案している。
イタリアのTake Over社は日本の老朽インフラが抱える課題に対しイタリア仕込みのソリューションを提案している。同社はイタリア国内で橋梁、鉄道、高速道路、ダムなどの保守点検などで実績を積んでいる。イタリアは歴史的な建造物から近代的な道路まで公共構造物の時代背景が幅広く、その知見が老朽インフラを多く抱える日本での需要を見込む。
来日し会場のブースにも立ったFranz Lami CEOによると、イタリアのインフラは近代のコンクリートと中世からの石でできたものなどとがある。課題の緊急性が高いのは重量のあるトラックなどを支える道路などコンクリート製のインフラで、内部の亀裂などをいち早く察知し対処する必要がある。同社はその点検やモニタリングなどで実績を積んできた。
データ取得のためDJIを中心としたドローン、3Dレーザースキャナ、モバイルマッピングシステムなどを機材として使っている。JapanDroneのブースではFranz Lami CEO自身が来場者に実績、技術などをアピールし、情報収集、市場調査を進める。来場者には。同社のロゴの入ったキャップを渡している。最近東京に開設したオフィスの人員の増強にもつとめていて、リクルートにも積極的だ。
JIW、日本向けアナウンスがされていないSkydio「R10」のポスター独自作成
ジャパン・インフラ・ウェイマークは米SkydioのAIドローン「Skydio X10」や、専用の格納庫「Dock for X10」など点検ソリューションを展示しているが、ブースにはもうひとつ、日本市場向けには正式なアナウンスがない機体のポスターがある。屋内向けドローン「Skydio R10」だ。
9月17日と18日に米国で開催されたSkydioの毎年恒例の発表会「Skydio Ascend 2025」では、「Skydio R10」が屋内向けドローンとして発表された。もうひとつ。長距離飛行に対応した固定翼ドローンのプロトタイプ「Skydio F10」も発表されているが、いずれも日本市場向けには公式の見解はない。
屋内の点検ソリューションを展開するJIWはR10について独自にチラシを作成し、ブースではポスターとして来場者に見せている。それによると、R10は785gでX10の2140gから大幅な軽量化が図られる。暗所飛行用の補助ライトを備え、自律飛行し、ライブ映像を配信し、点検を支援するという。市場導入の時期は公式発表を待つ必要があるが、関係者や愛好家の間で関心を喚起しそうだ。
セントラル警備保障が不審ドローン対策展示
セントラル警備保障株式会社(東京)は、不審ドローン対応のためのソリューションなどを展示している。会場にはカウンタードローンシステムのほかいくつもの緊急対応機能を備えた移動指揮所車両「CSP Drone Base Car」を車両ごと持ちこみ、中に搭載している映像監視システムや、電源機能、車内で指揮がとれる機能などを公開している。屋根にはドローンポートを備え、ここから離陸させることもできる。
また、不審ドローンを検知するためのソリューション「DS_005D」も展示してある。ブースではその機能や上位モデルの説明を求めて来場者が足を止めていた。
レッドクリフ、ジュンテクノ、ROBOZが存在感
このほか、開場では大阪・関西万博の協会企画催事プラチナパートナーとして連日ドローンショーを繰り広げた株式会社レッドクリフ(東京)が前面を赤、黒でペイントしたブースで来場者にドローンショーの特徴や効果を説明していた。また屋内ドローンショーを手がける株式会社ROBOZ(名古屋市)は、ドローンショーに使う機体の特徴や通信、飛行の安定性などについて石田宏樹代表取締役が率先して説明していた。会場の隣室でデモンストレーションも行い、手軽に運用できることを実践した。
ジュンテクノサービス(埼玉県川越市)も水中ドローンを中心に展示。ダム堤体、取水口、吐口撮影からポンプ場撮影、流域下水道点検など多くの現場での点検実績などのノウハウをブースで展示しているほか、会場内のプールでデモンストレーションも実施し、来場者がその様子をみるために取り囲む様子もみられた。











アメリカのドローンメーカー、Inspired Flight Technologies社の産業用ドローン「IF800 TOMCAT」「IF1200」が、「第2回 Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2025 in 関西」で公開されている。展示したのは株式会社栄光エンジニアリング(茨城県つくば市)だ。リスクを回避するオペレーターへの提案として出展した。いずれのモデルも日本のドローンの展示会での出展は初めてだ。
栄光エンジニアリングが展示しているのはアメリカInspired Flight Technologies社のクワッドコプター「IF800 TOMCAT」とヘキサコプター「IF1200」だ。
IF800 TOMCATはバッテリーなし重量が4.2㎏、バッテリー搭載時で8.5㎏で、最大54分飛行する。インフラ点検、LiDAR調査などの用途を想定している。また「IF1200」は最大43分飛行、最大積載量8.6㎏だ。栄光エンジニアリングの大島健一社長は、取引先からよりリスクの低い機体を求める声を聞き、Inspired Flight社にゆきあたった。「IF800 TOMCAT」「IF1200」とも米国防省のサイバーセキュリティやサプライチェーンの健全性基準を見た居た場合に認定を与えるプログラム「Blue UAS」に認定されている。栄光は現在、Inspired Flight社の日本国内代理店だ。
ブースでは大島社長らが機体の特徴などを来場者に説明していた。ブースではそのほかExyn Technologies社の自律飛行型3Dマッピングシステム「Nexys」「Nexys Pro」、Teledyne Optech社の軽量LiDARシステム「EchoONE」も展示している。




台湾の電子機器大手ウィストロン(Wistron)は、同社系のドローンメーカー、GEOSAT Aerospace & Technology Inc.(経緯航太科技)と共同でブースを構えた。GEOSATのドローンが日本の展示会で一般公開されるのは初めてだ。
初公開されたGEOSATのドローンは3機で、日本での展開は今回の反応をふまえるなどして今後検討するという。3機はいずれもスタイリッシュで、「スタイルは重視して作った」という。
ブースにはウィストロンでドローン部門を統括するAnn Liu氏も訪れ、来場者の反応などを確認していた。
展示会で製品を見る機会はそう多くなく、ブースを訪れた来場者の中にはこのブースに立ち寄ることを来場理由にあげる人もいた。
ブースの壁面にかけられていた薄型ディスプレイはウィストロンの製品で、その薄さに来場者が指をさしている様子もみられた。ディスプレイは投影する映像の切り替えや明るさの調整は遠隔で可能だという。




中国Insta360系のANTIGRAVITYが「第2回 Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2025 in 関西」に出展している。同社は8月に8Kで360度の映像が撮影できるドローン「Antigravity A1」の発表をし、話題を集めた。日本の展示会に出展するのは今回が初めてで、ブースのAntigravity A1にも多くの来場者が見入っている。
Antigravity 社は日本の展示会の出展は今回が初めてだ。出入口に近い場所に構えたブースにはひっきりなしに来場者が訪れた。8K360度全景ドローン「Antigravity A1」が今年8月に初の製品として発表され、ドローン愛好家や関係者に間で一気に話題が広がった。
全方位を捉える「デュアルレンズ設計」でドローン周囲のすべてを360度で記録し、ライブ映像や最終映像からはドローン本体を消すことができる。操作はレバー状のコントローラーで直感的な操作が特徴だ。
ブースでは機体重量がバッテリー含めて249gであることや、2026年1月に世界同時発売を目指していることなどが説明されていた。ただし日本での発売は、諸手続きの進み具合にもよるため未定で、今後正式に公表される見込みだ。
操作はゴーグルを装着して行うため、いわゆる目視外飛行の扱いとなる。価格は今後決まるが、現時点では標準型のセットで30万円台、最も基本的なセットで20万円台を想定しているという。
JapanDrone関西ではデモフライトを実施。開催2日目も行う予定だ。
